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審決分類 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X03
審判 査定不服 外観類似 登録しない X03
審判 査定不服 観念類似 登録しない X03
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X03
管理番号 1282365 
審判番号 不服2012-650088 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-10-05 
確定日 2013-09-24 
事件の表示 国際登録第1085505号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SMILE LIP BALM」の文字を横書きしてなり、第3類に属する日本国を指定する国際登録において指定された商品を指定商品として、2011年1月11日にフランス国においてした商標登録出願に基づくパリ条約第4条による優先権を主張し、2011年(平成23年)6月16日に国際商標登録出願された。
その後、指定商品は、原審における平成24年5月2日提出の手続補正書により、第3類「Cosmetics for the lips;Dentifrices.」に補正された。
2 引用商標
原査定は、以下の(1)及び(2)のとおり認定、判断し、本願を拒絶した。
(1)本願商標の構成中の「LIP BALM」は「唇用バルサム」及び「リップクリーム」を表す語として普通に使用されているから、本願商標をその指定商品中「Lip balm」以外の商品に使用するときは、商品の品質について誤認を生ずるものと認められる。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
(2)本願商標は、次のア及びイと類似するから、商標法第4条第1項第11号に該当する。
ア 登録第4828136号商標(以下「引用商標1」という。)は、「スマイル」の文字を標準文字で表してなり、平成16年5月6日に登録出願され、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜き剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,かつら装着用接着剤,つけまつ毛用接着剤,洗濯用でん粉のり,洗濯用ふのり,せっけん類,洗口液,その他の歯磨き,化粧品,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同年12月24日に設定登録された。
イ 登録第5416285号商標(以下「引用商標2」という。)は、「SMILE」の文字を標準文字で表してなり、平成22年7月9日に登録出願され、第3類「家庭用帯電防止剤,家庭用脱脂剤,さび除去剤,染み抜き剤,洗濯用柔軟剤,洗濯用漂白剤,洗濯用のり剤,せっけん類,化粧品,歯磨き,香料類,つけづめ,つけまつ毛」を指定商品として、同23年6月3日に設定登録された。
なお、上記ア及びイを、まとめて「引用商標」ということがある。
3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第16号について
本願商標は、前記1のとおり、「SMILE LIP BALM」の文字を横書きしてなるところ、その構成中「SMILE」の文字部分は、「微笑、ほほえみ」を意味する広く一般に親しまれた語であり、加えて、本願の指定商品との関係においては、特段、商品の品質等を表すものとは認められない一方、「LIP BALM」の文字部分は、後掲ア及びイ(ア)によれば、「リップクリーム」を意味する語であり、また、本願の指定商品中「Cosmetics for the lips」は、後掲イ(イ)によれば、「唇に用いる化粧品の総称」であるから、「LIP BALM」の文字部分は、本願の指定商品中「Cosmetics for the lips」に含まれる「Lip balm(リップクリーム)」を表すものと認められる。
そうすると、本願商標に接する需要者は、これが「SMILE」と「LIP BALM」のふたつの語を結合させてなるものであると容易に理解、認識するというべきであり、また、「LIP BALM」の文字部分から、「Lip balm」すなわち「リップクリーム」を看取することも決して少なくないと判断するのが相当である。
また、「リップクリーム」は、後掲ウのとおり、唇に塗るものであって、その形は、スティックタイプ、チューブタイプ、ジャータイプなど様々であり、形状も、固形タイプ、ジェルタイプ、クリームタイプと様々である。
そして、「Cosmetics for the lips」の代表例である「口紅」は、後掲イ(ウ)によれば、唇用のメークアップ化粧品であって、主流である棒状で固形のリップスティックのほか様々な形・形状のものがある。
さらに、本願の指定商品中「Dentifrices」は、後掲エ及びオによれば、「歯磨き」を意味する口腔用化粧品の一種であって、ペースト状のほか様々な形・形状のものがある。
そうすると、「リップクリーム」を意味する「Lip balm」と、本願の指定商品に含まれる、唇用化粧品の一種である「口紅」等及び口腔用化粧品の一種である「歯磨き」とは、商品の用途、形状(包装の形状を含む。)等が近似しており、また、需要者等を同じくするものといえる。
してみれば、本願商標は、その構成中に「LIP BALM」の文字を含むものであり、また、本願の指定商品「Cosmetics for the lips;Dentifrices.」は、「Lip balm」並びにこれと密接な関連を有する「口紅」等や「歯磨き」を含むものであるから、その指定商品中「Lip balm」以外の商品に接する需要者は、その商品が「Lip balm」すなわち「リップクリーム」を表示したものと認識するというべきであり、その商品があたかも「Lip balm(リップクリーム)」であるかのごとく、その商品の品質につき誤認を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第16号に該当する。
〔後掲〕
ア 株式会社ピアソン・エデュケーション発行「ロングマン英和辞典」
「lip balm」の項に、「リップクリーム」との記載がある。
イ 丸善株式会社発行「化粧品事典」
(ア)「リップクリーム」の項に、その英語表記として「lip balm」、並びに、「唇を乾燥から守る目的で用いられるもの。(中略)基本構成は口紅から色材を除いたもので、スティック状のものが一般的であるがクリーム状のものもある。」との記載がある。
(イ)「リップ化粧品」の項に、その英語表記として「cosmetics for lip」、並びに、「唇に用いる化粧品の総称。口紅、口紅のつや出し(リップグロス)、荒れ止め、色移り防止用などがある。」との記載がある。
(ウ)「口紅」の項に、「唇に色をつけ、輝きやつや感を与え、唇を魅力的に見せるメークアップ化粧品である。(中略)最近では、唇を彩色するだけではなく、唇を乾燥から守り、荒れを改善するようなエモリエント性の高い成分を配合したり、塗布することで唇の血行を改善し、健康的な唇にするようなトリートメント口紅も製品化されている。口紅の種類は、主流である棒状で固形のリップスティック(中略)などがある。また、最近は液状やクリーム状で、チューブやボトルに入ったリップグロスがあり(以下略)。」との記載がある。
ウ ケンコーコムのウェブサイト
取扱商品「化粧品」のうち「リップクリーム」のページにおいて、「リップクリームとは、唇の荒れ・乾燥を防ぐための、唇に塗る軟膏剤のことです。リップクリームの形は、スティックタイプ、チューブタイプ、ジャータイプなど様々な形があります。形状も、固形タイプ、ジェルタイプ、クリームタイプと、様々なリップクリームがあります。」との記載がある。
(http://www.kenko.com/product/seibun/sei_822007.html)
エ 東洋経済新報社発行「現代商品大辞典 新商品版」
「F 口腔用化粧品」の見出しの下、「口腔用化粧品の代表的なものは歯磨(dentifrices)である。歯磨きは歯刷子(tooth brush)と併用し、歯口を清掃することにより、ムシ歯、歯槽のう(膿)漏、口臭等の口腔疾患の予防に役立つものである。現在歯磨きには、薬用成分を含まない化粧品歯磨きと薬用成分を含む医薬部外品歯磨きとがあり、(中略)歯磨きを形状から分類すると、(中略)現在最も一般的なものは練歯磨きである。(中略)また、丸剤や液体の形状の口中清涼剤があるが、これらも口腔用化粧品の範疇に入るものである。」との記載がある。
オ 日本歯磨工業会のウェブサイト
歯みがきQ&Aのページ中、「Q2.歯磨剤にはどんな種類、性状があるのか」について、「歯磨類は、歯ブラシを併用する歯磨剤と歯ブラシを併用しない洗口液に大きく分類されます。歯ブラシを併用する歯磨剤はさらにペースト状の『練』、流動性のある液状(ジェル状)粘性の『液状』、水とほぼ同じ粘性の『液体』、湿り気の有る粉状の『潤製』、そして粉体状の『粉』に分類されます。これらの歯磨剤は、その性状に合わせて各種容器に充填された形態で商品にされ、使用されています。」との記載がある。
(http://www.hamigaki.gr.jp/hamigaki1/qanda.html)
(2)商標法第4条第1項第11号について
商標法第4条第1項第11号に係る商標の類否は、同一又は類似の商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえつつ全体的に考察すべきものであり、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合や、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁平成20年9月8日第二小法廷判決 平成19年(行ヒ)第223号)。
これを踏まえ検討すると、本願商標は、前記1のとおり、「SMILE LIP BALM」の文字を横書きしてなるところ、上記(1)のとおり、その構成中の「LIP BALM」の文字は、本願の指定商品中「Cosmetics for the lips」に含まれる「Lip balm」を表すものであるから、商品の出所識別標識としての称呼、観念が生じないというのが相当である。
そうすると、商品「Lip balm」との関係においては、その構成中の「SMILE」の文字部分を抽出し、他人の商標と比較することが許されるというべきであり、本願商標からは、当該「SMILE」の文字に相応して「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念を生ずるものである。
他方、引用商標は、「スマイル」又は「SMILE」の文字からなるところ、それぞれの文字に相応して「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念を生ずるものである。
そこで、本願商標と引用商標との類否を検討すると、まず、本願商標と引用商標1とは、両者の構成中「SMILE」及び「スマイル」の文字部分の比較において、「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念を共通にするものであるから、外観上の相違はあるとしても、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛らわしい類似の商標というべきである。
また、本願商標と引用商標2とは、両者の構成中「SMILE」の文字部分の比較において、外観上、該文字の綴りを共通にし、「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念を共通にするものであるから、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛らわしい類似の商標というべきである。
そして、本願商標の指定商品中「Cosmetics for the lips」に含まれる「Lip balm」と引用商標の指定商品中「化粧品」とは、同一又は類似の商品である。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(3)請求人の主張について
請求人は、本願商標「SMILE LIP BALM」の外観構成態様から、「SMILE」の部分のみが抽出されるものではなく、該文字から「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念等が生ずるものではなく、本願商標全体として造語商標と解するのが相当である旨主張する。
しかしながら、上記(2)で認定したとおり、本願商標の構成中の「LIP BALM」の文字は、商品「Lip balm」との関係においては、商品の出所識別標識としての機能を果たすものではないから、本願商標は、その構成中の「SMILE」をもって取引に資されることも決して少なくないものというべきであり、一連の「スマイルリップバーム」の称呼以外にも、「スマイル」の称呼及び「微笑、ほほえみ」の観念をも生ずるというのが相当である。
また、請求人は、甲第4号証ないし甲第9号証を挙げ、本願商標も同様に登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら、それらの事例は、本願商標とは構成を異にする商標に係る事例であって、本件の審理に資する適切な前例とはいえない。また、商標の類否の判断は、過去の登録例に拘束されることなく、対応する両商標の構成態様及びその指定商品との関係から個別かつ具体的に判断されるべきものである。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(4)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号及び同第16号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-04-25 
結審通知日 2013-05-01 
審決日 2013-05-15 
国際登録番号 1085505 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X03)
T 1 8・ 261- Z (X03)
T 1 8・ 262- Z (X03)
T 1 8・ 272- Z (X03)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 大森 友子 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 冨澤 武志
梶原 良子
商標の称呼 スマイルリップバーム、スマイルリップバルム、スマイルリップ、スマイル 
代理人 仲村 圭代 
代理人 小野 友彰 
代理人 笹川 拓 
代理人 羽切 正治 

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