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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項6号 1号から5号以外のもの 登録しない X2930 |
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管理番号 | 1277860 |
審判番号 | 不服2012-13641 |
総通号数 | 165 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-09-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-07-17 |
確定日 | 2013-07-24 |
事件の表示 | 商願2011- 39376拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「コク・キレ・アロマ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「乳製品」及び第30類「コーヒー及びココア」を指定商品として、平成23年6月7日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由(要点) 原査定は、「本願商標は、『コク・キレ・アロマ』の文字を標準文字で表してなり、『コク』『キレ』『アロマ』の各文字は、指定商品を取り扱う分野において、『コクある苦み』『強い酸味(キレの良さ)』『香ばしいアロマ』等のように味や香りを表す語としてしばしば使用されているから、これをその指定商品に使用しても、味や香りを強調する語と理解させるにとどまり、単に商品の品質を誇称して表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審において通知した審尋 請求人に対して、平成25年2月26日付けで通知した審尋の内容は、別掲のとおりである。 4 当審の判断 (1)本願商標は、上記1のとおり「コク・キレ・アロマ」の文字を標準文字で表してなるものである。 そして、上記3の審尋のとおり、「コク・キレ・アロマ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質(特徴)を表示する際に一般に使用される文字(語)を中黒「・」を介して複数連ねて表示したものと認識するにすぎず、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものであって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきであるから、商標法第3条第1項第6号に該当するものである。 (2)請求人の主張について ア 請求人は、商品の品質又は品質名を指す名称等を中黒「・」を介して一連に書して構成される商標の登録例が多数存在し、また、中黒「・」を介して一連に書した商標全体は指定商品や指定役務の品質、質、特性等を具体的に表示したものとはいえないと判断して、自他商品(役務)の識別標識としての機能を認めた審決例が多数存在する旨主張している。 しかしながら、商標が自他商品の識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案し、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきであって、上記3の審尋で示した実情からすれば、上記(1)のとおり判断するのが相当である。 イ 請求人は、請求人による販売促進の結果、「コク・キレ・アロマ」は請求人が缶コーヒーに使用する標章として広く認識されるに至っていることは、Googleで「コク」「キレ」「アロマ」の語群を連結した標章を検索すると約10万件弱のヒットがあり、そのほとんど全てが請求人の商標としての使用例であることからも明らかである旨主張している。 しかしながら、たとえ前記のとおりの検索結果であるとしても、このことのみによって本願商標が請求人の商標として広く認識されるに至っているとはいえず、また、他に本願商標が請求人の商標として広く認識されるに至っているというべき事情も見いだせない。 したがって、この点についての請求人の主張は採用できない。 なお、請求人は、本願商標が現実に使用され、商標として充分に機能していることを証明するために追加の資料が必要であれば提出することはやぶさかではない旨述べているが、請求人の主張によれば、本願商標は、2011年9月12日から2012年9月9日までの期間に使用されていたものであり、その期間はわずか1年であって、最後の使用から既に半年も経過しているものであるから、追加の資料により上記(1)の判断に影響を及ぼすとは認められず、該資料の提出を求めるまでもなく判断することとした。 (3)以上のとおり、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当するものであるから、これを登録することはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 審尋の内容 この商標登録出願に係る商標(以下「本願商標」という。)は、「コク・キレ・アロマ」の文字を標準文字で表してなり、第29類「乳製品」及び第30類「コーヒー及びココア」を指定商品とするものである。 そして、「コク」、「キレ」及び「アロマ」の文字(語)が別記1のとおり書籍に記載され、また、インターネット上のウェブサイトで使用されている事実がある。 さらに、商品の品質(特徴)を表す文字(語)を中黒「・」を介して複数連ねた表示が別記2のとおりインターネット上のウェブサイトで使用されている事実がある。 これらの事実からすれば、本願の指定商品を取り扱う業界において、「コク」、「キレ」及び「アロマ」の文字(語)は、商品の品質(特徴)を表示する際に一般に使用されており、また、このように商品の品質(特徴)を表示する際に一般に使用される文字(語)を中黒「・」を介して複数連ねて表示することも一般に行われているというのが相当である。 そうとすると、「コク・キレ・アロマ」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は、商品の品質(特徴)を表示する際に一般に使用される文字(語)を中黒「・」を介して複数連ねて表示したものと認識するにすぎないものであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものとみるのが相当であって、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標といわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第6号に該当する。 なお、この審尋と原審における拒絶査定の理由とは、いずれも本願商標が自他商品の識別標識としての機能を有しないとするものであるから、両者の内容は実質的に相違するものではない。 別記 1 「コク」、「キレ」及び「アロマ」について (1)書籍の記載 ア 株式会社調理栄養教育公社発行「改訂調理用語辞典」に、「こく【酷】」の項があり、そこには「こまやかで深みのある味わいのこと。…」の記載がある。 イ 株式会社柴田書店発行「コーヒーの事典」に、「きれ」の項があり、そこには「コーヒーの水色(すいしょく)が澄んできれいであると同時に高品質のコーヒーに見られる濁り感のない澄んだ香味の感覚で、異質で不快な味のない状態。…」の記載がある。 また、同事典に、「コーヒーのフレーバー」の見出しのもと、「アロマ」の項があり、そこには「…生理的には経鼻感覚を示す。」の記載がある。 ウ 株式会社日本文芸社発行「珈琲パーフェクト・ブック」に、「コーヒー用語辞典」の見出しのもと、「アロマ」の項があり、そこには「鼻で感じる香り。」の記載がある。 また、同見出しのもと、「コク」の項があり、そこには「味の厚さの幅。味覚で感じる味の広がりのことで、深みのある濃いうまみのこと。ボディともいう。」の記載がある。 (2)インターネット上のウェブサイトでの使用について ア 「DyDo」のウェブサイトにおいて、「デミタスコーヒー」の見出しのもと、「…さらに高温・短時間で抽出することでコク、キレのある苦味、甘く華やかなアロマを引き出しました。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.dydo.co.jp/products/detail/351) イ 「自家焙煎珈琲 田原屋」のウェブサイトにおいて、「田原屋 coffee」の見出しのもと、「マサイAA(ケニア)100g/750円」の項に「芳醇なアロマと際立った甘さ、柑橘系のような酸味、きれのよいコク雑味がなく透明感が特徴。」の記載がある。 (http://www.tabaruya.com/coffee.html) ウ 「まなぶおじさんの珈琲工房」のウェブサイトにおいて、「コクと少し苦みのタイプ」の見出しのもと、「こくまろブレンド」の項に「やわらかな苦みとキレ。豊かなコクと香りが広がります。…」の記載、及び「タイ・ゴールデントライアングルマウンテン フェアトレード有機栽培」の項に「香り高く、甘み、酸味、苦み、コクのバランスに優れ、飲むと喉から溢れ出る甘く香ばしいアロマが感じられます。」の記載とともに商品(コーヒー豆)の写真が掲載されている。 (http://www.cf-manabu.com/kokutosukoshinigami.html) エ 「GEORGIA」のウェブサイトにおいて、「芳醇エスプレッソ」の見出しのもと、「香りつづけるアロマと深いコクのエスプレッソ」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.georgia.jp/product/hojun_espresso.html) オ 「株式会社明治」のウェブサイトにおいて、「コクがおいしいアイスココア(袋)220g」の見出しのもと、「“コクがあるのにすっきり!”…」及び「…際立てたコクはそのままに、後味がすっきりとしたキレのあるおいしさに仕上げました。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://catalog-p.meiji.co.jp/products/foods_drink/cocoa_powderdrink/030101/31038.html) カ 「PIERRE HERME PARIS」のウェブサイトにおいて、「CHOCOLAT CHAUD ショコラ ショー」の見出しのもと、「…贅沢にブレンドした オリジナルショコラ ショー(ホット ココア)。 上質なカカオバターのまろやかな口当たりと、焙煎したカカオ豆の芳醇なアロマをお楽しみください。」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.pierreherme.co.jp/sv2013/etcetra/) キ 「Fermier」のウェブサイトにおいて、「?フェルミエから始めるチーズ生活?」の見出しのもと、「■コンテ ド モンターニュ リザーヴ 18ヶ月以上熟成 お買い物はこちらから」の項に「ノワゼットに似た風味とコク、栗のような甘み、複雑なアロマを持つ長期熟成タイプ。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://shopping.fermier.co.jp/special/?id=1338272427-172400) ク 「Fermier」のウェブサイトにおいて、「BUKO クリームチーズ」の見出しのもと、「…こってりとしながらも後口のキレが良い。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://shopping.fermier.co.jp/shopping/?pid=1333418748-990936) ケ 「森永乳業株式会社」のウェブサイトにおいて、「Q&A:牛乳類・飲料について」の見出しのもと、「…本来の牛乳の味である『コクがあるのにすっきりキレのある味』を再現しています。…」の記載がある。 (http://www.morinagamilk.co.jp/customer/faq/milk/id_05.html) コ 「KOIWAI」のウェブサイトにおいて、「ニュースリリース」の見出しのもと、「2012年7月5日」の項に「?期間限定、ダブルの乳素材で仕上げた乳飲料。しっかりしたコクとさわやかなキレ?」の記載、及び「【商品特長】」の項に「…乳のコクと厚みを実現。…」「…さわやかでスッキリしたキレのある味わい。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.koiwaimilk.com/company/news/news120705.html) サ 「DANONE」のウェブサイトにおいて、「ヨーグルトと健康」の見出しのもと、「ダノンヨーグルトの乳酸菌」の項に「…ヨーグルト特有のさわやかな香りにキレを生み出している…」の記載、及び「世界中で愛される本格派ヨーグルト」の項に「…クリーミーでコクのある味わいに仕上げています。」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.danone.co.jp/health/yogurt/ferment.html) シ 「カルピスフーズサービス株式会社」のウェブサイトにおいて、「業務用生クリーム」の見出しのもと、「…搾りたての生乳そのままのすっきりとした“コク”と甘み。…」「…<キレのいいコク>…」の記載、及び「カルピス(株)フレッシュクリーム 47%」の項に「…深いコクに切れ味の良い味わいが絶妙…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.calpis-cfs.co.jp/businesscream/index.html) 2 商品の品質(特徴)を表す文字(語)を中黒「・」を介して複数連ねた表示について (1)「デコボコショッピング」のウェブサイトにおいて、「森の焙煎所コーヒー」の見出しのもと、「深煎りマイルド」の項に「…コク・キレ・スッキリの三拍子そろったちょっと贅沢なブレンド。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://decobocofarm.com/shopping/baisenjo.html) (2)「ホーム株式会社」のウェブサイトにおいて、「コーヒー 商品ご紹介」の見出しのもと、「東京アライドコーヒー 琉雅」の項に「…苦味・コク・キレのある…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.ho-me.co.jp/coffee/coffee06.html) (3)「SEIJO ISHII.com」のウェブサイトにおいて、「MJB ベーシックブレンド(袋入) 400g」の見出しのもと、「酸味・苦味・コク・アロマを絶妙なバランスで仕上げました。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (https://www.seijoishii.com/d/60953) (4)「自家焙煎珈琲 じゃ豆」のウェブサイトにおいて、「ブレンド コーヒー」の見出しのもと、銘柄が「じゃ豆 ブレンド」の特徴欄に「グアテマラ・コロンビア・ブラジルをベースにした自慢の味です。」の記載、及び「ストレート コーヒー」の見出しのもと、銘柄が「グァテマラ」の特徴欄に「…コク・キレがNo1です。…」の記載がある。 (http://www6.ocn.ne.jp/~jazzcafe/sub1.html) (5)「shabby white」のウェブサイトにおいて、「明日はコーヒー試飲会です。 2012年08月02日」の見出しのもと、「…豆はグァテマラ・アゾテアを使用、フルーツ系の香りとコク・キレのあるコーヒーです。…」の記載がある。 (http://shabby214.exblog.jp/18297212/) (6)「KAKO」のウェブサイトにおいて、商品名が「ブルーマウンテン」の詳細欄に「香り・コク・苦み・酸味・甘み全てを持ち合わせた世界最高級のコーヒー。」の記載がある。 (http://www.coffeekako.com/orderform.html) (7)「M-cafe倶楽部」のウェブサイトにおいて、「ブラジルNO.2バイヨン セレクトS-18」の見出しのもと、「…コーヒー豆は……収穫年度によってその品質・味・アロマが大きく異なります。…」の記載がある。 (http://m-cafeclub.com/shop/g/g101003/) (8)「KOIWAI」のウェブサイトにおいて、「ニュースリリース」の見出しのもと、「2011年2月22日」の項に「…『小岩井 フレンチトースト醗酵バタークリーム』は、……コク・香り・甘さを楽しめます。…」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.koiwaimilk.com/company/news/news1102251.html) (9)「ばさら邸」のウェブサイトにおいて、「ばさら邸の朝食のこだわり ?体に優しい朝食?」の見出しのもと、「伊勢の山村牛乳」の項に「…牛乳の持つ栄養分と本来の味(コク・香り)を失わない美味しい牛乳…」の記載がある。 (http://www.basaratei.com/ryouri/asa.html) (10)「原田乳業株式会社」のウェブサイトにおいて、「原田 カフェゼリー」の見出しのもと、「味・コク・香り・甘味とも調和がとれたコーヒーゼリーに仕立てました。」の記載とともに商品の写真が掲載されている。 (http://www.harada-milk.jp/products/p_cafejelly/) |
審理終結日 | 2013-05-16 |
結審通知日 | 2013-05-24 |
審決日 | 2013-06-04 |
出願番号 | 商願2011-39376(T2011-39376) |
審決分類 |
T
1
8・
16-
Z
(X2930)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一、冨澤 美加 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
山田 啓之 前山 るり子 |
商標の称呼 | コクキレアロマ、コクキレ |
代理人 | 広瀬 文彦 |