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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 042
管理番号 1282297 
審判番号 取消2013-300081 
総通号数 169 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2014-01-31 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2013-01-31 
確定日 2013-11-11 
事件の表示 上記当事者間の登録第4136850号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 1 本件商標
本件登録第4136850号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成8年3月29日に登録出願、第42類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,写真の撮影,婚礼(結婚披露を含む。)・宴会・会議又は集会のための施設の提供,庭園樹の植樹,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり,医業,健康診断,歯科医業,調剤,栄養の指導,老人の養護,衣服の貸与,自動販売機の貸与,展示施設の貸与,布団の貸与」を指定役務として、同10年4月17日に設定登録され、その後、同20年4月8日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
そして、本件審判の請求の登録は、平成25年2月19日にされたものである。

2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定役務中の『宿泊施設の提供,飲食物の提供,美容,理容,入浴施設の提供,あん摩・マッサージ及び指圧,きゅう,柔道整復,はり』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由として、「本件商標は、その指定役務中、上記役務について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。」旨述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。

3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第21号証を提出した。
(1)使用の事実
本件商標は、以下のとおり、その通常使用権者により、本件審判の請求に係る指定役務中の「飲食物の提供,入浴施設の提供,マッサージ」について、その請求の登録の日である平成25年2月15日(審決注:平成25年2月19日の誤記と認められる。)前3年以内に、日本国内において使用されていた。
ア 商標権者は、北塩原村温泉健康増進施設「ラビスパ裏磐梯」(以下「本件施設」という。)の指定管理者たる株式会社ラビスパ(以下「ラビスパ社」という。)と、平成22年4月1日から同25年3月31日まで、本件施設に関し、「北塩原村温泉健康増進施設『ラビスパ裏磐梯』管理運営協定書」による協定を締結した(乙第1号証ないし乙第3号証。以下「本件協定」という。)。本件協定には、本件商標の取扱いについての記載はないが、その第5条「管理運営業務」に「施設利用の受付、利用許可」、「施設利用料金の徴収」、「宣伝広告、案内」、「送迎用バス運行」その他の事項が包括的に記載されていることから、本件商標についても通常使用権の許諾がされていたことが、社会通念上明らかであり、ラビスパ社は、本件商標の通常使用権者と認められる。
イ 本件施設は、北塩原村大字大塩字桜峠8664番地5に所在し(乙第1号証ないし乙第4号証)、各種サウナ、露天風呂及び大浴場等の入浴施設、ボディーマッサージ室、飲食店、プール施設等を有している(乙第5号証及び乙第6号証)。
ウ 本件施設の入口を示すロードサインには、本件商標とともに「温泉健康増進施設」、「ラビスパ裏磐梯」及び「プール・バーデ・サウナ・温泉」の各文字が記載され、その上部には、「入口」の文字及び矢印があり、さらに、「お食事のみも可能です。」との看板も併設されている(乙第7号証)。このロードサインは、平成24年6月26日に製作・設置した株式会社ライト・エージェンシー(以下「ライト・エージェンシー社」という。)により写真撮影されており(乙第8号証)、その撮影日後の同年7月31日に、同社から通常使用権者へ請求書が発行された(乙第9号証)。
よって、本件商標を表示したロードサインが、平成24年6月に存在していたことは明らかであり、また、このロードサインは、本件施設の入口を示す案内板として機能しており、「プール・バーデ・サウナ・温泉」の各文字の併記から、プール施設やサウナ・温泉等の入浴施設の提供についてはもちろん、マッサージ室や飲食店を有する本件施設において提供される役務のすべてについて、本件施設の所在を示す案内板として、あるいは、宣伝広告媒体として機能していると認められ、役務の提供の用に供する物(案内板・ロードサイン)に標章を付したものを役務の提供のために展示する行為(商標法第2条第3項第5号)又は役務に関する広告に標章を付して展示する行為(同項第8号)に該当し、「飲食物の提供、入浴施設の提供、マッサージ」についての本件商標の使用に該当すると認められる。
なお、ロードサインに付された本件商標は、彩色されているが(乙第7号証)、色彩を無視すれば、その構成態様は、登録商標と完全に同一であり、また、その色彩が、本件商標の出所表示機能等の自他役務識別機能に影響を与えているとも認められず、社会通念上同一の商標と認められる。
通常使用権者は、本件協定に基づき、送迎用バスの運行を行っている(乙第10号証)。送迎バスの前面及び側面には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付されており(乙第10号証及び乙第11号証)、この送迎バスのうち、少なくとも1台は、平成24年7月19日に車検を受け、現存していたことが明らかである(乙第11号証)。また、この送迎バスは、本件施設において各種役務の提供を受ける者の利用に供する物と認められる。
よって、通常使用権者は、本件施設で提供される「飲食物の提供、入浴施設の提供、マッサージ」等の役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付する行為(商標法第2条第3項第3号)を行い、本件商標を使用していた。
オ 「大人全館入場券」(乙第12号証及び乙第13号証)及び「小人全館入場券」(乙第14号証及び乙第15号証)には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付されており、「本券の有効期限 平成24年6月30日迄」と印刷されたほかに、最初の1枚(乙第12号証の上段に位置するもの)には、手書きで「6/30」、「大2」及び「小4」の文字が記されている。また、「大人全館入場券」には「00132」及び「00133」の連番(乙第13号証)が、「小人全館入場券」には「00069」から「00072」までの連番(乙第15号証)が、それぞれスタンプ印字されている。
よって、平成24年6月30日に、大人2名及び小人4名が、本券を利用して本件施設に入場したことが明らかである。また、「本券1枚に付き(中略)1名様1回限りで温泉・プールを御利用いただけます。」との記載から、本券は、入浴施設の提供及びプールの提供に際し利用されたことが明らかであり、さらには、「全館入場券」であることから、本券施設の館内で提供されるすべての役務についても、利用されていると認めることができる。
同様に、「ペア招待券」、「ファミリーバイキング招待券」及び「ご入浴招待券」(乙第16号証及び乙第17号証)には、本件商標と社会通念上同一と認められる標章が付され、「本券の有効期限」の日付及び手書きで記された各数字・文字から、平成24年11月11日に、大人2名が「本券1枚に付き、2名様1回限りで温泉・プールを御利用いただけます。」との「ペア招待券」を、同年8月12日に、大人2名及び小人1名が「本券1枚に付き、大人2名様、お子様2名様1回限りで温泉&プール、お食事(バイキング)を御利用いただけます。」との「ファミリーバイキング招待券」を、同年10月18日に、大人1名が「本券1枚に付き、1名様1回限りで入浴を御利用いただけます。」との「ご入浴招待券」を、それぞれ利用し、「入浴施設の提供」又は「飲食物の提供」を受けたことが明らかである。
上記の各種入場券、招待券は、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物)に標章を付する行為(商標法第2条第3項第3号)に該当すると認められ、「入浴施設の提供」及び「飲食物の提供」に関してはもちろん(乙第16号証及び乙第17号証)、本件施設で提供されるすべての役務について(乙第12号証ないし乙第15号証)、本件商標が使用されたことは明らかである。
通常使用権者は、本件施設内において、「飲食物の提供」を行っているが、その提供に際して利用される箸袋(乙第18号証)に本件商標と同一の標章を付しており、これは、役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物に標章を付したものを用いて役務を提供する行為(商標法第2条第3項第4号)に該当し、「飲食物の提供」に関し、本件商標を使用していることが明らかである。
また、この箸袋は、それを制作した者から平成24年6月8日に請求書が発行されており(乙第19号証)、その当時に作成・納品されたことが明らかである。
さらに、本件施設で飲食物が提供される際は、この箸袋が、役務の提供を受ける者の利用に供する物として用いられている(乙第20号証)。
なお、乙第20号証に係る料理の写真の撮影年月日は特定されていないが、この箸袋が平成24年6月当時に存在していたことは明らかであり、社会通念上、また、日常経験則に照らしても、その後、本件審判の請求の登録日前に、この箸袋が該写真に示す態様で利用されていたことは明らかである。
加えるに、通常使用権者は、「大塩長泉寺役員様新年ご宴会 御献立」(乙第21号証)にあるように、飲食物の提供に当たり、献立表にも本件商標と社会通念上同一と認められる標章を付して使用している。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定役務中「飲食物の提供、入浴施設の提供、マッサージ」に本件商標の使用をしていることを証明したものであり、本件商標の登録は取り消されるべきではない。

4 当審の判断
(1)請求人の提出に係る甲第1号証並びに被請求人の提出に係る乙第1号証ないし乙第3号証、乙第7号証ないし乙第9号証及び乙第18号証ないし乙第20号証によれば、以下の事実を認めることができる。
ア 本件商標の商標権者は北塩原村である(甲第1号証)ところ、その村長とラビスパ社の代表取締役とは、平成22年4月1日、同23年4月1日及び同24年4月1日に、本件施設に関し、ラビスパ社がその管理運営業務(「施設利用の受付、利用許可」、「施設利用料金の徴収」、「宣伝広告、案内」、「施設全般の維持管理」など)を行うことについての本件協定をそれぞれ締結した。ラビスパ社の管理運営業務の対象となる本件施設は、北塩原村大字大塩字桜峠8664番地5に所在し、本件協定の期間は、通算で平成22年4月1日から同25年3月31日までである(乙第1号証ないし乙第3号証)。
イ 本件施設の入口を示す看板(写真)には、「温泉健康増進施設/ラビスパ裏磐梯/プール・バーデ・サウナ・温泉」の文字及び「お食事のみも可能です」の文字と、色彩を同一のものとすれば本件商標と同一の商標が表示されている(乙第7号証)。
ウ ライト・エージェンシー社の郡山支社営業部に勤める者からラビスパ社の総支配人にあてた2013年4月4日送信の電子メールには、「先程の写真の撮影日時」の件名の下、写真の撮影日時が2012年(平成24年)6月26日である旨の記載がある(乙第8号証)。
エ ライト・エージェンシー社からラビスパ社にあてた平成24年7月31日付け「御請求書」には、請求金額のほか、「ロードサイン製作費」の件名の下、「看板デザイン・設置工事」に係る各項目の数量、金額などの記載がある(乙第9号証)。
オ 本件施設において、顧客に飲食物の提供がされる際に、顧客が使用する箸の袋には、色彩を同一のものとすれば本件商標と同一の商標が表示されている(乙第18号証及び乙第20号証)。
カ 株式会社雪包装からラビスパ社にあてた平成24年6月8日付け「請求書」には、商品名の欄に「ラビスパ箸袋おてもとアスペン元禄」の記載があるほか、該箸袋に係る数量、金額などの記載がある(乙第19号証)。
(2)上記(1)で認定した事実と被請求人の主張とを総合すると、本件商標の使用につき、以下のとおり認めることができる。
ア 本件商標の商標権者は、平成22年4月1日から同25年3月31日までの間、ラビスパ社を相手方として、同社が本件施設の利用の受付、利用料金の徴収、宣伝広告などの管理運営業務をすることにつき、本件協定を締結し、ラビスパ社は、本件協定に基づき、本件施設の管理運営業務を行ったことが認められるから、本件協定において、本件商標の使用に関する定めが明示されていないとしても、本件商標の商標権者は、上記期間中、ラビスパ社に対し、本件商標を使用することについて、黙示の許諾を与えていたと認めるのが相当である。
したがって、ラビスパ社は、本件商標の通常使用権者と認められる。
イ ラビスパ社は、本件施設の管理運営業務を行うに当たり、同施設の入口を示す看板に、本件施設の名称とともに、色彩を同一のものとすれば本件商標と同一の商標を表示し、かつ、「お食事のみも可能です。」の文字を表示したと認められるところ、該看板は、遅くとも平成24年6月26日には立てられていたものと推認される。
また、ラビスパ社は、本件施設において、顧客に飲食物を提供する際に用いる箸の袋に、色彩を同一のものとすれば本件商標と同一の商標を表示したと認められるところ、該袋は、遅くとも平成24年6月8日には使用されていたものと推認される。
ウ 以上によれば、本件商標の通常使用権であるラビスパ社は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年6月8日には、飲食物の提供をするに当たり、顧客が用いる箸の袋に本件商標を付していたから、その行為は、「役務の提供に当たりその提供を受ける者の利用に供する物(譲渡し、又は貸し渡す物を含む。)に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第3号)に該当するものと認められる。
また、ラビスパ社は、本件審判の請求の登録前3年以内である平成24年6月26日には、本件施設において飲食物の提供を受けることができる旨の表示とともに、本件商標を付した同施設の入口を示す看板を立てていたから、その行為は、「商品若しくは役務に関する広告・・に標章を付して展示・・する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものと認められる。
そして、上記ラビスパ社の提供に係る役務「飲食物の提供」は、本件審判の請求に係る指定役務に含まれる役務である。
(3)まとめ
上記のとおり、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者がその請求に係る指定役務中の「飲食物の提供」について、本件商標を使用していたことを証明したものということができる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標


審理終結日 2013-08-07 
結審通知日 2013-08-12 
審決日 2013-09-30 
出願番号 商願平8-34090 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (042)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 村田 有香野上 サトル 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 梶原 良子
田中 敬規
登録日 1998-04-17 
登録番号 商標登録第4136850号(T4136850) 
商標の称呼 ラビスパウラバンダイ、ラビスパ 
代理人 西木 信夫 
代理人 松田 朋浩 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 

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