• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない X03
審判 一部無効 観念類似 無効としない X03
審判 一部無効 外観類似 無効としない X03
管理番号 1283308 
審判番号 無効2012-890077 
総通号数 170 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-02-28 
種別 無効の審決 
審判請求日 2012-09-12 
確定日 2014-01-06 
事件の表示 上記当事者間の登録第5408589号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5408589号商標(以下「本件商標」という。)は,欧文字「RAFFINE」を標準文字で表した構成からなり,平成22年11月2日に登録出願,第3類「化粧品,つけづめ,つけまつ毛」,第8類,第21類及び第26類に属する商標登録原簿記載のとおりの商品を指定商品として,同23年4月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が本件商標の無効の理由に引用する登録商標(甲3?8)は,以下の1?3のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
1 登録第4753896号商標(以下「引用商標1」という。)
平仮名,中黒及び片仮名を並列させた「ら・フィネ」と,欧文字及び中黒とを並列させた「LA・FINE」の各文字を上下二段に横書きした構成からなり,平成15年7月8日に登録出願,第3類「化粧品,せっけん類」を指定商品として,同16年3月5日に設定登録されたものである。
2 登録第5063109号商標(以下「引用商標2」という。)
別掲のとおり,「LA FINE」の文字と,両端が尖った細長の黒塗り図形をアンダーラインの様に配した構成からなり,平成18年11月8日に登録出願,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として,同19年7月13日に設定登録されたものである。
3 登録第5097197号商標(以下「引用商標3」という。)
欧文字及び中黒とを並列させた「LA・FINE」と,片仮名及び中黒とを並列させた「ラ・フィネ」の各文字を上下二段に横書きした構成からなり,平成19年3月16日に登録出願,第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品」を指定商品として,同19年12月7日に設定登録されたものである。
(以下,これらを総称するときは,単に「引用商標」という。)

第3 請求人の主張
請求人は,本件商標の第3類指定商品「化粧品」の登録を無効とする。審判費用は請求人の負担とする,との審決を求め,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第8号証を提出した。
1 請求の理由
(1)本件商標と引用商標との類否
ア 本件商標
本件商標は,標準文字「RAFFINE」の欧文字からなり,「ラフィネ」の称呼を生ずる。
イ 引用商標
(ア)引用商標1は,平仮名「ら」と片仮名「フィネ」とを「・」でつないだ「ら・フィネ」の文字と,その下段に配された「LA・FINE」の欧文字からなり,「ら・フィネ」からも,「LA・FINE」からも「ラフィネ」の称呼を生ずる。
(イ)引用商標2は,横書きされた欧文字「LA FINE」の文字とその下段に配された図案からなり,欧文字「LA FINE」の文字から「ラフィネ」の称呼を生ずる。
(ウ)引用商標3は,横書きされた「LA・FINE」の欧文字とその下段に配された「ラ・フィネ」の片仮名からなり,「LA・FINE」からも,「ラ・フィネ」からも「ラフィネ」の称呼を生ずる。
ウ 小括
したがって,本件商標は,引用商標と外観と観念が相違するとしても,その称呼は同一の「ラフィネ」であり,引用商標と類似する商標である。また,登録無効の対象とした本件商標の指定商品「化粧品」は,引用商標の指定商品にも含まれている。
よって,本件商標は,商標法4条1項11号に該当する。
(2)類否判断に当たっての特殊事情の存在
商標の類否判断に当たっては,称呼のみならず外観,観念とも相まって総合的に判断すべきものではあるが,称呼が同一ではなく類似である場合などには多少勘案されることがあるとしても,称呼が極めて類似している場合や,本案のように称呼が全く同一である場合には,取引の場において相紛らわしくなることが免れない。
また,電話又は口頭の取引の場においては,商標により生ずる称呼のみをもって認識し,記憶されるものであり,称呼が完全同一の場合には,称呼の類似のみをもって商標は類似するものと判断されるべきである。特に,指定商品「化粧品」においては,口頭による対面取引の他にも電話などによる取引がされる場合を否定するような特殊事情は存在しない。
したがって,商標の称呼が共通である場合には出所の混同を生じるおそれがあるものといわざるを得ず,本件商標と引用商標とは類似する商標であり,本件商標は商標法4条1項11号に該当する。
(3)結び
以上のように,本件商標の指定商品「化粧品」は,商標法4条1項11号に該当するものであるから,商標法46条1項1号の規定により,その登録を無効にされるべきである。
2 答弁に対する弁駁
請求人は,被請求人の答弁に対し,弁駁していない。

第4 被請求人の主張
被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第19号証(枝番を含む。)を提出した。
1 登録の事実
引用商標は,いずれも本件商標が出願されたときには商標権として成立していたものであり,審査段階において,本件商標がこれらとは非類似であると判断し,商標登録を許されたものである。
2 称呼が同一だけでは,商標の類似性が肯定されるものではないこと
請求人は,「電話又は口頭の取引の場においては,商標により生ずる称呼のみをもって認識し,記憶されるものであり,称呼が完全同一の場合には,称呼の類似のみをもって商標は類似するものと判断されるべきである」旨主張するが,平成12年(行ケ)314号審決取消請求事件(乙1)において,外観及び観念についても考慮した上で類否判断を行っている。また,審査基準にも「商標の類否の判断は,商標の有する外観,称呼及び観念のそれぞれの判断要素を総合的に考察しなければならない」とされている。
そうすると,請求人の主張は,商標法の理解を誤るものであり,特許庁及び裁判実務からも乖離するものである。
3 本件商標と引用商標が非類似であること
本件商標と,引用商標とは,「ラフィネ」の称呼を生じる点で称呼上は類似するといい得るものの,以下のとおり,外観及び観念において著しく相違するものであり,これらの称呼,外観,観念に基づく印象,記憶,連想等を総合して,全体的に考慮すれば,本件商標と引用商標は非類似であると判断されるべきである。そのため,被請求人所有の商標権は何らの無効理由も有しない。
(1)外観について
本件商標は「RAFFINE」のアルファベット文字7文字を標準文字で表わされるのに対して,引用商標1は「ら・フィネ」の文字を上段に,「LA・FINE」の文字を下段に配置した2段書で構成されており,引用商標2は「LAFINE」の6文字と,文字の下方部分に配置された図形部分とから構成されており,引用商標3は「LA・FINE」の文字を上段に,「ラ・フィネ」の文字を下段に配置した2段書で構成されている。
この様に,本件商標と引用商標1及び引用商標3は1段書であるか2段書であるかという点及び本件商標の3文字目が「F」であるのに対して引用商標1及び引用商標3のアルファペット表記の3文字目が「・」になっている点が相違しており,本件商標と引用商標2は文字数が異なる点,引用商標2は本件商標に比べて「F」が1文字少ない点及び図形部分の有無という点が相違している。
さらに,一般消費者が最も注目する語頭の文字についても,本件商標が「R」であるのに対して,引用商標は「L」である。
したがって,本件商標と引用商標との外観は明らかに異なる。
(2)観念について
本件商標は仏単語の意味である「洗練された,凝った」という観念が生じるのに対して(乙3:仏和中辞典),引用商標は造語であり,特定の観念を生じるものではない。
したがって,本件商標と引用商標との観念は明らかに異なる。
4 他の登録例の存在
本件商標以外にも,商標「RAFFINE」が,引用商標の指定商品と同一又は類似の商品(役務)を指定し,被請求人以外の者によって登録されており(乙4),本件商標以外にも,指定商品に「化粧品」を含む「ラフィネ」の称呼を生ずる商標が,被請求人によって登録されている(乙5?7)。
また,同一の称呼を生じるが外観及び観念が異なる関係にあり,商標の語頭の文字が「R」と「L」である点で本件商標と引用商標と共通する4例の登録例(乙8;「Light」と「RIGHT/ライト」等)がある。
さらに,同一の称呼を生じるが外観が異なる関係にある5例の登録例(乙9;「HOME」と「HOME/ホーム」等)がある。
上記のとおり,本件商標が引用商標と類似するとの判断は,先行する登録商標との関係において不合理があり,また,各商標登録出願は,公平に取り扱われるべきである。
5 出所の混同と商標の類否
(1)総論
商標法4条1項11号の立法趣旨は,商品又は役務の出所の混同防止にあり,商標の類否の判断手法として,商品等の出所の混同の有無が基準とされる(乙11)。
また,最判昭和36年6月27日第三小法廷判決(乙12)では,商品の出所混同の有無を基準に商標の類否判断を行うことが判示され,最判昭和43年2月27日第三小法廷判決(乙13)では,商品の出所混同の有無を基準とすることに加え,外観,観念,称呼のうち一つでも類似すれば商標は類似だとの考え方を改め,類否判断には取引の実情を考慮すべきとしている。
そして,取引の実情として,商標の使用実績などに基づく商標の著名性があり,商標が著名であることから登録商標(又は出願商標)と引用商標との間で区別がなされ,出所混同の生じるおそれが否定されることで両商標が非類似であると判断された裁判例が多数存在する(乙14?18)。
(2)被請求人の「RAFFINE」ブランドの著名性について
本件商標の査定時において,「RAFFINE」は,被請求人の販売する化粧品ブランドを表示するものとして,需要者の間に広く認識されていた(乙19-1?6)。よって,本件商標は著名な商標であり,その使用実績からみても,引用商標との間で出所混同が生じるおそれはなく,両者は非類似の商標であると判断されるべきである。
6 むすび
以上のとおり,本件商標と引用商標とは非類似であり,本件商標には,無効理由はないから,本件無効審判請求は成り立たず,本件商標は無効とされるべきものではない。

第5 当審の判断
1 本件商標
本件商標は,前記第1のとおり,「RAFFINE」の欧文字よりなるところ,仏和中辞典(乙3)によれば,「raffine,(審決註:語尾の「e」にはアクサン記号が付してある。以下同じ。)」を見出し語とする箇所に「洗練された,凝った/…n.洗練された人,上品な人」などの記載がされている。
また,「コンサイスカタカナ語辞典 第3版」(株式会社三省堂)によれば,「ラフィネ」を見出し語とする箇所に「raffine 上品なさま.洗練されているさま.」の記載があり,これらに照らせば,本件商標は,語尾の「E」にはアクサン記号が付されてないものの,その綴り字からして,これが仏単語「raffine」と理解する場合があること決して少なくないというのが相当である。
そうすると,本件商標は,その構成文字に相応して,「ラフィネ」の称呼及び「洗練された,洗練された人」などの観念を生ずるものである。
2 引用商標
(1)引用商標1は,前記第2のとおり,「ら・フィネ」の文字と「LA・FINE」の文字とを上下二段に書してなるところ,「ら・フィネ」の文字部分は,「LA・FINE」の文字部分の読みを表したものと無理なく理解できるので,「ラフィネ」の称呼が生ずる。
また,「ら・フィネ」又は「LA・FINE」の文字部分は,いずれも,これらに相応する既成の語が見当たらないことより,特定の語義を有しない造語を表したものと認識されるから,引用商標1は,観念を生じない。
(2)引用商標2は,別掲のとおり,「LA FINE」の欧文字と,その下段に両端が尖った細長の黒塗り図形を配した構成からなるところ,その欧文字部分は,これに相応する既成の語が見当たらないことより,特定の語義を有しない造語を表したものと認識されるから,引用商標2は,観念を生じない。
また,引用商標2は,その構成中の欧文字部分より,ローマ字読み又は英語読み風に,「ラフィネ」又は「ラファイン」の称呼を生ずるものである。(3)引用商標3は,前記第2のとおり,「LA・FINE」の文字と「ラ・フィネ」の文字とを上下二段に書してなるところ,「ラ・フィネ」の文字部分は,「LA・FINE」の文字部分の読みを表したものと無理なく理解できるので,「ラフィネ」の称呼が生ずる。
また,「LA・FINE」又は「ラ・フィネ」の文字部分は,これらに相応する既成の語が見当たらないことより,特定の語義を有しない造語を表したものと認識されるから,引用商標3は,観念を生じない。
3 本件商標と引用商標との類否
(1)外観
本件商標は,1行で構成されるものであるのに対し,引用商標1及び引用商標3は,2行で構成されるものであり,また,本件商標は欧文字のみから構成されるが,引用商標1及び引用商標3は,欧文字と同様の大きさで仮名文字及び中黒も配されているから,これらの相違点のみをもっても,本件商標と引用商標1及び引用商標3は,外観上,顕著な差異があるというべきである。
また,引用商標2については,本件商標は文字のみで構成されているが,引用商標2は図形部分を有しており,この図形部分の有無の差が取引者,需要者の印象に与える影響は決して少なくないといえるし,文字部分のみを比較しても,本件商標は「R」から始まるのに対し引用商標2は「L」から始まっており,本件商標はスペースを含まず「RAFFINE」と表されているのに対し,引用商標2にはスペースを含み「LA FINE」と表されているから,これらの差異が取引者,需要者の印象に与える影響は決して少なくないといえ,結局,本件商標と引用商標2も,外観上,十分に区別し得る差異を有するというべきである。
(2)称呼
本件商標と引用商標1及び引用商標3は,「ラフィネ」の称呼において共通する。本件商標と引用商標2は,引用商標2が「ラフィネ」の称呼を生ずる場合には,称呼が共通し,引用商標2が「ラファイン」の称呼を生ずる場合には,構成音数等を異にするから,称呼上明確に聴別できるものである。
(3)観念
本件商標は,「洗練された,洗練された人」などの観念を生ずるのに対し,引用商標は,観念を生じないから,本件商標と引用商標は,観念上,区別し得るものである。
(4)小括
以上のとおり,本件商標と引用商標とは,「ラフィネ」の称呼を共通にすることがあるとしても,両商標は,外観において顕著な差異があって,かつ,観念においても区別が可能なものである。
また,化粧品については,需要者が相応の注意を払い商取引に資するものといえるから,このような取引の実情も踏まえて総合勘案すると,本件商標と引用商標は,化粧品に使用されたとしても,その出所について混同を生ずるおそれがない,非類似の商標というのが相当である。
なお,請求人は,「電話又は口頭の取引の場においては,商標により生ずる称呼のみをもって認識し,記憶されるものであり,称呼が完全同一の場合には,称呼の類似のみをもって商標は類似するものと判断されるべきである。」旨主張するが,本件無効審判の対象となる指定商品である「化粧品」の購入に際し,需要者は,電話等の口頭(称呼)による一般取引の場合においても,当該化粧品に係る使用目的や効果,効用,成分などの品質,あるいはメーカーなどに相応の注意を払い商取引に資するものといえるし,本件商標と引用商標とを比較すると,両者のかかる構成自体にあって,それぞれが視覚上の印象及び記憶に困難さがあるものでもなく,また,これに接する取引者,需要者は,それぞれの登録商標の構成を容易に記憶に残し,商取引に資することができるものであって,その外観的印象を離れて両商標を「ラフィネ」の称呼にのみ置き換え記憶し,かつ,これを商品出所の識別標識として強く認識されているような格別の取引事情は見出せない。
してみれば,本件商標と引用商標とは,取引の実情を踏まえて外観,称呼及び観念を総合して考察した場合,その称呼が共通することのみをもって類似の商標ということはできない。
4 結び
以上のとおり,本件商標は,商標法4条1項11号に違反して登録されたものでないから,同法46条1項の規定により,その登録を無効とすべきでない。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲
引用商標2


審理終結日 2013-04-19 
結審通知日 2013-04-23 
審決日 2013-05-09 
出願番号 商願2010-85290(T2010-85290) 
審決分類 T 1 12・ 261- Y (X03)
T 1 12・ 262- Y (X03)
T 1 12・ 263- Y (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 守屋 友宏
小川 きみえ
登録日 2011-04-22 
登録番号 商標登録第5408589号(T5408589) 
商標の称呼 ラフィネ、ラフィン、ラフィーネ、ラフィーヌ、ラファイン 
代理人 山田 洋資 
代理人 森田 靖之 
代理人 有吉 修一朗 
代理人 山田 文雄 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ