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審決分類 審判 一部無効 称呼類似 無効としない X29
管理番号 1278992 
審判番号 無効2013-890021 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 無効の審決 
審判請求日 2013-03-15 
確定日 2013-09-02 
事件の表示 上記当事者間の登録第5508455号商標の商標登録無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
登録第5508455号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成よりなり、平成23年11月29日に登録出願され、第29類「肉製品,加工水産物,冷凍野菜,油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,お茶漬けのり,ふりかけ」を指定商品として、平成24年5月11日に登録査定、同年7月20日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定商品中『油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆』についての登録は無効とする、審判費用は被請求人の負担とする」との審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第9号証を提出した。
1 引用商標
登録第2207354号商標(以下「引用商標という。)
商標の構成 別掲2のとおり
出願日 昭和61年11月21日
登録日 平成2年1月30日
指定商品(指定商品の書換登録後) 第29類「納豆」
2 請求人の主張及び利害関係
請求人は、引用商標の商標権者であり、本件商標は、この引用商標と類似するため、指定商品中「油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」については、商標法第4条第1項第11号に該当する商標である旨を主張するものである。
3 本件商標と引用商標との類似
(1)本件商標の構成
本件商標は、まず、接触していない外観、文字の大きさや、配色の相違から、明らかに大きく3つのブロック、ア)「にんにん」、イ)「手のり忍者」、ウ)「味道楽丸」に分断して認識できる構成となっている。
ア)左上部の「にんにん」の文字は、明るい黄色の輪郭背景中に、補色に近い茶色で描かれており、平仮名のため画数も少なく、それなりに他の要部と分離され、ある程度目立つ存在になっている。
同「にんにん」の語は、広辞苑(第6版・甲3)において、「ニンニン」につき「人人」の記載があるとしても、日常使用されることのない言葉であるため、通常、意味の分からない造語と認識される語でしかない。
イ)右上部の「手のり忍者」の文字は、上記「にんにん」と色彩が反転した暗い背景で、かつ、「にんにん」の1/3程度の小さな活字で描かれ、「手に乗せることができる忍者」の意味合いが生ずるとしても、直感的に理解し難い語よりなっており、外観からも目立つ存在とも言い難い。
ウ)下段の「味道楽」「丸」の文字は、白色地にグレイで寵文字風に縁取りしてあり、上記「にんにん」と比べ4倍程度の大きな活字で表示され、目立つ赤色で、画数や面積も多くなっているため、最も目立つ圧倒的な要部ということができる構成となっている。
しかし、「味道楽」の文字に対し、「丸」の漢字は、やや、ポイントを下げた記載で、右端に付加したもの、と一見して認識できる構成となっているものであり、必ずしも一連一体的な表示とはなっていない。
以上の構成を一見した取引者・需要者は、「味道楽丸」の部分が圧倒的要部として眼に映じ、他の要部「にんにん」との結合や、「手のり忍者」との結合関係が、意味合いからも、色彩関連からも、直ちに密接な結合関係にあると理解・認識できるとは考えられず、緊密な一体感が全体として直感できるとは言い難い商標となっている。
まして、本件商標の上段から、無理やり「“にんにん”という名称の“手に乗せられる忍者”」と解したとしても、それが「“味道楽丸”」と、どのように関連して解釈すればよいのか理解に苦しむ構成となっている。
また、それでもストーリー性を有する一体不可分の商標と解するならば、各要部は省略できず、「ニンニンテノリニンジャアジドウラクマル」なる18音構成の極めて冗長な商標となってしまい、必然的に省略した要部を探さざるを得ない商標となっている。
したがって、本件商標の構成中、外観的にも、色彩的にも、圧倒的な「味道楽丸」を要部として抽出し、これと引用商標「味道楽」とを比較することは、なんら不自然な観察方法ではないと考えられる。
(2)要部「味道楽丸」について
まず、「味道楽丸」なる文字は、「味」(飲食物が舌の味覚神経に触れた時におこる感覚)(広辞苑第6版・甲4)、「道楽」(本職以外の趣味などにふけり楽しむこと)(同・甲5)、「丸」(接尾語-ア)「麻呂」の転。人名の下につける語。イ)名刀の名の下につける語。ウ)鎧の名の下につける語。エ)笛・筝など楽器の名の下につける語。オ)船舶の名の下につける語。)(同・甲6)の3語から構成されていることが理解できる。
この3語の中間にある「道楽」と前語「味」とを結合した「味道楽」の語は、「味覚を趣味としてこれにふけり楽しむ」の意味合いを直ちに理解でき、「酒道楽」「釣り道楽」「遊び道楽」「女道楽」「写真道楽」「食道楽」等と同様に、日常多く親しく使用されている語句であって、「味」と「道楽」の間を分離することの方が各種「道楽」の細分化された明確な意味合いを損なうため、密接な結合関係にあることが理解できる。
これに対し、「道楽」と語尾「丸」とを結合した「道楽丸」なる語は、「なんらかの語尾に付した名称的意味合い」は漠然と感じるものの、それ自体世間的に親しまれ、通用する用語となっているものではなく、また、同様に、全体を結合した「味道楽丸」も不可分一体となった結合的意味合いを直ちに理解・認識させるものではない。
つまり、「味道楽丸」なる語は、意味合いからも「味道楽」の一般的用語に、「丸」が意味不明のまま、不自然に付加された構成となっており、外観的にも「味道楽」の文字に、ポイントを下げた活字を付加した、と一見して認識できる構成となっていることから、これを採択した権利者が自ら「味道楽」と「丸」の間のウェイトが相違し、結合関係が薄いことを自認してデザインしていることが理解できる。
(3)本件商標と引用商標との類否
以上の如く、本件商標は、まず第一に、上段の「“にんにん”なる名称の“手のり忍者”」の構成要素と、下段の繋がりが不明な「味道楽丸」の構成要素が、明らかに分離できる構成態様からなっており、この「味道楽丸」の文字も、「味道楽」と「丸」の関連が不明確で、単に、「丸」の文字が付加されたと理解される構成からなっている。
これに対し、引用商標は、「毛書体」「縦書き」で、外観は相違するものの、「味道楽」の称呼・観念を共通にするものであり、引用商標を付した商品、又は、本件商標を附した商品が「角型」や「丸型」の容器に収納されていた場合を考慮すると、姉妹品として「味道楽・角」や「味道楽・丸」の表記も考えられるところで、「味道楽」の部分が要部となり、出所の混同を生ずること明らかと認識できる商標である。
つまり、商標権者の「ふりかけ」に関する「味道楽丸」なる使用は、「味道楽B」や「味道楽C」と同様に、姉妹品を意識させるため使用するものであり、第三者が商品「ふりかけ」に「味道楽丸」なる商標を併存使用した場合を考慮すれば、その出所の混同の可能性が、明らかに想定できるものと考えられ、明らかに類似する商標と言わざるを得ない。
(4)現実の使用について
請求人は、甲第7号証に示すとおり、商品「納豆」につき「味道楽」の商標を使用し、現在、業界でのランキング「第2位・第5位」(パッケージの容量の相違)の上位を占める、極めて好評な商品の販売を行っている。
これに対し、被請求人は、甲第8号証に示すとおり、他のジャンル(類似群)ではあるが、商品「ふりかけ」につき「味道楽」の商標を使用した商品が同一のランキングで「第8位」に存在しているも、現に販売されている本件商標を使用した商品(甲9)は、その30位にも入っていない。
甲第9号証を見れば、確かにキャラクター漫画の図と共に「味道楽丸」商標を使用しているが、これは同一人の販売する前記「味道楽」の姉妹品として相乗効果を果たすため、出所の混同を意図して使用しているにすぎない用例である。
しかるに、本件の審判請求は、そのキャラクターが見当たらない本件商標自体との類否関係で、かつ、請求人が現に販売している「納豆」、又は、明らかな類似商品に使用される可能性に対し請求しているものである。
したがって、その可能性が商標権の指定商品として存する以上、将来の使用、又は、他者に対する使用権の設定等の可能性を明確に避けるべく、同指定商品部分の無効を請求せざるを得ない状況となっている。

第3 被請求人の主張
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証及び乙第2号証を提出した。
1 本件商標と引用商標の非類似
(1)外観上の相違
本件商標と引用商標の外観について比較すると、本件商標は、別掲1のとおり、上段を、黄色の地に濃色の文字「にんにん」、黒色の輪郭内に黄色で「手のり忍者」と表わし、下段は、赤色で大きく「味道楽丸」と表わし、その文字を白色の地と、周囲の黒色の輪郭線で囲み、左横書きした構成からなる。
他方、引用商標は、漢字「味道楽」を筆文字で縦書きした構成からなり、両者は、構成の全体、構成各文字、構成文字数、基本的態様において相違し、外観構成において顕著な相違を有する外観上非類似の商標であることが明白である。
(2)称呼上の相違
ア 本件商標と引用商標の称呼上の類否について検討すると、本件商標からは、上記構成に相応して「ニンニンテノリニンジャアジドーラクマル」、「ニンニンテノリニンジャ」、「ニンニン」、「テノリニンジャ」、「アジドーラクマル」、「ドーラクマル」の各称呼が生じうることが認められるが、これ以外の称呼は生じない。
他方、引用商標からは、その構成に相応して「アジドウラク」の称呼が生じる。
よって、本件商標と引用商標とは、構成音数を相違してなる称呼上非類似の商標であることが明白である。
イ 請求人は、本件商標中より「味道楽丸」のみを要部として抽出され、さらに、当該部分について、「アジドウラクマル」のみならず「アジドウラク」のみの称呼をも生ずると主張されるが、以下の理由により、その主張は認められない。
当該「味道楽丸」の文字は、構成各文字を、同一の書体、同一文字種で、間隔を置くことなく、一連かつ一体として表わされており、「味道楽丸」が一体不可分に構成されていることは、その外観構成上明らかである。
当該「味道楽丸」の文字は、鮮明な印象を与える赤色で対比的な白色の地の上に表わされ、さらに、「味道楽丸」の周囲を黒色の輪郭線で囲んで一体のものと構成している。特に、複雑な輪郭線が、一筆で、すなわち、連続して途切れることなく、当該「味道楽丸」の全体を囲んで当該「味道楽丸」の全体性が強調されている。
当該「味道楽丸」の発音「アジドウラクマル」は、全体で7音からなる比較的短いものであって、その全体の発音も歯切れよくリズミカル、かつ自然な音構成からなる。その全体的発音は何ら冗長、不自然なものではなく、その一部のみで抽出されたり、略称されるものではない。いかに現実の取引市場における取引が簡易、迅速を旨とするといっても、不可分一体に構成され、全体としての発音も自然な「味道楽丸」の部分を、その構成を無視して、あえて「アジドウラク」とのみ略称される可能性など想定できない。
本件商標は、上段に「にんにん」、「手のり忍者」の文字が表わされ、「にんにん」は忍者(忍びの者)をいういわば幼児語で、「手のり忍者」は、ある種小さな忍者を意味し、その忍者の名前が「味道楽丸」であることが感得される。よって、全体的な意味内容、印象について、忍者の名前「味道楽丸」として一体不可分のものと認識、記憶され、「味道楽丸」の部分は、常に「アジドウラクマル」とその全体で称呼されるものである。
ウ 以上のとおり、本件商標に接する取引者、需要者は、常にその全体で一個の商標を構成するものと正しく認識、記憶され、一体不可分に理解されるものである。本件商標中「味道楽丸」の部分のみを抽出して略称され得るとしても、それを、さらに、「味道楽」と略称することなど想定できない。 引用商標は、本件商標と構成各音、構成音数において相違する称呼上も非類似の商標であることは明白である。
(3)観念上の相違
ア 本件商標と引用商標の観念について、本件商標は、「にんにん」が忍者(忍びの者)、「手のり忍者」は、ある種小さな忍者を意味し、その忍者の名前「味道楽丸」を意味し、これが、「味の道楽、味覚上の道楽」を意味する引用商標の観念「味道楽」と相違することは明白である。
イ 本件商標中「味道楽丸」の部分のみについてみても「味道楽丸」は、忍者の名前を意味するものであって、これが「味の道楽」を意味する引用商標とは明らかな意味、観念、イメージの相違があり、本件商標と引用商標とは、観念上も非類似の商標であることが明らかである。
(4)「味道楽」は識別力が弱い要素であること
引用商標「味道楽」について、「味の、味覚の道楽」を意味するにすぎず、各種食品の効果、効能、内容に関する用語であって、好ましい印象を与える用語である。したがって、食品業界においては好んで用いられていて、各種商品分野において、多数の業者が「味道楽」、「味道楽」を含む商標を登録している。
「味道楽」について、その全体で自他商品識別力を認められるとしても、それが弱いことは否定できない。
かかる識別力の弱い部分のみをもって、本件商標が略称され得るというものではない。本件商標中に「味道楽丸」の文字が含まれ、「味」、「道楽」、「丸」なる用語があるといっても、本件商標が、「味」、「道楽」、「丸」なる一部のみでは略称されたり、特定されないのと同様、「味道楽」のみで略称され、特定され得るものではないことが明白である。
2 請求人の主張に対する反論
請求人の主張「3 本件商標と引用商標の類否」の各項に対する反論を以下のとおり加える。
(1)請求人は、本件商標の構成について、「味道楽丸」の部分が他の要素と密接な結合関係にあるものではないと主張するが、本件商標の全体的構成を無視する主張であって、認められない。
外観的にも全体で一個の商標を構成している。各要素について、「にんにん」が忍者(忍びの者)、「手のり忍者」がある種小さな忍者を意味し、その忍者の名前「味道楽丸」の全体が関連し、「味道楽丸」の意味内容を規定している。
そもそも、本件商標について「味道楽丸」の部分をもって要部とされ得るとしても、当該部分について、これが引用商標と類似するものではない。
(2)同項の「(2)要部『味道楽丸』について」における請求人の主張も認められない。「味」、「道楽」、「丸」の各語を分析しても、本件商標について「味道楽」が要部となることの根拠となるものではない。そもそも、上記各語について、指定商品との関係で最も識別力が弱い用語は、甲第4号証の意味を有する「味」であって、本件商標の一部を無理に捨象するのであれば「道楽丸」ということになる。
また、請求人は、「味道楽」についてある種の内容に関する意味を理解させるといわれるが、請求人の言うとおり、味の道楽を意味するということは、自他商品識別力が弱い用語であることを認めることであり、請求人の主張、その提出に係る甲第4号証、甲第5号証を基礎に「味道楽」は、味の道楽を意味する識別力の弱い要素ということになる。
請求人は、本件商標中の「丸」の文字がポイントを下げた活字といわれるが、極めてわずかな大きさの相違にすぎず、鮮明な赤色で、同書、同大、同一文字で一連、一体に表示してなり、その全体を輪郭線で囲って一体的に表してなること、全体構成中における忍者の名前としての「味道楽丸」なる統一的な観念を看過する主張であって、認められない。
(3)同項「(3)本件商標と引用商標との類否」に関する請求人の主張が認められないことは、前述したとおりであり、出所混同を生じるおそれはない。丸型の容器を意味するとの主張は不可解である。「味道楽丸」は不可分一体であって、「味道楽」の姉妹品と誤解されるおそれなど想定できない。
(4)同項「(4)現実の使用について」における請求人の主張も認められない。引用商標の業界におけるランキングの主張も認められない。わずかな用例でも検索されるこの種ネット上の記事を甲第7号証で抽出されることをもって、請求人の主張が認められるものではない。仮に、引用商標の周知、著名を主張するのであればそれがどの様に使用されたかを詳細に説明し、業界紙、一般紙など新聞、雑誌の記事、広告などの客観的な資料を充分に提出しなければならない。この程度の資料で、引用商標が特段有名である、ランキングが高いとは認められない。
むしろ、請求人が甲第7号証で示す請求人の納豆「味道楽」と、甲第9号証で示す被請求人の本件商標を使用している「ふりかけ」について、出所混同を生じるおそれのないこと、さらに、本件商標が「ふりかけ」以外の本件無効審判の対象とされた「油揚げ,凍り豆腐,こんにゃく,豆乳,豆腐,納豆」などの商品に使用されても混同のおそれなどないことが、市場における実際として示されている。
3 むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、引用商標と類似するものではなく、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。

第4 当審の判断
1 本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「味道楽丸」の文字を大きく表し、その左上に黄色地に茶色で書してなる「にんにん」の文字を配し、同じく右上に茶色の縁取りをした黄色の「手のり忍者」の文字を配してなるものであり、上部の各文字は、「味道楽丸」の文字に近接してまとまりよく書してなるものである。
そこで、まず「味道楽丸」の文字についてみると、「味」は、「飲食物が舌の味覚神経に触れた時におこる感覚」(甲4)を意味する文字であり、「道楽」は、「本職以外の趣味などにふけり楽しむこと」(甲5)を意味する語であり、「丸」は、「人名の下に付ける語」(甲6)である。
また、「手のり忍者」は、「手のり」と「忍者」の語を結合したものと容易に認識されるものであり、「手のり」の部分は、「忍者」を修飾(説明)する部分と認識されるものである。
そうすると、前記のとおり、「手のり忍者」の部分が「味道楽丸」に近接して表されていること、「手のり忍者」の部分が「忍者」を認識させること、さらに、「味道楽丸」が末尾に「丸」の文字を有することにより、一つの人名を表すものとして認識され易いことからすると、「手のり忍者」及び「味道楽丸」の部分は、全体として、「(手のり)忍者の味道楽丸」の意味合いを容易に認識させるものである。
そうすると、「味道楽」が、「味」及び「道楽」の文字の上記意味合いから、「味にふけり楽しむこと」ほどの意味合いを認識させるものであるとしても、「味道楽丸」は、「味道楽」に「丸」を結合して上記のとおり、忍者名を表したものとして認識されるというべきである。
また、「味道楽丸」の部分は、「丸」の文字が他の文字に比べてやや小さいが、文字の大小も著しく相違するものではなく、文字の太さもほぼ同一であり、かつ、等間隔に同じ赤色の文字で同様に縁取りをして一体に表されてなるものであって、外観上、「味道楽」の文字部分が殊更に印象・記憶に残る態様ではない。
そうとすると、「味道楽丸」の文字部分は、一体不可分のものとして認識されるというべきであるから、本件商標は、その構成全体より「ニンニンテノリニンジャアジドウラクマル」の称呼を生じ、また、「手のり忍者」及び「味道楽丸」の文字から「テノリニンジャアジドウラクマル」の称呼を生じ、「味道楽丸」の文字から、「アジドウラクマル」の称呼を生じるというのが相当であり、「(手のり)忍者の味道楽丸」の観念を生じるものと認められる。
2 引用商標
引用商標は、別掲2のとおり、「味道楽」の文字を書してなるものであるから、「アジドウラク」の称呼を生じ、「味にふけり楽しむこと」程の観念を生じさせるものである。
3 本件商標と引用商標の類否
(1)外観について
本件商標と引用商標は、それぞれ別掲1及び2のとおりの構成よりなるものであるから、「味道楽」の文字を有する点において、共通する点はあるものの、本件商標の「味道楽丸」と引用商標の「味道楽」とは、そのレタリング方法が顕著に相違し、また、本件商標は、「味道楽」の部分のみが強く印象に残るものとはいえず、その構成中に「にんにん」の部分と「手のり忍者」の部分も顕著に表されているから、両商標は、外観において著しく相違しているものである。
(2)称呼について
本件商標から生じる「ニンニンテノリニンジャアジドウラクマル」「テノリニンジャアジドウラクマル」「アジドウラクマル」の称呼と、引用商標から生じる「アジドウラク」の称呼とは、いずれも構成音数及び音構成を明らかに異にするものであり、相紛れるおそれはない。
(3)観念について
本件商標から生じる「(手のり)忍者の味道楽丸」の観念と引用商標から生じる「味にふけり楽しむこと」とは、明らかに区別し得るものである。
(4)取引の実情について
請求人の提出した甲第7号証によれば、引用商標には、納豆について使用されてきたことが認められ、当該納豆が、納豆に関するランキングにおいて高順位に評価されていることから(ただし、ランキングの時期は、本件商標の登録査定後である。)、当該商品の売上高等の販売の事実や宣伝広告の事実等は不明であるものの、引用商標が需要者の間にある程度知られているものといえなくもないが、本件商標が引用商標とその出所について混同のおそれがあると解されるような格別の取引の実情は認められない。
(5)以上によれば、本件商標と引用商標は、外観、称呼、観念いずれにおいても類似するものではなく、また、本件商標が引用商標とその出所について混同のおそれがあるとすべき取引の実情も認められないから、本件商標と引用商標とが類似する商標であるということができない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものでないから、同法第46条第1項の規定により、その登録を無効とすべきでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は原本参照)

2 引用商標


審理終結日 2013-07-09 
結審通知日 2013-07-11 
審決日 2013-07-25 
出願番号 商願2011-85364(T2011-85364) 
審決分類 T 1 12・ 262- Y (X29)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 深田 彩紀子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
登録日 2012-07-20 
登録番号 商標登録第5508455号(T5508455) 
商標の称呼 ニンニンテノリニンジャアジドーラクマル、ニンニンテノリニンジャ、ニンニン、テノリニンジャ、アジドーラクマル、ドーラクマル 
代理人 高橋 康夫 
代理人 特許業務法人松田特許事務所 

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