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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X093542
管理番号 1276519 
異議申立番号 異議2012-900253 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-03 
確定日 2013-06-23 
異議申立件数
事件の表示 登録第5497071号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5497071号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
登録第5497071号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成23年4月1日に登録出願され、第9類「電子計算機用プログラム」、第35類「経営の診断又は経営に関する助言,市場調査,商品の販売に関する情報の提供,輸出入に関する事務の代理又は代行,広告,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,電子計算機・自動車その他の用途に応じて的確な操作をするためには高度な専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の性能・操作方法に関する紹介及び説明,電子計算機の貸与」を指定商品及び指定役務として、同年9月9日に登録査定、平成24年6月1日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)商標法第4条第1項第10号について
登録異議申立人(以下「申立人」という。)の商標「ShopEx」(以下「引用商標」という。)は、別掲2及び3のとおりの商標が中国で登録された周知商標であり、本件商標の出願前に我が国でも中国の電子商取引への進出を考えている需要者の間に広く認識されている商標である。
本件商標と別掲3の商標は、いずれも「ShopEx」という欧文字は同一で、称呼・観念が同一であり、外観も同一である。また、別掲2の商標の要部は、「ShopEx」にあるから、別掲3の商標と同様、本件商標と称呼・観念が同一であり、外観も少なくとも類似している。
また、本件商標と別掲2及び3の商標は、その指定商品及び指定役務についても需要者の範囲が電子商取引を行うものであって一致することから類似する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、申立人の商標として広く一般に知られているから、これと類似する本件商標がその指定商品及び役務に使用された場合、商品及び役務の出所について混同を生じるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
引用商標は、申立人の商標として日本国内又は外国における需要者の間に広く一般に知られており、これと同一又は類似する本件商標を不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成25年2月15日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)商標法第4条第1項第19号該当性について
ア 申立人の提出した証拠によれば以下の事実が認められる。
(ア)申立人は、中国において、別掲2の構成態様の商標について、第42類の役務を指定役務(日本語訳:「コンピュータプログラミング、コンピュータソフトウエアの設計、コンピュータソフトウエアのアップデイト、コンピュータソフトウエアのバージョンアップ、コンピュータソフトウエアの貸与、コンピュータソフトウエアの保守、コンピュータプログラムの複製、ウエブサイトの作成と保守(他人のためのもの)、コンピュータサイトのホスティング(ウエブサイト)」)として、2005年5月8日に申請し、登録有効期限を2008年12月14日ないし2018年12月13日として商標登録(第4639439号)を受けている(甲1、甲2)。
また、申立人は、中国において、別掲3の構成態様の商標について、第9類の商品を指定商品(日本語訳:「電子出版物(ダウンロード可能)、コンピュータ用プログラム(記録済)、コンピュータ用プログラム(ダウンロードできるもの)、電子計算機プログラムを記憶させた記録媒体、記録済みコンピュータプログラム、記録済みコンピュータ操作用プログラム、光ディスク(音響・映像用)、盗難防止用電気式設備、アニメーション映写フィルム、コンピュータ用ゲームプログラム」)として、2006年3月21日に申請し、登録有効期限を2009年4月14日ないし2019年4月13日として商標登録(第5228796号)を受けている(甲4、甲5)。
(イ)申立人は、中国において、Eコマース(EC)に係るサイト構築などの業務(以下当該業務を「ECソリューション」という。)を行っており、取り扱う商品(サービス)に別掲3の態様からなる商標(引用商標)を使用するほか、ハウスマークとして別掲2の商標を使用し、更に申立人の略称として「ShopEx」を使用している(甲14、甲23ないし甲25)。申立人の上記業務の顧客は、2006年は4万社であったが、その後、2009年60万社、2010年70万社、2011年85万社(甲20)であり、申立人は、2010年ころには、中国国内年商1億元以上のEコマース企業のサイトの8割は申立人のシステムを使用し、中国国内のECソリューション分野で最大手となっている(甲13、甲23ないし甲25)
(ウ)申立人は、2011年2月18日に商標権者と申立人の日本における販売代理権について話し合いを開始し、2011年5月11日から14日に東京ビッグサイトで開催された「第5回Web&モバイル マーケティング EXPO(Web-Mo)に商標権者に協力して出店した。なお、申立人は、商標権者に対し、この展示会に限り、申立人の商標や資料の使用を許可した。2011年6月8日に、商標権者から申立人に年度経営目標が提出され、2011年6月15日に申立人が販売代理契約書のドラフトを提示した。しかし、条件が合わず、2011年7月15日ころ、商標権者は、その契約内容について承諾をせず、申立人と商標権者の交渉は成立しなかった(甲12、甲14)。
(エ)本件商標は、前記1のとおり、平成24年6月1日に設定登録された(甲11)。
(オ)商標権者のウェブサイトの2011年4月1日付け「トピックス」には、前記「第5回Web&モバイル マーケティング EXPO(Web-Mo)」に出展することが記載され、「中国No.1のEC構築システム「ShopEx」の日本事務局として中国でのECサイト構築の提案を中心にご紹介します。」の記載がある(甲12)ほか、「事業案内」の項において、「中国向けECサイト構築ShopExとは」の見出しの下、「年商1億元(約13億円)以上のEC企業の内80%がShopExを採用」「ShopExは、中国トップレベルのECソフトとECシステムプロバイダーです。豊富な技術と経験や高い次元のリソースを持っており、日本のEコマース企業の中国進出を全面的にサポートいたします。」などと記載している(甲13)。
(カ)申立人は、富士ソフト株式会社(以下「富士ソフト」という。)と2011(平成23年)年11月に事業提携し、平成24年2月29日に、中国Eコマース(EC)市場に参入する日本企業向けに申立人の提供する中国ECパッケージを独占的に販売する代理店契約の覚書を締結した(甲16、甲19の5)
(キ)商標権者の代表者である山中氏は、2012年(平成24年)7月5日に富士ソフト ソリューション事業本部流通ソリューション部長の稲葉氏宛に、日本におけるShopEx商標は商標権者の資産であること及び富士ソフトがホームページや印刷物で当該商標を使用することを控えることを内容とするメールを送付した(甲17)。
イ 引用商標の周知性について
上記認定事実によれば、申立人は、中国の企業であり、中国において、2006年ころには、申立人が取り扱うECソリューション事業に引用商標の使用を開始し、また、申立人のハウスマークには、引用商標と同一の構成態様の「ShopEx」の文字が使用され、申立人は、その略称として「ShopEx」を使用していることが認められる。
そして、申立人の業務に係るECソリューション事業は、2010年には、その顧客が70万社であり、申立人は同分野における最大手の企業であることが認められる。
そうとすれば、引用商標は、中国において、申立人の業務に係るECソリューション事業を表示する商標として、本件商標の登録出願時(平成23年4月1日)及び登録査定時において、その当該事業分野の取引者・需要者の間において広く認識されていたものと認められる。
ウ 本件商標と引用商標の類否について
本件商標は、別掲1のとおり、「Shop」の青色の文字を文字間をやや重ね合わせて表示し、その右に「Ex」のオレンジ色の文字を配してなるものである。
他方、引用商標は、別掲3のとおり、本件商標と同一のものと見て差し支えない構成態様からなるものである。
不正の目的について
引用商標は、本件商標と上記のとおり、同一といえるものであり、本件商標は、「ShopEx」の文字の書体、色彩等の表し方において顕著な特徴を有してなるものであって、商標権者による本件商標の採択が偶然に行われたものとは解し難い。
そして、前記認定事実によれば、商標権者は、申立人と代理店契約の話し合いを平成23年2月ごろに開始し、その交渉継続中の平成23年4月1日に、商標権者が本件商標を登録出願することについて申立人の許諾を得ずに本件商標を引用商標に係るECソリューション事業の関連商品、役務といえる商品及び役務を指定商品及び指定役務として登録出願したことが認められる。
そうとすると、商標権者は、申立人の国内参入を阻止し、両者間の交渉を有利に進めようとし、あるいは、申立人の引用商標の顧客吸引力を希釈化させたり、その名声等を毀損させる等、不当な利益を得るの目的をもって出願し、権利取得したものと推認せざるを得ないから、本件商標は、不正の目的をもって使用をする商標に該当するものといわなければならない。
オ 小括
以上のとおり、商標権者は、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして中国における需要者の間に広く認識されている商標と同一の商標を不正の目的をもって使用をするものというべきであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(2)まとめ
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第19号に違反してされたものであるから、同法第43の3第2項の規定により、取り消すべきものである。

4 商標権者の意見
上述した取消理由の通知に対し、商標権者は意見書を提出していない。

5 当審の判断
本件商標は、前記3の取消理由により、商標法第4条第1項第19号に該当する。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項に第19号違反してされたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、これを取り消すべきものとする。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は原本参照)

2 中国における登録第4639439号商標

(色彩は原本参照)

3 引用商標及び中国における登録第5228796号商標

(色彩は原本参照)

異議決定日 2013-05-13 
出願番号 商願2011-26469(T2011-26469) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (X093542)
最終処分 取消  
前審関与審査官 石戸 円和田 恵美 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
内藤 順子
登録日 2012-06-01 
登録番号 商標登録第5497071号(T5497071) 
権利者 株式会社ナビバード
商標の称呼 ショップイイエックス、ショップエクス、ショップエキス、ショップ 
代理人 依田 公一 

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