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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X36
審判 全部申立て  登録を維持 X36
審判 全部申立て  登録を維持 X36
管理番号 1275367 
異議申立番号 異議2012-900136 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-24 
確定日 2013-06-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5472914号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5472914号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5472914号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成23年3月3日に登録出願、第36類「送金・振込事務の取扱い」を指定役務として、平成24年2月7日に登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
1 国際登録第770374号商標(以下「引用商標1」という。)は、右側にやや傾斜させた「BDO」の欧文字を、ゴシック体をもって横書きしてなり、2001(平成13)年8月8日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年10月30日に国際商標登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を、指定商品及び指定役務として、平成15年2月21日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
2 国際登録第770421号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、2001(平成13)年7月19日にBeneluxにおいてした商標登録出願に基づきパリ条約第4条による優先権を主張して、同年10月30日に国際商標登録出願、第9類、第16類、第35類、第36類、第41類及び第42類に属する国際登録に基づく商標権に係る商標登録原簿に記載の商品及び役務を、指定商品及び指定役務として、平成15年2月21日に設定登録されたものであり、現に有効に存続しているものである。
以下、上記の両引用商標をまとめて、引用各商標という。

第3 登録異議の申立ての理由
本件商標は商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきである。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)商標の類似性
本件商標は、「BDO」の欧文字と「Unibank」の欧文字を結合した商標であって、構成中の「BDO」の文字は、すべて大文字で表されているのに対し、「Unibank」の文字は、大文字と小文字で表され、両者は異なる表記方法で表されている。また、「BDO」の文字と「Unibank」の文字の間に一文字分の間隙を入れて表記したものであることから、視覚上、分離して認識されるものといえる。
また、「Unibank」の文字は、銀行を意味する英単語である「bank」を含んでいるところ、本件商標をもって自己を表示している本件商標権者が、ユニバーサル・バンク(Universa1 Bank)として銀行業を営んでいることからも明らかなとおり、銀行、特に総合銀行と深く関連する単語と理解される。それ故、該文字から、銀行ないし総合銀行の観念が生じるといえる。そして、「送金・振込事務」が銀行業務の代表的な役務の一つであることを踏まえると、「Unibank」の文字は、本件商標の指定役務である第36類の「送金・振込事務の取扱い」との関係において、自他役務の識別標識としての機能はないか、極めて弱い部分といえる。
他方、「BDO」の文字は造語であるから、該文字と「Unibank」の文字の間には 観念上のつながりは見いだせない。そうすると、本件商標の全体からは、「BDO」という名前の(総合)銀行程度の観念が生じるにとどまり、この「BDO」の部分は、直ちに特定の観念を生じさせず、当該文字部分から「ビーディーオー」の称呼をも生ずるものというべきである。
これに対して、引用商標1は、その構成文字「BDO」に相応して「ビーディーオー」の称呼を自然に生じ、引用商標2も引用商標1と同様に、「ビーディーオー」の称呼が生じ、引用各商標はいずれも特定の観念を生じない。
したがって、本件商標と引用各商標とは、観念において比較し得ないものの、「ビーディーオー」の称呼を共通にするものであり、「BDO」の構成文字を同じくする外観上の類似性も併せ考慮すれば、本件商標は、引用各商標と類似する商標というべきである。
(2)本件商標の指定役務と引用各商標の指定役務の類似性
本件商標の指定役務は「送金・振込事務の取扱い」(以下「本件指定役務」という。)であり、本来的に銀行が提供する業務であるといえる。
他方、引用各商標の指定役務中、第36類の「consultancy relating to financial and fiscal matters (金融及び財務に関する事項についての助言)」「financial and fiscal research (金融及び財務に関する研究)」「consultancy in the field of (obtaining)financing and loans (資金の貸し付けに関する助言)」「consultancy in the field of company financing (会社への資金の貸し付けに関する助言)」及び「providing (whether or not online) information in the field of insurance (保険・金融及び財務に関する事項についての情報の提供(オンラインによるか否かを問わない)」(以下まとめて「金融及び財務に関する事項についての助言」等という。)もまた、銀行が直接、あるいは関連会社を通じて提供する業務である。
さらに、引用各商標には「Book-keeping (経理事務の代行)」が含まれているが、他の銀行への送金を代行する振込代行サービスも「Book-keeping(経理事務の代行)」に含まれている。振込の代行は、送金事務の取り扱いにほかならないから、かかる「送金・振込事務の取扱い」と同一又は類似の役務であるといえる。
このように、引用各商標の指定役務は、銀行あるいはその関連会社の提供する業務に含まれるので、本件指定役務「送金・振込事務の取扱い」と、引用各商標の指定役務に係る「金融及び財務に関する事項についての助言」等は、いずれも銀行あるいはその関連会社が行う業務であって、互いに密接に関連しているといえる。
したがって、本件指定役務「送金・振込事務の取扱い」と引用各商標の指定役務に係る「金融及び財務に関する事項についての助言」等及び「経理事務の代行」に、同一又は類似の商標を使用した場合、これらの役務は銀行により提供されることが多いことから、いずれも同一営業主の提供にかかる役務と誤認混同されるおそれがあり、類似の役務にあたるといえる。
(3)まとめ
したがって、本件商標は、引用各商標と類似し、本件指定役務「送金・振込事務の取扱い」は、引用各商標の指定役務と類似のものであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第10号について
(1)引用各商標の著名性
ア 国際的ネットワークBDOの発展の歴史と世界における著名性
引用各商標は、2011年9月末現在、世界135か国に1,118の事務所を擁する世界第5位の会計事務所国際的ネットワークのブランドネームであり、登録異議申立人(以下「申立人」といい、また、上記ネットワークの母体を含めていう場合がある。)がその管理をするものである。
引用各商標は、上記国際的なネットワークのハウスマークとして、世界各国のメンバーファームにより使用され、ネットワークの地理的規模の拡大に伴い、世界的なブランド戦略の効果とあいまって、引用各商標の認知度は着実に高まり、いまや、世界の監査・会計業界において、「BDO」の名前を知らぬ者はいないといえる(甲6?甲10)。
なお、以上の事実は、引用各商標の日本国内における周知性の認定においても十分に考慮されるべきものである。
イ 日本における「BDO」の著名性
日本における申立人のメンバーファームには、現在、三優監査法人、東陽監査法人、BDOコンサルティング株式会社、BDO税理士法人、BDOアドバイサリー株式会社、株式会社BDO人事総合研究所が所属している。引用各商標は、上記の世界的な著名性を背景として、これらメンバーファームによる使用によって、日本国内においても周知性を獲得するに至っている(甲12?甲48)。
(2)引用各商標に係る役務
三優BDOグループが日本において引用各商標を使用しているのは、BDO三優監査法人の主要業務である「会計監査(Auditing)」等の第35類の役務に加え、第36類の「金融及び財務に関する事項についての助言」等の役務も顧客に提供している(甲47?甲49)。
すなわち、「financial and fiscal research (金融及び財務に関する研究)」は会計監査の基礎となる財政の評価・調査であるし、「consultancy relating to financial and fiscal matters(金融及び財務に関する事項についての助言)」「consultancyin the field of (obtaining) financing and loans (資金の貸し付けに関する助言)」「consultancy in the field of company financing (会社への資金の貸し付けに関する助言)」及び「providing (whether or not online) information in the field of insurance (保険・金融及び財務に関する事項についての情報の提供(オンラインによるか否かを問わない))」はBDO三優監査法人の会計監査に付随して、また、BDOコンサルティング株式会社の主要業務として1975年の同社の設立以降、提供されている。また、BDO税理士法人は、その主要業務として第36類の「Tax Consultancy; Tax Agency (税務相談、税務代理)」を提供している(甲第42号証)。さらに、BDO税理士法人は、その提供する業務の一つとして、日本において、給与・賞与・退職金の振込代行を行っている(甲第50号証)。振込代行サービスは、引用各商標の指定役務のうち、「book-keeping (経理事務の代行)」に含まれており、「振込」とは、金融機関において、現金又は自己の預金口座から他人の口座に金銭を送金することをいい、いわば、送金業務の一種といえる。したがって、「送金・振込事務の取扱い」と同一又は類似の業務といえる。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、申立人の日本の通常使用権者の業務に係る役務、すなわち、第36類の「金融及び財務に関する事項についての助言」等、「経理事務の代行」等について申立人の業務に係る役務を表示するものと需要者の間に広く認識されている商標に類似する商標であって、その役務と同一又は類似の役務について使用するものであるから、商標法第4条第1項第10号に該当する。
3 商標法第4条第1項第15号について
引用各商標の周知度については上記に述べたとおりである。
本件商標は、引用各商標との関係において、他人の業務に係る役務と混同を生じるおそれがある商標に該当するものであるから、「送金・振込事務の取扱い」の指定役務との関係において、商標法第4条第1項第15号に該当し、取り消されるべきものである。
4 結論
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第10号及び同第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、別掲1のとおり、「BDO Unibank」の欧文字よりなるところ、「BDO」の文字がややデザインされた書体であり、「Unibank」の文字との間に1文字程度の空白があるが、黄色の「O」の文字を除くすべての文字は同じ青色であり、かつ同程度の文字の大きさで一連に横書きされてまとまりよく表されているものである。
また、その構成全体より生ずる「ビーディーオーユニバンク」の称呼も格別冗長とはいえず、一気一連に称呼し得るものである。
そして、その構成中後半の「Unibank」の文字は、英語、フランス語、ドイツ語、イタリア語、スペイン語などの主要な外国語辞典には掲載されておらず、ほかに、この文字が自他役務の識別標識としての機能を果たし得ないとすべき特段の理由も見いだし得ないことからすると、構成中の「BDO」の文字部分が、取引者、需要者に強く支配的な印象を与えるものとはいうことができない。
加えて、本件商標の権利者は「ビーディーオー ユニバンク インコーポレイテッド」であることから、本件商標は、むしろ、本件商標権者の英文字表示の略称を記したものと認識される場合も少なくないとみるのが、取引の経験則に照らして自然であるといえる(甲4、甲5)。
そうとすれば、本件商標は、構成全体が一体不可分のものとして認識され、把握されるとみるのが相当である。
したがって、本件商標からは、「ビーディーオーユニバンク」の称呼のみが生ずるものというべきである。
また、本件商標からは、特定の親しまれた観念が直ちに生じるということはできないものである。
(2)引用各商標
引用各商標の構成は、前記第2に記載したとおりのものであって、これより「ビーディーオー」の称呼が生ずるものである。そして、「BDO」の文字は、直ちに特定の観念を生じさせない造語とみるのが相当であるから、引用各商標からは特定の観念が生ずるとはいえないものである。
(3)類否判断
以上によれば、本件商標と引用各商標とは、その外観において、それぞれの構成文字に明らかな差異を有するから相紛れるおそれのないものであり、また、本件商標から生ずる「ビーディーオーユニバンク」の称呼と、引用各商標から生ずる「ビーディーオー」の称呼とは、「ユニバンク」の音の有無において明らかな差異を有するから、両者をそれぞれ一連に称呼しても相紛れるおそれのないものである。
さらに、本件商標と引用各商標とは、観念において比較することができないから、互いに類似するということもできない。
そうとすれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第10号及び同15号について
(1)引用各商標の周知著名性について
申立人は、引用各商標は、BDOネットワークの知的財産権全般を保有・管理する申立人の商標として周知著名である旨主張し、甲各号証を提出している。
しかるところ、申立人の関連事業者と推認される、三優監査法人の行っている業務は、財務書類の監査又は証明の業務、財務に関する調査若しくは立案、又は財務に関する相談の業務であって(甲13)、また、グループ会社(甲第15号証)である、BDOコンサルティング株式会社、BDO税理士法人を含めた、日本における申立人関連会社の行っている業務は、財務、税務、会計及び給与の各事務、社会保険手続の代行業務等に関するものである(甲13、甲42、甲50)。
そして、監査法人の2007年度の業務収入を報じた平成20年10月15日付けの日本経済新聞の記事(甲19)によれば、三優監査法人が7位(約19億円)、東陽監査法人が6位(約33億円)とされているところ、日本における申立人のメンバーファームである両法人を合わせた事業収入は約52億円であって、上位の四監査法人に次ぐものの、1位の法人の約988億円、4位の法人の約227億円に比して、数段低い事業収入であることが認められる。
このほかの、申立人が提出した甲各号証によれば、三優監査法人をはじめとする申立人のグループ会社が、財務、税務、会計等の役務について引用各商標を使用していることが認められるところ、本件指定役務やこれに関連する役務について引用各商標が積極的に使用されてきたとの事実は認められない。
以上を総合して検討すれば、引用各商標は、申立人の関連事業者により、財務、税務、会計事務、給与事務及び社会保険手続の代行等の業務に使用された結果、これらの業務に係る取引者、需要者間において、本件商標の登録出願時には、ある程度の周知性を獲得したといえるものの、本件商標の指定役務の取引者、需要者間に至るまでの周知著名性を獲得しているということはできないものである。
(2)判断
前記したように、引用各商標は、本件商標の指定役務の取引者、需要者間に至るまで広く認識されているということはできず、また、本件商標と引用各商標とは互いに類似しないこと、前記1(3)のとおりであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第10号には該当しない。
また、引用各商標は、本件商標の指定役務の取引者、需要者間に至るまでの周知著名性を獲得しているということはできないものであるから、本件商標をその指定役務に使用しても、その役務の出所について混同を生ずるおそれがあるとはいえないというべきであって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号にも該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同10号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
1 本件商標

(色彩は原本参照)

2 引用商標2


異議決定日 2013-06-11 
出願番号 商願2011-15297(T2011-15297) 
審決分類 T 1 651・ 252- Y (X36)
T 1 651・ 262- Y (X36)
T 1 651・ 271- Y (X36)
最終処分 維持  
前審関与審査官 平澤 芳行大房 真弓 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 小川 きみえ
内藤 順子
登録日 2012-02-24 
登録番号 商標登録第5472914号(T5472914) 
権利者 ビーディーオー ユニバンク インコーポレイテッド
商標の称呼 ビイデイオオユニバンク、ビイデイオオ、ユニバンク、ユニ、ユウエヌアイ 
代理人 鈴木 秀彦 
代理人 莇 智子 
代理人 窪田 英一郎 

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