• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部無効 外観類似 無効としない X33
審判 全部無効 観念類似 無効としない X33
審判 全部無効 称呼類似 無効としない X33
管理番号 1280098 
審判番号 無効2013-890018 
総通号数 167 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-11-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-03-08 
確定日 2013-09-25 
事件の表示 上記当事者間の登録第5493476号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5493476号商標(以下「本件商標」という。)は、「麦大王」の文字を標準文字で表してなり、平成23年8月12日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同年12月19日に登録査定、同24年5月18日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
請求人が、本件商標の登録の無効の理由として引用する登録第3333935号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲に示す構成からなり、平成6年10月21日に登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同9年7月25日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。

第3 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を無効とする、審判費用は被請求人の負担とするとの審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証(枝番号を含む。)を提出した。
1 本件商標構成中の「麦」の文字は、明らかに原材料が「麦」であることを表すものと認められ、麦を原材料とする酒類との関係では、単に「麦を原材料とする酒類」であることの品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別機能を有しない部分と認められる。
そうすると、本件商標の商標としての自他商品の識別力を有する要部は、「大王」の部分に存し、これより「ダイオウ(大王)」の称呼、観念を生じるものである。
2 引用商標は、「大王」の文字を縦書きしてなり、これより「ダイオウ(大王)」の称呼、観念を生じるものである。
3 本件商標と引用商標の比較において、両者はいずれも「ダイオウ(大王)」の称呼、観念を一にする類似商標である。
4 両商標の指定商品が抵触することも明らかである。
5 したがって、本件商標は商標法第4条第1項第11号により登録できないものである。
6 むすび
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当し商標登録を受けることができないにも拘らず誤って登録されたものであるから、商標法第46条第1項の規定により、その登録は無効とされるべきである。

第4 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第71号証を提出した。
1 本件商標は、「麦大王」の文字を標準文字で書してなるが、その構成文字全体がまとまりよく表されているものである。そして、「麦」の文字の部分は、広辞苑第四版第2487頁の「麦」の項(甲第1号証参照(合議体注記:乙第1号証の誤記と思われる。))によれば、「イネ科に属するオオムギ、コムギ、ハダカムギ、ライムギ、エンバクなどの総称、また、その穀実。」等を意味する語であるとしても、「麦」の文字自体には「麦焼酎」等を意味する語義はなく、「麦大王」と一連一体に表した本件商標に係る構成においては、特定の品質等を具体的に表示したものと直ちに理解させるものではなく、その構成全体をもって、一体不可分の造語を表したものと認識、把握されるものであり、構成全体から「ムギダイオウ」の称呼のみを生ずるものと認められる。そして本件商標は造語商標であり、本件商標からは特定の観念を生じない。
2 一方、引用商標は、「大王」の文字を縦書きにしてなり、第33類「日本酒、洋酒、果実酒、中国酒、薬味酒」を指定商品とする。
引用商標からは、「ダイオウ」の称呼のみを生じ、「偉大な王様」の観念を生ずる。
したがって、本件商標と引用商標は称呼上互いに非類似の商標であり、また造語商標である本願商標からは特定の観念を生じないから、本願商標と引用商標から生ずる観念を比較するに由なく、観念上も両商標は互いに非類似の商標である。両商標は明らかに外観上、互いに非類似の商標であるから、両商標は称呼、観念、外観のいずれにおいても互いに非類似の商標であり、両商標は互いに非類似の商標であるから、その指定商品が同一であるとしても、本件商標は商標法第4条第1項第11号には該当しない。
3 指定商品の類似群「28A01」(日本酒)に属する商品を指定商品として登録された、現在有効な全ての登録商標について、「麦○○○」または「芋○○○」の形の文字商標よりなる登録商標について、特許庁の特許電子図書館の「商標出願・登録情報検索」のページを用いて、検索商標として「麦?」又は「芋?」を、類似群として「28A01」を入力して検索したところ、「麦○○○」の形の登録商標は316件(乙第2号証参照)、「芋○○○」の形の登録商標が217件(乙第3号証参照)検出された。
これらの「麦○○○」または「芋○○○」の形の登録商標の中から「麦」又は「芋」の文字を除いた残りの「○○○」の文字からなる、類似群「28A01」の商品を指定商品として含む登録商標を多数検出したので、それらの「○○○」と「麦○○○」、又は「芋○○○」との組み合わせであって、その商標権者の異なるものの登録例では、「麦○○○」又は「芋○○○」の形の文字商標と、これから「麦」又は「芋」の文字を削除した「○○○」形の文字商標は、その出願人及び商標権者は互いに別人である。
即ち後願の「麦○○○」「芋○○○」又は「○○○」の商標登録出願の審査において、「麦○○○」又は「芋○○○」と「○○○」の商標は互いに非類似の商標であると判断されて、両者が併存して登録されているのである(乙第4号証ないし乙第71号証)。
4 上記乙号証中の、付与後異議の異議決定(乙第6号証及び乙第8号証)及び拒絶査定不服審判の審決(乙第11号証)でも示されたように、この種の文字商標「○○○」と「麦○○○」又は「芋○○○」の間の類否判断おいては、特許庁の審査および審判において、一貫して互いに非類似の商標であると判断されているのである。
5 結言
以上述べた如く、本件商標は商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。

第5 当審の判断
請求人は、本件商標が商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、本件商標と引用商標の類否について検討する。
1 外観について
本件商標は、「麦大王」の文字を標準文字により表してなることから、それぞれが同書体、同大、等間隔で、全体としてまとまりよく一連に表されているといえるものであり、視覚上も一体的に看取、把握できるものである。
これに対して、引用商標は、別掲に示すとおり、「大王」の文字を縦書きしてなるものである。
2 称呼について
本件商標からは、その構成に相応して、「ムギダイオウ」の称呼が生ずるものであり、この称呼は特段に冗長とはいえず、他に、「大王」の文字部分を分離・抽出して、ここから「ダイオウ」の称呼をも生ずるとすべき特別の事情は認められない。
これに対して、引用商標からは、その構成に相応して、「ダイオウ」の称呼が生ずるものである。
3 観念について
本件商標は、その構成全体をもって一体的に看取、把握されるものというべきであり、これを構成する文字「麦大王」の語は、既成語ではなく一種の造語というべきものであって、特定の意味を有する語とは認められないから、ここからは、取引に資する上での特定の観念を生じることはないというべきである。
これに対して、引用商標は「大王」の文字よりなるものであるから、これより、王の敬称である「大王」、「偉大な王」の観念が生じるものである。
4 類否判断
前記したように、本件商標は、「麦大王」の文字を標準文字により表してなるものであり、引用商標は、「大王」の文字を縦書きしてなるものであるから、両商標は、外観上区別できる差異を有するものである。
また、本件商標から生ずる「ムギダイオウ」の称呼と、引用商標から生ずる「ダイオウ」の称呼とは判然と区別し得るものである。
さらに、本件商標からは、特定の観念が生ずるとはいえないから、本件商標と引用商標とは、観念において類似するということはできないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、指定商品において同一又は類似するものであるが、その外観、称呼及び観念のいずれからみても、互いに類似する商標ということはできないものである。
これに対して、請求人は、本件商標構成中の「麦」の文字は、明らかに原材料が「麦」であることを表すものと認められ、麦を原材料とする酒類との関係では、単に「麦を原材料とする酒類」であることの品質表示にすぎず、商標としての自他商品の識別機能を有しない部分と認められ、本件商標の商標としての自他商品の識別力を有する要部は、「大王」の部分に存し、これより「ダイオウ(大王)」の称呼、観念を生じると主張している。
しかしながら、本件商標構成中の「麦」の文字が、「イネ科に属するオオムギ・コムギ・ハダカムギ・ライムギ・エンバクなどの総称、また、その穀実。」を意味する語である(乙第1号証)としても、本件商標のような「麦○○」との構成の商標において、そこにおける「麦」の文字が、当該商品の品質や原料を表示したと直ちに理解されるというのが一般的であるとの取引上の実情は認め難く、請求人も、「『麦』の文字は、明らかに原材料が『麦』であることを表すもの」との主張を裏付ける証拠を提出してはいない。
そうであれば、本件商標は、その構成全体をもって、一体不可分の造語よりなるものと認識、把握されるというのが相当であり、本件商標からは、「ムギダイオウ」の称呼のみが生ずるものであり、特定の観念は生じないというべきである。
したがって、本件商標の要部は、「大王」の部分であることを前提にして、本件商標と引用商標とが称呼及び観念において類似するとの請求人の主張は、採用することはできない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
5 むすび
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してされたものではないから、同法第46条第1項により、無効とすることはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 引用商標




審理終結日 2013-07-31 
結審通知日 2013-08-05 
審決日 2013-08-16 
出願番号 商願2011-61083(T2011-61083) 
審決分類 T 1 11・ 263- Y (X33)
T 1 11・ 261- Y (X33)
T 1 11・ 262- Y (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松本 はるみ 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 渡邉 健司
前山 るり子
登録日 2012-05-18 
登録番号 商標登録第5493476号(T5493476) 
商標の称呼 ムギダイオー、ダイオー 
代理人 特許業務法人みのり特許事務所 
代理人 小山 義之 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ