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審決分類 審判 査定不服 外観類似 登録しない X33
審判 査定不服 観念類似 登録しない X33
審判 査定不服 称呼類似 登録しない X33
管理番号 1276367 
審判番号 不服2012-16569 
総通号数 164 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-08-30 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-08-24 
確定日 2013-06-12 
事件の表示 商願2011- 84712拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「CHATEAU QUINTUS」の文字を標準文字で表してなり、第33類「ワイン」を指定商品として、平成23年11月25日に登録出願されたものである。

2 引用商標
原査定において、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するものとして、拒絶の理由に引用した登録第4709187号商標(以下、「引用商標」という。)は、「QUINTUS」の文字を標準文字で表してなり、平成15年3月10日に登録出願、第33類「ぶどう酒,その他の果実酒,洋酒」を指定商品として、同15年9月12日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。

3 当審の判断
(1)本願商標について
本願商標は、前記1のとおり、「CHATEAU QUINTUS」の文字を標準文字で表してなり、これは、構成中に1文字分程度の隙間があることから、「CHATEAU」と「QUINTUS」の部分に視覚上分離して看取され得るものであるところ、「quintus」は、「(public schoolの同姓の男子生徒の年齢・学年順に)5番目の」の意味を有する英語(小学館「ランダムハウス英和大辞典 第二版」)であり、また、「chateau」は、「城、大邸宅」のほか、「[C?]」として、「シャトー《フランスBordeaux地方の自営のブドウ畑と醸造所のある邸宅》」(以下、これを「シャトー」という。)の意味を有するフランス語(ベーシックジーニアス英和辞典)と認められる。
そして、「シャトー」に関する事項が記載された以下の(ア)書籍、(イ)インターネット検索情報、(ウ)新聞記事情報(審査時に開示)によれば、フランスボルドー地方には、200以上の「シャトー」が存在し、これらの「シャトー」で生産されたワインのうち優れた品質のワインに「Chateau Mouton Rothschild」(シャトー ムートン ロートシルト)、「Chateau Margaux」(シャトー マルゴー)、「Chateau Haut-Brion」(シャトー オー ブリオン)、「Chateau Latour」(シャトー ラトゥール)、「Chateau Lafite Rothschild」(シャトー ラフィット ロートシルト)のように、それぞれのシャトー名を表示して販売していること、そして、これらのワインが「ムートン・ロートシルト」「マルゴー」「オー・ブリオン」「ラトゥール」「ラフィット」のように、「シャトー」部分を省略し、紹介されていることが認められる。
(ア)書籍〔下線は当合議体が付したもの。以下同じ。〕
(a)株式会社柴田書店発行「新版 世界の酒事典」
・「シャトー」の項
「荘園のこと.フランスのボルドー地方ジロンド県にだけ用いられている言葉で,ぶどう園のことである.フランスでは,すぐれたワインには,この名を付している.」との記載。
・「ボルドー」の項
「このほかにシャトー(Chateau)と名のつくものがある.直訳すれば城とか荘園ということになるが,この場合は,ぶどう栽培地の最小単位で,ぶどう畑をもち,圧搾,発酵の作業場,地下の酒庫,びん詰めなど,醸造,貯蔵から出荷能力をもつものをいう.品質としては,シャトー名で売り出されるものを最高とし,ついでコンミューン(村)名,地区名,地方名という順になる.ボルドー地方には有名なシャトーが200余あり,これらを含めて全ぶどう園は約1万.」との記載。(「Chateau」の左から3番目の「a」にはアクサン・シルコンフレクスが付されている。)

(イ)インターネット情報
(b)株式会社トゥエンティワン コミュニティのホームページ「ワインショップソムリエ」
「ボルドー五大シャトー」の見出しのもと、商品紹介欄において、「シャトー ムートン ロートシルト」「シャトー マルゴー」「シャトー オー ブリオン」「シャトー ラトゥール」「シャトー ラフィット ロートシルト」の各文字に引き続き、それぞれ「Chateau Mouton Rothschild」「Chateau Margaux」「Chateau Haut-Brion」「Chateau Latour」「Chateau Lafite Rothschild」の記載。
(http://www.wsommelier.com/category/1236.html)
(c)オンラインワイン通販「オールドビンテージ・ドットコム」のホームページ
「ボルドーワイン一覧」中、「第1級」のシャトーとして、「ラフィット」「マルゴー」「ラトゥール」「オー・ブリオン」「ムートン・ロートシルト」の記載。
(http://www.old-vintage.com/chateau/index.html)

(ウ)新聞記事情報
(d)2011年7月30日付け朝日新聞東京朝刊2頁
「(売れ筋拝見)夏の白ワイン 名門ブランドに信頼感」 の見出しのもと、「〈4〉クラレンドル・ブラン・バイ・シャトー・オー・ブリオン/クラレンドル2625円 (中略)〈4〉(仏、ボルドー)はボルドー5大シャトーで最古の歴史を誇るシャトー・オー・ブリオンの最高経営責任者、ルクセンブルク大公国ロベール殿下が2005年に立ち上げたブランド。『オー・ブリオンと同じ醸造チームが造るので、〈1〉と同様に信頼感があるのでしょう』。」との記載。
(e)2012年5月28日FujiSankei Business i 35頁
「ボルドーワイン 投資熱冷め価格暴落 ラフィット53.4%安 広がる動揺」の見出しのもと、「・・・シャトー・ラフィット・ロートシルトは先ごろ、ボルドー・ワイナリーの先陣を切って2011年物ワイン価格を発表。11年物1級ワインの売り出し価格は、1本420ユーロ(約4万1900円)、前年比で30%の値下げとなった。・・・業界では『ラフィットの暴落は危険信号』と言われ、突如として大損失に見舞われた投資家もおり、投資家たちの間で動揺が広がっている。」との記載。

以上の認定事実からすると、ボルドー産の「ワイン」との関係においては、「CHATEAU」は商品の出所識別標識としての機能を果たすものではないといえるから、「CHATEAU ○○○」と表示された標章のうちで、その商品「ワイン」の出所表示として機能するのは、「CHATEAU」を除いた「○○○」の部分にあるものというのが相当である。
してみれば、本願商標は、「QUINTUS」の部分が独立して商品の出所識別標識としての機能を発揮し得るものといえるから、「QUINTUS」の部分に相応して「クウィンタス」の称呼を生じ、「5番目の」との観念を生ずるものである。
(2)引用商標について
引用商標は「QUINTUS」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成文字に相応して「クウィンタス」の称呼を生じ、「5番目の」との観念を生ずるものである。
(3)本願商標と引用商標との類否について
本願商標と引用商標とを比較するに、まず、外観においては、本願商標と引用商標とは、その全体の構成において相違するものの、看者の注意を惹く「QUINTUS」の文字部分において、綴りを同じくするものであるから、外観上近似するものである。
次に、称呼においては、本願商標と引用商標とは、共に「クウィンタス」の称呼を生ずるものであるから、両者は「クウィンタス」の称呼を共通にする、称呼上類似するものである。
さらに、観念においては、本願商標と引用商標とは、共に「5番目の」との観念を生ずるものであるから、両者は「5番目の」との観念を共通にする、観念上類似するものである。
そうすると、本願商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点を考慮しても、互いに相紛れるおそれのある類似の商標といわなければならない。
そして、本願商標の指定商品は、ボルドー産の「ワイン」を含むものであって、かつ、引用商標の指定商品と同一又は類似するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(4)請求人の主張について
請求人は、「CHATEAU」が「ぶどう園、ワインの産地」を意味するフランス語であることを認めつつ、その上で、本願商標の文字構成、並びに、日本におけるフランス語教育の普及度からすれば、本願商標はその構成全体をもって特定の語義を有しない一連の造語を表したものとして認識されるから、「シャトークウィンタス」の称呼のみが生じ、特定の観念は生じない旨主張する。
しかしながら、前記(1)で認定したとおり、ボルドー産の「ワイン」は、「Chateau ○○○」と欧文字で表示して取引されている実情にあるから、これに接する需要者にとって、「CHATEAU」が馴染みのない表示ということはできない。
そして、「CHATEAU」は、商品の出所識別標識としての機能を果たすものではない。
そうすると、本願商標は、その構成中の「QUINTUS」をもって取引に資されることも決して少なくないものというべきであるから、一連の「シャトークウィンタス」の称呼以外にも、「クウィンタス」の称呼をも生ずるというのが相当である。
また、請求人は、甲第1号証ないし甲第8号証を挙げ、本願商標も同様に登録されてしかるべき旨主張する。
しかしながら、それらの事例は、本願商標とは構成を異にする商標に係る事例であるか、あるいは、本願の指定商品「ワイン」とは別の商品に係る事例であって、本件の審理に資する適切な前例とはいえない。また、商標の類否の判断は、過去の登録例に拘束されることなく、対応する両商標の構成態様及びその指定商品との関係から個別かつ具体的に判断されるべきものである。
よって、請求人の主張は、いずれも採用することができない。
(5)まとめ
したがって、本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-12-25 
結審通知日 2013-01-08 
審決日 2013-01-28 
出願番号 商願2011-84712(T2011-84712) 
審決分類 T 1 8・ 263- Z (X33)
T 1 8・ 261- Z (X33)
T 1 8・ 262- Z (X33)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 茂木 祐輔 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 冨澤 武志
小川 きみえ
商標の称呼 シャトーキントゥス、シャトークインタス、シャトークイントゥス、キントゥス、クインタス、クイントゥス 
代理人 特許業務法人前田特許事務所 

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