• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900060 審決 商標
異議2013900106 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
審判 全部申立て  登録を維持 W41
管理番号 1282415 
異議申立番号 異議2013-900179 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2014-01-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-06-10 
確定日 2013-11-26 
異議申立件数
事件の表示 登録第5563016号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5563016号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5563016号商標(以下「本件商標」という。)は、「HYPER JAPAN」の欧文字並びに「超ニッポン!」の漢字、片仮名及び記号を上下二段に表してなり、平成24年8月22日に登録出願、第41類「図書及び記録の供覧,美術品の展示,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,娯楽施設の提供,演芸に関する展示会・会議・講演会・討論会・セミナー・コンテストの企画・運営又は開催」を指定役務として、同25年1月11日に登録査定、同年3月8日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由の要旨
1 具体的理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同第15号、同第19号に違反して登録されたとして、甲第1号証ないし甲第26号証(枝番号を含む。以下、甲各号証について枝番号のすべてを記載するときは、枝番号を省略する。)を提出した。
(1)引用商標について
申立人が本件登録異議の申立ての理由の根拠として引用する商標は、以下のとおりである。
ア 引用商標1ないし4について
引用商標1は、「hyper japan」の欧文字を表してなり、引用商標2は、「HYPER JAPAN」の欧文字を表してなり、引用商標3は、「Hyper Japan」の欧文字を表してなり、引用商標4は、別掲1のとおり、図案化された「hyper」と「japan」の欧文字を二段書きしてなる態様のものであり、いずれも、申立人が、2010年10月から英国において「セミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供」等について実際に使用している。
そして、英国において、第35類「広告,インターネットを介した広告,展示会の企画又は開催,イベントマネージメント,世論調査,市場調査,ビジネスとマーケティングに関する情報の提供,アクセサリー・アニメDVD・美術品・家電品・被服・台所用品・マンガ・文房具類・おもちゃ・調理用具・書籍・切手・マグネット・コースター・シール・かばん類・Tシャツ及び,アニメ又はマンガ又はテレビシリーズその他のメディアの登場人物(キャラクター)を使用したおもちゃ・文房具類・ポスター・ぬいぐるみ・シール・模型・フィギュアの小売の業務に行われる便益の提供」及び第41類「日本の食と文化に関連した文化的又は娯楽的な興行の企画・運営又は開催,雑誌・ちらし・ポスター・イベント用カタログ・カレンダーの発行,シール・かばん類・Tシャツ・マグネット・コースターの制作」を指定役務として登録を受けている(甲第2号証ないし甲第11号証)。
イ 引用商標5について
引用商標5は、別掲2のとおり、「HYPER」と「JAPAN」の欧文字を二段書きしてなり、「セミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供」等について使用するものである(甲第2号証ないし甲第11号証)。
ウ 引用商標6について
引用商標6は、別掲3のとおり、「白抜きの片仮名『ハ』を円で囲った図形」と欧文字「HYPER JAPAN」と、この欧文字より少し小さい片仮名「ハイパージャパン」とを三段に配してなり、「セミナーの企画・運営又は開催,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。),娯楽施設の提供」等について使用する商標である(甲第2号証ないし甲第11号証、甲第22号証ないし甲第25号証)。
以下、引用商標1ないし6をまとめていうときは、「引用商標」という。
エ 本件商標と引用商標との対比
本件商標と引用商標は、欧文字で表記された「HYPER JAPAN」又は「hyper japan」により構成されており、共に「ハイパージャパン」の称呼を生じる、同一の商標である。
なお、本件商標には、漢字及び片仮名で表記された「超ニッポン!」が配されているが、これは「HYPER JAPAN」部分の日本語訳に過ぎないので、本件商標の要部が「HYPER JAPAN」部分にあることは明らかである。
加えて、本件商標の指定役務と引用商標の使用役務は、ほぼ同一である。
そして、引用商標は、一般に親しまれて使用されている成語ではなく,独創性のある造語といえるものである。
オ 引用商標の日本国内及び外国における周知・著名性について
申立人は、1987年(昭和62年)英国ロンドン市に設立された法人であり、日本企業・団体が海外進出する際の現地サポート、イベントや展示会の企画・運営等、様々な分野で現地に根ざしたビジネスを行っている企業である(甲第3号証)。
近年、日本文化に世界中から注目が集まってきていることから、英国及びヨーロッパ各国の現地の人々をターゲットに、日本食、武道や書道などの伝統文化から、ファッション、テクノロジーやテレビゲーム、アニメ、漫画などのポップカルチャーに至るまで、日本の全てをテーマとして、現代日本を丸ごと肌で体感できるイベントが企画され、本件商標の出願日である2012年8月22日より約2年前の、2010年10月1日から10月3日までの3日間、英国ロンドン市中心部の「オールド・トゥルーマン・ブリューワリー(The Old Truman Brewery)」にて、第1回目となる「hyper japan 2010」を開催する運びとなった(甲第4号証)。
このイベント「hyper japan 2010」の主催者は申立人であるが、後援者は、英国日本大使館、ジェトロ(独立行政法人日本貿易振興機構)、国際交流基金(The Japan Foundation)、日本政府観光局(Japan National Tourism Organization)であり、国を挙げてこの英国初のイベントを成功させようとするものであった。さらにスポンサーには、日本を始め世界的な大企業が名を連ねた。
このイベントでの展示内容は、アニメ、マンガ、キャラクターグッズ、ゲーム、音楽、映画、ファッション、ウィッグ、テクノロジー、コスプレ、観光、アクセサリー、着物、日本食、日本食材、調味料、和菓子、スナック菓子、酒、ビール、茶、等であり、会場のステージでは、アニメ、映画の上映、声優ライブパフォーマンス、ファッションショー、コスプレアワード、ダンス、クッキングデモなど20の催し物が開催された。
ポップカルチャーに特化することなく、日本のあらゆる魅力を紹介するコンセプトが奏功し、来場者数1万3000人となり、大成功を収めることができた(甲第5号証)。
その後、本件商標出願日前の2011年7月22日から7月24日までの3日間、会場面積・出展数の規模を前回より拡大し、ロンドン市の見本市会場である「オリンピア 2(Olympia Two)」にて、第2回目となる「HYPER JAPAN 2011」が開催され、インディペンデント誌や、テレグラフ誌など、英国主要各誌のオンライン記事に注目のイベントとして掲載された(甲第6号証)。
また、イベントの様子がインターネット経由で生中継されたこともあり、英国国内のみならず、ヨーロッパ各国、日本においても「HYPER JAPAN」イベントが認知されることとなった。
さらに、開催時期が、東日本大震災の直後であったことから、「GENKI GIVING 日本を元気に!」を合言葉に、スポンサー及びチケット収入の一部を寄付するなど、チャリティイベントとしての側面も持ち、来場者数も2万5000人と倍増した(甲第7号証)。
このように回を重ねるごとに来場者が増加し、イベントの内容も多岐にわたってきたことから、今度はロンドン市の著名な見本市会場である「アールズ・コート展示場(Earls Court)」に場所を移し、本件商標出願日前の2012年2月24日から2月26日までの3日間、第3回目となる「HYPER JAPAN 2012 SPRING」が開催された(甲第8号証)。
来場者は前回よりも1万人増加し、延べ3万5000人となった。幅広い年齢層の方々が訪れてくれたこともあり、あらゆるメディアに取り上げられ、益々日本文化への注目度が高まってきている(甲第9号証)。
そこで、これまでは年1回の開催であったが、2012年は、通算第4回目となる「HYPER JAPAN 2012 Christmas」が、11月23日から11月25日の3日間、前回同様「アールズ・コート展示場(Earls Court)」にて開催される運びとなった(甲第10号証)。来場者数も前回から1万人増加し4万6000人を数えた(甲第11号証)。
このように「HYPER JAPAN」イベントは、イギリス最大の日本文化総合見本市としてその規模を拡大し、急成長を続けており、このイベントヘの期待が益々高まっている(甲第12号証ないし甲第14号証)。
また、第5回目となる「HYPER JAPAN 2013」を、2013年7月26日から7月28日までの3日間、同じく「アールズ・コート展示場(Earls Court)」で開催する予定であり、来場者数6万5000人を見込んでいる(甲第15号証)。
つまり、「HYPER JAPAN」イベントにおいては、実際に引用商標を使用しており、引用商標の役務に使用するものである。これは、本件商標の指定役務と同一又は類似する役務、あるいは関連性の高い役務といえる。
そして、「HYPER JAPAN」イベントが、本件商標出願日前に既に、需要者の間に広く認識されていたことは明らかである。
ところで、このイベントを開催するにあたり、広告宣伝についても盛んに行ってきた。
具体的には、雑誌、フリーペーパー等の紙媒体への広告はもちろんのこと、ロンドン地下鉄駅構内での広告も行っている(甲第16号証)。
特に、ロンドン地下鉄駅構内への広告については、本件商標出願日前である2012年春のイベントの際に、2012年2月6日から2月19日までの2週間、リバプールストリート駅をはじめとするロンドン中心部の駅構内72箇所に掲示した実績がある(甲第17号証)。
そして、2012年クリスマスのイベントの際は、11月12日から11月25日までの2週間、キングスクロス・セントパンクラス駅を始めとするロンドン中心部の駅構内100箇所に掲示を行っている(甲第18号証)。
これにより、イベント「HYPER JAPAN」が、周知・著名なイベントとして認知され、来場者数の更なる増加につながったことは明白である。
また、イベント「HYPER JAPAN」は、本件商標出願日前に、数多くの新聞・雑誌等のメディアに取り上げられており、益々、知名度・注目度が上がってきている(甲第19号証)。
あわせて、英国国内のみならず、日本のメディアにも多数取り上げられている事実がある(甲第20号証)。
さらに、会期中のイベントの様子がインターネットで生中継されていたこともあり、ブログ、ツイッター、フェイスブックなど、ソーシャルメディアが普及した現代では、「HYPER JAPAN」イベントの内容、感想など、「日本語」で盛んに発信されている。
そこで、インターネットで「日本語の『ハイパージャパン』」を検索したところ、現時点ではあるが、検索サイト「Google」では約341万件、「Yahoo!」では約433万件検出された(甲第21号証)。
したがって、本件商標出願日前に既に、「HYPER JAPAN」が、英国国内のみならず、日本において需要者の間に広く知られていることが認識できるものである。
以上のことから、引用商標が、英国及び日本において、本件商標の出願日前に既に、需要者の間に広く認識されており、周知・著名性を獲得して現在に至っている商標であることは明らかである。
カ 商標法第4条第1項第10号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標出願日前に既に、日本国内及び外国において、需要者の間に広く認識されており、周知性・著名性を獲得した商標である。
したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の商標であって、引用商標の使用に係る役務又はこれに類似する役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものである。
キ 商標法第4条第1項第15号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標出願日前に既に、日本国内及び外国において、需要者の間に広く認識されており、周知性・著名性を獲得した商標である。
また、「HYPER JAPAN」は、独創性のある造語である。
したがって、商標権者が、本件商標をその指定役務について使用する時は、これに接する需要者は、引用商標を連想・想起し、当該役務が申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であると誤認し、その役務の出所について混同を生じさせるものであるから、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
ク 商標法第4条第1項第19号について
上述のとおり、引用商標は、本件商標出願日前に既に、日本国内及び外国において、需要者の間に広く認識されており、周知性・著名性を獲得した商標である。
また、「HYPER JAPAN」は、独創性のある造語である。
さらに、申立人は、既に実際に使用している「片仮名表記された『ハイパージャパン』」や、「白抜きの片仮名『ハ』文字を円で囲った図形」についても、「HYPER JAPAN」イベントの更なる発展のために、英国で商標登録出願を行っている(甲第22号証ないし甲第24号証)。
そして、現在英国で開催している「HYPER JAPAN」イベントを、近い将来日本国内で開催する計画を有しており、平成25年5月7日、日本国特許庁に商標登録出願を行った(甲第25号証)。
具体的には、平成25年7月より「HYPER JAPAN」日本イベントの3年計画を決定し、日本プロジェクトチームを発足、平成26年に開催予定の「東京国際アニメフェス2014」並びに「原宿Kawaii Matsuri 2014」に出展しリサーチを行い、平成27年4月に「HYPER JAPAN 2015」日本開催を予定している(甲第26号証)。
したがって、本件商標は、申立人の役務を表示するものとして日本国内及び外国において需要者の間に広く認識されている引用商標と同一又は類似の商標であって、本件商標の使用により引用商標の出所表示機能を稀釈化し、その名声を毀損させる目的がある、すなわち不正の目的をもって使用されるものであるから、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。
2 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定により取消されるべきものである。

第3 当審の判断
1 本件商標と引用商標との類似性について
(1)本件商標について
本件商標は、「HYPER JAPAN」の欧文字並びに「超ニッポン!」の漢字、片仮名及び記号を上下二段に表してなるところ、かかる構成にあっては、「HYPER JAPAN」の部分と「超ニッポン!」の部分とは、上下二段に表されていることから視覚上分離して把握され、また、これらを常に不可分一体のものとしてのみ把握、認識しなければならない格別の事情も見出せないものであるから、それぞれ独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものというのが相当である。
してみれば、上記構成においては、これに接する取引者、需要者は、「HYPER JAPAN」、「超ニッポン!」の部分のそれぞれから生じる称呼及び観念をもって取引に資する場合があるとういうのが相当であるから、本件商標は、その構成全体から「ハイパージャパンチョウニッポン」の称呼が生じるほか、「HYPER JAPAN」の部分から「ハイパージャパン」の称呼、「超ニッポン!」の部分から「チョウニッポン」の称呼が生じるものである。
そして、「HYPER JAPAN」及び「超ニッポン!」の各部分は、特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されるものであるから、該部分からは、特定の観念を生じないものである。
(2)引用商標について
引用商標は、それぞれ上記第2 1(1)アないしウのとおりの構成であり、「ハイパージャパン」の称呼を生じ、特定の意味合いを有しない一種の造語と認識されるものであるから、特定の観念を生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標は、外観においては、それぞれ上記のとおりであるから、両商標は、構成全体の外観において区別できるものである。
また、本件商標の構成中「HYPER JAPAN」の欧文字部分と引用商標の構成中の欧文字部分とは、文字列を共通にするものである。
次に、称呼においては、本件商標の「HYPER JAPAN」の文字部分から生じる「ハイパージャパン」の称呼と引用商標から生じる「ハイパージャパン」の称呼とは、その称呼を共通にするものである。
また、観念においては、本件商標と引用商標とは、比較することができないものである。
してみれば、本件商標と引用商標とは、構成全体の外観において区別し得るものであり、観念において比較することができないとしても、本件商標の構成中「HYPER JAPAN」の欧文字部分と引用商標の構成中の欧文字部分とは、文字列を共通にすることに加え、本件商標と引用商標とは、「ハイパージャパン」の称呼を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念を総合的に判断すると、両商標は、類似する商標というのが相当である。
2 引用商標の周知性について
(1)引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標というためには、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務に引用商標を使用した期間、使用地域、売上高、広告宣伝の方法・回数・内容、新聞・雑誌等における記事掲載の回数・内容(以下「使用期間等」という。)を証明するための客観的証拠が必要である。
ア 日本国内の引用商標の周知性について
申立人は、「英国国内のみならず、日本のメディアにも多数取り上げられている事実がある(甲第20号証)。」旨主張するものの、甲第20号証の(6)ないし(10)は、 本件商標の登録出願後の証拠であり、また、甲第20号証の(3)ないし(5)は、本件商標の登録出願日直前の証拠であって、本件商標の登録出願時までは期間が極めて短いものであるから、これらの証拠をもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内における需要者の間に広く認識されている商標ということはできない。
また、申立人は、「『HYPER JAPAN』イベントを、近い将来日本国内で開催する計画を有している。」旨主張するものの、申立人が引用商標を日本国内において申立人の業務に係る役務について使用していることを証明する証拠の提出はない。
以上のとおり、申立人商標が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、日本国内における需要者の間に広く認識されている商標になったという事実は認められない。
イ 外国における引用商標の周知性について
申立人は、英国における引用商標の周知・著名性を主張するものの、甲第10号証、甲第11号証、甲第12号証の(4)、甲第13号証の(4)(3葉目ないし8葉目)、甲第14号証(3葉目ないし5葉目)、甲第15号証、甲第16号証の(4)ないし(7)、甲第18号証、甲第19号証の(5)ないし(12)、甲第20号証の(6)ないし(10)、甲第21号証ないし甲第26号証は、 本件商標の登録出願後の証拠である。
本件商標の登録出願時より前に発行された証拠のうち、「HYPER JAPAN 2010」又は「HYPER JAPAN 2011」等の標章が記載されている証拠は、甲第4号証ないし甲第9号証、甲第12号証の(1)ないし(3)、甲第13号証の(1)ないし(4)(1葉目及び2葉目)、甲第14号証(1葉目及び2葉目)、甲第16号証の(1)ないし(3)、甲第17号証、甲第19号証の(1)ないし(4)、甲第20号証の(1)ないし(5)であるところ、申立人は、本件商標の登録出願時より前に、英国において、2010年10月1日から3日まで3日間「HYPER JAPAN LONDON 2010」を開催し(甲第4号証及び甲第5号証)、2011年7月22日から24日まで3日間「HYPER JAPAN 2011」を開催し(甲第6号証及び甲第7号証)、2012年2月24日から26日まで3日間「HYPER JAPAN 2012 Sprig」を開催している(甲第8号証及び甲第9号証)ものの、これらの開催は、合計9日間にすぎないものであり、また、これらに関する広告宣伝の内容(例えば、案内チラシを、いつ、どこで、どの位の数量、配布したのか)、新聞・雑誌等における記事掲載の回数が明らかではない。
また、申立人の提出に係る証拠を総合してみても、申立人の主張を認めるに足りる証拠を見いだせない。
以上とおり、申立人が、英国で申立人の業務に係る役務に引用商標の使用を2010年10月に開始してから、本件商標の登録出願日までは短い期間であって、申立人商標が、この期間内に英国及びその他の外国における需要者の間に広く認識されている商標になったという事実は認められない。
(2)小括
以上によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということができない。
3 不正の目的について
提出された証拠によれば、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
4 商標法第4条第1項第10号について
本件商標と引用商標とは、「ハイパージャパン」の称呼を共通にする称呼において類似する商標であるとしても、引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということができないものである。
したがって、本件商標は、その指定役務と引用商標の使用役務の類否について論及するまでもなく、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものとはいえない。
5 商標法第4条第1項第15号について
本件商標と引用商標とは、「ハイパージャパン」の称呼を共通にする称呼において類似する商標であるとしても、引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということができないものである。
してみれば、本件商標をその指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者は、該役務が申立人又は同人と組織的若しくは経済的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように連想、想起することはなく、その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
6 商標法第4条第1項第19号について
本件商標と引用商標とは、「ハイパージャパン」の称呼を共通にする称呼において類似する商標であるとしても、引用商標は、上記2のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る役務を表示するものとして日本国内又は外国における需要者の間に広く認識されている商標ということができないものである。
さらに、上記3のとおり、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、商標権者が不正の目的を持って本件商標を使用するものであると認めるに足りる証拠は見いだせない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものとはいえない。
7 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第10号、同第15号及び同第19号に違反してされたものとはいえないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標4



別掲2 引用商標5(色彩については甲第9号証の原本参照)



別掲3 引用商標6



異議決定日 2013-11-07 
出願番号 商願2012-71252(T2012-71252) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W41)
T 1 651・ 222- Y (W41)
T 1 651・ 25- Y (W41)
最終処分 維持  
前審関与審査官 橋本 浩子 
特許庁審判長 渡邉 健司
特許庁審判官 大森 健司
前山 るり子
登録日 2013-03-08 
登録番号 商標登録第5563016号(T5563016) 
権利者 トランスメディア株式会社
商標の称呼 ハイパージャパンチョーニッポン、ハイパージャパン、ハイパー、チョーニッポン、チョー 
代理人 西尾 美良 
代理人 丹羽 宏之 
代理人 中村 英子 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ