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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Z09 |
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管理番号 | 1280045 |
審判番号 | 取消2012-300577 |
総通号数 | 167 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-11-29 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2012-07-13 |
確定日 | 2013-09-09 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4205186号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4205186号商標(以下「本件商標」という。)は、「ONE LINE」の文字を標準文字で表してなり、平成9年6月26日に登録出願、第9類「測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電気磁気測定器,光学機械器具,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として、平成10年10月30日に設定登録されたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標は、その指定商品中『電気通信機械器具』についての登録を取り消す。審判費用は、被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁、口頭審理における陳述において要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」について、本件審判請求の登録前3年以上継続して日本国内で使用されている事実が見出されない。 また、本件商標には、専用使用権若しくは通常使用権の登録もなされておらず、その許諾がなされているとも認められない。 よって、本件商標は、その指定商品中「電気通信機械器具」について商標法第50条第1項の規定よりその登録を取り消されるべきものである。 2 答弁に対する弁駁 (1)使用商標及び使用商品について ア 「省配線センサリンクシステム」の識別標識として使用されていないこと 被請求人は、乙第2号証に、省配線センサリンクシステム及び省配線センサの出所を識別するための標識として、「ワンライン」が記載されている、と主張している。 乙第2号証に「センサ」の出所を識別するための標識として、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ワンライン」(以下「使用商標」という。)が記載されていることは認める。しかしながら、乙第2号証の表紙には、「省配線センサリンクシステム」のすぐ下に「QLシリーズ」と表示されており、この「QLシリーズ」が省配線センサリンクシステムの商標であることが容易に理解できる。また、乙第2号証の記載からは、QLシリーズのうちの「QL-R01」はセンサと接続して使用することができ、その接続可能なセンサのうちの一つが「ワンラインシリーズのセンサ」、「ワンライン子機」であることが分かる。よって、たしかに「ワンラインシリーズのセンサ」、「ワンライン子機」が、省配線センサリンクシステムに接続されて使用されるものであることは分かるが、省配線センサリンクシステム全体やシステムそのものに「ワンライン」が識別標識として使用されていることを示す記載は全くない。乙第2号証以外の証拠についても「センサ」以外の商品に、使用商標が識別標識として使用されていることを示す記載は見出せなかった。 イ 本件商標の使用に係る商品は「電気通信機械器具」に属するものではないこと (ア)商品「センサ」は、特許庁の類似商品・役務審査基準に従えば、「測定機械器具」に属するものである。特許電子図書館の「商品・役務名リスト」の検索結果の一覧表(甲3)に示されるように、一般的なセンサは、いずれも「測定機械器具(類似群コード:10C01)」に属するとされており、乙第2号証、乙第5号証、乙第10号証などに記載されているセンサは、上記一覧表中の、特に「光電子センサ」「光ファイバ触覚センサ」「圧カセンサ」等に該当するものと考えられる。一覧表中、「電気通信機械器具(類似群コード:11B01)」と同じ類似群コードが付されているのは、「デジタルカメラ用イメージセンサ」、「ビデオカメラ・センサー等により乳幼児の行動を監視し非常時に警報を発するための装置」のみであり、これらの商品に関しては前者はデジタルカメラの附属品であること、後者は商品中にビデオカメラが含まれていることから、「11B01」が付されていると考えられるが、被請求人提出の証拠中の使用商標に係る商品がこの種の商品に該当しないことは明らかである。 (イ)なお、被請求人は、「省配線センサリンクシステム及びこのシステムを構成するPLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)や各種外部機器(「省配線センサ」と称する)は、遠隔地からデータを測定し、機械や装置を目的どおり作動させるための遠隔測定制御機械器具そのものか、或いは、遠隔測定制御機械器具の部品であり、ケーブル搬送機械器具を含む搬送機械器具でもあるので、請求に係る指定商品『電気通信機械器具』に属する」と主張している。 しかしながら、使用商標に係るセンサが、通常のセンサの機能を超えて、このセンサ単独で「遠隔測定制御機械器具」や「搬送機械器具」に該当する機能を有することを示す記載は、乙第2号証及びその他の証拠中には見出すことができない。 (2)商標の社会通念上の同一性 被請求人提出の証拠中で使用されている商標が、仮に、本件商標と社会通念上同一と認められるものであるとしても、上述のように本件審判の取消請求に係る商品に使用されていないことから、当該証拠は取消しを免れるための証拠とはなり得ない。 (3)使用時期 被請求人が使用時期を示すために挙げている証拠は、商品「センサ」に関するもののみならず「省配線センサリンクシステム」、「PLC」、「省配線用アダプタ」に関するものも含んでいるが、本件商標に係る商品は「センサ」であるから、これらのうち本件商標の使用証拠として認められ得るのは、商品「センサ」に関するもののみであり、PLCや省配線用アダプタについての証拠(乙9?乙12)は、本件商標の使用証拠とはなり得ない。 なお、乙第14号証の売上伝票には、「品名:デジタルファイバセンサ、規格型式:FS-V12」の記載が、乙第15号証の売上伝票には「品名:メガファイバセンサ、規格型式:FS-V32」の記載が確かにあり、乙第2号証や乙第5号証の記載と合わせると、ワンラインシリーズのセンサが販売されたことは分かるが、これらの記載からは、PLCと省配線用アダプタと光電センサとを「省配線センサリンクシステムとしてセットで販売」ということは読み取れない。 3 まとめ 以上のように、本件商標と社会通念上同一と認められる商標が使用されている商品は「センサ」であり、これは本件審判の取消請求に係る商品「電気通信機械器具」に属するものではない。すなわち、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、本件審判の取消請求に係る商品「電気通信機械器具」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標の使用をしていることを証明していない。 3 口頭審理における陳述 (1)乙第2号証の2が示す商品について 乙第2号証の2のユーザーズマニュアルは、「省配線センサリンクシステム QLシリーズ」の取扱いを説明するものである。「KV-700シリーズ基本ユニット」及び「センサ」は、前記「QLシリーズ」すなわち、「クイックワイヤQLシリーズ」の構成品ではなく、これに接続が可能なものにすぎず、いずれも上記マニュアルの対象外の商品である。まして、この「クイックワイヤQLシリーズ」又はその部品を表す商標として、本件商標が使用されている証拠すら全く見当たらない。なお、乙第2号証の2では、本件商標と同じ称呼が生じる「ワンライン」が説明文として記載されているが、「ワンライン」の称呼で称しているのは、「センサ」自体である。 (2)被請求人の取り扱うセンサが、遠隔通信の機能を有することは、乙2号証の2から立証されていない。 乙第2号証の3-37頁の説明は、「ワンライン子機」を、クイックワイヤQLシリーズのうちの「クイックワイヤゼロラインアダプタQL-R01」に接続することで、「配線ゼロ」でセンサのON/OFFの出力を「KV」(PLC)へ送信することができることを解説したものである。「ファイバセンサ」自体が通信機能を有するものではない。 乙第2号証の2の3-45頁の説明図では、QL-R01にセンサユニットが隣接して配置され、センサユニットからの測定データは、QL-R01で読み取り、「KV」で示される「PLC」に受光量データとして出力されるとしている。このように、センサユニットの測定データは、QL-R01により読み取られるだけであって、センサユニットは、直接上位装置のPLCから通信によって遠隔的に操作されるような通信手段を持っていないことが理解される。 以上のことから、被請求人が述べるように「省配線センサは、・・・通信配線で接続された制御機器と測定データを通信し、生産現場における遠隔的な測定・制御を実現するものである。」ことは、乙第2号証の2から立証できるものではない。 (3)被請求人は、本件商標が付されていない商品に関する仕様についての議論に終始している。本件商標と類似の標章が付された商品は、乙第2号証の2では、「ワンライン子機」のみであって、クイックワイヤアダプタなど省配線システムの構成部品の説明には付されていない。 よって、乙第2号証の2に記載の「ワンライン子機」の表示が、たとえ自他商品識別力を発揮し得る商標であると認識されるとしても(ただし、請求人は、この表示は単に「ワンライン方式又は機能を有する子機」である、との説明句にすぎず、この部分は商標としての機能を有しないと考える。)、この表示は、単に「センサ」に付けられた呼称にすぎない。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、答弁書及び口頭審理における陳述においてその理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第18号証(枝番を含む。ただし、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出した。 1 答弁の理由 本件商標の商標権者である被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に我が国において、その請求に係る「電気通信機械器具」について、本件商標を使用している。 (1)商標の使用者 乙第2号証「省配線センサリンクシステム QLシリーズ ユーザーズマニュアル」には、「株式会社キーエンス」、「大阪市東淀川区東中島1-3-14」が表示され、乙第5号証「デジタルファイバセンサ 取扱説明書」にも、同様に表示されている。 (2)使用に係る商品 乙第2号証は、請求に係る指定商品「電気通信機械器具」である省配線センサリンクシステム及び省配線センサの取り扱いを説明している。 ア 省配線センサリンクシステムは、自動車、半導体、電子・電気機器、化学、薬品、食品等の各分野における生産現場(工場)で用いられるシステムであり、通信配線で接続された制御機器と測定機器により、生産現場における遠隔的な測定・制御を実現するものである。 省配線センサリンクシステムを構成するPLCは、工場内のメインコントロールボックスに設置されるとともに工場内を集中的に管理する制御機器であり、生産ラインの各地点に分散設置された各種外部機器(光電センサ、スイッチ、ランプ、電磁弁等)を、ネットワークを介して統合制御するものである。 イ PLCと外部機器との間では、頻繁にデータ通信が行われる。例えば、光電センサについていえば、乙第2号証の3-41頁の挿絵に示すように光電センサからPLC(同頁では「KVシリーズ基本ユニット」と表記)に受光量データやしきい値データ等が転送されるとともに、同3-43頁の挿絵に示すようにPLCから光電センサにしきい値データ等が転送される。このように、PLCと外部機器がデータ通信を介して連携動作することで、生産ライン上を搬送される物体の遠隔測定制御を実現している。 特に、生産ラインが長く、各外部機器が数十?数百メートルの長距離に亘って分散設置されている場合には、PLCと外部機器との間に、省配線用アダプタ(乙第2号証でその取り扱いが説明されている「QL」シリーズ)を介在させることによって、省配線で遠隔測定制御を実現する省配線センサリンクシステムを構築することができる。 ウ したがって、省配線センサリンクシステム及びこのシステムを構成するPLCや各種外部機器(「省配線センサ」と称する)は、遠隔地からデータを測定し、機械や装置を目的どおり作動させるための遠隔測定制御機械器具そのものか、或いは、遠隔測定制御機械器具の部品であり、ケーブル搬送機械器具を含む搬送機械器具でもあるので、請求に係る指定商品「電気通信機械器具」に属するものである。 (3)使用商標 ア 乙第2号証には、省配線センサリンクシステム及び省配線センサの出所を識別するための標識として、本件商標と社会通念上同一と認められる商標「ワンライン」(使用商標)が記載されている。例えば、乙第2号証3-36頁には、省配線センサリンクシステムを構築するための省配線用アダプタ(型式「QL-R01」)と、これに接続される光電センサ(型式「FS-V12」等)とが記載され、さらに、「ゼロライン、ワンラインシリーズのセンサを使用すれば、配線をする必要はありません。」と記載されている。ここで、商標「ゼロライン」は、出力用の配線が出ていない型式を総称するものであるのに対し、商標「ワンライン」は、出力用の配線が1本出ているシングル出力線タイプの型式を総称するものである(同3-37頁)。使用商標により識別される光電センサとしては、例えば、同3-37頁に、被請求人の製品型式である、デュアルデジタル光ファイバセンサFS-V22、ハイブリッドチューニング式ファイバセンサFS-V12、オートチューニュング式ファイバセンサFS-T2、マニュアルチューニング式ファイバセンサFS-M2、オートチューニング式アンプ分離型光電スイッチPS-T2などが挙げられており、これらは「ワンラインシリーズのセンサ」、「ワンライン子機」と総称されている。 イ また、乙第5号証「デジタルファイバセンサ 取扱説明書」の6頁には、「子機(ワンライン)」と「子機(ゼロライン)」が対比して記載されている。この取扱説明書は、ワンラインシリーズとゼロラインシリーズのセンサで共通に用いられる取引書類であり、包装箱に商品とともに同梱され(乙6)、頒布される。 このように、使用商標を商標「ゼロライン」と対比する形で使用している。 (4)使用時期 ア 乙第2号証は、省配線センサリンクシステムのマニュアルであり、省配線センサリンクシステムを販売する際に配布される取引書類である。 被請求人は、省配線センサリンクシステムを構成するPLC(型式「KV-700」)及び省配線センサリンクシステムを構成する省配線用アダプタ(型式「QL-R01」)を、いずれも遅くとも2003年10月には販売しており)、現在に至るまで継続して販売している(乙9?乙12)。 また、被請求人は、省配線センサリンクシステムを構成する光電センサ(型式「FS-V12」、「FS-V32」)を、各々2003年10月、2007年1月には販売しており、現在に至るまで継続して販売している(乙9、乙10、乙13)。 イ 被請求人が省配線センサリンクシステムを取引した実績の一部を以下に示す。 (ア)2010年7月15日、型式「KV-700」のPLCと、型式「QL-R01」の省配線用アダプタと、型式「FS-V12」の光電センサとを省配線センサリンクシステムとしてセットで販売(乙14)。 (イ)2011年5月19日、型式「KV-16AT」のPLCと、型式「QL-R01」の省配線用アダプタと、型式「FS-V32」の光電センサとを省配線センサリンクシステムとしてセットで販売(乙15)。 ウ よって、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、指定商品「電気通信機械器具」に関する広告や取引書類(ユーザーズマニュアル(乙2)、取扱説明書(乙5))に使用商標を付して頒布しており、商標法第2条第3項第8号に掲げる使用行為を行っている。 2 口頭審理における陳述 (1)「省配線センサ」の「電気通信機械器具」への該当性 ア 本件商標の使用に係る商品のうち「省配線センサ」は、自動車、半導体、電子・電気機器、化学、薬品、食品等の各分野における生産分野(工場)で用いられるセンサであり、通信配線で接続された制御機器と測定データを通信し、生産現場における遠隔的な測定・制御を実現するものである。 より詳細には、「省配線センサ」は、当該センサユニットのON/OFF情報に加え、当該センサユニットが測定した受光量データ及びしきい値データを、上位装置であるPLCとの間で通信する(乙2 3-41頁)。例えば、同頁の2行目には、「センサユニットのセンサ受光量データ、しきい値データを16ビットデータとして《KV》へ送信します。」との記載がある。 また、乙第2号証の3-38頁ないし3-50頁には、当該センサユニットの受光量やしきい値を読み書きするための詳細な通信仕様や通信プロトコルが明記されている。さらには、乙第2号証の「3-43頁の表題に「センサユニットのしきい値のリモート操作」と記載されているように、上位装置から遠隔的な操作を通信によって実現する旨が明記されている。 加えて、乙第2号証には、ボーレート(通信速度)や通信サイクルの例示、それらとケーブル延長距離との関係など、明らかに遠隔通信している事実を意味する説明が数多くなされている。 したがって、分散配置されているセンサから遠隔的に測定データを通信する省配線センサリンクシステムを構築する需要者にとって、乙第2号証の省配線センサは生産現場における遠隔的な測定・制御を実現するものとして認識されるものであり、省配線センサは、得られた測定データを上位装置との間で遠隔的に通信する機械器具であって、「遠隔測定制御機械器具」そのものであり、「電気通信機械器具」に該当する。 イ 使用商品「省配線センサリンクシステム」 乙第9号証の総合カタログでは、「ONE LINE」や「ワンライン」が使用されている(6、7頁)。これらの使用商標は、「すべてがつながるワンラインセンサ」と記載されているとおり、少なくとも「省配線センサ」に使用されているが、加えて、同6頁の上方には、中央に配置された「ワンライン」の四隅近傍に「省配線システム構築に」「センサの電源に」「制御機器との省配線に」「マシン制御に」と記載されている。「省配線センサリンクシステム」を求める需要者にとって、「ワンライン」は、「省配線センサリンクシステム」の出所が被請求人であることを示す出所識別機能を十分に発揮している。 第4 当審の判断 1 乙各号証によれば、以下の事実が認められる。 (1)乙第2号証の2(なお、乙2の1は、その抜粋である。)は、被請求人の「省配線センサリンクシステム QLシリーズ ユーザーズマニュアル」である。そして、「クイックワイヤ」について、「クイックワイヤは、従来の制御盤配線の面倒さ、煩雑さを一切解消できる省配線システムです。」と説明され、KV-700シリーズ基本ユニットとセンサ間を上記QLシリーズのケーブル、コネクタ等で接続された図が表示されている(2頁)。 また、同3-37頁には、QLシリーズのユニット「クイックワイヤゼロラインアダプタ QL-R01」に関連して当該アダプタに接続可能なセンサの説明に「ワンライン子機」として「《QL-R01》に接続することで、・・センサのON/OFFの出力を《KV》へ送信することができます。」の記載があり、「デュアルデジタル光ファイバセンサFS-V22」「オートチューニング式ファイバセンサFS-T2」について「受光量、しきい値の読み出し、しきい値の書き込みができます。」の記載があり、3-41頁には、「センサユニットのセンサ受光量データ、しきい値データを16ビットデータとして《KV》へ送信します。」の記載がある。 同3-43頁には、「センサユニットのしきい値を、《KV》の特殊補助リレーとデータメモリの設定により、QL通信ラインを解してリモート操作します。また、しきい値の書き込みもリモート操作します。」の記載がある。 (2)乙第5号証は、2010年に作成されたものと認められる「デジタルファイバセンサFS-V30/31(P)/31C(P)/31M/32(P)/32C(P)」に係る取扱説明書であり、仕様中の「種類」の欄に「子機(ワンライン)」があり、FS-V32等が紹介されている。 (3)乙第14号証は、被請求人の売上伝票であり、2010年7月15日に島根県所在の企業にデジタルファイバセンサ「FS-V12」をPLC「KV-700」及びワンタッチセンサリンクシステム「QL-R01」等と共に販売したことが記載されている。 (4)乙第15号証は、被請求人の売上伝票であり、2011年5月19日に埼玉県川口市所在の企業に「メガファイバセンサ FS-V32」をPLC「KV-16AT」及びワンタッチセンサリンクシステム「QL-R01」等と共に販売したことが記載されている。 2 上記1によれば、以下の事実が認められる。 (1)被請求人(商標権者)は、2010年7月15日に「ファイバセンサ FS-V12」を販売(譲渡)したことが認められ、同時に販売されたワンタッチセンサリンクシステム「QL-R01」のマニュアルには、「FS-V12」を「ワンライン子機」の商標(使用商標1)をもって紹介されている。そして、当該マニュアルは、上記「QL-R01」の販売時に頒布されるものと推認できるから、上記日にちに「ファイバセンサ FS-V12」に使用商標1を上記マニュアル(広告)に使用して頒布したものと認めることができる。 (2)被請求人(商標権者)は、2011年5月19日に「ファイバセンサ FS-V32」を販売(譲渡)したことが認められ、その取扱説明書には、当該センサについて「子機(ワンライン)」の商標(以下「使用商標2」といい、使用商標1と共に「使用商標」という場合がある。)が表示されている。したがって、上記日にちに使用商標2を取扱説明書(取引書類)に使用して頒布したものと認めることができる。 (3)使用商品について 使用商標に係る「センサ」(以下「本件センサ」という。)は、上記1(1)によれば、センサのON/OFFをPLCに送信できるだけではなく、受光量やしきい値の読み出し、しきい値の書き込みを行うことができるもので、通信配線(アダプタ「QL-R01」を含む。)を介して、PLCと上記情報を通信する機能を有するものであり、通信を用いて、遠隔的に測定制御するものといえる。 そうとすると、本件センサは、「電気通信機械器具」中の「遠隔測定制御機械器具」の範ちゅうの商品と認められる。 この点について、請求人は、センサ(ユニット)の測定データは、QL-R01により読み取られるだけであって、センサユニットは、直接上位装置のPLCから通信によって遠隔的に操作されるような通信手段を持っていない、と主張しているが、QL-R01は、単なる接続装置(アダプタ)であって、それ自体に例えば、センサのデータ等を読み取る機能はなく、本件センサは、上記のとおり通信機能を有するものと認められるから、請求人の主張は採用できない。 (3)使用商標について、 使用商標は、「ワンライン子機」及び「子機(ワンライン)」であるが、その構成中の「子機」の文字部分は、PLC(親機)に対して、子機の役割を有することを説明するものであって、自他商品の識別力を有するものではないから、使用商標において、自他商品の識別標識として機能するのは、「ワンライン」の文字部分である。 そこで、本件商標「ONE LINE」と使用商標の要部である「ワンライン」を比較するに、使用商標は、「ONE LINE」の読みを片仮名で表したものであり、両者は、「ワンライン」の称呼を共通にし、「一本のライン」の観念を共通にするものである。 そうすると、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標であると認められる。 この点について、請求人は、乙第2号証の2の「ワンライン子機」の表示は、「ワンライン方式又は機能を有する子機」である、との説明句にすぎず、この部分は商標としての機能を有しないと主張しているが、上記表示は、「FS-V12」「FS-T2」等のセンサを表すものとして使用されているものであり、当該センサについて使用される商標として見て差し支えないものというべきであるから、請求人の主張は採用できない。 (4)使用時期について、 上記(1)及び(2)の広告及び取引書類の頒布時期である2010(平成22年)年7月15日及び2011(平成23年)年5月19日は、いずれも本件審判請求の登録(平成24年8月1日)前3年以内である。 3 むすび 以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者が請求に係る指定商品である第9類「電気通信機械器具」の範疇に含まれると認められる本件センサについて本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用していたことを証明したというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、上記請求に係る指定商品についての登録を取り消すべき限りでない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審決日 | 2013-05-02 |
出願番号 | 商願平9-132153 |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Z09)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
内山 進 大森 健司 |
登録日 | 1998-10-30 |
登録番号 | 商標登録第4205186号(T4205186) |
商標の称呼 | ワンライン |
代理人 | 永田 健太郎 |
代理人 | 平山 一幸 |
復代理人 | 森田 義則 |
代理人 | 青山 剛 |