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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y29 |
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管理番号 | 1281505 |
審判番号 | 取消2012-300766 |
総通号数 | 168 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-12-27 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2012-09-28 |
確定日 | 2013-10-29 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第1894750号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第1894750号商標(以下「本件商標」という。)は、「マーガレット」の片仮名及び「MARGARET」の欧文字を2段に横書きしてなり、昭和59年3月19日に登録出願、第31類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として昭和61年9月29日に設定登録され、平成18年7月5日に指定商品を第5類「乳児用粉乳」、第29類「食用油脂,乳製品」、第30類「アイスクリームのもと,シャーベットのもと」及び第32類「乳清飲料」とする指定商品の書換登録がなされているものである。 2 請求人の主張 請求人は、商標法第50条第1項の規定により、本件商標の指定商品中、第29類「食用油脂,バター」についての登録を取消す、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。 <請求の理由> 本件商標は、請求に係る上記の指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出している。 (1)本件商標の使用者 本件商標の商標権者、日油株式会社(以下「日油」という。)は、自ら本件商標を使用している。 乙第1号証は、日油の商品カタログであり、2009年10月に発行され、それ以降、使用されてきたものである。同カタログの表紙及び裏表紙には、「日油株式会社」が明示されており、同カタログが日油によるものであることは明らかである。 乙第2号証及び乙第3号証は、商品「マーガリン」の包装用箱及びそれに使用されているラベル(写真)である。同ラベルには、商標「マーガレットRV LT」、「マーガレットR」、「マーガレットR-S LT」が表示されているとともに、商品(名称)が、「マーガリン」であること、製造者が、日油であることが示されている。 乙第4号証は、取引書類のひとつである受領書(写)及び注文書(写)であるが、当該商品の発送者が日油であることが明らかである。 (2)使用に係る商標 乙第1号証ないし乙第4号証には、商標として、「マーガレット」が明確に示されている。なお、被請求人は、商品の材質・成分等の相違から、同商標の後に、「RV LT」、「R」、「R-S LT」の型番を付記しているが、このようなローマ字の使用から、これらの表示が、型番であり、商標は、「マーガレット」であることは明白である。 本件商標は、「マーガレット」の片仮名と「MARGARET」の欧文字からなるが、下段の「MARGARET」の欧文字は、片仮名で表現される場合には、その上段の文字である「マーガレット」と表示されることから、片仮名と欧文字(ローマ字)の表示を相互に変更するものであって、同一称呼及び観念を生じさせる実質同一の言葉である。よって、その片仮名の使用は、本件商標と社会通念上同一の商標の使用である。 (3)使用に係る商品 乙第1号証ないし乙第3号証には、本件商標の使用にかかる商品が、「マーガリン」であることが明確に示されている。また、乙第4号証には、その商標(品目名称)(「マーガレットR」)等から、その商品が「マーガリン」であることが特定できる。 商品「マーガリン」は、類似商品・役務審査基準に示されるとおり、本件取消請求に係る「食用油脂」の概念に含まれるものである。 すなわち、被請求人は、本件商標を、その取消請求に係る指定商品に使用している。 (4)使用時期 乙第1号証の商品カタログは、2009年10月に発行されたことが明示されており、それ以降配布されているものである。 乙第3号証の商品包装箱用ラベルには、商品の賞味期限として、それぞれ、2009年12月12日、2011年2月14日の日付が示されており、この時期に使用されたものであることが明らかである。 乙第4号証の受領証は、(株)岡野商店宛のものについては、その一例として、それぞれ、2010年7月5日、2011年2月28日、2012年2月6日付のものを抽出した。また、同号証の注文書は、上記(株)岡野商店に関するものであるが、2010年7月5日、2011年2月28日、2012年2月29日付のものを抽出した。さらに、今見屋パン宛の受領書については、2010年1月19日、2011年2月25日、2012年1月10日付のものを抽出した。 これら書証は、すべて、本件審判の請求の予告登録日(平成24年(2012年)10月15日)の前3年以内のものであり、本件商標が、当該予告登録日3年以内に使用されていることは明らかである。 (5)なお、被請求人は、その製造に係る本件商品「マーガリン」等について、2006年8月21日付で「JAS」規格の認定を受けた(乙第5号証)。 (6)まとめ 以上により、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者である被請求人によって、少なくとも取消請求に係る指定商品「食用油脂」について、使用されていることは明らかである。 4 当審の判断 (1)被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙第1号証は、日油の商品カタログであるところ、「製菓・製パン用マーガリン」の項、第5ページに「製パン用マーガリン」「マーガレットR」の記載があり、その欄には、「用途:パン練込用、分類:マーガリン、保管条件:要冷蔵及び荷姿:15kg段ボール(流込)」との記載がある。また、食品事業部門 事業所一覧には、本社として、本件商標の登録原簿に記載された商標権者と同じ住所が記載されており、裏表紙には「日油株式会社 食品事業部」「2009.10発行」との記載がある。 イ 乙第2号証は、商品「マーガリン」の包装用箱(段ボール)の写真(5枚)であり、その側面には「マーガレットRV LT」「名称:マーガリン」「内容量:15kg」「賞味期限:13.06.23」等が記載されたラベル及び「マーガレットR」「品名:マーガリン」「内容量:15kg」「賞味期限:13.05.28」等が記載されたラベルが貼られている。(写真中3枚目及び5枚目には、段ボールの中に青い袋に収容された白色のものが写されている。) ウ 乙第3号証は、乙第2号証の包装用箱に貼付されたラベルと類似の態様と認められるところ、「マーガレットRV LT」と表示されたラベルには、名称「マーガリン」、内容量「15kg」、賞味期限は「09.12.12」及び製造者「日油株式会社KD 東京都渋谷区恵比寿4-20-3」と記載されている。 エ 乙第4号証の1は、右上に「日油株式会社」、お届け先「(株)岡野商店」と記載された3通の受領書及び代理店日産商事(株)が日油株式会社大師工場に宛てた、岡野商店を納入先とする3通の注文書(該日産商事(株)よりFAX送信されたもの)であるところ、いずれも品目名称には「マーガレットR 15Kg」の記載がある。 そして、受領書の2枚目には、その上段に「2011/02/28 15:04:45」、納期の欄に「03/01」、受注個数「5個」及び適用の欄に「AM必着」とそれぞれ記載があり、「(株)岡野貞盛商店」の文字と電話番号が表示された受領印が押されている。 また、注文書の2枚目には、発注日2月28日、納入日3月1日の記載、品名「マーガレットR(15kg)」、個数「5」の記載があり、FAXの送信欄(左上)に2011年2月28日 9時58分の記載がある。 (2) 上記(1)からすれば、次の事を認めることができる。 ア 日油は、2009年10月に、商品カタログ(乙第1号証)を発行したこと、そのカタログには商品「マーガリン」(以下「使用商品」という。)の表示と共に「マーガレットR」の文字(以下「使用商標1」という。)が掲載されている。そして、その商品の荷姿は「15kg段ボール(流込)」である。 イ 乙第2号証は、段ボール箱の外観(上面を開けたものを含む。)の写真であって、段ボール箱の側面に貼付されたラベルには、「マーガレットRV LT」の文字(以下「使用商標2」という。)又は使用商標1の記載のほか、品名を「マーガリン」、内容量を「15kg」等の記載があることから、使用商品の出荷時の荷姿の写真と認められる。また、乙第3号証と乙第2号証の段ボール箱に貼付されたラベルとは「マーガレットRV LT」の文字やデザインにおいて類似の態様と認められることから、乙第2号証の段ボール箱に貼付されたラベルに記載の製造者は、日油であることが推認される。 ウ 乙第4号証の1の受領書及び注文書における上記(1)エの記載事項によれば、商標権者が株式会社岡野商店から、2011年2月28日に「マーガレットR(15kg)5個」の発注を受け、翌日3月1日に(株)岡野商店が受領したと認めることができる。 エ 以上を総合すると、日油は、2011年(平成23年)2月28日に(株)岡野商店から代理店日産商事(株)を通じて使用商標1を品名とする使用商品の発注を受け、翌3月1日に使用商標1を付したラベルを貼付した段ボール箱に収められた使用商品を、(株)岡野商店に納品したものと推認できるから、同年3月1日に使用商標を付した使用商品を譲渡したということができる。 (3)判断 ア 使用者について 上記(1)アないしウによれば、乙第1号証、乙第3号証及び乙第4号証には、本件商標の登録原簿に記載された商標権者「日油株式会社」と同じ名称(住所表示含む。)が表示されており、そこでの商標の使用は、商標権者自身がその使用者ということができる。 イ 使用時期について 上記(2)のとおり、日油が(株)岡野商店に使用商品を譲渡した平成23年3月1日は、本件審判請求の登録(登録日は平成24年10月15日)前3年以内である。 ウ 使用商品について 使用商品「マーガリン」は、本件審判の請求に係る指定商品中、第29類「食用油脂」の範ちゅうに含まれる商品である。 エ 使用商標について 上記(2)ア及びイのとおり、使用商標1は「マーガレットR」の文字、及び使用商標2は「マーガレットRV LT」の文字からなるところ、欧文字の1字又は2字については、商品の種別、規格又は品番等を表示するための記号、符号として広く一般に採択・使用されているものであり、使用各商標の構成中「R」及び「RV LT」の文字部分は、上記記号、符号等に使用される欧文字の一類型のごとく認識されるにすぎないことから、使用各商標は、それらの構成中「マーガレット」の文字部分をもって取引に資され、該文字部分が独立して自他商品識別標識としての機能を果たし得るとみるのが自然である。そして、前記1のとおり「マーガレット」の片仮名及び「MARGARET」の欧文字からなる本件商標と使用各商標は、欧文字の有無に差異を有するものの、片仮名部分は同一であり、「マーガレット」の称呼を共通にするから、使用各商標は、本件商標と社会通念上同一と認められる商標といえる。 オ 小括 してみれば、商標権者は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、その請求に係る指定商品中、第29類「食用油脂」の範ちゅうに含まれる「マーガリン」の包装に本件商標と社会通念上同一と認められる商標を付して譲渡した(商標法第2条第3項第2号)というべきである。 (4) まとめ 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者がその請求に係る指定商品について本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用をしていることを証明したというべきである。 また、請求人は、前記3の被請求人の主張に対し、何ら弁駁していない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消すべきではない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2013-06-05 |
結審通知日 | 2013-06-10 |
審決日 | 2013-06-21 |
出願番号 | 商願昭59-25971 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y29)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
村上 照美 |
特許庁審判官 |
冨澤 武志 梶原 良子 |
登録日 | 1986-09-29 |
登録番号 | 商標登録第1894750号(T1894750) |
商標の称呼 | マーガレット |
代理人 | 正林 真之 |
代理人 | 北村 修一郎 |
代理人 | 太田 誠治 |
代理人 | 東谷 幸浩 |