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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900123 審決 商標
異議2013900048 審決 商標
異議2013900077 審決 商標
異議2013900089 審決 商標
異議2013900065 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 W30
審判 全部申立て  登録を維持 W30
管理番号 1277963 
異議申立番号 異議2013-900066 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2013-03-06 
確定日 2013-08-08 
異議申立件数
事件の表示 登録第5542294号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5542294号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5542294号商標(以下「本件商標」という。)は、「愉快ツリー」の文字を標準文字で表してなり、平成24年5月14日に登録出願、第30類「菓子、パン」を指定商品として、同年10月18日に登録査定、同年12月14日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由の要点
本件登録異議申立人ら(以下「申立人ら」という場合がある。)は、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。なお、括弧内の証拠番号は、以下「甲1?甲8」のように省略して表す。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第7号について
「東京スカイツリー」やその略称「スカイツリー」が著名であり、「東京スカイツリー」が電波塔として高い公益性を有することは周知の事実である(甲2、甲3、甲8)。
商標権者は、本件商標と関連のある「東京愉快ツリー」、「とうきょうゆかいつりー」、「TOKYO-YUKAI-TREE」及び「Tokyo-Yukai-Tree」の文字を5段に表してなる商標登録を有していたが、異議申立において「『東京スカイツリー』が有する著名性及び集客力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的をもって登録出願されたものである。」と判断され、商標法第4条第1項第7号違反の取消しが確定している(甲4)。
また、商標権者は、本件商標を片仮名で表記し、「東京」という地名を付した「東京ユカイツリー」という標章を使用している事実があり、当該事実は上記取消し審判の取消理由に記載のとおり、「東京スカイツリー」の著名性及び集客力に便乗して、不当な利益を得ようとの目的が推認される(甲5)。
さらに、本件商標をインターネットの検索サイトで検索すると、著名な「東京スカイツリー」の情報が多数表示され、本件商標が「東京スカイツリー」と明らかに誤認、混同を生じている(甲6)。
したがって、本件商標は、「東京スカイツリー」が持つ著名性及び顧客吸引力に便乗する意図のもとで出願されたものと推認され、公益性の高い「東京スカイツリー」の事業主体と何ら関係のない第三者に指定商品について独占使用を認めることは、一般的道徳観念に照らして穏当ではない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
「東京スカイツリー」の事業主体である東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社は、「東京スカイツリー」やその足元の商業施設「東京ソラマチ」で、菓子、パンを初めとする幅広いオフィシャル商品、ライセンス商品を取り扱っており、また、一定の基準のもとで周辺地域に対してライセンス商品の製造、販売を許諾している(甲7)。
このように、「東京スカイツリー」を中核とした商業施設において、広範な営業活動がなされ、「東京スカイツリー」の事業主体は、「東京スカイツリー」に化体した信用性を維持する努力を行っているにもかかわらず、本件商標が指定商品に使用されると、当該商品があたかも事業主体による正当に許諾された商品であるかのごとく需要者に認識させるものである。
そして、あえて「愉快」と「ツリー」という互いに特定の語義や関連性のない語を結びつけて、本件商標の構成要素とした必然性や妥当性は認めがたく、「東京スカイツリー」や略称「スカイツリー」がなければ本件商標は選択されなかったともいうべきである。
また、上記のとおり、商標権者は、本件商標に識別力のない地名「東京」を付す等した標章「東京ユカイツリー」を使用しているという事実があり、「東京スカイツリー」の名称を知らなかったとは考え難いものである。
してみれば、「東京スカイツリー」の事業主体が許諾していない本件商標が、その指定商品に使用されれば、その使用態様によっては、その商品が他人である「東京スカイツリー」の事業主体又はその事業主体と組織的若しくは経済的に何らかの関連のある者の事業に係る商品であるかの如く一般需要者に認識されて出所の混同を生じるおそれがある。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものであるから、その登録は取り消されるべきである。

3 当審の判断
(1)「東京スカイツリー」の著名性について
申立人らが提出した証拠及び職権調査によれば、「東京スカイツリー」又は「スカイツリー」(以下、まとめて「引用標章」という場合がある。)は、東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社が事業主体となって、東京都墨田区押上に建設された(着工:平成10年7月14日、竣工:平成24年2月29日)高さ634メートルの電波塔の名称であり、該名称は、平成10年6月10日に決定、発表されたものである。
そして、該電波塔は、自立式電波塔で世界一の高さになることから、平成24年5月22日の開業前からテレビ、雑誌等のマスコミで多数取り上げられるなど、我が国において著名なものとなっていることが認められる。
そうすると、引用標章は、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人ら又は同人の業務に係る役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているものといえる。
(2)本件商標と引用標章との類似性について
本件商標は、前記1のとおり、「愉快ツリー」の文字で表してなるところ、その構成各文字は、同書、同大及び等間隔により、外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、その構成文字に相応して生ずる「ユカイツリー」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標は、その構成中、「愉快」の文字が「楽しく気持ちのよいこと。」の意味を有する語として、また、「ツリー」の文字が「木。樹木」の意味を有する外来語として、いずれも広く一般によく知られていることから、「愉快な木」程の意味合いを理解させるものである。
他方、引用標章は、その名称が上記(1)のとおり著名であることから、東京都墨田区に建設された「東京スカイツリー」として、該「東京スカイツリー」を想起するものであるから、「東京スカイツリー」の文字又は「スカイツリー」の文字に相応して「東京スカイツリー」の観念並びに「トウキョウスカイツリー」及び「スカイツリー」の称呼が生じるものである。
そこで、本件商標と引用標章とを比較すると、両者は、外観については、それぞれ上記のとおりであるから明らかに相違し、また、「愉快な木」の意味合いを理解させる本件商標と「東京スカイツリー」の観念が生じる引用標章とは、観念上もその差異は明らかである。
そして、称呼については、本件商標の「ユカイツリ-」と引用標章の「トウキョウスカイツリー」とは、その音構成及び構成音数において明らかな差異を有し、それぞれ一連に称呼しても明瞭に聴別できるものである。
また、本件商標から生じる「ユカイツリー」の称呼と引用標章から生じる「スカイツリー」の称呼を比較すると、称呼における識別上重要な要素を占める語頭部において「ユ」の音と「ス」の音という明らかな差異を有するものであるから、これがそれぞれ6音(長音も含む。)という比較的短い音構成からなる両者の称呼全体に与える影響は少なくなく、両者をそれぞれ一連に称呼しても、相紛れるおそれのないものである。
したがって、本件商標と引用標章とは、外観、観念及び称呼のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似のものと認められるものである。
(3)商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人らは、「商標権者が所有する商標登録第5391470号『東京愉快ツリー』に対する異議申立ての結果、商標法第4条第1項第7号により、その登録が取り消された後に、本件商標を出願していること、また、商標権者である株式会社ギンビスは、2011年(平成23年)の『第45回スーパーマーケット・トレードショー』に関するお知らせにおいて、『来年の東京スカイツリー開業に先駆け、今年のギンビスブースには“東京ユカイツリ-”が出現!?』との表現があり、この時点で商標権者が『東京スカイツリー』を強く意識していることから、本件商標も『東京スカイツリー』の著名
性に便乗し、不当な利益を得ようとの目的で登録出願された。」旨主張している。
しかしながら、商標権者は、2011年(平成23年)の時点では、「東京愉快ツリー」(登録商標第5391470号)の商標権者であるから(権利抹消登録日は、平成24年5月29日)、その時点での商標「東京ユカイツリー」の使用は当然であるところ、そもそも本件商標は、「愉快ツリー」であって「東京愉快ツリー」ではないことから、これらを同列に論ずることはできないものであり、また、本件商標と引用標章とが非類似のものであること、上記(2)のとおりであるから、本件についての判断を左右するものとはいえない。
その他、本件商標は、商標自体が公の秩序又は善良な風俗に反するようなものでないことは明白である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当するものではない。
(4)商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人らは、インターネット検索で「愉快ツリー」の文字を検索すると、「東京スカイツリー」又は「スカイツリー」のサイトが多数表示されるから、「愉快ツリー」は「東京スカイツリー」と混同されている旨主張している(甲6)。
しかしながら、インターネット検索とは、「愉快ツリー」と「東京スカイツリー」が、互いにその出所の混同を生じているかどうかで検索しているのではなく、検索エンジンのプログラムの仕様により検索しているから、これをもって、両者が混同を生じている根拠とはならないし、その他、「愉快ツリー」と「東京スカイツリー」とが混同を生じていることを示す証拠は見当たらない。
そして、上記(2)のとおり、本件商標と引用標章とは、称呼、観念及び外観のいずれの点から見ても、互いに紛れるおそれのない非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
そうすると、本件商標を、その指定商品に使用した場合、引用標章の著名性を考慮したとしても、これに接する需要者は、申立人ら又は引用標章を想起させるとは認められず、当該商品を申立人ら又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
(5)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第7号及び同項第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-07-30 
出願番号 商願2012-37982(T2012-37982) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (W30)
T 1 651・ 22- Y (W30)
最終処分 維持  
前審関与審査官 安達 輝幸 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 手塚 義明
酒井 福造
登録日 2012-12-14 
登録番号 商標登録第5542294号(T5542294) 
権利者 株式会社ギンビス
商標の称呼 ユカイツリー 
代理人 藁科 えりか 
代理人 藁科 孝雄 
代理人 藁科 えりか 
代理人 藁科 孝雄 

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