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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X41
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X41
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X41
管理番号 1276503 
異議申立番号 異議2012-900290 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-08-30 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-03 
確定日 2013-06-10 
異議申立件数
事件の表示 登録第5505956号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5505956号商標の商標登録を取り消す。
理由 第1 本件商標
本件登録第5505956号商標(以下「本件商標」という。)は、「TAKARAZUKA OG倶楽部」の文字を標準文字で表してなり、平成23年4月14日に登録出願、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,楽器の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与」を指定役務として、同24年5月7日に登録査定、同年7月6日に設定登録されたものである。
その後、本件商標に係る商標権については、平成25年2月28日に放棄による本商標権の抹消登録の申請がされ、その登録の抹消がされているものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、登録異議の申立ての理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第6号証(枝番号を含む。)を提出している。
1 商標法第4条第1項第15号について
本件商標は、申立人が運営する宝塚歌劇団の業務を表すものとして著名な商標「TAKARAZUKA」又は「Takarazuka」(以下、両商標をまとめて「15号引用商標」という場合がある。)との類似性が高いものであり、また、本件商標の指定役務と15号引用商標に係る役務とは関連性が高く、双方の役務における需要者が相当に共通することが明らかである。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、本件商標をその指定役務に使用した場合、これに接する需要者が、周知著名な商標である15号引用商標を連想、想起して、該役務が宝塚歌劇団との間に緊密な営業上の関係にある者、又はその営業の支援、人材の派遣を受け、若しくは該商標の使用を許諾されている者の業務に係る役務であると誤信するおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。
2 商標法第4条第1項第11号について
(1)申立人が引用する登録第4657505号商標(以下「11号引用商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成10年2月4日に登録出願、第41類「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,映画の上映・制作又は配給,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,放送番組の制作,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」を指定役務として、同15年3月28日に設定登録され、その後、同25年2月12日に商標権の存続期間の更新登録がされ、現に有効に存続しているものである。
(2)本件商標と11号引用商標とは、「タカラヅカ」の称呼及び「宝塚歌劇団」の観念を共通にする類似の商標である。
また、本件商標の指定役務は、11号引用商標の指定役務と抵触する。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。

第3 本件商標に対する取消理由
当審において、平成25年2月27日付けで商標権者に対し通知した取消理由は、要旨以下のとおりである。
1 15号引用商標の周知著名性について
申立人の提出に係る甲各号証によれば、以下の事実が認められる。
(1)宝塚歌劇団について
宝塚歌劇団は、申立人の一である阪急電鉄株式会社の創始者である小林一三により、女性だけで演劇やレビューを上演する劇団として、1913年(大正2年)に創立され、翌年に第1回公演を行って以来、今日まで継続して歌劇公演を行ってきており、現在では、「花組」、「月組」、「雪組」、「星組」、「宙組」の五組体制及び専科の歌劇団として、兵庫県宝塚市にある宝塚大劇場及び東京都にある東京宝塚劇場を中心に歌劇公演を行っていることが認められる(甲第2号証の2ないし6、甲第3号証の1及び2、甲第5号証の1及び4)。
(2)15号引用商標について
宝塚歌劇団は、その正式名称である「宝塚歌劇団」の名称のほかに、「宝塚」、「タカラヅカ」と略称されて、マスコミ等で報道、紹介されてきており(甲第3号証の1ないし6)、また、「広辞苑 第一版(第十二刷)」(甲第3号証の7。昭和39年1月15日、株式会社岩波書店発行(なお、同辞典第一版第一刷は、同30年5月25日発行。)。)には、「たからずか[宝塚]」の見出し語の下、「宝塚少女歌劇の略称。」と記載されていることが認められる。
また、同歌劇団は、公演活動を表示するに際して、遅くとも平成11年3月以降、「TAKARAZUKA」又は「Takarazuka」の表示を使用してきており(甲第4号証の2ないし甲第4号証の14)、同歌劇団の宝塚大劇場(平成5年竣工)の正面には、「宝塚歌劇」の表示とともに、「TAKARAZUKA」の表示を掲げており(甲第4号証の1)、雑誌、新聞やテレビ等のマスコミ報道においても、「TAKARAZUKA」又は「Takarazuka」の語をもって紹介されていることが認められる(甲第4号証の16ないし19、甲第5号証の1及び2並びに甲第5号証の4ないし11)。
(3)小括
上記(1)及び(2)によれば、「TAKARAZUKA」及び「Takarazuka」の各語は、宝塚歌劇団を略称するために申立人により使用され、また、雑誌、新聞やテレビ等のマスコミ報道にも紹介されてきた語であって、同歌劇団は、その創立以来、戦時中の一時期を除いて100年近くもの間、継続して公演を行い、その内容がマスコミにより広く報道された結果、15号引用商標は、女性だけで演劇やレビューを上演する歌劇団である「宝塚歌劇団」の名称の略称として、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、周知著名となっていたものと判断される。
2 宝塚歌劇団を退団した者について
(1)退団後の団員について
宝塚歌劇団で活動した者は、退団後においても、芸能界で活動を続ける場合が少なくなく、中には国会議員となった者も存在する(甲第3号証の4及び5)。
(2)元宝塚歌劇団員による公演が行われている実情
職権による調査によれば、本件商標の登録出願前において、元宝塚歌劇団員による歌劇の公演が行われていることが、以下により、推認ないし確認することができる。
ア 新宿コマ劇場/梅田コマ劇場での公演
「株式会社スポーツニッポン新聞社」のウェブサイトにおける「宝塚歌劇支局」の項目中に、「宝塚OG夢の顔合わせ 来年4月『桜祭り狸御殿』上演」の見出しの下、「来年1月の新東京宝塚劇場完成を記念して、4月1日から10日まで東京・新宿コマ劇場、14日から26日まで大阪・梅田コマ劇場で懐かしのタカラジェンヌが大集合しての時代劇ミュージカル『桜祭り狸御殿』が上演される。出演は『ラ・マンチャの男』などミュージカル界でもトップランナーとして活躍している元星組のトップスター、鳳蘭をはじめ、美吉佐久子、大路三千緒といった大ベテランから『ベルサイユのばら』初演オスカルで有名な榛名由梨ら新旧多彩な顔ぶれ。」、「大阪の梅田コマ劇場公演のみ現役タカラジェンヌも新専科のなかから3人程度の出演が予定されている。」との記載があり、2001年(平成13年)4月に、鳳蘭や榛名由梨ら元宝塚歌劇団員による公演が行われたことが推認できる(http://www.sponichi.co.jp/osaka/ente/takarazuka/backnumber/001029/takarazuka.html)。
イ 梅田芸術劇場での公演
「梅田芸術劇場」のウェブサイトにおける「期間限定Special Site」の項目中に、「宝塚歌劇100周年まであと1年と迫る2013年、梅田芸術劇場メインホールとシアター・ドラマシティでは、宝塚歌劇公演と、宝塚OGによって2011年よりこれまで4作品上演されてきたTAKARAZUKA WAY TO 100th ANNIVERSARYシリーズの第5弾となる『DREAM LADIES』を、2013年1月より5月まで連続上演いたします。」との記載があり、「TAKARAZUKA WAY TO 100th ANNIVERSARY vol.1」として、鳳蘭、安奈淳ら元宝塚歌劇団員であった者らと、現役宝塚歌劇団所属星組の劇団員らを出演者として、「DREAM TRAIL?宝塚伝説?」が、2011年(平成23年)1月23日から1月30日の間、「東京 青山劇場」で、同年2月3日から2月8日の間、「大阪 梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ」で、それぞれ公演されたことが認められる(http://www.umegei.com/wayto100th/what.html)。
3 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、前記第1のとおり、「TAKARAZUKA OG倶楽部」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「TAKARAZUKA」の文字は、上記1(3)のとおり、申立人が使用して周知著名なものとなっている宝塚歌劇団を指称する語と同一の構成からなるものである。また、本件商標の構成中の「OG」の文字は、和製語「old girl」に通じるものであって、「卒業した女子。先輩。」を意味する語(「広辞苑 第六版」、株式会社岩波書店発行)として、日常的に使用されている実情にあるといえるものであり、同じく、「倶楽部」の語は、「政治・社交・娯楽、あるいは学校の課外活動で、共通の目的によって集まった人々の団体。」を意味する語(前出「広辞苑 第六版」)を理解させるものである。
ところで、「TAKARAZUKA」の文字が申立人の使用に係る周知著名な宝塚歌劇団を指称する語といえることは、上記のとおりであるところ、同歌劇団を退団した者の中には、その後も芸能界等で活動を続けている者が少なからずおり、さらに、そのような者が出演する歌劇公演が行われ、かつ、その出演者を「宝塚OG」と称する場合があるというのが実情である。
そうすると、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者は、その構成全体から容易に「宝塚歌劇団を卒業(退団)した女性たちの団体」程の意味合いを看取、把握し、宝塚歌劇団との関連性を想起し得るというべきであり、役務の出所識別にあたり、本件商標の構成中、申立人の使用に係る周知著名な商標と同一の文字からなる「TAKARAZUKA」の文字部分に着目する場合が少なくないとみるのが相当である。
してみれば、本件商標は、その構成中の「TAKARAZUKA」の文字部分を分離、抽出して他人の商標との類否を判断することが許されるものであって、該文字部分に相応する「タカラズカ」の称呼及び「宝塚歌劇団」の観念を生ずるといえるところ、11号引用商標も、別掲のとおり、ややデザイン化された「Takarazuka」の欧文字を横書きしてなるものであり、その構成文字に相応して、「タカラズカ」の称呼及び「宝塚歌劇団」の観念を生ずるものであるから、本件商標と11号引用商標との外観における差異を考慮してもなお、両商標は、称呼及び観念を同じくする相紛れるおそれのある類似の商標というべきである。
また、本件商標の指定役務中、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,レコード又は録音済み磁気テープの貸与」は、11号引用商標の指定役務である「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与」と同一又は類似するものである。
したがって、本件商標は、その指定役務中、上記した指定役務との関係においては、その登録査定時において、商標法第4条第1項第11号に該当するものであったいうべきである。
4 商標法第4条第1項第15号該当性について
上記3のとおり、本件商標は、その指定役務中、「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,興行場の座席の手配,レコード又は録音済み磁気テープの貸与」について使用するときには、商標法第4条第1項第11号に該当すると判断されるものであるところ、申立人は、15号引用商標の周知著名性によれば、本件商標は同法第4条第1項第15号に該当する旨申し立てていることから、以下、検討する。
(1)15号引用商標の周知著名性について
15号引用商標である「TAKARAZUKA」及び「Takarazuka」の商標は、上記1(3)のとおり、申立人により長年使用された結果、本件商標の登録出願時及び登録査定時には既に、宝塚歌劇団及びその公演を表示するものとして、周知著名な商標になっていたといえるものである。
(2)本件商標と15号引用商標との類似性の程度
本件商標と「TAKARAZUKA」の文字からなる商標とは、上記3のとおり、互いに相当程度、類似性が高いものである。
また、「Takarazuka」の文字からなる商標についても、その使用の実情や周知著名性に照らせば、本件商標との類似性の程度は、相当程度に高いものである。
(3)本件商標の指定役務と15号引用商標の使用に係る役務との類似性・関連性の程度
本件商標の指定役務は、前記第1のとおり、第41類「セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,書籍の制作,映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営,音楽の演奏,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),音響用又は映像用のスタジオの提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,興行場の座席の手配,楽器の貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与」であるところ、これらは、いわゆる「標章の登録のための商品及びサービスの国際分類に関するニース協定」に基づく国際分類の第41類に属する役務とされる「娯楽」及び「文化活動」に関連するものといえるものである。
他方、申立人が15号引用商標を使用して提供する主要な役務である「歌劇の企画・運営・上演」は、上記国際分類の第41類に属する役務とされる「娯楽」及び「文化活動」に関連するものといえるものである。
そうすると、本件商標の指定役務と15号引用商標の使用に係る役務とは、互いに密接な関連性を有するといえるものであるから、両商標に係る役務間の類似性の程度は、相当程度に高いものである。
(4)出所の混同のおそれ
本件商標は、前記第1のとおり、「TAKARAZUKA OG倶楽部」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中の「TAKARAZUKA」の文字は、申立人に係る宝塚歌劇団の表示として、周知著名となっているものである。
また、本件商標の構成中の「OG倶楽部」の文字は、卒業した女性の団体程の意味合いを想起させるものであるところ、上記2のとおり、宝塚歌劇団の元劇団員の中には、同劇団を退団後も芸能界等で活動を続けている者が少なくなく、元劇団員による歌劇公演が行われている実情もある。
以上述べた点に、上記(2)及び(3)において判断した本件商標と15号引用商標との商標及び役務の類似性の程度を併せ考慮すれば、本件商標をその指定役務について使用した場合、これに接する需要者は、該役務が宝塚歌劇団又は申立人と何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように、役務の出所について混同を生ずるおそれがあると判断するのが相当である。
してみれば、本件商標は、その登録出願時及び登録査定時において、商標法第4条第1項第15号に該当するものであったいうべきである。
5 むすび
以上のとおりであるから、本願商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものである。

第4 商標権者の意見
商標権者は、前記第3の取消理由に対し、指定した期間内に何ら意見を述べるところがない。

第5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反してされたものといわざるを得ないから、同法第43条の3第2項の規定により,取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
「11号引用商標」(登録第4657505号商標)


異議決定日 2013-04-30 
出願番号 商願2011-26209(T2011-26209) 
審決分類 T 1 651・ 271- Z (X41)
T 1 651・ 263- Z (X41)
T 1 651・ 262- Z (X41)
最終処分 取消  
前審関与審査官 山田 正樹海老名 友子 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 酒井 福造
田中 敬規
登録日 2012-07-06 
登録番号 商標登録第5505956号(T5505956) 
権利者 有限会社 ヴォイラ
商標の称呼 タカラズカオオジイクラブ、タカラズカオオジイ、タカラズカ、オオジイクラブ 
代理人 森岡 博 
代理人 森岡 博 

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