• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Y25
管理番号 1278924 
審判番号 取消2012-300663 
総通号数 166 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-10-25 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-08-22 
確定日 2013-08-19 
事件の表示 上記当事者間の登録第2619307号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第2619307号商標の指定商品中、第25類「被服」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第2619307号商標(以下「本件商標」という。)は、「Please」の欧文字及び「プリーズ」の片仮名を上下二段に横書きしてなり、平成3年12月25日に登録出願され、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、同6年1月31日に設定登録され、その後、同16年3月2日に商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、同年6月9日に第20類「クッション,座布団,まくら,マットレス」、第24類「布製身の回り品,かや,敷布,布団,布団カバー,布団側,まくらカバー,毛布」及び第25類「被服」とする指定商品の書換登録がされているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品中、「第25類 被服」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存在しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 答弁に対する弁駁
(1)被請求人は、答弁書において、本件商標が、その商標権者によって、「被服」に使用されていると主張し、乙第1号証乃至乙第4号証を提出しているが、被請求人の主張内容、及びその証拠資料は、商標法第50条第1項及び第2項に規定する各要件を具備する商標の使用を証明するものではない。
(2)乙各号証について
被請求人の提出にかかる証拠はいずれも、(ア)審判請求の登録後の日付の証拠、(イ)日付が不明である証拠、(ウ)本件商標の使用が確認できない証拠に該当するものであり、本件審判の請求の登録前3年以内(平成21年9月6日から同24年9月5日まで。以下「要証期間」という。)に、本件商標が商標権者により使用されたことを立証したことにならない。
ア 乙第1号証について
乙第1号証は、「KID BLUE」の店舗一覧を示す証拠とのことであるが、当該証拠からは、本件商標の使用を何ら確認できず、そもそも、要証期間外である2012年(平成24年)11月13日付の証拠であるため、乙第1号証は本件の審理に影響を与えるものではない。
イ 乙第2号証の(1)について
乙第2号証の(1)は、被請求人の広報担当者によって2012年(平成24年)10月29日に撮影された「『チュニック』『パジャマ』『バスワンピース』に本件商標が使用されている写真」とのことであり、当該証拠によれば、その日時点で「Please」が付された青色と白色のストライプ柄の被服及び布地と思しきものが存在したことは確認できる。しかしながら、乙第2号証の(1)は要証期間外の証拠であり、当該証拠をもって、本件審判の予告登録前に請求に係る指定商品について本件商標が使用されたことを証明するに足りるものではない。
被請求人は、「これらの写真は商標権者広報担当者によって撮影されたもので、そこに写っている『チュニック』は、乙第4号証として提出するブランド情報誌に掲載されている。」旨述べるが、失当である。おそらく、被請求人は、乙第2号証の(1)及び乙第4号証中の矢印で示した商品について主張しているものと推察するが、乙第4号証中では、本件商標が印刷されたタグを目視することはできず、本件商標を使用しているとは到底言えない。
また、乙第2号証の(1)において矢印が向けられた商品は、丁寧に折り畳まれ、わずかにその襟元が確認できるのみであるのに対して、乙第4号証のそれは、ハンガーに掛けられ、広げられた状態であり、その形状を比較しようがない。加えて、乙第4号証のそれは、遠目から撮影された構図であって、襟元の形状自体が極めて不明瞭、不鮮明であるし、被請求人が何をもってその同一性を主張しているのか、不明である。仮に、乙第2号証の(1)において、乙第4号証と同様の形状に広げられていたとしても、それが要証期間内において、本件商標が使用されたことを証明することにならないのはいうまでもないが、乙第2号証中、同一性を主張する商品を、4点ある被服・衣類の最背面に置くとは、あえて全体の形状を不明とするようにしているとしか思えない。
ウ 乙第2号証の(2)について
被請求人によれば、乙第2号証の(2)は、「タオル等」のようであるが、該商品は、本件審判事件の請求に係る商品ではなく、且つ要証期間外の証拠であるため、本件の審理に何ら影響を与えるものではない。
エ 乙第3号証の(1)及び(2)について
被請求人は、乙第3号証の(1)及び(2)としてタグを提出する。確かに、これらタグの表面には「Please」の文字が確認でき、また、乙第3号証の(1)の裏面には、品番、素材、生産国、販売元、値段等と思しき記載が確認出来るが、当該証拠からは、商品との関係が何ら明らかでなく、本件審判事件の請求に係る商品に使用されたものであることは証明されていない。また、乙第3号証からは、被請求人が答弁書を差出した時点において、これらのタグが存在したことは認められるが、要証期間における証拠ではないため、本件の審理に影響を与えるものではない。
被請求人は、「乙第3号証の(1)は、乙第2号証の写真において示す、本件商標が印刷されたタグの実物である。」旨述べ、さらに「これを付した商品が実際に販売されていることを示すものである。」と主張するが、当該タグが存在することと、実際に販売されていることとには、直接的な因果関係はなく、被請求人の主張には論理の飛躍があり、仮に、「実際に販売されていることを示す」のであれば、要証期間内における販売伝票等の提出があって然るべきである。
オ 乙第4号証について
乙第4号証は、2010年(平成22年)9月に被請求人によって発行されたKID BLUEブランド情報誌「BLUE LETTER」第5号の写しのとのことであり、被請求人は「この中で、乙第2号証において示した、本件商標が使用されている商品が紹介されている」旨主張するが、上記イで述べたとおり、乙第4号証において本件商標の使用が確認できる商品は何一つない。乙第4号証に掲載された商品は、いずれも鮮明でなく、首の後ろ部分にタグと思しき形状があることは確認できるが、印字された内容については確認できない。また、乙第4号証を確認する限り、乙第4号証において、「KID BLUE」以外のブランドの商品情報を掲載しているとは到底理解はできない。
乙第4号証の記載文からすれば、乙第4号証は、「KID BLUE」ブランドの広告として理解するのが合理的である。もっとも、被請求人によれば、乙第4号証は、「KID BLUE ブランド情報誌」であるため当然とも言える。したがって、当該情報誌において、ただ一点のみ本件商標「Please\プリーズ」が付された商品が存在したとは、到底理解できない。
また、乙第4号証には、被請求人の主張の真実性を疑わせる記載も確認できる。被請求人の答弁書第3頁目上部によれば、「本件商標『Please\プリーズ』は、『Please グループ商品』群から成り、それら商品群は、ブランドカラーであるサックス×ホワイトのストライプ柄のデザインを特徴としており」とある。一方、乙第4号証には、「サックス&ホワイトのWガーゼストライプは、キッドブルー永遠のスタンダード。」とある。経営資源の選択と集中の重要性が説かれる昨今において、同じ「サックス×ホワイトのストライプ」の商品を、あえて別ブランドで展開する等ということは直ちに合点がいくものではない。そして、客観的な証拠である乙第4号証の記載を信じるとすれば、被請求人の主張内容の真実性は問われるべきものである。加えて、乙第4号証の最終頁には、SHOPLISTが掲載されており、あわせて当該店舗における取扱ブランドが掲載されている(KIDBLUE、MR.B、KIDBLUE★STAR、Exercise Line)が、「Please」の記載はどこにも見られず、キッドブルー表参道店にも、「K」「MB」「KS」「E」の四つのブランドが示されているのみである。
(3)まとめ
以上述べたとおり、被請求人は、本件商標が「被服」に使用されている旨主張するが、それを証明するための客観的な証拠を提出していない。
したがって、被請求人は、本件商標を本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、取消請求に係る指定商品について使用した事実を証明したということは出来ない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」と答弁し、その理由を答弁書及び上申書において要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証(枝番を含む。ただし、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番を省略する。)を提出した。
1 商標使用の事実
(1)本件商標は、女性用下着・ナイトウェア・ラウンジウェア等の企画、製造及び販売を行う株式会社キッド・ブルーにより1994年(平成6年)1月31日に登録され、使用されていたものであるが、その後2006年(平成18年)9月に株式会社カドリールインターナショナルに商号を変更し、以来被請求人により継続的に使用され今日に至っているものである。
本件商標「Please\プリーズ」は、「Please グループ商品」群から成り、それら商品群は、ブランドカラーであるサックス×ホワイトのストライプ柄のデザインを特徴としており、チュニック、パジャマ等の被服の他に、ハンカチ、ハンドタオル、フェイスタオル、バスタオル等のグッズを商品グループとして幅広く展開するものである。
これら「Please グループ商品」は、被請求人がフラッグショップ店の一つとして2008年(平成20年)11月に新規オープンした東京の表参道店においてそのオープン以来販売され続けてきたが、本年(平成24年)2月に、表参道店はフラッグショップとしての任務達成により閉鎖し、「Please グループ商品」群は、今後被請求人のキッドブルー店舗にて販売することになり、目下、そのための企画・立案や展開のための準備が行われているところである。ちなみに、被請求人の所有するキッドブルー店舗数は、国内45店舗、アウトレット店2店舗、海外15店舗である(乙1)。
(2)商品の写真(乙第2号証の(1))
乙第2号証の(1)は、「チュニック」「パジャマ」「バスワンピース」に本件商標のタグが付されている写真である。この中で、2種類のタグが付されていることが分かる。一つは乙第3号証の(1)として提出する本件商標が印刷されたタグであり、このタグの裏面には販売元や値段等の情報も記されている。もう一つは乙第3号証の(2)として提出する商品の首の後ろ部分に付しているタグである。これらはいずれも、商品が販売されるにあたり付されるタグである。これにより、本件商標が商品に付されて販売されている事実が分かる。
また、本件商標が使用されている商品「チュニック」「パジャマ」「バスワンピース」は、「ワイシャツ類」及び「寝巻き類」であり、「第25類 被服」に属するものである。
したがって、商品に標章を付する行為を通じて、本件商標が被服に使用されていることは明らかである。
これらの写真は、商標権者広報担当者によって撮影されたもので、そこに写っている「チュニック」は、乙第4号証として提出するブランド情報誌に掲載されている。なお、本件商標「Please」の商品グループには、チュニック等の他、タオル等がある(乙2の(2))が、これらの商品はいずれも、「Please」のブランド・イメージ・カラーであるサックス×ホワイトのストライプ柄のデザインを特徴とし、ブランド情報誌(乙4)に掲載されている。更にまた、「Please」商標は、商品の包装の際に付けられるリボンにもデザイン的に付されている。
(3)商品に付したタグ(乙第3号証の(1))
乙第3号証の(1)は、乙第2号証の写真において示す、本件商標が印刷されたタグの実物である。このタグには本件商標が印刷されており、裏面には素材・生産国・販売元・値段等が記されている。これを付した商品が実際に販売されていることを示すものである。
(4)被服の首の後ろ部分に付されているタグ(乙第3号証の(2))
乙第3号証の(2)は、乙第2号証の写真において示す商品の首の後ろ部分に付した本件商標のタグの実物である。これを付した商品が実際に販売されていることを示すものである。
(5)商標権者発行に係るブランド情報誌の写し(乙第4号証)
乙第4号証は、2010年(平成22年)9月に商標権者によって発行されたKID BLUE ブランド情報誌「BLUE LETTER」第5号の写しである。商標権者は、「ファンの皆さまへのお手紙」をコンセプトとして、季節の商品や新商品の紹介、フェア開催の情報などを伝える情報誌を定期的に発行している。
この中で、乙第2号証において示した、本件商標が使用されている商品が紹介されている(4頁)。これにより、2010年(平成22年)9月の時点において本件商品に関する広告と頒布行為が行われており、本件商標を指定商品「被服」に使用していることは明らかである。
なお、前記したように、「Please」商品グループは、本年2012月(平成24年)2月まで、神宮前の表参道店において販売を継続しており、今後は、乙第4号証の末尾のページにあるKID BLUE店舗において近い将来販売が再開される予定である。

2 乙各号証等に関する上申
(1)2008年(平成20年)11月に表参道に開店し、商標「Please」を含む商品類を販売していたフラッグショップ店舗は、その役割を十分果たし、2012年(平成24年)2月に閉店し、その閉店時にクリアランスセールを行ったため、商品自体はもとよりカタログや冊子やチラシ類等々の販促物は残存しておらず、先に提出した証拠以上のものを発見することはできない。
(2)乙第2号証の写真の撮影時期が要証期間内のものではないことについて
ア クリアランスセールの目的は、表参道店で発売していた「Please」商品を含む被服類の商品を、新しい企画のもとに、KID BLUE店舗へ移動させることにあり、従来の「Please」製品を一新した新商品の企画を計画していたため、閉店に当たっては、従来企画の「Please」商品を含む全商品のクリアランスセールと共に、カタログ等の書類も処分した。
カタログや記事等の不備を補うために、わずかに残っていた「Please」商品を撮影したのが乙第2号証であり、やっと発見できたものが乙第3号証の商品タグや乙第4号証の冊子である。
イ 本件のように、前の販売場所を閉鎖し、新企画のもとで本件商標の付された新商品の販売を企図している時期に、本件審判が申し立てられるという、極めて希有でかつ特殊な状態の場合、乙第2号証の写真の撮影日は、不使用取消審判を知った後(副本受領後)にならざるを得なかったことは、やむを得ないことである。今まで取消審判請求をされた経験もなかったため、使用証明の継続的保管に関する油断があったことは事実であるが、本件審判請求の登録日前に審判請求があったことは知る術もなく、審判請求書副本受領後に実物を探し、撮影すれば、写真の撮影日が登録後になることは自明の理である。
乙第2号証の写真の実物が確かに表参道店で販売されていたネグリジェ類のひとつであり、そこに写されているネグリジェは、審判請求書副本受領後に慌てて縫製したものではない。
ウ 商標法の不使用取消審判制度の目的からみれば、使用の継続があり、使用の意思がある商標が、たまたま営業上の方針から数ヶ月間、その使用を中断している商標や、当該商標の下での新製品の企画を検討している商標までもが取り消されなければならないということには、納得がいかない。
(3)乙第2号証の(1)と乙第4号証に示された商品が同一の商品と認められないことについて
被請求人は、乙第2号証の(1)に示された写真の一つ(細い縦縞の白襟ネグリジェ)が、乙第4号証(4頁)の写真に示された3点中の右端のネグリジェと考えているが、第4号証の写真より鮮明なものは発見できない。
(4)商品の包装の際に使用されるリボンへの本件商標の使用について
ア 商品の包装のために使用されるリボンに付された商標は、商標の使用に該当する。リボンは、単なる飾りの役目だけでなく、商品をまとめて包装固定する役目を果たしており、この商品の包装に使用されるリボンは、商標の使用に該当する。
イ 被請求人が実際に使用している「Please」商品関連のリボンは複数種あり、乙第2号証のリボンと乙第4号証に複数示すリボンとは、色彩において相違しているが、書かれている文字は同一で、「KID BLUE Please KID BLUE Please」がいずれも反復継続して書かれており、白地に茶色文字、やや透明な白地にブルーの文字、やや厚手のブルー地に白抜き文字等がある。しかしながら、乙第4号証の第3頁の左上の茶色縦縞のパジャマに掛けられたリボン、第4頁右下の商品の上部に張られたリボン及び同右端の包装用の箱に掛けられたリボン等々はその文字がクリアーでないため、これらの文字に関しては、乙第2号証の(1)により判断されたい。

3 結語
以上述べたとおり、本件商標は、本審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者が、その請求に係る指定商品「第25類 被服」について継続使用してきたものであり、商標法第50条第1項に基づく請求人の主張は理由がなく、成立しない。

第4 当審の判断
1 商標法第50条第1項は、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが各指定商品又は指定役務についての登録商標の使用をしていないときは、何人も、その指定商品又は指定役務に係る商標登録を取り消すことについて審判を請求することができる、と規定しており、同項の審判の請求があった場合においては、被請求人は、その取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明するか、あるいは、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れないものである(商標法第50条第2項)。

2 被請求人は、商標権者が「第25類 被服」について、本件商標の使用をしている旨主張し、乙第1号証ないし乙第4号証を提出しているので、以下検討する。
(1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 乙第2号証の(1)は、2012年(平成24年)10月29日に撮影された本件商標の付された商品の写真とするものであり、2頁目及び3頁目の写真によれば、1頁目の矢印の商品「チュニック」(婦人上衣の一種)(以下「使用商品1」という。)に、乙第3号証の(2)の右側に示された「Please」の文字を有する横長四角形のタグが、商品の後ろ襟の部分(襟からやや離れた部分)に付されている。なお、使用商品1は、「バスワンピース」や「パジャマ」と共にバスケットに入れられ、それらの後ろにたたまれて置かれているため、商品の全体は確認できない。
イ 乙第2号証の(2)は、2012年(平成24年)10月29日に撮影された本件商標の付されたタオル等の写真とするものであり、右下の商品に乙第3号証の(1)及び(2)の左側に示された「Please」の文字を有するタグが付されている。
ウ 乙第3号証の(1)及び(2)は、商品に付したタグ見本及び衣服の首の後ろ部分に付されているタグ見本とされるところ、それぞれ「Please」の表示が確認できる。
エ 乙第4号証は、商標権者が発行するブランド情報誌「BLUE LETTER」第5号の写しであるが、その表紙上部に、「09 2010 Autumn」及び「KID BLUE 2010」の記載がある。また、該情報誌の4頁の左下には、テディ、メンズパジャマ及びメンズトランクスと共にチュニック(以下「使用商品2」という。)が表示されているが、襟に付されたタグは鮮明ではなく、その文字が確認できない。なお、チュニックに付されたタグは逆台形状であって、商品の後ろ襟の縁の部分に付されており、また、使用商品2の襟ぐりはやや広めに空いている。
(2)前記(1)で認定した事実によれば、乙第2号証の(1)に示された使用商品1には、本件商標の構成文字中の「Please」(以下「使用商標」という。)の文字が表示されているところ、当該使用商標は、称呼及び観念を同一にする「Please」及び「プリーズ」の文字を二段書きに表してなる本件商標の一方を使用するものであるから、社会通念上同一の商標と認められるものであるが、写真の撮影日は、2012年(平成24年)10月29日であって要証期間内のものではない。
また、被請求人が、同一の商品であると主張する乙第2号証の(1)の使用商品1と乙第4号証のブランド情報誌の4頁に掲載された使用商品2とは、後ろ襟に付されたタグの形(逆台形状と横長四角形の相違)及びタグの取り付け位置が明らかに相違し、また、使用商品1と使用商品2の襟ぐりの空き具合についても明らかに相違するものである。
したがって、使用商品1と使用商品2が同一の商品であるとは認め難く、乙第4号証の発行時期をもって、乙第2号証の(1)に示された使用商品1の使用時期を推認することはできない。
なお、乙第4号証は、表紙上部の「09 2010 Autumn」の記載から、2010年(平成22年)9月頃に発行されたものと認められるものの、掲載されている商品に付されている標章は、本件商標とは別異のものあるいは不鮮明なものであることからすれば、これをもって本件商標の使用の証明とすることはできない。
さらに、乙第2号証及び乙第4号証のタオル類及びリボンは、いずれも本件審判請求に係る商品「第25類 被服」に該当するものではない。
また、乙第3号証のタグについても、それが使用商品1及びタオルに付されていることは認められるとしても、それら商品は、販売された時期あるいは広告等がされた時期が明らかでなく、本件商標を請求に係る商品について要証期間内に使用したものとは認められないこと上記のとおりであるから、当該タグを付した商品が実際に販売されていることを示すものとはいえず、当該証拠をもって、本件商標の使用の証明とはなり得ないものである。
(3)そうとすれば、被請求人提出の証拠によっては、本件商標が本件審判の請求の登録前3年以内に使用されていると認めることはできない。
その他、本件商標をその請求に係る指定商品に使用していると認めるに足る証拠の提出はない。

3 被請求人の主張について
被請求人は、「Please」商品を取り扱っていた表参道のフラッグショップの閉店時のクリアランスセールにより、商品並びにカタログ等が処分されたこと、乙第2号証の写真の実物が確かに表参道で販売されていたこと等を述べ、使用の継続があり、使用の意思がある商標が、たまたま営業上の方針から数ヶ月間、その使用を中断している商標や、当該商標の下での新製品の企画を検討している商標までもが取り消されなければならないということには納得がいかない旨主張しているが、取消審判の請求があった場合には、被請求人がその取消請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての登録商標の使用をしていることを証明するか、あるいは、使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにしない限り、その登録の取消を免れないものであること前記1のとおりであり、提出された証拠からは、その取消請求に係る指定商品について、要証期間内に本件商標の使用をしていることを証明したとは認められないこと前記2のとおりであるから、被請求人の上記主張は採用することができない。

4 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定商品について、本件商標の使用をしていることを証明したとは認められず、また、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定商品中「第25類 被服」について、取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-06-26 
結審通知日 2013-06-28 
審決日 2013-07-09 
出願番号 商願平3-133601 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (Y25)
最終処分 成立  
前審関与審査官 佐藤 正雄 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 村上 照美
大森 健司
登録日 1994-01-31 
登録番号 商標登録第2619307号(T2619307) 
商標の称呼 プリーズ 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 
代理人 下坂 スミ子 
代理人 小暮 君平 
代理人 打越 佑介 
代理人 魚路 将央 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ