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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y07
管理番号 1278945 
審判番号 取消2012-300666 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-08-23 
確定日 2013-08-26 
事件の表示 上記当事者間の登録第4798909号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4798909号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年6月16日に登録出願、第7類「化学反応・化学処理・酸化還元・化学物質供給・化学物質生成のための化学機械器具」を指定商品として、同16年9月3日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出している。
請求人は、本件商標の使用状況について調査を行ったが、商標権者が本件商標を指定商品について使用した事実及び使用している事実を発見することができなかった。また、請求人は、本件商標の登録原簿の閲覧請求を行い、専用使用権者及び通常使用権者の登録状況を調査したが、何れの使用権者も登録された事実はなかった。
そのため、本件商標は、日本国内において継続して3年以上、商標権者、専用使用権者、通常使用権者(未登録の者も含む)が上記指定商品について、使用をしていない登録商標である蓋然性が非常に高い。
したがって、本件商標は、商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消すべきものである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第3号証(枝番を含む。)を提出している。
1 本件商標の使用の証拠について
(1)乙第1号証の1は、本件商標と社会通念上同一の商標が使用されている製品のパンフレットの写しであり、該パンフレットは、最終ページ右下に記載された「2010-01」の文字より、2010年(平成22年)1月に作成され、それ以降に使用されたものである。
乙第1号証の2は、上記パンフレット等の印刷を行ったコーホク印刷株式会社(以下「コーホク印刷」という。)が、2010年(平成22年)2月8日に株式会社エヌ・エス・ピイ(以下「エヌエスピイ社」という。)に対して発行した納品書の写しである。
乙第1号証の3は、エヌエスピイ社が2010年(平成22年)3月31日に財団法人東京都中小企業振興公社に対して提出した「平成21年度受注開拓緊急支援助成事業実績報告書(展示会参加費用等の助成)」の写しである。
(2)乙第2号証の1は、乙第1号証の1に掲載された製品と同一の製品についての現在のパンフレットの写しであり、該パンフレットは、表紙の右肩にある「2011-07」の文字よりして、2011年(平成23年)7月に作成されたものであって(なお、印刷ミスにより、当該部分に「2010-01」の文字が印刷されていたため、シールを貼付して対応している。)、それ以降現在に至るまで使用されているものである。
乙第2号証の2は、上記パンフレット等の印刷を行ったコーホク印刷が、2011年(平成23年)7月25日にエヌエスピイ社に対して発行した納品書の写しである。
(3)乙第3号証は、エヌエスピイ社が株式会社大泉スワロー体育クラブに対して2012年(平成24年)6月28日に発行した納品書の写しである。
2 本件商標の使用の事実について
上記1の証拠は、いずれも要証期間内に日本国内で作成・頒布等された証拠であるから、以下、上記証拠に基づき、本件商標の使用の事実を詳述する。
(1)「通常使用権者」による使用
乙第1号証の3及び乙第3号証から明らかなとおり、エヌエスピイ社は、本件商標の商標権者である被請求人が代表取締役を務める会社である。このような両者の関係に鑑みれば、本件商標に関しては、被請求人が個人として商標権を所有した上で、エヌエスピイ社に対して、本件商標の通常使用権を黙示的に許諾しているものと解するのが自然である。
(2)「指定商品」についての使用
通常使用権者が製造・販売する商品は、「殺菌剤を生成する装置」(以下「本件商品」という。)である。この点については、乙第2号証の1の表紙右肩に「殺菌剤生成装置」と記載されており、また、各パンフレットの裏表紙に「有効塩素生産能力」(乙第1号証の1)や「MIOX換算の塩素量生産能力」(乙第2号証の1)が記載されていることからも十分理解できるものと思われる。
より具体的に説明すると、本件商品は、塩化ナトリウムの溶液を独自の特殊電解セルを用いて電気分解させることによって、数種類の酸化特性をもった物質を混合した酸化剤(化学物質)を生成する装置である(乙第2号証の1)。そして、本件商品をポンプ等に接続して、当該物質を供給することで、本件商品の利用者は、水泳プールの水、工業過程で使用される水等を殺菌浄化することが可能となる。
つまり、本件商品は、浄水等を目的に使用されるものではあるが、一般的な「浄水装置」とは異なり、水そのものを浄化する商品ではなく、水を浄化させる機能をもつ化学物質を化学反応・化学処理・酸化還元によって生成し、それを供給する商品である。
したがって、本件商標は、第7類「化学反応・化学処理・酸化還元・化学物質供給・化学物質生成のための化学機械器具」に該当する商品である。
(3)「登録商標(社会通念上同一の商標を含む)」の使用
ア 本件商標は、左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、その欧文字の上部にその読みである「マイオックス」の片仮名文字を青色で書してなる商標である。
イ 一方、乙第1号証の1のパンフレットの表紙には、別掲2のとおり、左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、その欧文字の下部にその読みである「マイオックス」の片仮名文字を黒色で書してなる標章(以下「使用標章1」という。)が表示されている。
使用標章1は、「マイオックス」の片仮名文字の位置及び色彩が、本件商標とは異なるものの、この程度の変更は、登録商標の使用に当たって通常一般に行われるものであり、かつ、本件商標が有する独自の識別性に影響を与えるものではないから、使用標章1は、本件商標と社会通念上同一の商標である。
ウ 乙第2号証の1のパンフレットの表紙には、別掲3のとおり、左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、その欧文字の上部に青色で「NSP」の文字を書し、更に「MIOX」の文字の下部に「エヌ・エス・ピイ マイオックス」の片仮名文字を書してなる標章(以下「使用標章2」という。)が表示されている。
使用標章2は、「NSP」及び「エヌ・エス・ピイ」の文字が付加されている点で本件商標とは異なるものの、「NSP」の文字と「MIOX」の文字とは色彩が明らかに異なること、及び乙第2号証の1の使用者がエヌエスピイ社であることが同一頁に明記されていることからすれば、不可分一体に融合した一の標章というよりも、被請求人の代表的標章(いわゆるハウスマーク)である「NSP」の標章と本件商標とが併記されたものとして看取されるというのが相当である(なお、上記表紙に掲載された製品写真には、製品自体に本件商標中の「水滴状図形」と「MIOX」の文字がシールで貼付されており、「MIOX」の標章が「NSP」の標章とは別個に単独で表示されている。)。
以上よりすれば、使用標章2も本件商標と社会通念上同一の商標である。
エ 次に、乙第3号証の納品書には、別掲4のとおり、左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、更にその欧文字の上部にその読みである「マイオックス」の片仮名文字を青色で書してなる標章(以下「使用標章3」という。)が表示されており、使用標章3は、本件商標と同一の構成よりなる商標である。
(4)商標法第2条第3項に規定する「使用」
ア 本件商標と社会通念上同一の商標である使用標章1が付された乙第1号証の1は、2000部印刷された上で(乙第1号証の2)、平成22年2月10日から同月12日まで東京ビッグサイトで開催された「第34回地球環境とエネルギーの調和展ENEX2010」(以下「ENEX2010」という。)で来場者に頒布されたものである(乙第1号証の3)。
なお、乙第1号証の2のみでは、乙第1号証の1の印刷に関する納品書であることにつき疑義があると思われるため、これが乙第1号証の1の印刷に関するものであること及び乙第1号証の1が展示・頒布されたことを証明すべく、乙第1号証の3を提出する。
財団法人東京都中小企業振興公社は、都内中小企業者等が国内外の見本市へ出展する際の経費や、製品カタログ・パンフレット等を作成する経費の助成を行う公社であるが(乙第1号証の4)、乙第1号証の3は、平成21年度に助成を受けた通常使用権者が上記公社に提出した報告書である。
この乙第1号証の3の12枚目の「5.展示会別報告書」には、ENEX2010において、通常使用権者の製品「MIOX」のパンフレットが展示された旨が記載されている。
また、同じく11枚目の「経費別支払明細表」には、ENEX2010において使用されたパンフレットに関する経費が記載されており、当該欄に記載の金額「587,000円」、納品年月日「平成22年2月8日」及び支払先企業名「コーホク印刷株式会社」は、すべて乙第1号証の2と一致するものである。
これらの状況を総合勘案すれば、乙第1号証の2は、乙第1号証の1等のパンフレットに関する納品書であるとみるのが相当であり、これによって、乙第1号証の1のパンフレットが2,000部作成されたことが示される。
そして、乙第1号証の1のパンフレットは、「ENEX2010」において展示・頒布されたものであるから(乙第1号証の3)、かかる通常使用権者の行為は、「商品に関する取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
なお、付言するに、一般に各種の企業が自らの取り扱いに係る商品について製品カタログを作成することは、商品の販売促進に資するためのものであって、当然に各顧客に頒布し使用されるものである。そうすると、乙第1号証の3のみによっては、乙第1号証の1の展示・頒布の事実が明確ではないとしても、乙第1号証の1は、その体裁からして実際に頒布されたものであることを十分に推認し得るものである。
イ 次に、本件商標と同一の商標が付された乙第3号証の納品書は、株式会社大泉スワロー体育クラブより商品「NSP・MIOX」の発注があり、それを通常使用権者が受注、出荷、納品したことを示すものであって、本件審判請求の登録日前に「MIOX」の標章を付した商品が取り引きされていた事実が示されている。
なお、この納品書の取引が示す製品が、乙第2号証の1に掲載の製品であることは、納品書における「NSP・MIOX」の文字(乙第2号証の1に記載の商品名と同一である。)及び「40システム」の文字(乙第2号証の1の裏表紙に「機種」として「40シリーズ」が掲載されている。)からして、明らかである。
ウ かかる通常使用権者の行為は、「商品に関する取引書類に標章を付して頒布する行為」(商標法第2条第3項第8号)に該当するものである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標が請求に係る指定商品「化学反応・化学処理・酸化還元・化学物質供給・化学物質生成のための化学機械器具」について、本件審判請求の登録前3年以内に使用されていることは、乙各号証より明らかであるから、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。
よって、本件審判の請求は成り立たない。

第4 請求人の弁駁
請求人は、前記第3の被請求人の答弁に対して、何ら弁駁をしていない。

第5 当審の判断
1 本件商標の使用者について
被請求人は、本件商標が通常使用権者によって使用されている旨主張しており、エヌエスピイ社が本件商標に係る通常使用権者であることについては当事者間に争いがないが、念の為検討する。
ところで、通常使用権の許諾は、明文の契約に限らず、黙示の契約によっても可能であり、商標法第50条における通常使用権者による登録商標の使用というために通常使用権の登録を要するものではない(知的財産高裁平成21年(行ケ)第10290号、平成22年2月25日判決参照)。
これを本件についてみるに、被請求人の提出に係る乙第1号証の3の「平成21年度受注開拓緊急支援助成事業実績報告書」の提出者欄の記載及び第3号証の「納品書」の発行者欄の記載によれば、被請求人はエヌエスピイ社の代表者と認められる。そして、取引の経験則によれば、本件商標権者たる被請求人が、黙示の契約により本件商標権についてエヌエスピイ社に通常使用権を許諾しているものとみても不自然ではないから、エヌエスピイ社は本件商標の通常使用権者の立場にあるものというべきである。
2 本件商標の使用について
(1)被請求人は、通常使用権者が本件商品(殺菌剤を生成する装置)について本件商標を使用している旨主張し、証拠を提出しているので、以下、該証拠について検討する。
ア 乙第1号証の1は、エヌエスピイ社の発行に係る商品パンフレットの写しと認められるところ、その表紙には、中央に使用標章1(左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、その欧文字の下部に「マイオックス」の文字を黒色で小さく併記した構成からなる標章)が大きく表示されているほか、「塩と水を使う殺菌浄化装置」及び「だから、安心・安全です。」の語句や「NSP・MIOX」、「NSP CORPORATION」等の文字が表示されている。2枚目以降には、当該商品について、図解、システムフロー図、他の殺菌剤との比較表、写真等と共に説明されている。例えば、「新世紀の水処理技術」、「安心・安全、人に優しい」及び「NSP・MIOX」の表題下に、「塩と水を使う画期的な殺菌浄化装置です。」、「塩と水を使い電解セルで消毒殺菌液(混合酸化剤)を生成します。」、「混合酸化剤とは? 塩水を使いMIOXの特許技術である電解セル(無隔膜電極によりプラス極マイナス極を単独に取りだす生成技術)により唯一生成することが可能な混合酸化溶液でありその力は・・・・」等の記述がされている。また、機種として「ECO-5-S(温浴施設向)」、「SAL-30、SAL-40(小型シリーズ)」、「MIOX-250、MIOX-500、MIOX-1001(大型シリーズ)」等が写真と共に掲げられ、それぞれの塩素生産能力、処理流量、塩消費量等が記載されている。
これらの説明によれば、上記パンフレットに掲載された商品は、殺菌剤を生成する装置(本件商品)といえるものであり、本件商標の指定商品「化学反応・化学処理・酸化還元・化学物質供給・化学物質生成のための化学機械器具」の範ちゅうに属する商品と認められる。
そして、上記パンフレットの表紙中央に大きく表示された使用標章1は、本件商標とは、「マイオックス」の文字の位置及び色彩が相違するのみで、他の構成部分(色彩を含む。)を略同一にするものであるから、社会通念上同一といえるものである。
また、上記パンフレットの裏表紙の右下隅には、「2010-01」の数字が小さく表示されている。
イ 乙第1号証の2は、コーホク印刷がエヌエスピイ社宛てに発行した2010年2月8日付「納品書」の写しと認められるところ、その品名欄に「A4リーフレットファイル」、「A3カタログ2種類(各2,000部)」、「A4カタログ4種類(各2,000部)」等と記載され、それぞれに応じた数量、単位、単価等が記載されている。
ウ 乙第1号証の3は、エヌエスピイ社が財団法人東京都中小企業振興公社宛てに提出した平成22年3月31日付「平成21年度受注開拓緊急支援助成事業実績報告書」の写しと認められるところ、その内容は、エヌエスピイ社が平成21年度の助成事業を実施したことを報告するものであり、付表として「助成事業実施内容および成果」、「助成事業収支決算書」、「経費別支払明細表(個別)」、「展示会別報告書」等が添付されている。
上記「経費別支払明細表(個別)」には、「品名・仕様」欄に「パンフレット・A3x3種、A4X4種、A4リーフレット」、「助成対象経費」欄に「587,000」、「納品年月日」欄に「22.3.8」、「支払先企業名」欄に「コーホク印刷株式会社」の各記載が見られる。また、上記「展示会別報告書」には、展示会名欄に「第34回地球環境とエネルギーの調和展ENEX2010」、開催期間欄に「平成22年2月10日?平成22年2月12日」、開催場所欄に「東京ビッグサイト西1、2ホール」とそれぞれ記載されているほか、出展状況として「水殺菌浄化システム:MIOXパネル、カタログ」等の説明がされ、出展ブースの状態を撮影した写真が掲載されている。
上記経費別支払明細表(個別)に記載された品名、金額、納品年月日及び支払先企業名は、乙第1号証の2の納品書に記載されたものと一致すること、乙第1号証の1の商品パンフレットの裏表紙に小さく表示された「2010-01」の数字は、取引の経験則上、2010年1月に制作されたことを示すものとみても不自然ではないこと、などからすると、乙第1号証の1の商品パンフレットは、コーホク印刷によって作成され、2010年2月8日にエヌエスピイ社に納品されたものとみても差し支えない。
そして、出展状況の説明及び写真に照らし、上記商品パンフレットは、平成22年2月10日から同月12まで開催されたENEX2010において展示、頒布されたものとみても不自然ではない。
エ 乙第2号証の1は、エヌエスピイ社の発行に係る商品パンフレットの写しと認められるところ、その表紙には、中央に使用標章2(左側に青色の水滴状の図形を配し、その図形に一部重なるように緑色で「MIOX」の欧文字を書し、これを挟んで上部に青色で「NSP」の文字を、下部に「エヌ・エス・ピイ マイオックス」の文字を配した構成からなる標章)が大きく表示されているほか、「殺菌剤生成装置」、「2011-07」、「従来の殺菌を超えた新殺菌浄化システム」、「NSP MIOX」、「安全・安心をお届けします」、「株式会社エヌ・エス・ピイ」等の文字が記載され、商品の写真が掲載されている。その2枚目以降には、乙第1号証の1のパンフレットに記載された商品説明と略同様の内容が記載されている。例えば、「NSP・MIOXとは」の項には、「塩と水を使い独自の特殊電解セルにより、数種類の酸化特性を持った物質が生成され混合された殺菌剤(混合酸化剤)です。」等と記述されている。また、機種として「20シリーズ」、「40シリーズ」、「80シリーズ」等が掲載され、それぞれの塩素量生産能力、処理量、塩消費量等が記載されている。
これらの説明からすると、上記商品パンフレットに掲載された商品も、乙第1号証の1の商品パンフレットに掲載された商品と同様、本件商標の指定商品「化学反応・化学処理・酸化還元・化学物質供給・化学物質生成のための化学機械器具」の範ちゅうに属する商品と認められる。
そして、上記パンフレットの表紙中央に大きく表示された使用標章2は、本件商標とは、「NSP」及び「エヌ・エス・ピイ」の文字が付加されている点並びに「マイオックス」の文字の位置及び色彩が相違する点を除き、他の構成部分を同一にするものであること、「NSP」及び「エヌ・エス・ピイ」の文字部分はエヌエスピイ社のハウスマークとして認識される余地があること、などを総合すると、本件商標と社会通念上同一といえるものである。
オ 乙第2号証の2は、コーホク印刷がエヌエスピイ社宛てに発行した2011年7月25日付「納品書」の写しと認められるところ、その品名欄に「パンフレット4種類」、「A3パンフレット4種類」と記載され、それぞれに応じた数量、単位、単価等が記載されている。
そして、乙第2号証の1の商品パンフレットは、その表紙の右上隅に小さく記載された「2011-07」の数字が、乙第1号証の1の商品パンフレットと同様に、2011年7月に制作されたことを示すものと見ても不自然ではなく、上記納品書と併せ考慮すれば、コーホク印刷によって制作され、2011年7月25日にエヌエスピイ社に納品されたものとみて差し支えない。
カ 乙第3号証は、エヌエスピイ社が株式会社大泉スワロー体育クラブ宛てに発行した平成24年6月28日付「納品書」の写しと認められるところ、その内訳欄に「NSP・MIOX 40システム」等と記載され、それに対応して数量、単価、金額が各欄に記載されている。上記「NSP・MIOX 40システム」の文字は、乙第2号証の1の商品パンフレット中に記載された「NSP・MIOX」、「NSP・MIOXのシステム例」、「40シリーズ」等の文字に照らし、上記商品パンフレットに掲載された商品を示すものとみるのが自然であるから、該商品が平成24年6月28日に取引されたものといえる。
そして、上記納品書の右上隅には、本件商標と同一と認められる標章(使用標章3)が表示されている。
(2)以上を総合すると、エヌエスピイ社は、本件審判の請求の登録(平成24年9月11日)前3年以内に、本件商品に関する取引書類と認められる上記(1)(ア)、(エ)及び(カ)の商品パンフレット又は納品書に使用標章1、2又は3を付して展示し又は頒布したものというべきである。
3 むすび
以上のとおり、本件商標は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、指定商品の範ちゅうに属する本件商品について、通常使用権者により使用されていたものというべきであるから、商標法第50条第1項の規定に基づき、その登録を取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 本件商標


別掲2 使用標章1



別掲3 使用標章2



別掲4 使用標章3


(上記別掲1ないし4について、色彩は原本を参照)



審理終結日 2013-03-29 
結審通知日 2013-04-03 
審決日 2013-04-18 
出願番号 商願2003-54396(T2003-54396) 
審決分類 T 1 31・ 1- Y (Y07)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2004-09-03 
登録番号 商標登録第4798909号(T4798909) 
商標の称呼 マイオックス、ミオックス 
代理人 特許業務法人広江アソシエイツ特許事務所 
代理人 山田 哲也 
代理人 樺澤 聡 
代理人 石井 茂樹 
代理人 樺澤 襄 

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