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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900161 審決 商標
異議2013900030 審決 商標
異議2012900292 審決 商標
異議2012900286 審決 商標
異議2011900133 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) W33
管理番号 1275366 
異議申立番号 異議2012-900299 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-16 
確定日 2013-06-06 
異議申立件数
事件の表示 登録第5513995号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5513995号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5513995号商標(以下「本件商標」という。)は、「なでしこ」の文字を標準文字により表してなり、平成24年2月29日に登録出願され、第33類「焼酎,その他の日本酒」を指定商品として、同年7月13日に登録査定、同年8月10日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての要旨
本件商標と登録異議申立人(以下「申立人」という。)の製造・販売に係る「麦焼酎」に使用している商標「なでしこ」とは、同一又は類似の商標である。
本件商標の商標権者と申立人とは他人である。
申立人が製造・販売している麦焼酎「なでしこ」は、平成14年から現在まで製造・販売を継続しており、平成24年2月の時点で、需要者の間に広く認識されている。
よって、本件商標の登録は、商標法第43条の2第1号(同法第4条第1項第10号又は同第15号)に該当し、取り消されるべきものである。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成25年2月25日付けで通知した取消理由の要旨は以下のとおりである。
(1)職権において調査したところ、以下の事実が認められる。
ア 2003年1月24日に発行された「読売新聞西部朝刊8頁」には、「[すぴーく]花の香りがほのかに漂う麦焼酎 壱岐焼酎協業組合の篠崎・・・理事長」の見出しのもと、「壱岐焼酎協業組合(長崎県芦辺町)は二月から、花酵母を使った業界初の麦焼酎『なでしこ』(七百二十ミリ・リットル入り、千九十五円)と『玉姫』(同)を発売する。・・・」の記載がある。
イ 2003年1月24日に発行された「毎日新聞西部朝刊8頁」には、「香りに酔って、初の花酵母焼酎--長崎・壱岐の組合が開発・販売」の見出しのもと、「壱岐焼酎協業組合(長崎県芦辺町)は2月1日、野生のナデシコ、ニチニチソウから分離した酵母を使った麦焼酎『なでしこ』『玉姫』・・・を発売する。・・・花酵母を使った麦焼酎は初めてという。・・・」の記載がある。
ウ 2003年4月17日に発行された「読売新聞西部朝刊29頁」には、「『県産品まつり』にぎわう 長崎浜屋で水産加工品など5万点販売=長崎」の見出しのもと、「『第二十一回春の県産品まつり』(県、県物産振興協会主催)が長崎市浜町の長崎浜屋で開かれている。毎年春と秋に開催しており、今回は県内の五十八社が水産加工品、農産品、菓子類など約五万点を販売。二月の『第三十四回県特産品新作展』で最優秀賞を受賞した『長崎角煮バッテイラ』『麦焼酎[なでしこ]』・・・なども。・・・大勢の買い物客でにぎわっている。二十一日までの期間中に計五千万円の売り上げを目指している。」の記載がある。
(2)申立人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
ア 申立人(平成22年10月1日に組織変更する前は「壱岐焼酎協業組合」)は、「なでしこ」の文字からなる商標(以下「引用商標」という。)を使用した「麦焼酎」(以下「申立人商品」という。)を、平成14年度後半の平成15年2月頃に発売開始して以来、現在まで継続販売している。申立人商品は、発売当初は720ml瓶であったが、平成18年12月からは1,800ml瓶でも販売されており、いずれも瓶の胴部中央にラベルが貼付され、該ラベルには、花びら模様を背景として、毛筆風の「なでしこ」の文字が中央に大きく顕著に縦書きされ、「し」の文字の右側に「NADESHIKO」及び「本格麦焼酎」の文字が小さく二段に横書きされ、さらに「しこ」の文字の左側下方に「花酵母仕込み」の文字が小さく縦書きされている。(甲第2号証ないし甲第5号証、甲第8号証ないし甲第12号証及び甲第53号証)
イ 申立人は、申立人商品について、平成15年2月より、日本酒類販売株式会社が運用する販売システムデータベースに登録し、全国向け販売を開始した(甲第13号証ないし甲第16号証)。申立人商品の売上げ実績は、初年度の平成14年度は9,487本、623万円余であったが、翌平成15年度は48,789本、3,548万円余になり、以来毎年約37,000本(2,752万円)から約16,000本(1,394万円)で推移し、平成23年度には53,965本、4,525万円余に達している(甲第5号証)。
ウ 申立人商品については、産経新聞メディックス発行「日本の酒・世界の酒」の2006年版、2007年版、2008年版、2010年版及び2011年版の各号に、「なでしこ」との見出しで、申立人商品の写真と共に、紹介されているほか、株式会社プランニング秀巧社2003年7月18日発行「九州焼酎王国」、金羊社発行「焼酎楽園」の2008/AUTUMN号及び2010-11版別冊、株式会社大都社2006年1月2日発行「居酒屋料理大百科あったか郷土料理」にも同様の紹介がされている(甲第17号証ないし甲第25号証)。
そして、申立人商品については、世界的な食品コンテスト・モンドセレクションにおいて2008年から5年連続で金賞を受賞したこと、女子サッカーのなでしこジャパンの活躍を契機に注文が殺到したこと、などが「壱岐日々新聞」(2008年4月25日付)、「新壱岐」(平成20年4月21日付)、「読売新聞」(2011年8月6日付、2012年2月23日付)、「醸界タイムス」(2008年5月16日付、2010年4月16日付、2011年7月28日付)、「西日本新聞」(2011年7月21日付)、「長崎新聞」(2011年8月5日付)等の新聞で報道されたほか、「なでしこ」として、申立人商品の写真とともに、「読売新聞」(2008年8月31日付、2010年9月28日付)、「日本経済新聞」(2008年10月31日付、2009年7月29日付、2010年9月29日夕刊)、「日経MJ」(2008年10月31日付)、「西日本新聞」(2009年10月10日付、2010年3月14日付)、「中日新聞」(2011年8月20日夕刊)、「東京新聞」(2011年8月24日付)、「朝日新聞」(2010年1月1日付)、「スポーツニッポン」(2009年2月26日付)等の全国版を含む新聞に宣伝広告されており、その内のいくつかは全面広告によるものである(甲第29号証ないし甲第34号証及び甲第37号証ないし甲第52号証)。
エ 引用商標は、申立人商品について2003年から現在に至るまで継続使用されてきたものであり、遅くとも2012年2月には、取引者、需要者の間に広く認識されているものである旨が、日本酒造組合中央会、長崎県酒造組合等をはじめとする同業者によって証明されている(甲第8号証ないし甲第12号証)。
(3)上記(1)及び(2)の事実を総合すると、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品「麦焼酎」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものといわなければならない。
(4)そこで、本件商標と引用商標との類否について検討するに、両者は、いずれも「なでしこ」の文字からなるものであり、「ナデシコ」の称呼及び「植物のナデシコ」の観念を生ずること明らかであるから、称呼及び観念を共通にする類似の商標といわなければならない。
また、本件商標の指定商品と引用商標が使用されている商品「麦焼酎」とは、同一又は類似のものである。
(5)したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第10号の規定に違反して登録されたものであるから、その登録を取り消すべきものである。

5 商標権者の意見(要旨)
(1)商標権者は、裾野市もののふの里銘酒会という酒類販売小売店で構成される任意団体が、その会員と同じ株主で設立した会社である。同会は、1992年に創立され20年以上に渡り地産地消を掲げ、地道に活動を継続して来た。酒類免許規制緩和が叫ばれ、自分達でオリジナル商品を開発して行かなければ、先行きはないと考え団結して来た。そして、そんな活動の中から開発した商品を守って行くことも学んだ。それが、商標登録であり意匠登録である。また、数えきれない新聞記事、テレビニュース、イベントにも参加して来た実績から、一般に広く周知することの難しさを十分経験をしている。これは、現場で実際に経験しないと外部の方には、理解できないと思われる。
(2)職権調査について
ア 新聞記事としての掲載があったことが、すなわち、周知がなされたとは確実には言えない。これは、当事者の経験である。提出資料の大半が広告で、日々の生活に欠かせない食品の価格重視の広告と違い、注目度は格段に無いのが、現場の人間の経験と実感である。
イ 「県産品まつり」で5万点の出品があったとあるが、これは、逆に個々の商品の認知は、ほとんどない。まず、アルコールは、一般食品と違い未成年は対象外であり、成年についても、アルコール離れが顕著である。それに、飲酒運転の問題もありイベントでの酒類ブースは、人が集まらないのが現実である。
(3)申立人の提出資料について
ア 商標権者は、本格茶焼酎「富士山すその三七七六」を発売しており10店の会員と協力10店の20店舗で年平均6千本以上販売をしている実績から、申立人の実績は、大手の卸問屋が参加しているにも拘らず一般への周知は、到底、推測困難である。
イ 大手卸問屋のデータベース登録については、近年の機械化により中小問屋を問わずバーコード管理が避けられないのが現状である。登録しないと流通不可能である。
ウ 申立人商品の雑誌掲載は、選ばれて掲載されているわけではなく、有料広告で手引書のようなものである。また、モンドセレクション受賞も民間団体の主催で、審査に関する事がほとんど未公開と言われている。日本からの出品商品の8割が受賞するようである。
エ 申立人商品が、日本酒造組合中央会等同業者によって広く認識されているとの記載は、私達同業者からは、酒類業界の低迷を見れば、身内の擁護でしかない。また、大手卸問屋の協力を得ていると言うならば、取引業者(酒類販売場)は、通常4?5件の問屋と取引することも珍しい事ではないので、数十万件の窓口が推測される。そのチャンネルの多さと比較して、販売実績が少な過ぎるといわざるをえない。
オ 申立人商品が、平成23年に販売を増やしているのは、あくまでも「なでしこジャパン」の影響で、販売現場で働く本人としては、商品そのものではなく「なでしこジャパン」が重要なのである。商品の認知は、希薄と言わざるをえない。全国20万強の酒類販売場の数があり、我々銘酒会は、0.0001%の販売場で「富士山すその三七七六」と言う茶焼酎を年平均6千本以上販売している。
(4)商標「なでしこ」の出願は、正当な手段によって出願・登録をされた。
ア 前の商標権者である諏訪酒造(株)と同じ立場にあった申立人許諾使用者である壱岐の蔵酒造(株)が、更新時期を見過ごした。これは、更新期間が定められている法律上、基本に立って考えるべきと思う。
イ 前の商標権が、申立人の所有でない事を、平成23年10月に企画商品の提案時に通告し、確認を申立人が行っている。また、その企画相談相手は、当時、既に役員として登記されたS氏である。この時点で、申立人が、何らかの行動を行っていれば、許諾使用者若しくは商標権者として継続使用できたはずである。特に強調したい点である。
(5)以上申し述べたが、法の究極にあるものは、真実である。本件については、商標権者と同じ立場にあった許諾使用者が、法律に定める更新手続を見過ごしたと言う事実は、重大だと思われる。これは、一般的な国民目線だと思う。商標法には更新期間の定めがあり、かつ半年の猶予期間の定めもある。申立人の代表取締役社長は、書面でも、商標管理について不手際を認めている。

6 当審の判断
平成25年2月25日付け取消理由通知書により通知した前記3の取消理由は、妥当なものであり、これに対する本件商標権者の意見は、以下の理由により採用できない。
(1)商標法第4条第1項第10号該当性について
ア 本件商標
本件商標は、「なでしこ」の平仮名を表してなるから、「ナデシコ」の称呼及び「植物のナデシコ」の観念を生ずる。
イ 引用商標
申立人商品は、甲第2号証のとおり、瓶の胴部中央にラベルが貼付され、該ラベルには、花びら模様を背景として、毛筆風の「なでしこ」の文字が中央に大きく顕著に縦書きされ、「し」の文字の右側に「NADESHIKO」及び「本格麦焼酎」の文字が小さく二段に横書きされ、さらに「しこ」の文字の左側下方に「花酵母仕込み」の文字が小さく縦書きされているところ、これらの文字と花びら模様とは、視覚上分離して把握されるものであって、それらを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているものとは認められない。
そして、「本格麦焼酎」の文字は、申立人が引用商標を使用する商品が本格的な麦焼酎であること、すなわち、商品の品質を表す部分であって、自他商品の識別標識としての機能を果たさない部分ということができる。また、「花酵母仕込み」の文字は、該商品が花の酵母を使用して仕込まれたものであること、すなわち、商品の原材料、生産の方法を表す部分であって、自他商品の識別標識としての機能を果たさないか、極めて弱い部分ということができる。
そうとすれば、申立人商品に付された商標は、「なでしこ」の平仮名及び「NADESHIKO」の欧文字部分が、自他商品の識別標識としての機能を果たす部分であって、これらの文字部分より「ナデシコ」の称呼及び「植物のナデシコ」の観念を生ずる。
なお、申立人は、平成18年11月29日付けで壱岐税務署長に対し、「なでしこ」の銘柄で1800mlの新製品の発売届出を行っており(甲第3号証)、また、引用商標は、前記3の取消理由(2)ウにおいて認定した事実のとおり、雑誌や新聞において、申立人の業務に係る商品「麦焼酎」を表示する商標「なでしこ」として使用されている。
ウ 本件商標と引用商標との類否について
両商標は、上記のとおり、「ナデシコ」の称呼及び「植物のナデシコ」の観念を共通にするものであり、互いに類似の商標といわなければならない。
(2)本件商標の指定商品と引用商標の指定商品との類否について
本件商標の指定商品「焼酎,その他の日本酒」と引用商標が使用されている商品「麦焼酎」とは、生産部門、販売部門、用途又は需要者の範囲を共通にすることが少なくない同一又は類似の商品である。
(3)引用商標の周知性について
商標権者は、「引用商標の販売実績が少な過ぎる。」旨主張している。
しかしながら、前記3の取消理由において認定した事実によれば、引用商標は、本件商標の登録出願時には既に、申立人の業務に係る商品「麦焼酎」を表示する商標として、取引者、需要者の間に広く認識されていたものと認めることができ、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものということができる。
したがって、商標権者の上記主張は採用できない。
(4)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第10号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項の規定に基づき、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
異議決定日 2013-04-23 
出願番号 商願2012-14911(T2012-14911) 
審決分類 T 1 651・ 254- Z (W33)
T 1 651・ 253- Z (W33)
T 1 651・ 252- Z (W33)
T 1 651・ 255- Z (W33)
最終処分 取消 
前審関与審査官 新井 裕子 
特許庁審判長 大橋 信彦
特許庁審判官 前山 るり子
渡邉 健司
登録日 2012-08-10 
登録番号 商標登録第5513995号(T5513995) 
権利者 株式会社 三七七六
商標の称呼 ナデシコ 
代理人 恩田 博宣 
代理人 恩田 誠 
代理人 特許業務法人 武和国際特許事務所 
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