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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20132888 | 審決 | 商標 |
不服201223695 | 審決 | 商標 |
不服20132887 | 審決 | 商標 |
不服201311414 | 審決 | 商標 |
不服20132890 | 審決 | 商標 |
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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない W05 |
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管理番号 | 1283304 |
審判番号 | 不服2013-11413 |
総通号数 | 170 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2014-02-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2013-06-18 |
確定日 | 2013-12-26 |
事件の表示 | 商願2012-65909拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、別掲(1)のとおりの構成からなり、第5類「薬剤」を指定商品として、平成24年8月14日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は、様々な錠剤用の包装シートが指定商品『薬剤』の分野において使用されていることからすれば、10錠詰めの錠剤の包装シートを表示したものと認識させるにとどまり、これをその指定商品に使用しても、単に商品の包装形状を表示するにすぎず、自他商品の識別標識として機能し得ないものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標について 本願商標は、別掲(1)のとおり、最上部に彩色した枠を有する縦長の角丸長方形であり、当該彩色枠の下方を5つに区切り、各枠内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配し、2つの円の下辺に接して山なりの弧線を描いた構成からなるものである。 (2)本願の指定商品「薬剤」について 別掲(2)及び(3)の情報によると、本願の指定商品「薬剤」の分野において以下の実情が認められる。 ア 薬剤は、剤形として錠剤、散剤・顆粒剤、カプセル剤などがあり、錠剤やカプセルを押し出す包装(PTP包装 Press-Through-Package)、散剤や顆粒剤の分包に使用する包装(SP包装 Strip Package)やバラ包装(容器収納)などの包装形態で包装され、製造・販売されている。 イ 近年においては、錠剤を収納する場合は、PTP包装(PTPシートとも称される。)を用いることが、薬の包装の主流となってきており、PTP包装のシートは縦長の角丸長方形の形状となっている。錠剤の収納部は、シートに規則的に並べられ、1シートの収納数は、10錠のほか14錠などのものもある。 ウ PTP包装を含む薬の包装について、製薬会社は、ウェブサイトなどの「製品情報」や「包装変更等のお知らせ」などにより、PTP包装の表裏面を真上から撮った写真画像や図などを用いて周知するほか、薬局などのウェブサイトでも同様の画像を表示している実情がある。 エ 別掲(3)のとおり、シートの表裏面には、販売名や容量などが表示されているところ、最上部の枠内への彩色のほか、錠剤収納部周辺に太線や台形状・円形・矩形枠などを設ける等、販売名や容量等表示の視認性を高めるため、彩色や簡単な図形が描かれている場合がある。 (3)商標法第3条第1項第3号に該当することについて 本願商標は、上記(1)のとおり、最上部に彩色した枠を有する縦長の角丸長方形であり、当該彩色枠の下方を5つに区切り、各枠内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配し、2つの円の下辺に接して山なりの弧線を描いた構成からなるものである。 他方、上記(2)で示した本願の指定商品「薬剤」の分野の実情からすると、PTP包装が錠剤の包装の主流となっており、別掲(2)のオないしスに示す例のように、10錠の錠剤がPTP包装に収納されていることを表示するために、2つの円(錠剤収納部)を5列に規則的に配して10錠を収納したPTP包装(以下「PTP包装(10錠)」という。)の表面を真上から見た画像や図が普通に用いられていることが認められる。 そして、本願商標とPTP包装(10錠)の表面を真上から見た画像や図は、いずれも縦長の角丸長方形内に横に並べた2つの円を5列に規則的に配してなる点において共通する。 そうすると、本願商標をその指定商品「薬剤」に使用する場合、これに接する取引者・需要者は、その薬剤が、PTP包装(10錠)されたものであると直ちに理解するというのが相当である。 なお、本願商標中には、彩色された最上部や横に並べた2つの円の下辺に接して山なりの弧線が描かれているが、格別特徴があるとはいえないものであり、これらをもって自他商品の識別機能を有するとはいい難い。さらに、別掲(3)のとおり、PTP包装(10錠)においては、最上部枠内への彩色のほか、錠剤を収納する円の周辺に太線や台形状・円形・矩形枠などを設ける等、販売名や容量等表示の視認性を高めるため、彩色や簡単な図形を描く場合が認められることからすると、本願商標における最上部の彩色及び2つの円の下辺に接する山なりの弧線は、それぞれ看者の目を惹く特徴のあるものとはいい難いものであり、全体として、本願商標に自他商品の識別標識を果たす部分は見いだせない。 そうすると、本願商標は、商品の品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標と判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。 (4)請求人の主張について 請求人は、本願商標は、人の顔を簡略化して模したデザインにも見えるものであって、自他商品の識別機能があり、錠剤の包装シートであることを直接的に想起させるには、錠剤の収納部分が立体的である状態が容易に認識し得ることが必要であるとし、本願商標は、錠剤の包装シートを連想させることはないか、または、漠然と暗示する程度のものにとどまるものであり、本願商標中の丸みを帯びた細い線の図形等が、取引上普通に使用されている例はないと主張するとともに、過去の登録例を引用している。 しかしながら、上記(2)及び(3)のとおり、本願商標は、PTP包装(10錠)された薬剤であると理解されるにとどまるというのが相当であり、過去の登録例は、描かれている図案が特徴的といえる点や商標の態様が異なるなど、本願商標とは事案を異にするものであるから、これらの登録例があるからといって、本願商標を登録すべきではない。 したがって、請求人の主張を採用することはできない。 (5)まとめ 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(1)本願商標 別掲(2) (薬の剤形、包装形態について) ア 日本OTC医薬品協会のウェブサイトにおいて 「薬の基礎知識 剤形ごとの特徴と使い方」の項に、「内服液」の欄に「錠剤、散剤・顆粒剤、カプセル剤、液剤・シロップ剤」及び「外用剤」の欄に「軟膏・クリーム剤、液剤・ローション剤、点鼻剤、点眼剤、坐剤、貼付剤」の記載がある。 http://www.jsmi.jp/book/base_03.html イ 東京くらしWEBのウェブサイトにおいて 「子供に対する医薬品容器の安全対策について」のタイトルのもと、「第1回 東京都商品等安全対策協議会の開催について 平成22年10月27日開催 【議事録・配布資料】中の「参考5 国内の医薬品の包装形態と安全容器に係る現状」に「(1)医薬品の包装形態」として、「医薬品の包装の種類(例)」の表に「PTP包装 Press-Through-Package 錠剤やカプセルなどを押し出す包装」、「SP包装 Strip Package 散剤や顆粒剤の分包に使用する包装」、「チューブ包装 外用薬等に使用する包装」及び「瓶包装 錠剤や内用液剤等に使用する包装」の記載がある。 http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/anzen/kyougikai/h22/ ウ 厚生労働省のウェブサイトにおいて 「PTP包装シート誤飲防止対策について(医療機関及び薬局への注意喚起及び周知徹底依頼」の別添・参考資料に、「注意!高齢者に目立つ薬の包装シートの誤飲事故」(独立行政法人国民生活センター 平成22年9月15日)のタイトルのもと、「…薬の包装は、プラスチックにアルミなどを貼り付けたPTP包装シート…と呼ばれるものが主流である。」の記載があり、PTP包装(10錠)のイメージ写真が表示されている。 http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000000rwgy-img/2r9852000000rwif.pdf エ 京都市情報館のウェブサイトにおいて 「薬のPTP包装」のタイトルのもと、「PTPとは、…薬をアルミなどの薄い金属とプラスチックで1錠ずつ分けて包装したものです。PTP包装とかPTPシートとか呼ばれることもあります。下の画像がPTPの薬の例です。錠剤やカプセルの包装としては一番よく使われています。」の記載があり、PTP包装(10錠)の画像が表示されている。 http://www.city.kyoto.lg.jp/hokenfukushi/page/0000003228.html (PTP包装の例) オ 日医工株式会社のウェブサイトにおいて 「製品シート」のタイトルのもと、製品名「アトルバスタチン錠5mg『日医工』(日本薬局方アトルバスタチンカルシウム錠)」の「製剤写真」の「PTP包装」欄にPTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.nichiiko.co.jp/medicine/seihin_sheet.php?id=06940 カ 光製薬株式会社のウェブサイトにおいて、 製品情報(医療関係者の皆様へ)のもと、「パロキセチン錠20mg『NP』(500錠PTP)」の記載があり、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.hikari-pharm.co.jp/product/products000302.html キ 空詞堂のウェブサイトにおいて、 医薬品>胃・腸・肛門の薬の欄に、「メサラジン錠250mg『日医工』100錠(10錠×10;PTP)」が記載され、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.sorashido.com/products/list.php?category_id=10 ク 興和創薬株式会社のウェブサイトにおいて (ア)「PTPシートデザインおよび個装箱仕様変更のご案内」のタイトルのもと、「消化性潰瘍・胃炎・慢性肝疾患治療剤 キャベジンUコーワ錠25mg」の記載があり、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた図が表示されている。 http://www.kowa-souyaku.co.jp/medical/product/inform/packing/cut_1308.pdf (イ)「PTPシートデザインおよび個装箱仕様変更のご案内」のタイトルのもと、「代謝賦活剤 アデホスコーワ腸溶錠20」「アデホスコーワ腸溶錠60」の記載があり、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた図が表示されている。 http://www.kowa-souyaku.co.jp/medical/product/inform/packing/adt_1309.pdf ケ 大塚製薬株式会社のウェブサイトにおいて 抗血小板剤「プレタールOD錠50mg プレタールOD錠100mg」の組成変更並びに包装変更(PTPシート、個装箱、乾燥剤廃止)及び添付文書改訂のご案内」中に、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.otsuka-elibrary.jp/di/prod/product/news/MA0702.pdf コ バイエル薬品株式会社のウェブサイトにおいて 「バイアスピリン錠 製品情報」に、PTP包装(10錠)の表面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.bayaspirin.jp/ja/home/byaspirin-product-information/ サ アボットジャパンのウェブサイトにおいて 「医療用医薬品 包装変更等のお知らせ」のもと、2013年7月「クラリシッド錠200mg クラリシッド・ドライシロップ10%小児用 クラリシッド錠50mg小児用 包装変更のお知らせ」中に、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.abbott.co.jp/medical/product/ppg/housou/pdf/0710_klaricid.pdf シ ビオフェルミン製薬のウェブサイトにおいて 「ビオフェルミンR錠」の錠剤サイズ、組成、包装形態および組箱の表示デザインと寸法変更のご案内」のタイトルのもと、「包装形態をSP包装からPTP包装へ変更致します。」「【変更理由】PTP 包装にすることにより、服用をより簡便にし、使用期限および製造番号を刻印することにより、市場流通品の把握、品質管理をより行いやすくするための変更です。」の記載があり、変更品としてPTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.gifu-upharm.jp/information/wchange/wc1668261303.pdf ス エーザイ株式会社のウェブサイトにおいて 「デザイン変更のご案内 ワーファリン錠のPTPシート、バラ包装 容器ラベル、個装箱を変更いたします。」のタイトルのもと、「PTPシートのデザイン変更」の欄に、「新しいPTPシート」として、PTP包装(10錠)の表裏面を真上からみた画像が表示されている。 http://www.eisai.jp/medical/news/products/pdf/KK1185AKI.pdf 別掲(3) (別掲(2)のオ、カ、キ、ク(ア)及びコに関する薬のPTP包装画像) |
審理終結日 | 2013-10-22 |
結審通知日 | 2013-10-23 |
審決日 | 2013-11-07 |
出願番号 | 商願2012-65909(T2012-65909) |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(W05)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 中束 としえ |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
梶原 良子 守屋 友宏 |
代理人 | 佐々木 實 |
代理人 | 藤木 博 |