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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2011300680 審決 商標
取消2011300367 審決 商標
取消2012300461 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X09
管理番号 1277852 
審判番号 取消2012-300825 
総通号数 165 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-09-27 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-10-19 
確定日 2013-07-24 
事件の表示 上記当事者間の登録第5107760号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 登録第5107760号商標の指定商品中,第9類「電子計算機用プログラム」については,その登録は取り消す。 審判費用は,被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5107760号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲のとおりからなり,平成19年5月21日に登録出願,第9類「携帯電話機その他の電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品」を指定商品として,同20年1月25日に設定登録され,現に有効に存続しているものである。
そして,本件審判の請求の登録は,平成24年11月6日である。

第2 請求人の主張
請求人は,結論同旨の審決を求め,その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べ,証拠方法として,甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
1 請求の理由
本件商標は,その指定商品中「電子計算機用プログラム」について,継続して3年以上日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても上記商品に使用されていないものであるから,その登録は,商標法第50条第1項の規定に基づき取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は,本件審判の請求登録前3年以内はもとより,継続して「電子計算機用プログラム」について使用していると主張するが,以下の理由から,これらの使用は,「電子計算機用プログラム」についての使用ではなく,商標法第50条の要件を満たすものではない。
(1)本件商標の使用の事実
ア 乙第3号証及び乙第4号証は,被請求人が製造するNTTドコモ向けの携帯電話機の取扱説明書であり,乙第3号証には,「取扱説明書\FOMA(R)S0905i’07.11」(「(R)」は○の中に「R」が表示されている。以下同じ。)の記載及び携帯電話機の図(写真)が示されている。これより,当該携帯電話機の商標が「FOMA」であること及び当該携帯電話機の取扱説明書であることも明らかである。
同説明書の中に「FOMA S0905iの主な機能」として,「カメラ機能」,「microSDメモリーカード」,「クイックデコレーション機能」等とともに,「+JOG(プラスジョグ)」が示されている。このように,「+JOG(プラスジョグ)」が,当該携帯電話機の機能の一つの名称として使用され,そのように認識できることは明らかである。
さらに,同説明書には,「+JOG(プラスジョグ)」について,「ジョグを上下に回して項目を素早く選択できます。4方向ボタンと組み合わせると,より操作しやすくなります。」との説明があり,また,「各部の名称と機能」として,同携帯電話機の図解による説明が続き,同携帯電話機の中央のボタン部分に,「(14)」(「(14)」は○の中に「14」が表示されている。以下同じ。)が付されて,「(14)プラスジョグ(P.26)」と表示している。続きの頁には,「+JOG(プラスジョグ)」との見出しの下,同ボタン部分の拡大図と,同ボタンを押すことによって,同携帯電話機の画面に,「デー夕BOX」,「電話帳」,「着信履歴」等々が表示されるという説明がなされている。
上記から,「+JOG(プラスジョグ)」は,当該「FOMA」の商標が使用された携帯電話機の一つのボタンの名称,又は,このボタンを操作することによって両面に種々表示が現れるという機能の名称と容易に認識できることは明らかである。
さらに,同説明には,「ジョグのスクロール量・・・設定したり,ジョグを利用しないように設定することができます。」という説明もあって,この「ジョグ」が,ボタン及びそれを押すことによって,当該携帯電話機の画面に種々のメニューの現れ方等を調整できる説明もある。
イ 被請求人は,「本件商標は,被請求人にかかる携帯電話機の筺体に設けられている操作キーやジョグダイヤル及び携帯電話機用プログラムの商標(名称)として使用している」と述べるが,「携帯電話機用のプログラムの商標」と認識できるものではない。このような機能が,携帯電話機に内臓された「コンピュータプログラム」の働きによるものとしても,それによって,直に,その機能やその機能を発揮するボタンに名づけられた名称が,当該「コンピュータプログラム」自体の商標として,認識,理解されることなどありえないというべきである。
かかる理は,携帯電話機は当該プログラムを含め,「コンピュータプログラム」によって制御されていることは自明であるが,当該携帯電話機につけられた商標「FOMA」が,その携帯電話機のプログラムの商標とまで,認識されるものではないことからみても明らかである。なお,この点,「jog(ジョグ)」という言葉は,「軽く押す」という意味の英単語であり(甲4),その意味からも,上記ボタンの名称と認識させるものである。
上記主張と同趣旨の審決例は,すなわち,たとえ,商品や役務が「コンピュータプログラム」を内臓又はそれによって提供されるものであっても,そこに使用された商標は,そのような商品(その機能のメニュー構造の名称)や役務自体の名称として認識し,理解されるものであり,「コンピュータプログラム」そのものを表したものといえないと認定する審決(甲1及び甲2)等が多数あり,東京地裁平成22年(ワ)第18759号損害賠償請求事件では,「OSソフトウェア」の「主なアプリケーション」の一つとして表示される「Quick Look」の表示について,当該「OSソフトウェア」が有する「機能を利用する際の案内表示」であり,被告コンピュータ商品あるいは被告OSソフトウェア商品の自他商品識別機能・出所表示機能を有する商標として表示されているものではない,と判示する(甲3)。
かかる審決例,裁判例の判断手法に照らしても,本件「+JOG(プラスジョグ)」の表示は,当該携帯電話機のボタンの名称,又は,そのボタンを押すことによって生じる機能の案内表示,と考えるのが自然であり,合理的である。
他方,商品の点からみれば,商標法50条の適用上,「商品」というためには,市場において独立して商取引に対象として流通に供されるものでなければならない(東京高裁平成12年(行ケ)第109号,甲5)。
よって,本件商標が,商品「電子計算機用プログラム」に使用されているといえるには,本件商標が付された「電子計算機用プログラム」が,独立した商品として,記録媒体に格納され,又は,ダウンロードできる形で,譲渡等取引の対象として,市場に流通していなければならない。
この点,乙第10号証は,Microsoft社のウェブページであり,「Office」と名づけられたソフトウェアのアップデート用のプログラムが,インターネットを通じてダウンロードできることを示すのみであり,乙第11号証は,NTTdocomoのウェブページであり,「spモードメールアプリ」と名づけられたアプリケーションソフトウェアがダウンロードできることを示すのみで,本件商標の使用されたソフトウェアが提供されていることを示すものでは全くない。乙第12号証も,NTTdocomoのウェブページからの抽出物と認識できるが,ここでは,「ドコモアプリ/インストール/アップデート」との記載があるに止まり,本件商標を使用した「コンピュータソフトウェア」が,実際に記録媒体に格納され,あるいは,ダウンロードを通じて提供されていることを示す証拠は全く提出されていない。
ウ 乙第4号証には,「取扱説明書\FOMA(R)S0905iCS’08.2」の記載及び携帯電話機の図が示されており,「FOMA」の商標が使用された携帯電話機の取扱説明書であることは明らかである。
そして,同取扱説明書の中に「FOMA S0905iCSの主な機能」として,「+JOG(プラスジョグ)」,「クイックデコレーション機能」というように,機能ごとに見出しがつけられた各機能の説明があり,さらに,当該携帯電話機の中央のボタンを「(10)プラスジョグ」(「(10)」は○の中に「10」が表示されている。)と称し,「+JOG(プラスジョグ)」の表題の下に,携帯電話機の図解とともにこのボタンの機能の説明がある。
かかる記述から,「+JOG(プラスジョグ)」は,「FOMA」の商標が使用された携帯電話機のボタンの名称あるいは,それを押すことによって作動する機能の表示と認識できるものであることは明らかである。
本件「+JOG(プラスジョグ)」の表示が,その機能を作動させるコンピュータソフトウェアを指称する商標などと認識されるものではない。
エ 乙第5号証は,KDDIの提供するW53Sと名づけられた携帯電話機のオンラインマニュアルであり,「W53Sはここがポイント」として,「+JOGとソフトキー」,「防犯ブザー」などの説明があるが,「ソフトキー」と言葉の組み合わせ,さらに,「W53Sでは,+JOG(プラスジョグ)とソフトキーを使って機能を呼び出したり項目を選択したりします。」,「+JOGは+字キーと中央のジョグダイヤルから成り立っています。ジョグダイヤルは上下に回したり押すことができます。・・・ジョグダイヤルを押して確定します。」等の説明から,「+JOG(プラスジョグ)」が,このような機能を呼びだすボタンの名称又はそのような機能の表示として使用されていることは明らかである。
上記乙第3号証ないし乙第5号証は,そもそも,それぞれの携帯電話機の取扱説明書であって,「電子計算機用プログラム」の取扱説明書ではないことは明らかである。
よって,これらは,取消請求に係る指定商品「電子計算機用プログラム」に関する取引書類(商標法2条3項8号)には該当しない。
上記で述べたとおり,本件商標の指定商品「電子計算機プログラム」についての使用というためには,本件商標が付された「電子計算機用プログラム」が,独立した商品として,記録媒体に格納され,又は,ダウンロードできる形で,譲渡等取引の対象として,市場に流通していなければならない。そして,本件商標「+JOG」と名づけられた「電子計算機用プログラム」が,商標法上の商品として実在するならば,本件商標についても,たとえば,乙第10号証及び乙第12号証に示されるように,当該プログラム自体の「取扱説明書」が提出されるべきである。
オ 乙第6号証は,単に,「+JOG」,「プラスジョグ」が,ソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社の商標であることを説明する文書である。乙第7号証ないし乙第9号証は,「コンピュータプログラム」の概念を説明する辞典からの抽出物である。乙第13号証及び乙第14号証は,W53Sその他の携帯電話機の稼動台数の一覧表であるが,それぞれの携帯電話機が使用されていることを示すに止まる。乙第15号証及び乙第16号証は,「FOMA」の携帯電話機のサポート情報の提供を示すものにすぎない。
(2)使用時期
被請求人が,本件商標の使用として提出した乙第3号証ないし乙第6号証は,上述したとおり,その取消請求に係る「電子計算機プログラム」の取引書類ではないことに加えて,これらの書類が,本件審判の請求の登録3年以内(2009年11月6日から2012年11月5日)に実際に頒布等(商標法2条1項8号)されたものであることは全く不明である。
乙第3号証は,表紙の「’07.11」の記載から,2007年11月に発売の機種に関するものであり,乙第4号証は,表紙の「’08.2」の記載から,2008年2月に発売の機種に関するものであり,上記3年以内のものではない。
乙第5号証についても,2012年12月20日付けで抽出された書面である。なお,被請求人は,乙第13号証及び乙第14号証を示して,これら携帯電話機の稼動台数を説明するが,稼動台数は,これは,商品が実際に,譲渡,引渡し等(商標法2条3項)されていることを示すものではない。
加えて,これらは,すべて,「携帯電話機」に関するものであって,「電子計算機用プログラム」が商品として独立して,上記3年以内に譲渡等されていたことを示すものでは全くない。
3 まとめ
以上述べたとおり,答弁書によっては,本件審判の請求の予告登録日前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,その請求に係る指定商品「電子計算機用プログラム」についての本件商標の使用をしていることを証明していない。
よって,商標法第50条第2項の要件を満たさず,その指定商品「電子計算機用プログラム」に係る本件商標の登録は,取り消されるべきである。

第3 被請求人の答弁
被請求人は,「本件審判の請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し,その理由を要旨次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第16号証を提出した。
1 本件商標の使用の事実
被請求人は,携帯電話機メーカーであるところ,本件商標「+JOG」を「電子計算機用のプログラム」の商標(名称)として使用しているものである。
(1)「+JOG」について
「+JOG」は,被請求人に係る携帯電話機に搭載されている操作キー及びジョグダイヤルと,これらの操作キーやジョグダイヤルを操作することによって起動するプログラムの商標(名称)として使用している(乙3ないし乙6)。
(2)商標の使用者
乙第3号証及び乙第4号証にそれぞれ掲載されている携帯電話機には,被請求人に係るものであることが記載されている。これらは,被請求人が製造するNTTドコモ向けの携帯電話機の取扱説明書であるが,表紙写真に表れている携帯電話機の筐体に,被請求人の旧社名が刻印されている。
なお,前記旧名称が,被請求人の名称変更前のものであることは,本件商標の商標登録原簿及び商標公報(乙1及び乙2)からも明らかである。
(3)使用に係る商標
本件商標は,「+JOG」の文字よりなるところ,使用に係る商品における商標も「+JOG」(以下「使用商標」という。)である(乙3ないし乙6)。本件商標は,「J」の文字が他の文字に比して大きく書してなるものであり,使用商標は,構成文字を全て同じ大きさで書してなるものであるが,これは文字の大きさが異なるにすぎず,社会通念上同一の商標といえるものである。
(4)使用に係る商品
使用に係る商品は,搭載されている操作キー,ジョグダイヤル及びこれらの操作キーやジョグダイヤルを操作することによって起動するプログラムである。
したがって,被請求人は,本件商標を「携帯電話機」及び「携帯電話機用プログラム」に使用しているものである。
そして,取消請求に係る指定商品は,「電子計算機用プログラム」であるところ,かかる「携帯電話機用プログラム」は,「電子計算機用プログラム」と用途や機能,流通経路,需要者を同じくするものであるから,「電子計算機用プログラム」の概念に含まれるものである。用途や機能については,両者とも,ハードウェアが機能を実行するために命令・処理するものである(乙7ないし乙9)。また,両者は,事前にハードウェアにインストールされているものもあるが,ウェブページからダウンロードし入手することが一般的に行われている(乙10ないし乙12)。さらに,携帯電話機や電子計算機が我が国において,広く一般的に使用されていることから,両者はその需要者を同じくするものである。
そして,特許庁編「類似商品・役務審査基準」で表示されている「電子計算機用プログラム」はあくまで例示列挙であることからすれば,「電子計算機用プログラム」と用途や機能,流通経路,需要者を同じくする「携帯電話機用プログラム」が,「電子計算機用プログラム」の概念に含まれると解する。
(5)使用時期
本件商標は,被請求人に係る携帯電話機の筺体に設けられている操作キーやジョグダイヤル及び携帯電話機用プログラムの商標(名称)として使用しているところ,これらが搭載された携帯電話機は,NTTドコモ向けの「SO0905i」,「SO905iCS」及びau向けの「W53S」である(乙3ないし乙5)。
これらの機種は,現在は生産を中止しているが,携帯電話機自体は現在も20万台を超える台数が使用されている(乙13及び乙14)。また,乙第3号証及び乙第4号証の取扱説明書は,現在も,NTTドコモのホームページを経由してダウンロードすることができる(乙15及び乙16)。
ところで,商標は,商品が取引市場に流通する過程において,当該商品がいずれの生産者により製造され,販売されたものであるか等商品の出所を表示するための標識となり得るものであり,また,一定の品質を備えた商品であることを保証する標識となり得るものであるから,当該商品が市場において流通過程におかれ,使用されている限りにおいては,取引者,需要者は,それに付された商標を目印にして,商品の取引に当たるというべきである。
そうとすると,「+JOG」が搭載されている携帯電話機の生産が中止されているとしても,本件審判の請求の登録前3年以内に,依然として,商品が市場において流通過程におかれ,使用されているから,商標法第2条第3項に規定する商標を使用する行為に該当するというべきである。
2 結論
以上より,本件商標は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者によって,取消請求に係る指定商品「電子計算機用プログラム」について,使用していたものである。

第4 当審の判断
1 不使用取消審判
商標法第50条に規定する商標登録の取消しの審判にあっては,その第2項において,その審判の請求の登録前3年以内(本件の場合,平成21年11月6日から平成24年11月5日,以下「要証期間」という。)に日本国内において商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかがその請求に係る指定商品又は指定役務のいずれかについての使用をしていることを被請求人が証明しない限り,使用をしていないことについて正当な理由があることを明らかにした場合を除いて,商標権者は,その指定商品又は指定役務に係る商標登録の取消しを免れないとされている。
2 本件商標の使用について,被請求人の提出に係る証拠によれば,以下の事実が認められる。
(1)乙第3号証は,「NTT DoCoMo」の「取扱説明書 FOMA(R)SO905i ’07.11」(一部,写し)であり,その表紙には,携帯電話機の写真が掲載されている。
そして,「FOMA SO905iの主な機能」の一つに,「+JOG(プラスジョグ)」があり,「ジョグを上下に回して項目を素早く選択できます。」との記載がある(9頁)。
また,「ご使用前の確認」における「各部の名称と機能」には,携帯電話機を開いた図形が掲載され(24頁),その「(14)」部分の名称が「プラスジョグ」であり(25頁),「+JOG(プラスジョグ)」においては,「プラスジョグ」部分を拡大した図形が掲載され,「+JOG(プラスジョグ)」の機能の操作及び説明が記載されている(26頁)。
そして,例えば,「上ボタン」には「カーソルを上に移動します。1秒以上押すと連続してカーソルが移動します。待受画面で押すとデータBOXが表示されます。」と記載され,「左ボタン」には「待受画面で押すと着信履歴が表示されます。」と記載され,また,「ジョグ」には「選択した項目を決定します。・・・待受画面で上に回すとデータBOXが表示され,下に回すと電話帳が表示されます。」等と記載されている。
以上からすると,乙第3号証は,携帯電話機の取扱説明書であり,「’07.11」との記載があることから,2007年11月現在のものと認められるところ,上記のように,「+JOG(プラスジョグ)」は,携帯電話機の「主な機能」の一つであって,その操作及び説明に記載された内容からすれば,携帯電話機の取引者,需要者は,ジョグを上下に回して項目を素早く選択できるという機能を持つ携帯電話機について,当該機能の名称を表すものとして「+JOG」の文字が使用されていると認識するものと認められる。
したがって,「+JOG」の表示は,本件の取消請求に係る指定商品に含まれる「携帯電話機用プログラム」の商標として使用されているものということができず,かつ,要証期間に使用されたものということもできない。
(2)乙第4号証は,「NTT DoCoMo」の「取扱説明書 FOMA(R)SO905iCS ’08.2」(一部,写し)であり,その表紙には,携帯電話機の写真が掲載され,その写真の左下部分には,「Sony Ericsson」との表示がある。
そして,「FOMA SO905iCSの主な機能」の一つに,「+JOG(プラスジョグ)」があり,「ジョグを上下に回して項目を素早く選択できます。」との記載がある(9頁)。
また,「ご使用前の確認」における「各部の名称と機能」には,携帯電話機を開いた図形が掲載され(26頁),その「(10)」部分の名称が「プラスジョグ」であり,「+JOG(プラスジョグ)」においては,「プラスジョグ」部分を拡大した図形が掲載され,「+JOG(プラスジョグ)」の機能の操作及び説明が記載されている(28頁)。
そして,例えば,「上ボタン」,「左ボタン」,「ジョグ」には,乙第3号証と同様の記載がある。
乙第4号証は,携帯電話機の取扱説明書であり,該取扱説明書の表紙に掲載された携帯電話機には,「Sony Ericsson」との表示があり,該表示は,商標権者の旧名称の略称と認められ,「’08.2」との記載があることから,2008年2月現在のものと認められる。
しかしながら,前記(1)と同様の理由により,「+JOG」の表示が,本件の取消請求に係る指定商品に含まれる「携帯電話機用プログラム」の商標として使用されているものということはできず,かつ,要証期間に使用されたものということもできない。
(3)乙第5号証は,「KDDI」のインターネットウェブサイトの「W53Sオンラインマニュアル」であり,「W53S」との記載と携帯電話機の写真が掲載されている。
そして,「W53Sの操作方法をご案内します。」と記載したなかに「+JOGとソフトキー」との表示があり,また,2及び3葉目には,「+JOGとソフトキー」の見出しの下,「W53Sでは,+JOG(プラスジョグ)とソフトキーを使って機能を呼び出したり項目を選択したりします。」との記載があり,「+JOG」の記載とともに,画面表示及び操作の図形が掲載され,その説明が記載されている。
しかしながら,乙第5号証は,携帯電話機の取扱説明書であり,商品「携帯電話機」の一機能の名称に「+JOG」の文字が使用されていることが確認できるが,本件の取消請求に係る指定商品に含まれる「携帯電話機用プログラム」に関するものということができない。
(4)乙第15号証及び乙第16号証は,「NTT docomo」のインターネットウェブサイトであり,乙第15号証には,「FOMA SO905i サポート情報」として「SO905iをご利用中のお客さま向けサポート情報をご案内します。」との記載があり,「製品アップデート情報」,「取扱説明書ダウンロード」等のサポート情報に進むことができる画面である。また,「生産終了(発売日:2007年11月29日)」との記載がある。
そして,乙第16号証には,「Cyber-shotTMケータイ SO905iCS サポート情報」として「Cyber-shotTMケータイ SO905iCSをご利用中のお客さま向けサポート情報をご案内します。」との記載があり,乙第15号証と同様にサポート情報に進むことができる画面である。また,「生産終了(発売日:2008年2月15日)」との記載がある。
これらの証拠は,2007年11月及び2008年2月に生産終了した,乙第3号証及び乙第4号証の携帯電話機について,現在も該機種を使用している者に向けた取扱説明書等のサポート情報にすぎないものである。
3 まとめ
上記2のとおり,被請求人の提出に係る前記の各号証によっては,取消請求に係る指定商品について,本件商標(社会通念上同一のものを含む。)が使用されたものと認めることができない。
なお,被請求人は,平成25年5月9日付けの上申書において,答弁書によって,主張立証を尽くしている旨,述べているものであり,その他,本件審判の請求の登録前3年以内に,日本国内において,本件商標が取消請求に係る指定商品について使用されていることを認めるに足る証拠の提出はない。
4 むすび
以上のとおり,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが,取消請求に係る指定商品のいずれかについて,本件商標を使用していることを証明したものと認めることができない。
また,被請求人は,本件請求に係る指定商品について,本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって,本件商標の登録は,その指定商品中「電子計算機用プログラム」について,商標法第50条の規定により,取り消すべきものである。
よって,結論のとおり審決する。
別掲 別掲 <本件商標>





審理終結日 2013-05-29 
結審通知日 2013-05-31 
審決日 2013-06-13 
出願番号 商願2007-50360(T2007-50360) 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (X09)
最終処分 成立  
前審関与審査官 大橋 良成 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 亨子
原田 信彦
登録日 2008-01-25 
登録番号 商標登録第5107760号(T5107760) 
商標の称呼 プラスジョグ、ジョグ、ジェイオオジイ 
代理人 正林 真之 
代理人 小暮 君平 
代理人 東谷 幸浩 
代理人 工藤 莞司 
代理人 長谷川 芳樹 

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