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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900208 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900307 審決 商標
異議2012900206 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X3043
管理番号 1275354 
異議申立番号 異議2012-900129 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-07-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-10 
確定日 2013-05-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5473789号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5473789号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5473789号商標(以下「本件商標」という。)は、「黒豚丼のどんぺり」の文字を標準文字で表してなり、平成23年10月5日に登録出願され、第30類「黒豚肉の豚丼を主とする弁当」及び第43類「黒豚肉の豚丼を主とする飲食物の提供」を指定商品及び指定役務として、平成24年2月3日に登録査定、同年2月24日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第7号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第60号証(枝番号を含む。)を提出した。
(1)申立人が引用する商標
ア 登録第5098820号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:ドンペリ (標準文字)
登録出願日:平成19年4月5日
設定登録日:平成19年12月14日
指定商品 :第33類「果実酒,洋酒,日本酒,中国酒,薬味酒」
イ 登録第5092559号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:DOM PERI (標準文字)
登録出願日:平成19年1月5日
設定登録日:平成19年11月16日
指定商品 :第33類「果実酒,洋酒,日本酒,中国酒,薬味酒」
ウ 登録第5098821号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:ドン ペリ (標準文字)
登録出願日:平成19年4月5日
設定登録日:平成19年12月14日
指定商品 :第33類「果実酒,洋酒,日本酒,中国酒,薬味酒」
エ 登録第5056841号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:ドン ペリニョン
登録出願日:平成18年10月20日
設定登録日:平成19年6月22日
指定商品 :第33類「果実酒,洋酒,日本酒,中国酒,薬味酒」
オ 登録第632444号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:DOM PERIGNON
登録出願日:昭和37年9月22日
設定登録日:昭和38年12月19日
指定商品 :第33類「洋酒,ぶどう酒,発泡ぶどう酒,その他の果実酒,日本酒,中国酒,薬味酒」
カ 登録第5285617号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:別掲1のとおり (立体商標)
登録出願日:平成21年3月2日
設定登録日:平成21年12月4日
指定商品 :第33類「シャンパーニュ地方産の発泡性のぶどう酒」
キ 登録第2721952号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:別掲2のとおり
登録出願日:平成1年12月26日
設定登録日:平成9年6月6日
指定商品 :第32類「ビール」及び第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」
ク 登録第4046867号商標(以下「引用商標8」という。)
商標の構成:別掲3のとおり
登録出願日:平成7年6月29日
設定登録日:平成9年8月22日
指定商品 :第33類「シャンパーニュ地方産のぶどう酒,その他の果実酒,洋酒,中国酒,日本酒,薬味酒」
以下、上記引用商標1ないし8を一括して、単に「引用商標」ということがある。
(2)商標法第4条第1項第15号について
日本を含む世界中で申立人に係る「シャンパン」に使用して周知・著名な引用商標に類似する本件商標が、引用商標が使用される商品と関連性の高いその指定商品及び指定役務について使用された場合、これに接する需要者、取引者は、周知・著名な引用商標を連想し、その商品の出所について誤認・混同するおそれが極めて高いものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第19号について
本件商標は、申立人の業務に係る「シャンパン」に使用される商標として著名性を獲得している引用商標1ないし引用商標3と本件商標の要部「どんぺり」の部分において称呼を共通する類似の商標であり、本件商標は申立人の著名な引用商標を不正の目的をもって使用するものと推認される。また、本件商標は引用商標に化体した高い名声、信用及び評判にフリーライドする目的で出願した商標というべきであり、引用商標の出所表示機能を希釈化し、その名声を毀損させる商標というべきであるから、本件商標は申立人の業務に係る著名な引用商標と類似の商標であり、不正の目的をもって使用するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当する。
(4)商標法第4条第1項第7号について
本件商標は、「黒豚丼のどんぺり」の文字からなるところ、その構成中「どんぺり」の文字は、我が国で広く知られている「シャンパン」に使用される引用商標1ないし引用商標3を平仮名で書したものであって、本件商標は、著名な引用商標に化体した高い名声、信用及び評判にフリーライドし、不正な利益を得るために使用する目的でなされたものであるから、本件商標は、公正な取引の秩序を乱し、ひいては国際信義に反するものであって、公の秩序を害するおそれがあるというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。

3 本件商標に対する取消理由
当審において、商標権者に対して、平成25年1月22日付けで通知した取消理由は以下のとおりである。

(1)申立人の主張及びその提出に係る証拠によれば、「ドン ペリニョン」は、申立人の一員であるシャンパーニュ・モエ・エ・シャンドン社(以下、「モエ社」といい、申立人と併せて「申立人ら」ということがある。)の製造に係る、世界中で愛飲されているフランス国シャンパーニュ地方の発泡性ワインとして、本件商標の登録出願前から我が国における事典及び雑誌において、長年にわたり、説明され、紹介されていることが認められる(甲11?甲35)。
(2)「ドンペリ」の著名性及び独創性について
申立人の提出に係る証拠及び職権調査によれば「ドンペリ」の語について、新聞記事及びインターネットのウェブサイトに以下の記載が認められる。 ア 新聞記事
(ア)「MHDディアジオモエヘネシー、新ドンペリ試飲セミナーでヴィンテージの良さ語る」(2005.11.21 日本食糧新聞)の見出しの下「MHDディアジオモエヘネシー(株)(東京都千代田区、・・・)は東京都中央区のZOE銀座で、新ヴィンテージシャンパン『ドン ペリニヨン ヴィンテージ1998』『同エノテーク ヴィンテージ1992』の試飲セミナーを開催した。」の記載。
(イ)「シャンパン:これが52万円の『ドンペリ』だ! 松坂屋、予約販売開始」(2006.05.25 毎日新聞 中部朝刊 22頁)の見出しの下「高級ブランド『シャネル』のデザイナー、カール・ラガーフェルドさんがボトルをデザインした『ドン・ペリニヨン』(ドンペリ)=写真・山口政宣=の予約販売が24日、名古屋・栄の松坂屋で全国に先駆け始まった。価格はシャンパンとしては最高の52万5000円。中身の1998年製のドンペリにちなみ、世界で1998本が限定生産され、日本では98本が販売される。」の記載。
(ウ)「【食ウォッチング】マキシム・ド・パリ(東京・銀座)」(2007.08.12 FujiSankei Business i. 16頁)の見出しの下「ドンペリことドン・ペリニョンといえば、高級シャンパンの代名詞。東京・銀座の高級クラブではウン十万円する店もあるとか。そのドン・ペリニョンのかき氷が、銀座にあるフランス料理店『マキシム・ド・パリ』のバールームにお目見えした。」の記載。
(エ)「[いずみ]『ドンペリ』1700万円セット、大阪のホテルで発売」(2007.12.12 読売新聞 大阪朝刊 39頁)の見出しの下「『ドンペリ』の略称で知られる高級シャンパン『ドン・ペリニヨン』が6本で1700万円というセットが11日、大阪市北区のホテル『ザ・リッツ・カールトン大阪』で発売された」の記載。
(オ)「ドンペリ840万円なり-名古屋・松坂屋本店で発売」(2008.08.14 静岡新聞 朝刊 6頁)の見出しの下「名古屋市の松坂屋本店は十三日、高級シャンパン、ドン・ペリニヨンの特別仕様の大型ボトル(六リットル入り)を、一本八百四十万円で売り出した。『究極のドン・ペリ』と名付けた『ドン・ペリニヨン ロゼ ヴィンテージ1996 ロゼゴールド マチュザレム』は、味の評価が高い一九九六年製。」の記載。
(カ)「木工芸の人間国宝 ドンペリとコラボ 京の桶指物職人親子 高野槇クーラー開発 海外から注目で伝統工芸新販路 高い技術や機能性評価」(2010.01.30 京都新聞 夕刊7版 8頁)の見出しの下「京の桶(おけ)指物の技を世界へ発信-。木工芸で国の重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定された京都市左京区の中川清司さん(67)と長男周士さん(41)らが、高野槇(こうやまき)のシャンパンクーラーを開発した。伝統工芸復興を目指す職人の試みにフランスのシャンパンブランド『ドン ペリニヨン』が賛同、ロゴ入り製品を発注する・・・『ドン ペリニヨン』が、加工が難しいだ円形の現代的デザインや、高野槇の白く美しい木肌、保冷能力が高く結露しにくいなど機能性を評価し、ロゴの刻印入り特製品を発注。醸造最高責任者のリシャール・ジェフロワ氏がこのほど来日し、中川木工芸を訪れた。ジェフロワ氏は、『しなやかで力強いかたちは感動的で、ドンペリそのものにふれているよう』と評価。」の記載。
(キ)「九州経済=ドンペリ入りのチョコ バレンタイン向け販売」(2011.01.28 西日本新聞 朝刊 15頁)の見出しの下「福岡市博多区のグランド・ハイアット・福岡のベーカリー「スタール ヴァンシス」は2月4日から14日まで、バレンタインギフトを販売する。高級シャンパン『ドン・ペリニヨン』を練り込んだミルクチョコをヴァローナ社(フランス)のチョコで包んだ『ジュエル ドン・ペリニヨン』(千円)」の記載。
イ インターネットのウェブサイト
(ア)「悲劇のシャンパーニュ、ドンペリ」(2008年3月8日 朝日新聞デジタル版)の見出しの下「世界のセレブ御用達のシャンパーニュ、『ドンペリニョン』のことである。 このワインは『ドンペリ』と省略されて呼ばれており、バブル絶頂期には、銀座のバーでポンポン栓を抜かれ、一気に大衆化してしまった。」の記載(http://www.asahi.com/food/column/nommelier/TKY200803080105.html)。
(イ)「ドンペリの種類と価格・値段 2009年12月8日」の見出しの下「ドンペリの正規価格は¥18,900です。・・・キュヴェ・ドンペリニョン よくご存知の通り、いわゆる『ドンペリ』です。何故ドンペリはこれほど有名になったのでしょう。それは、モエ・シャンドン社のマーケティングの巧みさではないでしょうか。」の記載(甲36)。
(ウ)「ドンペリの基礎知識:『ドンペリ』の価格&種類」の見出しの下「『ドン ペリニヨン ヴィンテージ』、ドンペリ白 ドンペリの中では一般的でありつつも、限られたヴィンテージの高級シャンパン!」の記載、及びその他の4種類の「ドン ペリニヨン」が「ドンペリ」と表示されて紹介されている(甲39)。
(エ)「ドンペリ購入ナビ」の見出しの下「ドンペリをとにかく急ぎで探したい・・・という方向き!・・・ドンペリの種類をご覧下さい。・ドン ペリニヨン ヴィンテージ ・ドン ペリニヨン エノテーク ヴィンテージ」の記載(甲41)。
(オ)「モエ・エ・シャンドン Moet et Chandon」の見出しの下「キュヴェ・ドン・ペリニョン・・・『ドン・ペリ』として超有名なシャンパーニュであり、・・・」の記載(甲42)。
(なお、上記(イ)ないし(オ)の各甲号証は、本件商標の登録査定後にプリントアウトされたものである。)
ウ 上記ア及びイの記載からすると、「ドンペリ」の語は、「モエ社」の発泡性ワイン「ドン ペリニョン」を表す表示として、本件商標の登録出願前から新聞記事及びインターネットのウェブサイトにおいて使用され、認識されていたことが認められる。
そうとすると、「ドンペリ」(以下「申立人商標」という。)の語は、申立人らの業務に係る発泡性ワイン「ドン ペリニョン」を表示するものとして、我が国において、本件商標の登録出願の時には既に一般の需要者の間に広く認識されていたものというべきであり、その状態は本件商標の登録査定時においても継続していたものであるというのが相当である。
エ そして、「ドンペリ」の文字(語)は、我が国において、申立人らの業務に係る発泡性ワインを表示するものとして認識されているほかに、特定の意味合いを有する成語として認識されているとするべき事情は認められないものであるから、上記文字は独創性の高い造語というべきである。
(3)本件商標と申立人商標との類似性
本件商標は、上記1のとおりの構成からなるところ、その構成中の「黒豚丼」の文字は、その指定商品及び指定役務との関係において、これに接する需要者等に黒豚肉を使用した豚丼又は同豚丼の提供の意味合いを容易に理解させるものであるから、該文字部分は、その商品又は役務の品質又は質、内容等を表示したものとして認識されるに止まり、自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得ないものであるとみるのが相当である。
そうすると、本件商標は、その構成中の「どんぺり」の文字が、看者の注意を強く惹く支配的な部分というべきであって、該文字部分が独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を果たし得るものであるといわざるを得ない。
そこで、本件商標と申立人商標を比較すると、本件商標の構成中「どんぺり」の文字部分は、上記(2)のとおり、申立人らの業務に係る発泡性ワインを表示するものとして一般の需要者に広く認識されている「ドンペリ」の文字の平仮名表記にすぎないものであり、かつ、これが独創性の高い造語であることからすれば、本件商標は、その構成中の「どんぺり」の文字部分から、「ドンペリ」の称呼及び「申立人らの業務に係る発泡性ワインであるドンペリ(ドン ペリニョン)」の観念を生ずるものであるとみるのが相当である。
他方、申立人商標は、「ドンペリ」の称呼及び「申立人らの業務に係る発泡性ワインであるドンペリ(ドン ペリニョン)」の観念を生ずること明らかである。
また、本件商標の要部「どんぺり」と申立人商標との外観上の比較において、両者は、いずれも4文字であり、後半の2文字が近似している。
そうとすると、本件商標と申立人商標は、称呼及び観念を共通にするものであり、外観において、本件商標の要部となる構成文字が申立人商標と近似した印象を与え相紛らわしいものであるから、本件商標と申立人商標とは類似する商標というべきである。
(4)本件商標の指定商品及び指定役務と申立人商標を使用する商品の関係
「(発泡性)ワイン」は、主に食事とともに楽しむ飲物であって、本件商標の指定商品及び指定役務を含む「食料品」及び「飲食物の提供」との関係において、それらの用途及び目的における関連性の程度が極めて高く、商品及び役務の取引者及び需要者も共通にするものである。
そうとすると、申立人商標を使用する商品「発泡性ワイン」と、本件商標の指定商品及び指定役務「黒豚肉の豚丼を主とする弁当」及び「黒豚肉の豚丼を主とする飲食物の提供」とは、密接関連性の高い商品及び役務であるというのが相当である。
(5)不正の目的について
以上のとおり、申立人商標の周知性及び独創性の程度、本件商標と申立人商標の類似性の程度、両商標が使用される商品及び役務間の関連性の程度及び需要者の共通性等を総合してみると、本件商標の商標権者が、偶然、申立人商標と類似する商標を採択したとする合理的理由は見いだし難く、申立人商標の存在を知らなかったものとは到底いえないばかりでなく、申立人商標に化体した信用、名声等にただ乗り(フリーライド)し、不正の利益を得る目的等の不正の目的をもって本件商標を登録出願し登録を受けたものといわざるを得ない。
したがって、本件商標は、申立人の業務に係る商品を表示するものとして、その登録出願の時ないし登録査定時において我が国における需要者の間で広く知られている申立人商標と類似の商標であって、不正の目的をもって使用をするものといわなければならない。
(6)以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものである。

4 商標権者の意見
商標権者は、上記3の取消理由に対し、何ら意見を述べるところがない。

5 当審の判断
本件商標についてした先の取消理由は、妥当なものと認められる。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に違反して登録されたものであるから、本件商標の登録は、同法第43条の3第2項の規定により、取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1 引用商標6 (色彩は原本参照。)





別掲2 引用商標7



別掲3 引用商標8




異議決定日 2013-04-09 
出願番号 商願2011-71124(T2011-71124) 
審決分類 T 1 651・ 222- Z (X3043)
最終処分 取消  
前審関与審査官 大渕 敏雄豊田 緋呂子 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 梶原 良子
堀内 仁子
登録日 2012-02-24 
登録番号 商標登録第5473789号(T5473789) 
権利者 豊創フーズ株式会社
商標の称呼 クロブタドンノドンペリ、クロブタドンブリノドンペリ、クロブタドン、クロブタドンブリ、ドンペリ 
代理人 稲葉 良幸 
代理人 佐藤 俊司 
代理人 原田 三十義 
代理人 中村 勝彦 
代理人 田中 克郎 
代理人 渡辺 昇 
代理人 池田 万美 

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