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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y03
管理番号 1278925 
審判番号 取消2012-300845 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-10-31 
確定日 2013-08-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第4736552号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4736552号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4736552号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成15年5月23日に登録出願、第3類「せっけん類,化粧品,香料類」を指定商品として同年12月26日に設定登録されたものである。
なお、本件の審判請求の登録は、平成24年11月16日になされた。

第2 請求人の主張の要点
請求人は、結論同旨の審決を求め、審判請求書及び弁駁書及び口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)において、その理由を要旨以下のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について継続して3年以上日本国内において使用した事実が存在しないから、その登録商標は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 弁駁の理由
(1)乙第1号証?乙第5号証について
被請求人は、乙第1号証?乙第5号証として、本件商標(以下「使用商標1」という場合がある。)が表記されたポップ広告を撮影した写真を提出している。
しかし、乙第1号証?乙第5号証として提出されている写真には、写真が撮影された時期が一切記載されていない。
したがって、乙第1号証?乙第5号証では、本取消審判の請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標が使用されていたことを証明することはできない。
(2)乙第6号証?乙第8号証について
被請求人は、乙第6号証として、本件商標のうち「koO」の文字部分(以下「使用商標2」という。)が表記された商品が表示されたWEBショップのHPを印刷したものを提出している。また、乙第7号証及び乙第8号証として、使用商標2が表記された商品が表示された広告を印刷したものを提出している。
商標法第50条第1項には、「登録商標(書体のみに変更を加えた同一の文字からなる商標、平仮名、片仮名及びローマ字の文字の表示を相互に変更するものであって同一の称呼及び観念を生ずる商標、外観において同視される図形からなる商標その他の当該登録商標と社会通念上同一と認められる商標を含む。以下この条において同じ。)の使用をしていないときは」と記載されている。
乙第6号証?乙第8号証に記載されている商標は「koO」の文字部分のみであるから、商標法第50条第1項記載の「登録商標」に該当しないことは明らかである。
また、本件商標は赤色で示された図形部分が印象的な商標であり、文字と図形とが一体不可分となって構成されており、どちらが欠けても本件商標とは異なる印象を与えるものである。
したがって、使用商標2は、本件商標とは社会通念上同一と認められる商標とは言えないことは明らかである。
(3)乙第2号証及び乙第9号証
乙第2号証及び乙第9号証は、本件商標の図形部分(以下「使用商標3」という。)が商品棚に表記されたものの写真である。
しかしながら、本件商標の図形部分のみでは、商標法第50条第1項の「登録商標」(いわゆる社会通念上同一視される商標も含む。)の使用に該当しないことは、明らかである。
(4)乙第10号証について
被請求人は、乙第10号証において、平成13年5月から「クリニカルエステ/イーズ」三宮店(以下「三宮店」という場合がある。)の運営を開始したことを証明している。
しかし、これはあくまでも三宮店の運営開始時期の証明にすぎず、本件商標が使用されていた時期を証明するものではない。
(5)結論
被請求人が提出した乙第1号証?乙第10号証のうち、商標法第50条第1項に規定する「登録商標(いわゆる社会通念上同一視される商標も含む。)」に該当するものは、乙第1号証から乙第5号証のみである。しかしながら、この証拠には、写真が撮影された日付、撮影された場所を特定するものが一切存在しない。
また、乙第10号証は三宮店が平成13年5月から運営されていたことのみを示す証拠にすぎない。
したがって、乙第1号証?乙第5号証及び乙第10号証をもってしてみても、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたことを証明することはできない。
また、乙第6号証?乙第9号証は、本件商標の使用に該当しないため、これによって、本件商標が、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において使用されていたことを証明することはできない。
よって、乙第1号証?乙第10号証の証拠からは、本件商標について、被請求人が、商標法第50条第1項に規定する登録商標の使用をしていたことを証明することはできない。
3 平成25年6月4日付け口頭審理陳述要領書
(1)使用商標1について
ア 被請求人は、乙第1号証?乙第5号証の写真は平成25年2月頃に、三宮店において三宮店の店員が撮影したものである旨を主張している。
しかし、その主張を裏付ける証拠は一切提出されておらず、当該主張が真実であるかの証明は何らなされていない。加えて、被請求人の主張によれば、当該撮影時期は本件取消審判の請求後であるから、本件とは何ら関係がない。
イ 乙第2号証、乙第8号証及び乙第11号証をもって、本件商標のうち図形部分を継続して使用していたことを主張している。
しかし、乙第2号証の写真が三宮店内を撮影したものであるかの真実性について何ら証明がされていないことは上記に記載のとおりである。
また、乙第8号証は、2008年4月15日の記載がある被請求人のHPの一部であるが、当該時点において「koO」という文字部分のみを使用していたという事実を示しているにすぎず、本件審判請求の登録前3年以内の使用には該当しない。
さらに、乙第11号証にいたっては、2001年のものであり、同様に、本件審判請求の登録前3年以内の使用には該当しない。
2001年と2008年の時点で使用をしていたからといって、それは2001年?2008年まで継続的に使用をしていたこを示すことにはならず、ましてや、その後現在に至るまでの継続的な使用を証明するものでもないことは明らかである。
ウ したがって、乙第1号証?乙第5号証における価格カードには、使用商標1が表示されているが、この使用商標1については、本件審判の請求前3年以内に使用されていたという事実は、依然として証明されていない。
(2)使用商標2について
ア 使用商標2についても、上述したとおり、被請求人の提出した証拠では、「審判請求登録前3年以内」の使用を証明することはできない。
イ 被請求人は、使用商標2については、本件商標と社会通念上同一の商標である旨主張し、その根拠としては、2001年から継続使用しているからという点しか挙げていない。しかし、上述したとおり、継続使用をしていたことは証明できていない。
そもそも、本件商標は文字と図形が重なり合って表示される構成からなるものであり、どちらも要部であって、一体不可分の構成からなるものであるから、文字部分のみの使用商標2を本件商標と社会通念上同一であるということはできない。
ウ したがって、使用商標2について、本件審判の請求前3年以内に使用されていたものとは認められない。
(3)使用商標3について
乙第9号証に表示されている使用商標3は、何についての使用であるのかが不明であり、商標法上の商標には該当しない。
使用商標3は、乙第2号証においても、陳列棚に付されているのがわかるが、当該陳列棚への使用は、商標的使用態様であるとは認められない。
また、被請求人によれば、使用商標3は神戸大震災の復興を祈願して神戸の象徴である南京町を連想させるようにデザインされたもので、三宮店においてのみ使用されていることからすれば、これは、三宮店を象徴するマークにすぎず、商標法上の商標には該当しない。
したがって、被請求人は、使用商標3が本件商標と社会通念上同一である旨を主張しているが、そのような主張は一切認められない。
(4)乙第11号証について
乙第11号証は、被請求人が経営するエステティックの三宮店の雑誌掲載頁の写しであるところ、当該頁は化粧品の宣伝広告の頁ではない。また、三宮店において、本件商標を付した化粧品が販売されている旨の記載も一切ない。
(5)結論
以上より、被請求人は、本件商標若しくは本件商標と社会通念上同一の商標が本件審判請求前3年以内に使用されていたことを何ら証明していない。
したがって、本件商標は商標法第50条第1項の規定により、その登録を取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁の要点
被請求人は、本件審判請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求め、答弁書及び口頭審理陳述要領書(口頭審理における陳述を含む。)において、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証?乙第11号証を提出している。
1 理由
(1)本件商標の使用の事実
ア 使用に係る商品および使用に係る商標
三宮店の店内の写真(乙1?乙5)には、使用商標1が表記されたポップ広告が表示されている。
また、三宮店の店内の写真(乙1?乙5)、被請求人が運営しているWEBショップの印刷(乙6)、及び、被請求人が電子メールで会員に送信した広告の印刷(乙7、乙8)には、本件商標の文字部分である使用商標2が表記された商品(せっけん類、または、化粧品等)が表示されている。
三宮店の店内の写真(乙2、乙9)には、使用商標3が商品を陳列する棚に表記されたものが表示されている。
イ 使用期間
被請求人のホームページの印刷(乙10)には、平成13年5月に被請求人が運営している三宮店の運営を開始した旨が表示されている。
被請求人は、三宮店の運営を開始した当初から継続して、乙第1号証?乙第5号証に表示されるように使用商標1が表記されたポップ広告を店内に配置して三宮店の営業を行っている。
被請求人は、三宮店の運営を開始した当初から継続して、乙第1号証?乙第5号証に表示されるように、使用商標2が表記された商品(せっけん類、または、化粧品等)を店内に配置して三宮店の営業を行っている。
被請求人は、三宮店の運営を開始した当初から継続して、乙第2号証及び乙第9号証に表示されるように、使用商標3が商品を陳列する棚に表記された状態で三宮店の営業を行っている。
被請求人は、乙第7号証及び乙第8号証に表示されるように、少なくとも2008年4月から継続して、本件商標のうち「koO」の文字部分が表記された商品をWEBショップで販売している。
(2)むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において本件商標を使用していることが明らかである。
2 平成25年5月20日付け口頭審理陳述要領書
(1)乙第1号証?乙第5号証の写真は、平成25年2月頃に三宮店において三宮店の店員が撮影したものである。
(2)使用商標3は、三宮店の運営を開始するにあたって、三宮店の店内の雰囲気に合わせて、かつ、平成7年に発生した神戸大震災の復興を祈願して神戸の象徴である南京町(神戸市の中華街)を連想させるように、デザインされたもので、乙第2号証、乙第8号証及び乙第11号証に示すように、三宮店の運営を開始した平成13(2001)年から継続して、被請求人が運営する店舗の中でも三宮店においてのみ使用されている。
そして、使用商標1は、三宮店の運営を開始するにあたって使用商標2及び3とを組み合わせてデザインされたもので、使用商標3と同様に、被請求人が運営する店舗の中でも三宮店においてのみ、三宮店の運営を開始した平成13(2001)年から継続して使用されている。
このように、使用商標1は、三宮店の運営を開始した平成13(2001)年から継続して使用されるものであるから、本件審判の請求前3年以内に使用されるものと言える。
(3)使用商標2は、乙第1号証?乙第7号証に示すように、三宮店、WEBショップ、および、ホームページにおいて、少なくとも平成21年(2009年)から継続して使用されている。
そして、使用商標1に加えて、使用商標2及び3についても、少なくとも平成13(2001)年より継続してそれぞれ使用されていることから、これらに接する取引者、需要者からすれば、使用商標2及び3は、本件商標であると認識し得るものであって、本件商標と社会通念上同一の範囲に属するものと言える。

第4 当審の判断
被請求人は、同人が運営するエステティックサロンである三宮店において、化粧品について使用商標1?3を使用している旨主張し、証拠を提出しているので、該証拠について検討する。
1 被請求人の提出に係る乙各号証によれば、以下の事実を認めることができる。
(1)乙第1号証?乙第5号証及び乙第9号証は、被請求人が運営している三宮店の店内の写真の写しとして提出されたものであるところ、これらには、陳列棚の上に、「ミラクルクレンジング」「エッセンシャルジェル」「ジェルクリーム」等の文字と使用商標1が表示された価格カードとその背後に使用商標2が付された商品が置かれている。
また、この陳列棚の上には、使用商標1が表示されたスタンド状のボードがあり、さらに、陳列棚の下正面部分には使用商標3が表示されている。
さらに、壁面には、使用商標1が表示されたものが掲げられている。
加えて、被請求人は、これらの写真が、平成25年2月に三宮店において三宮店の店員が撮影したことを述べている。
(2)乙第6号証は、被請求人が運営しているWEBショップのサイトの写し(2枚)として提出されたものであるところ、この1枚目上方には、使用商標2と「スキンケアシリーズ」の文字と共に、使用商標2が付された商品が写真で紹介され、プリントアウトした日付として、「2013/02/08」の表示がされている。
(3)乙第7号証及び乙第8号証は、被請求人が電子メールで会員に送信した広告の写しとして提出されたものであるところ、乙第7号証には、「6月度週代わり/ポイント3倍キャンペーン」「KOOシリーズ全商品 ポイントが3倍たまります!」の文字と共に、使用商標2が付された商品などが写真で紹介されている。
乙第8号証には、「@NEWS/2008.4.15」「リニューアルキャンペーン」の文字と共に、使用商標2が付された商品などが写真で紹介されている。
(4)乙第10号証は、被請求人のWEBショップのサイトの写しとして提出されたものであるところ、これには、事業内容が、「クリニカルエステ/イーズ」等の運営、エステティックサロンのプロデュースとコンサルティング、美容機器・化粧品・健康食品販売である旨、平成13年5月に「クリニカルエステ/イーズ」三宮店がオープンした旨の記載等がある。
(5)乙第11号証は、雑誌「Hanako WEST」の2001(平成13)年9月号の抜粋記事写しであるところ、これには、「クリニカルエステ/イーズ 三宮店」の文字や使用商標3の表示と共に、店内の様子を写した写真が紹介されている。
2 前記1で認定した事実によれば、被請求人は、エステティックサロン「クリニカルエステ/イーズ 三宮店」を、平成13年5月にオープンし、エステティックサロンに使用商標3を使用したこと、また、その傍ら、少なくとも2008(平成20)年4月頃に、使用商標2が付された「クレンジング」「クリーム」等の化粧品を、販売したことは推認することができる。
しかしながら、以下のとおり、乙第1号証?乙第11号証をもってしては、被請求人が、本件審判請求の登録前3年以内に、本件商標あるいは本件商標と社会通念上同一と認められる商標を「化粧品」について使用していたものとは認められない。
なお、被請求人の使用に係る商品が「化粧品」であって、取消請求に係る指定商品中に含まれる商品であること及び使用権者が、被請求人であることについては、当事者間に争いはない。
(1)使用商標1について
本件商標の使用を示す乙第1号証?乙第5号証に示された使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるが、これが、本件審判請求の登録前3年以内の使用であるか確認することができない。
この点に関し、被請求人は、乙第1号証?乙第5号証の写真は、平成25年2月頃に三宮店において三宮店の店員が撮影したものであり、使用商標1は、三宮店の運営を開始するにあたって使用商標2及び3とを組み合わせてデザインされたもので、使用商標3と同様に、被請求人が運営する店舗の中でも三宮店においてのみ、三宮店の運営を開始した平成13(2001)年から継続して使用されている旨主張する。
しかしながら、乙第1号証?乙第5号証の写真は、平成25年2月頃に撮影されたものであるとしても、その撮影時期は本件審判請求の登録後であり、他にその登録前3年以内に使されたことを裏づける証拠の提出はないから、かかる被請求人の主張は採用することができない。
そうすると、使用商標1は、本件商標と社会通念上同一の商標と認められるとしても、これが、本件審判請求の登録前3年以内に「化粧品」について使用していたものとは認められない。
(2)使用商標2及び3について
「koO」の文字のみからなる使用商標2と本件商標の図形部分のみからなる使用商標3は、文字部分と図形部分を構成要素とする本件商標と対比すると、その図形部分又は文字部分を欠落していることから、本件商標と社会通念上同一のものとはいえない。
(3)小括
以上のとおりであるから、被請求人の提出に係る証拠によっては、本件審判請求の登録前3年以内に本件商標(本件商標と社会通念上同一と認識し得る商標を含む。)が取消請求に係る指定商品中「化粧品」について使用されていたものと認めることはできない。
その他、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内にその指定商品について使用されているものと認めるに足る証拠はない。
3 むすび
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、商標権者、専用使用権者、通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品のいずれかについて、本件商標(本件商標と社会通念上同一と認められる商標を含む)の使用をしていた事実を証明したものとは認められない。
また、被請求人は、本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、商標法第50条の規定により、本件商標の登録を取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
本件商標

(色彩は原本参照のこと。)

審決日 2013-07-09 
出願番号 商願2003-42473(T2003-42473) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Y03)
最終処分 成立  
前審関与審査官 渡邉 健司松浦 裕紀子 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 内藤 順子
小川 きみえ
登録日 2003-12-26 
登録番号 商標登録第4736552号(T4736552) 
商標の称呼 クー、ケイオオオオ、コー 
代理人 谷村 昌宏 
代理人 大沼 加寿子 
代理人 岩堀 邦男 
代理人 矢野 寿一郎 

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