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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2013900178 審決 商標
異議2012685009 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
審判 全部申立て  登録を維持 X03
管理番号 1277953 
異議申立番号 異議2012-900366 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-09-27 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-12-21 
確定日 2013-07-29 
異議申立件数
事件の表示 登録第5524268号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5524268号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5524268号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成23年5月6日に登録出願され、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」を指定商品として、同24年7月31日に登録審決がなされ、同年9月28日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が、登録異議の申立ての理由として引用する商標は以下の2件である。
1 「Pacifica」の欧文字よりなり、申立人が、商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキヤンドル(ろうそく)」に使用していると主張する商標(以下「引用商標1」という。)。
2 登録第5123756号商標
登録第5123756号商標(以下「引用商標2」という。)は、「PACIFICA」の欧文字を上段に、「パシフィカ」の片仮名を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成19年10月12日に登録出願され、第4類「ろう,ろうそく」を指定商品として、同20年2月29日に登録査定、同年3月28日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
(以下、引用商標1及び引用商標2をまとめて「引用各商標」という場合がある。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第10号、同第11号、同15号及び同8号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第20号証(枝番を含む。)を提出した。
1 申立人商標の周知・著名性
申立人「パシフィカ インコーポレイテッド」は、アメリカ合衆国オレゴン州所在の法人である。引用商標1は欧文字「Pacifica」から成り、引用商標2は欧文字「PACIFICA」と片仮名「パシフィカ」とを二段に書して成り、申立人は、本件商標の登録出願前から、引用各商標を使用し、米国商標登録及び国際登録を所有している(甲第4号証の1ないし5、同第17号証及び同第18号証)。
我が国においては、申立人及びその販売代理店である株式会社日本香堂等によって、商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキャンドル(ろうそく)」(以下、まとめて「パシフィカ製品」という。)に使用され、本件商標の出願時、審決時及び現在に至るまで、申立人の業務に係る上記商品を表示するものとして、その需要者及び取引者の間に広く認識されている。
具体的には、日本においては、株式会社日本香堂(以下「日本香堂」という。)が、2008年に申立人と業務提携し、これ以降、パシフィカ製品を販売している(甲第5号証の1ないし8)。そして、パシフィカ製品は、全国の有名百貨店(甲第6号証)や、インターネットショップ等(甲第7号証の1ないし53)において広く販売されている。
引用各商標は、商品パッケージ前面に目立つように表示されており、日本販売向けに日本語の表示がなされている(甲第8号証)。
パシフィカ製品の輸入額を示すInvoiceリストに示すとおり、日本香堂への出荷分は2007年9月21日から2012年4月25日までで1,571,591米ドル(日本円にして約1億5千万円)であり(甲第9号証 最終頁)、また、日本香堂の提携会社である東京理化学テクニカルセンター株式会社への出荷分は2007年12月28日から2012年3月14日までで754,607米ドル(日本円にして約7千2百万円)である(甲第10号証 最終頁)。
さらに、我が国における日本香堂によるパシフィカ製品の販売期間、販売地域、販売数量及び売上金額を示す販売データとして甲第11号証ないし第15号証を提出する。パシフィカ製品の売上額は、それぞれ次のとおりである。
(a)お香(「香料類」に属する)
2009年4月?2012年7月 → 27,631,519円(甲第11号証 最終頁)
(b)エアフレッシュナー(「香料類」に属する)
2011年3月?2012年7月 → 45,009,455円(甲第12号証 最終頁)
(c)リードディフューザー(「香料類」に属する)
2010年9月?2012年7月 → 57,391,675円(甲第13号証 最終頁)
(d)キャンドル(「ろうそく」に属する)
2008年2月?2012年7月 → 160,201,021円(甲第14号証 最終頁)
(e)ロールオンパフューム(「化粧品」に属する)
2011年10月?2012年7月 → 8,533,052円(甲第15号証 最終頁)
以上のとおり、パシフィカ製品に係る日本香堂の販売額は、総額約3億円を記録している。この数字は、日本香堂から小売店等の取引者への販売額であるから、一般消費者が購入する際の最終価格の総額はこれをはるかに超える規模である。申立人の名称「パシフィカ インコーポレイテッド」から明らかなとおり、引用各商標「Pacifica(パシフィカ)」は、申立人のハウスマーク・基本商標であり、当然ながら、全てのパシフィカ製品に表示されている。
また、甲第11号証ないし甲第15号証における「得意先名」に示されるように、パシフィカ製品は、日本全域で販売されているうえ、インターネットショツピングサイトにおいても販売されてきた。
さらに、パシフィカ製品は、雑誌、新聞等に頻繁にその記事が掲載され、紹介・報道されている(甲第16号証の1ないし22)。
特に、「化粧品」と「せっけん類」はいわゆる「トイレタリー商品」として1つのカテゴリーのものとして理解されているものであり、また、「化粧品」「せっけん類」と、「香料類」や香りを楽しむ目的の「キャンドル」とは、同一の企業によって製造販売されることが少なくなく、さらに、これらの製品は、例えば若い女性が自身の容姿を飾り、生活を充実あるものにするという共通の目的を有するものであり、需要者も共通にするのであって、相互に密接な関係を有する商品群である。特に、「香料類」にはろうそくの形状をしたものも存在し、このようなろうそくタイプの香料頚と、日本香堂による販売額が最も高い「アロマキャンドル(ろうそく)」とは市場・需要者を共通にするものである。したがって、これらには共通して引用各商標の周知著名性が及ぶものと考えられる。
すなわち、引用各商標「Pacifica(パシフィカ)」は、全国において販売され、多数の需要者に購入・利用されている一連のパシフィカ製品を表示するものとして申立人の信用が蓄積したブランドである。
以上の事実に鑑みれば、本件商標の出願時(平成23年5月6日)及び審決時(平成24年7月31日)において、本件商品「化粧品、せっけん類、香料類」の分野の取引者及び需要者の間で、引用各商標「Pacifica(パシフィカ)」が周知著名であったことは明らかである。
2 本件商標と引用各商標との類似性
(1)本件商標の構成
本件商標は、別掲のとおり、上段に「pacifica」、下段に「SKINCARE」の欧文字を配し、「SKINCARE」の欧文字の左に、筆書き状の右先端の丸い波線の図形を配して成り、本件商標の指定商品(以下「本件指定商品」という。)は第3類「化粧品、せっけん類、香料類」である。本件商標中、「pacifica」の文字は、上段に配され、しかも、波線の図形及び「SKINCARE」の文字の2倍程の大きいサイズで表されているから、「pacifica」の文字部分が、他の部分から視覚的に分離され、最も需要者の注意を引くことは明らかである。
さらに、本件商標中「SKINCARE」の文字は「(特に顔や手の)肌の手入れ、スキンケア(洗浄、マッサージ、化粧など)」を意味する英単語であり(ランダムハウス英和大辞典第2版)、これを片仮名で表した「スキンケア」も、「肌の手入れ」等を意味する(広辞苑第六版)外来語として我が国において完全に定着している。特に、「SKINCARE(スキンケア)」の語は、本件指定商品「化粧品、せっけん類、香料類」の用途(スキンケアを目的とした商品)、効能(スキンケア効果を有する商品)及び品質(スキンケア用の商品)を表示する言葉として広く使用されている。例えば、指定商品表示として、「スキンケア用の化粧品,スキンケア用のせっけん類」等が認められており(商品・役務名リスト)、また、多くの審決・異議決定において、「スキンケア(SKINCARE)」の語が品質等を表す語として指摘されている。したがって、本件商標中「SKINCARE」の文字は、本件指定商品との関係では、商品の品質、効能及び用途等を示すものであり、自他商品の識別標識として機能しないものである。
これに対し、「pacifica」の文字は、「パシフィカ:米国California州SanFrancisco南方の都市;海浜住宅地」(ランダムハウス英和大辞典第2版)を意味する既存の英単語ではあるが、リーダーズ英和辞典等一般的に使用される英和辞典には掲載されておらず、この英単語の意味は、我が国において一般に知られているとは到底いえず、また、本件指定商品の分野において上記の意味で一般に認識され、使用されている事実もない。したがって、「pacifica」は、わが国においては特定の観念を有しない造語と解すべきであり、当然に自他商品識別標識として機能するものである。
そのうえ、上記のとおり、引用各商標「Pacifica(パシフィカ)」は、申立人の出所を示す商標として、本件指定商品の分野において広く知られており、本件商標中の「pacifica」の文字部分が、申立人の商標として、強い出所表示機能を有することは明らかである。
したがって、本件指定商品との関係では、本件商標中上段の「pacifica」の文字部分が、自他商品識別標識として強く支配的な印象を与える要部であることは明らかである。
(2)本件商標と引用各商標との類似性
商標の類否については、商標の一部分が強く支配的な印象を与える場合、それ以外の部分が出所識別機能を果たし得ない場合は、当該一部分だけを抽出して類否判断を行うべきものとされており(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決)、例えば、知財高裁平成23年(行ケ)10081号同23年9月27日判決は、商標「モンテローザカフェ」と「モンテローザ」とを類似の商標と判断した。
上記のとおり、本件商標中下段の「SKINCARE」が出所表示標識として機能し得ないことは明らかであり、さらに、「pacifica」の文字部分が、自他商品識別標識として強く支配的な印象を与えることは明らかであるから、本件商標からは「pacifica」の文字部分を要部として類否判断を行う必要がある。
以上のとおり、本件商標は、引用商標1と共通する(同一の)「pacifica(Pacifica)」を要部とするものであるから、本件商標と引用商標1とが類似する商標であることは明白である。
また、引用商標2は、欧文字「PACIFICA」と片仮名「パシフィカ」を二段に書して成るところ、その要部が「PACIFICA」の文字部分にもあることは明らかであるから、本件商標が、引用商標2と類似することも疑いない。
3 商標法第4条第1項第10号
上記のとおり、引用各商標は、商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキャンドル(ろうそく)」に使用され、申立人の出所を表示するものとして、出願時及び審決時において周知著名となっていたものであり、本件商標と引用各商標とが類似することは明らかである。
そして、引用各商標に係る上記商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキャンドル(ろうそく)」は、本件指定商品「化粧品、せっけん類、香料類」と同一又は類似のものである。
本号の立法趣旨は、(a)「商品又は役務の出所の混同防止とともに」、(b)「一定の信用を蓄積した未登録有名商標の既得の利益を保護するところにもある」(特許庁編 工業所有権法逐条解説第19版)ところ、本件商標がその指定商品に使用された場合、(a)引用各商標に係る申立人の商品との出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかであり、加えて、上記のとおり、(b)引用各商標は一定の信用を蓄積した有名商標であり、本件商標が登録され使用されれば、わが国の多くの需要者に愛用され広く知られるに至っている申立人の商品を表示する引用周知著名商標に蓄積した信用が害されることもまた明白である。
すなわち、上記逐条解説の公定解釈からも、引用各商標と類似の本件商標が本号に該当することは明白である。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
4 商標法第4条第1項第11号
(1)上記のとおり、本件商標と引用商標2とは類似の商標である。
(2)また、引用商標2の指定商品中「ろうそく」は、近年の「癒し」関連の商品・サービスの流行などを背景に、単に灯火目的のものだけでなく、良い香りや匂いを発するものが一般的に製造販売されており、特に女性を中心に愛用されている。また、商標登録の指定商品表示として、第4類「香料入りろうそく」が認められている(甲第19号証)。
これに対し、本件商標の指定商品中の「香料類」は、芳香を発することを主目的とする商品であり、指定商品表示として第3類「ろうそくタイプの薫料、ろうそくタイプの芳香剤」が認められている(甲第20号証)。
上記の「香料人りろうそく」と「ろうそくタイプの薫料、ろうそくタイプの芳香剤」とは、上記のとおり、香り・匂い・芳香を発するという用途・効果の点で共通し、いずれも、ろうそくの形状及び材料により成るものであり、芳香等を発するものであるから、その原材料も共通し、実質的に同一の商品である。両者は、火を灯すという使用方法においても共通であり、また、僅かな灯りを得ることや、その灯りにより安心感を得たり癒しを得るといった用途・効果の面でも同一であって、したがって、需要者及び市場の相当部分を共通にするものである。さらに、芳香を発するろうそくである「アロマキャンドル」と、「香料類」とが、同一の企業により製造販売される例は少なくなく、現に、申立人は、両商品を製造販売している(甲第5号証の3等)。
以上のとおり、第4類「ろうそく」と、第3類「香料類」とは、用途、効果、形状、原材料、使用方法、需要者、市場、生産者及び販売者等とを共通にする類似の商品である。
(3)引用商標2の出願日は平成19年10月12日であり、登録日は平成20年3月28日であるから、本件商標は、引用商標2の出願日及び登録日のいずれにも後れて出願・登録されたものである。
(4)よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
5 商標法第4条第1項第15号
本件商標は、前記のとおり、「pacifica」と「SKINCARE」と波線状の図形を組み合わせたものであるが、その要部である「pacifica」は、申立人の周知・著名な商標「Pacifica」と同一である。
また、本件商標中の英単語「SKINCARE」は、本件指定商品「化粧品、せっけん類、香料類」について、自他識別標識として機能しないものであり、それから出所識別標識としての称呼・観念等は生じない。
上記のとおり、引用各商標「Pacifica(パシフィカ)」は、商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキヤンドル(ろうそく)」に使用され、これらの統一ブランドとして、その需要者の間で広く知られるに至っている。
すなわち、上記のとおり、本件商標中の「pacifica」は、申立人の周知著名な商標・略称であり、特に本件指定商品との関係において、即座に申立人を想起させ強い出所表示機能を担う一方で、「SKINCARE」の文字は指定商品との関係で特定の観念を生じさせるものではないから、本件商標に接する需要者・取引者は、本件商標から、「申立人のスキンケアに関する商品」等をイメージすると考えられ、その出所を混同するおそれが高い。
商標法第4条第1項第15号には、いわゆる「広義の混同」、すなわち、ある他人の業務に係る商品等であると誤信されるおそれのある商標のみならず、その他人との間にいわゆる親子会社や系列会社等の緊密な営業上の関係又は同一の表示による商品化事業を営むグループに属する関係にある営業主の業務に係る商品等であると誤信されるおそれがある商標を含むものであるから、申立人の周知著名商標である「Pacifica」に、自他商品識別力を欠く「SKINCARE」の文字を付加したにすぎない本件商標は、少なくとも、申立人と何らかの関係にある営業主の業務に係る商品との誤認を生じさせるおそれがあることは明らかである(最高裁平10(行ヒ)85号 平成12年7月11日判決、最高裁平12(行ヒ)172号 平成13年7月6日 判決)。
これらの判旨に沿って本件商標をみると、本件商標が商標法第4条第1項第15号に該当することは明らかというべきである。
6 商標法第4条第1項第8号
上述のとおり、本件商標は、英単語「pacifica」と「SKINCARE」と波線状の図形を組み合わせた商標であり、十分にその各単語が認識できる態様であり、本件商標が、これら2つの単語から構成されていることは極めて容易に看取されるものである。
他方、「Pacifica」は、申立人の商標であると同時に同社の商号「Pacifica、Inc.」の略称であって(例えば、甲第5号証の2並びに同第7号証の3及び53においては「パシフィカ社」「PACIFICA」と略称されている。)、本願商標の出願日以前に、商標法第4条第1項第8号所定の著名性(法人たる申立人の人格を特定できる程度の著名性)を獲得していることは明らかである。
しかして、本件商標は、上記のとおり、「pacifica」と「SKINCARE」と波線状の図形から構成されており、本件商標が、申立人の著名な略称「pacifica」を含むものであることは明白である。
そして、申立人は、本件商標に関し、商標法第4条第1項第8号かっこ書所定の承諾を与えていない。
したがって、本件商標は、申立人の名称の著名な略称を含む商標であるから、商標法第4条第1項第8号に該当することも明らかである。
7 むすび
以上詳述したとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号、同11号、同第15号及び同8号に該当し、商標登録を受けることができないものであるから、本件商標登録は同法第43条の2第1号の規定により取り消されるべきである。

第4 当審の判断
申立人は、本件商標が商標法第4条第1項第10号、同11号、同第15号及び同8号に違反して登録されたものであると主張しているので、以下、順次検討する。
1 引用各商標が使用されている商品について
申立人は、引用各商標を商品「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキヤンドル(ろうそく)」に使用していると主張している。
また、甲各号証によれば、申立人は、「PACIFICA」、「Paficica」ないし「パシフィカ」の各語よりなる商標を、「お香、インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー、芳香剤、ルームフレグランス、ロールオンパフューム、パフューム、ナチュラルソープ、キャンドル」との商品に使用していることが認められる。
しかして、本審判請求事件は、商標法第4条第1項第10号、同15号該当性をその理由の一部に挙げていることから、本件商標が上記各規定に該当するか否かを判断するに際しては、当該各商品の内容が明らかであることが必要とされる。
しかるところ、上記の各商品中には、例えば、「インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー」など、その内容が明らかでないと思われる商品が含まれていると判断されるところである。
そうとすれば、これらの商品の内容については、職権による調査、又は、申立人に対する審尋が可能であるところ、仮に、引用各商標の周知著名性が認められないのであれば、本件商標が上記の各号に該当するとの登録異議の申立ての理由は成り立たないことになるから、本件においては、この点を一時置いて、まず、引用各商標の周知著名性の判断をすることとする。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)引用各商標の周知著名性について
ア 申立人の提出した甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(ア)件外の株式会社日本香堂(以下「日本香堂」という。)は、2008年に申立人と業務提携を行ったこと(甲第5号証の2)。
(イ)日本香堂は、「商品ラインアップ」として、「PACIFICA」及び「パシフィカ」の語よりなる商標を、「キャンドル、インセンス、パフューム、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー」との商品に使用していること(甲第5号証の3ないし8)。
(ウ)前記各商品とおぼしき商品が百貨店や小売店舗に陳列されていること(甲第6号証)。
(エ)「PACIFICA」、「Paficica」及び「パシフィカ」の語よりなる商標を使用した「お香、インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー、芳香剤、ルームフレグランス、ロールオンパフューム、パフューム、ナチュラルソープ、キャンドル」との商品が、インターネット通信販売サイトで取り扱われていること(甲第7号証(枝番を含む。)。
(オ)申立人が、日本香堂へ出荷した商品の、2007年9月21日から2012年4月25日までの送り状のデータが示され、その取扱額が1,571,591ドル(日本円で約1億5千万円)であることが記載されていること(甲第9号証)。
(カ)申立人による、「Tokyo Physics & Chemistry Center Co.,Ltd」宛の申立人商品の、2007年12月28日から2012年3月14日までの送り状のデータが示され、その取扱額が754,607ドル(日本円で約7千2百万円)であることが記載されていること(甲第10号証)。
(キ)日本香堂による、商品「お香、エアフレッシュナー、リードディフューザー、キャンドル、ロールオンパフューム」との商品の、2008年2月から2012年7月の間の販売データが示され、この間の販売総額が約3億円であること(甲第11号証ないし甲第15号証)。
(ク)申立人商品「キャンドル、フレグランス、リキッドエアフレッシュナー、ロールオンパフューム」との商品が雑誌、新聞に紹介されていること(甲第16号証(枝番を含む。))。
(ケ)請求人商品の英語によるパンフレットが作成されていること(甲第17号証及び甲第18号証)。
イ 引用各商標の周知著名性について
以上によれば、「PACIFICA」、「Paficica」及び「パシフィカ」の語よりなる商標が、申立人の「お香、インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー、芳香剤、ルームフレグランス、ロールオンパフューム、パフューム、ナチュラルソープ、キャンドル」との商品について、2007年末頃から、2012年の間に使用されたことが確認できるものである。
そして、前記の甲各号証によれば、引用各商標が、上記商品に使用されて、取引者、需要者の間で、ある程度知られていると推認することができるものである。
しかしながら、甲第5号証及び甲第7号証においては、申立人商品の売上額・販売数量・販売地域は確認することはできないものである。
また、甲第9号証ないし甲第15号証において、取扱額・販売数量が示されているものの、この数値が、引用各商標の周知著名性の程度を推測する上でどの程度のものであるのかを判断する値、例えば、これら商品に関する申立人の業界におけるシェア(市場占有比率)や同業他社の取引の実情などは把握することができない。
ちなみに、職権による調査によれば、インターネットの「東洋経済 オンライン(2013年3月5日)」記事には、「消臭芳香剤の市場規模は年間540億円程度。・・・小林製薬とエステーが“2強”として君臨。・・・12年4?12月の消臭剤売上高は、小林製薬が前年同期比横ばいの245億円、一方、エステーは165億円と大きさそのものは劣るが、・・・」(http://toyokeizai.net/articles/-/13144)とあり、この消臭芳香剤の年間の市場規模と対比した場合、消臭芳香剤を含んだ、申立人商品すべての、2008年2月から2012年7月の間の総額約3億円という販売額は、引用各商標の周知著名性を推認することができる程度の額ということはできないものである。
してみれば、申立人が提出した上記の甲各号証によっては、引用各商標の周知著名性の程度を推測することはできないというべきである。
加えて、甲各号証に示された申立人の「お香、インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー、芳香剤、ルームフレグランス、ロールオンパフューム、パフューム、ナチュラルソープ、キャンドル」との商品は、多岐に亘るものであり、それらの各個別商品の取扱額・販売数量も明らかではないから、本件商標との類否判断等を行うための、各個別商品に使用する引用各商標の周知著名性の程度も推測することもできないものである。
このほか提出された、甲第16号証(枝番を含む。)における、雑誌記事、新聞記事は、申立人の「キャンドル、フレグランス、リキッドエアフレッシュナー、ロールオンパフューム」との商品に関する、他社の商品とともに掲載されている広告記事のもの、ないし、小さな囲み記事のものであり、その発行部数や発行(配布)範囲が明らかではなく、加えて、当該雑誌類は一般に広く知られているものとはいえず、また、ここにおける新聞も、全国的な一般紙ではなく、「生活産業新聞」、「日本商業新聞」、「洗剤日用品粧報」といった業界紙である。
さらに、甲第17号証及び甲第18号証は、英語のパンフレットであり、かつ、これが我が国で配布された部数や配布範囲も明らかではない。
ウ 小括
以上、申立人が提出した証拠方法によっては、引用各商標が、申立人の「お香・芳香剤などの香料類、香水などの化粧品、せっけん類、アロマキヤンドル(ろうそく)」、あるいは、「インセンス、リキッドエアフレッシュナー、リードディフューザー、芳香剤、ルームフレグランス、ロールオンパフューム、パフューム、ナチュラルソープ、キャンドル」との商品に、本件商標登録出願前に使用されて、取引者や需要者一般の間で広く知られ、周知著名になっていたと認めることはできないものである。
(2)商標法第4条第1項第10号についての判断
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
前記「1」で判断したように、引用各商標は、本件商標登録出願前に使用されて、取引者や需要者一般の間で著名になっていたと認めることはできないから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標と引用商標2の類否について
本件商標は、別掲のとおり、「pacifica」の欧文字と「SKINCARE」の欧文字とを二段に書し、下段の「SKINCARE」の欧文字の左に、筆書き状の右先端の丸い波線の図形を配して成るものであり、その構成中下段の「SKINCARE」の文字は、「肌の手入れ」を意味する親しまれた英語であって、その表音である「スキンケア」の片仮名語も、同様の意味を有する外来語として日常一般的に使用されているものであり、「SKINCARE」の語は、その指定商品との関係においては、商品の用途、品質を説明する語というべきであるから、本件商標は、上段の「pacifica」の文字部分がその要部というべきである。
してみれば、本件商標は、上段の「pacifica」の文字部分から、単に「パシフィカ」の称呼をも生ずるものというのが相当である。
これに対し、引用商標2は、「PACIFICA」の欧文字と「パシフィカ」の片仮名を上下二段に書してなるから、これより、「パシフィカ」の称呼を生ずるものである。
そうすると、本件商標と引用商標2は、称呼を共通にする類似の商標と判断される。
したがって、本件商標は、引用商標2と類似する商標と判断される。
(2)本件商標と引用商標2の指定商品の類否について
本件商標の指定商品は、第3類「化粧品,せっけん類,香料類」であり、他方、引用商標2の指定商品は、第4類「ろう,ろうそく」であるから、前者と後者とでは、その品質、用途、原材料、取引流通経路、販売者、販売場所を異にし、両者に同一又は類似の商標が使用されても、商品の出所を混同するおそれはないというべきものである。
この点、申立人は、「指定商品表示として採択されている、『香料人りろうそく』と『ろうそくタイプの薫料、ろうそくタイプの芳香剤』とは、香り・匂い・芳香を発するという用途・効果の点で共通し、いずれも、ろうそくの形状及び材料により成るものであり、芳香等を発するものであるから、その原材料も共通し、実質的に同一の商品である。両者は、火を灯すという使用方法においても共通であり、また、僅かな灯りを得ることや、その灯りにより安心感を得たり癒しを得るといった用途・効果の面でも同一であって、したがって、需要者及び市場の相当部分を共通にするものである。」、「芳香を発するろうそくである『アロマキャンドル』と、『香料類』とが、同一の企業により製造販売される例は少なくなく、現に、申立人は、両商品を製造販売している」旨主張している。
しかしながら、「香料入りろうそく」は、「ろうそく」の範ちゅうの商品として取引され市場に供されており、「ろうそくタイプの薫料、ろうそくタイプの芳香剤」は、「芳香剤を含む薫料」の範ちゅうの商品として取引され市場に供されているのが取引の実情であり、上記したように、両者は、その品質、用途、原材料、取引流通経路、販売者、販売場所を異にする別異の商品というべきである。
また、申立人が主張するように、両商品の生産者が同じ場合があるとしても、上記したように、両者は互いに別異の商品とみるのが相当であるから、商品「香料人りろうそく」と「ろうそくタイプの薫料、ろうそくタイプの芳香剤」とは互いに類似する商品と認めることはできないものである。
(3)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第8号について
他人の著名な略称を含む商標について、最高裁判所による以下の趣旨の判決がある。
すなわち、「人(法人等の団体を含む。)の名称等の略称が8号にいう『著名な略称』に該当するか否かを判断するについても,常に,問題とされた商標の指定商品又は指定役務の需要者のみを基準とすることは相当でなく,その略称が本人を指し示すものとして一般に受け入れられているか否かを基準として判断されるべきものということができる。」(最高裁第二小法廷 平成17年7月22日判決 平成16年(行ヒ)第343号)
これを本件についてみるに、証拠によれば、申立人が、「パシフィカ社」「PACIFICA」と略称されていることは認められるところであるが、それが認められるのは、甲第5号証の2並びに同第7号証の3及び53に示された、3件の事例のみであり、ほかに、「PACIFICA(Pacifica、パシフィカ)」の語が、申立人の取扱に係る商品の取引者、需要者間のみならず、我が国内で、申立人の略称を表示したものとして一般に認識されていることを認め得る証拠の提出はない。
そして、インターネットで「Pacifica」ないし「パシフィカ」の語を検索すると、申立人の略称以外の情報が多数検索されるところであり、「PACIFICA(Pacifica、パシフィカ)」の語が、申立人の略称であることを想起させる検索情報は発見できない。
したがって、「PACIFICA(Pacifica、パシフィカ)」の語が、上記最高裁判決のいう、商標法第4条第1項第8号の「著名な略称」ということはできないものである。
よって、本件商標は、同第8号には該当しない。
5 まとめ
以上、本件の商標登録は、商標法第4条第1項第10号、同第11号、同15号及び同8号に違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲 本件商標



異議決定日 2013-07-19 
出願番号 商願2011-30887(T2011-30887) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X03)
T 1 651・ 23- Y (X03)
T 1 651・ 254- Y (X03)
T 1 651・ 25- Y (X03)
最終処分 維持 
前審関与審査官 飯田 亜紀 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2012-09-28 
登録番号 商標登録第5524268号(T5524268) 
権利者 パシフィカ スキン ケア リミテッド
商標の称呼 パシフィカスキンケア、パシフィカ 
代理人 大島 厚 
代理人 杉村 憲司 
代理人 柴田 泰子 
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