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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 216 |
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管理番号 | 1275331 |
審判番号 | 取消2012-300657 |
総通号数 | 163 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-07-26 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2012-08-20 |
確定日 | 2013-04-01 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第433003号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第433003号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、昭和27年10月28日に登録出願、第66類「図画、写真及び印刷物類」を指定商品として、同28年10月17日に設定登録され、その後、4回にわたり商標権の存続期間の更新登録がされ、さらに、指定商品については、平成15年6月18日に第16類「書画,写真,アルバム(写真帳),印刷物」とする指定商品の書換登録がなされたものである。 また、本件審判の請求の登録日は、同24年9月3日である。 第2 請求人の主張 請求人は、本件商標の登録を取り消す、審判費用は被請求人の負担とする、との審決を求め、その理由及び被請求人の答弁に対する弁駁の理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第4号証(枝番号を含む。)を提出している。 1 請求の理由 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。 2 弁駁の理由 (1)本件商標は、平成24年10月10日付けで、株式会社日本教文社(以下「日本教文社」という。)から宗教法人生長の家(以下、単に「生長の家」という場合がある。)に譲渡されたが、本件審判の請求日は、平成24年8月20日であって、上記権利移転の日よりも前であるから、商標法第50条の条文の主旨を考慮すると、上記権利者の変更は本件審判には影響しない筈である。 (2)本件商標は、被請求人が乙1において自認するように「生長の家のマーク」として周知であり、例えば次のア?エのような事実が存在する。 ア 被請求人以外にも、その法人名称中に「生長の家」を掲げる、被請求人包括下の宗教法人(以下「被包括宗教法人」という。)は、国内に百法人以上存在するが、その全ての礼拝施設ないし事務所等において、本件商標と同一の「生長の家のマーク」を表示し又は旗(以下「聖旗」という。)として掲げている(甲2号の1?52)。 イ 被包括宗教法人である、京都府宇治市に所在する「宗教法人生長の家宇治別格本山」においては、生長の家信者の先祖供養のため、本件商標と同一の「生長の家のマーク」を表示した印刷物(以下「霊牌」という。)を、毎年百万枚以上作成して全国の信者に配布している(甲3の1?3)。 ウ 国内に、生長の家の信者によって構成される人格なき社団である生長の家相愛会、生長の家白鳩会及び生長の家青年会の各単位組織が合計数万以上存在するが、それらの単位組織の会場の多くにおいて、本件商標と同一の「生長の家のマーク」を表示し又は聖旗として掲げている(甲1)。 エ 国内に数十万人以上といわれる生長の家の信者(以下「誌友」という。)が着用する「誌友バッジ」、生長の家青年会会員が着用する「青年会バッジ」及び生長の家高校生連盟の会員が着用する「生高連バッジ」は、本件商標と同一であるか又はその主要部分が同一であるが、日本教文社とは異なる法人である財団法人世界聖典普及協会が製作販売している。(甲4の1?3) (3)商標の基本的な機能は、商品又はサービスの同一性を表示し(識別機能)かつ、他の商品又はサービスとの出所の混同を防止する機能(出所表示の機能)である。然るに、上記(2)の事実からみて、「本件商標」を付した印刷物等のうち、日本教文社以外の出所のものが多数存在することは明白である。また、日本教文社と、宗教法人「生長の家」及びその他の百以上の「生長の家」の名称を有する被包括宗教法人並びに財団法人世界聖典普及協会との間で、本件商標について、専用使用権又は通常使用権を設定する契約は一切締結されておらず、むろん、その証拠もない(甲1)。 さらに、日本教文社が前記商標としての機能を保持するために特段の努力をした形跡もない。 むしろ、本件商標と同一の「生長の家のマーク」は、昭和5年に谷口雅春によって創始され、現在、国内でも、百以上の宗教法人、数万の単位組織を有する人格なき社団、及び数十万人以上の信者が参画し推進している、生長の家の宗教運動についての識別機能を有しているものであり、このことは、生長の家の全信者の認識であるのみならず、社会一般に周知の事実である。 したがって、本件商標が、少なくとも全国の数十万人以上の生長の家信者に対して、はるか以前から日本教文社に関する出所表示の機能を失っていたことは明白である。 (4)これに対し、被請求人は、答弁書において、発行所が宗教法人「生長の家」で、発売元が「日本教文社」である書籍及びその関連情報を証拠として提示し、日本教文社が本件商標を使用していたと主張する。 しかし、前記(3)の事実からみて、当該書籍において日本教文社が本件商標の使用を意図していたとは到底考えられないし、実質的に商標としての機能を失っていたのであるから、通常の意味での商標の使用には該当しないというべきである。 さらに、日本教文社は、宗教法人生長の家とは無関係の所謂、一般書籍も多数出版しているが、それらに本件商標を使用した事実はなく、このことも、前記書籍に印刷された本件商標に係るマークは、当該書籍が日本教文社の出版物であることを示すために発売元の日本教文社が商標として用いたのではなく、発行所である宗教法人「生長の家」との関係で「生長の家のマーク」として印刷されたものであるとみるのが相当である。 (5)以上のとおり、本件商標は、商標法第50条の規定により取消を免れないものである。 第3 被請求人の主張 被請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として乙第1号証ないし乙第9号証(枝番号を含む。)を提出している。 1 本件商標の使用について (1)本件商標の譲渡による移転 本件審判の請求の登録時以前において、本件商標の商標権者は、日本教文社であった。日本教文社は、現在の商標権者である、被請求人「生長の家」(旧称「生長の家教団」)の宗教的教義を布教・伝道するための書籍や雑誌の出版事業を行う会社であるところ、昭和27年の本件商標の登録出願時から現在に至るまで、その出版販売する書籍や雑誌といった商品に本件商標を付し、これらを購読者に対し販売し頒布してきた。 これらの事実を証明するために、被請求人は、宗教法人「生長の家」の磯部和男理事長の「陳述書」を、乙1として提出する。同「陳述書」には、宗教法人「生長の家」とその出版部門と位置づけられた日本教文社との関係が詳述されている。 (2)「書籍」についての本件商標の使用 ア 乙第2号証について 日本教文社は、平成24年3月1日に、本件商標を付した「書籍」を発売した(乙2)。「書籍」が本件取消請求に係る指定商品の中の第16類「印刷物」の範疇に属する商品であることはいうまでもない。 乙2は、書籍「次世代への決断 宗教者が“脱原発”を決めた理由」の表紙、裏表紙及び奥付の写しである。その裏表紙には、中央に本件商標と同一の商標が付されている。当該書籍は、その奥付の記載から明らかなように、平成24年3月1日に発売されたものであり、後述する乙3の4とともに日本全国の書店で販売された。 乙4の1?5は、日本教文社が、平成24年4月15日付け讀賣新聞、平成24年6月1日付け神戸新聞、平成24年6月19日付け朝日新聞、平成24年7月13日付け毎日新聞、平成24年7月25日付け伊勢新聞にそれぞれ掲載した広告記事の写しである。 本件商標を「書籍」の裏表紙に付する行為は、商標法第2条3項第1号に規定する「使用」に他ならないから、本件商標は、取消請求に係る期間内である平成21年9月3日から平成24年9月2日までの間(以下「要証期間」という。)に、日本国内において、当時商標権者であった日本教文社により、指定商品である「書籍」について使用されていたことに間違いない。 さらに、乙6の1は、被請求人が、平成24年3月25日に大阪府の大阪城ホール及び浪切ホールで開催した講習会のパンフレットの写しである。例えば、同パンフレット中に示すとおり、当該講習会では、当日のテキストとして、本件商標を付した書籍「次世代への決断」(乙2)が使われ、乙6の2の写真に示すとおり、当該講習会場において、同書籍はもちろん、本件商標を付した他の書籍、例えば、「おいしいノーミート 四季の恵み弁当」(乙3の4)が、実際に展示され販売された。 また、乙7の1は、被請求人が、平成24年4月28日に東京都調布市に所在する生長の家本部練成道場(飛田給)他で開催した第4回生長の家白鳩会全国幹部研鑽会のパンフレットの写しである。例えば、同パンフレット中に示すとおり、当該研鑽会では、テキストとして、本件商標を付した書籍「次世代への決断」(乙2)及び「おいしいノーミート 四季の恵み弁当」(乙3の4)が使われ、また、乙7の2の写真からも分かるように、これらの書籍は、当該会場において実際に展示され、参加者に対し販売された。 このように、本件商標を「書籍」の裏表紙に付して譲渡又は引き渡す行為は、商標法第2条3項第2号の「使用」に他ならないから、本件商標は、要証期間に、日本国内において、当時商標権者であった日本教文社により、指定商品である「書籍」について使用されていたことに間違いない。 イ 乙第3号証について 乙3の1は、平成22年10月10日に発売した書籍「“森の中”へ行く一人と自然の調和のために生長の家が考えたこと」の表紙、裏表紙及び奥付の写しである。 乙3の2は、平成23年3月1日に発売した書籍「谷口雅宣短編小説集2 こんなところに……」の表紙、裏表紙及び奥付の写しである。 乙3の3は、平成23年5月1日に発売した書籍「うぐいす餅とバナナ」の表紙、裏表紙及び奥付の写しである。 乙3の4は、平成24年4月1日に発売した書籍「おいしいノーミート 四季の恵み弁当」の表紙、裏表紙及び奥付の写しである。 以上4冊の書籍も、その奥付の記載から明らかなように、平成22年10月10日から平成24年4月1日の間に発売されたものであるが、これらの書籍の裏表紙にも、いずれも本件商標と同一の商標が付されている。 なお、これらの書籍に付された標章にはそれぞれ色彩が付されているが、商標法第70条第1項の規定によれば、第50条における「登録商標」には、「その登録商標に類似する商標であって、色彩を登録商標と同一にするものとすれば登録商標と同一の商標であるとみられるものを含む」ことから、上記4冊の書籍に付された商標は、本件商標と「同一の商標」である。よって、これらの行為も商標法第2条第3項第1号の「商標の使用」に該当するものである。 (3)「楽譜」についての本件商標の使用 日本教文社は、本件取消請求に係る要証期間に、本件商標を付した「楽譜」を発売した(乙5の1?3)。「楽譜」が本件の指定商品中の第16類「印刷物」の範疇に属する商品であることはいうまでもない。 乙5の1は、日本教文社が、平成15年7月1日に第3刷を発行した「生長の家 聖歌楽譜 第3集増補改訂新版」の表紙及び裏表紙の写しである。この楽譜の表紙には、本件商標が付されている。なお、この標章も商標法第70条第1項の適用を受けるものである。 乙5の2及び3は、当該楽譜が、取消請求に係る要証期間に、実際に譲渡され引き渡しされたことを示す取引書類である。 すなわち、財団法人世界聖典普及協会(以下「世界聖典普及協会」という。)が作成した平成22年5月17日の入庫依頼表によれば、世界聖典普及協会は、日本教文社に対し、同日付けで「聖歌 楽譜.3」を50部発注した。これを受けて、日本教文社は、世界聖典普及協会に対し、平成22年5月24日付で同楽譜を50部納品した(乙5の2)。 本件商標を「楽譜」の表紙に付して譲渡又は引き渡す行為は、商標法第2条3項第2号に規定する「使用」に他ならないから、本件商標は、要証期間に日本国内において、当時商標権者であった日本教文社により、指定商品である「書籍」について使用されていたことに間違いない。 2 結語 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録日前3年以内に、その請求に係る指定商品中「印刷物」について、商標権者により使用されていたことが明らかであるから、本件商標の登録は取り消されるべきではない。 第4 当審の判断 1 事実認定 (1)提出された証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 乙1は、生長の家の理事長磯部和男による平成24年10月26日付けの陳述書である。これには、「商標出願当時の状況」、「株式会社日本教文社の設立由来」及び「宗教法人生長の家と日本教文社の関係」等について記載されている。 イ 乙2は、「次世代への決断」をタイトルとする書籍の写しであって、その1枚目には、当該書籍の表紙、背表紙、裏表紙があり、背表紙部分に、「次世代への決断 宗教者が“脱原発”を決めた理由 谷口雅宣 生長の家」の文字及び裏表紙の中央に本件商標と同一の図形が表示されている。 また、その2枚目は、当該書籍の奥付の写しである。これには、「2012年3月1日発行 初版第1刷発行」、「発行所 宗教法人『生長の家』」、「発売元 株式会社日本教文社」、「頒布所 財団法人世界晴天普及協会」等の記載がある。 ウ 乙3の4は、「おいしいノーミート/四季の恵み弁当」をタイトルとする書籍の写しであって、その1枚目には、当該書籍の表紙、背表紙、裏表紙があり、背表紙部分に、やや薄い緑色で「おいしいノーミート 四季の恵み弁当 谷口純子 生長の家」の文字及び裏表紙の中央に本件商標と同一の図形が表示されている。 また、その2枚目の右側の頁は、当該書籍の奥付の写しである。これには、「2012年4月1日発行 初版第1刷発行」、「発行所 宗教法人『生長の家』」、「発売元 株式会社日本教文社」、「頒布所 財団法人世界晴天普及協会」等の記載がある。 エ 乙4の1?5は、平成24年4月15日付け讀賣新聞、同6月1日付け神戸新聞、同6月19日付け朝日新聞、同7月13日付け毎日新聞、同7月25日付け伊勢新聞の抜粋であり、それぞれに同様の広告が掲載されている。 その広告には、「次世代への決断」及び「おいしいノーミート四季の恵み弁当」をタイトルとする2冊の書籍について、それぞれの値段(1600円及び1000円)を含む広告記事が掲載されると共に、「生長の家発行/日本教文社発売」の記載がある。 (2)本件商標の使用について 上記(1)によれば、2012年3月1日及び同4月1日に、日本教文社が発売元として、被請求人が発行所として、「次世代への決断」及び「おいしいノーミート 四季の恵み弁当」をタイトルとする2冊の書籍を発行しているものであって、本件商標は、その2冊の書籍の裏表紙に表示されているものである。 そして、書籍の裏表紙に、発行元の商標を表示することは、一般的になされているものであって、発行者の商標を書籍に付す行為として通常のことであるというべきである。 してみれば、被請求人が発行所として、上記2冊の書籍の裏表紙に、本件商標を付したものであることが推認できるものである。 したがって、本件商標の上記使用は、被請求人によってなされたものというべきである。 また、前記した複数の新聞には、被請求人が発行元として、日本教文社が発売元として、当該2冊の書籍の広告がなされており、価格も記載されていることからすれば、実際に書籍が販売されていたことが十分に窺えるものである。 (3)被請求人及び前商標権者について 商標登録原簿によれば、本件商標について、特定承継による商標権の移転の申請受付が平成24年10月10日になされ、現商標権者である「生長の家」がその権利者となる前は、「株式会社日本教文社」が商標権者であった(乙8)。 また、生長の家の理事長磯部和男による陳述書(乙1)には、「宗教法人生長の家の規則は、公益事業以外の事業として出版業を掲げ、昭和63年8月23日に文部大臣の変更許可を受け、平成元年4月1日に施行されたあとは、布教活動に不可欠な書籍や雑誌の出版をしている。」、及び「資本関係では、生長の家は日本教文社の筆頭株主となっている。現在、宗教法人生長の家に日本教文社の編集部員が出向し、生長の家の出版・広報部と一体となって、生長の家の布教伝道のための雑誌及び書籍の出版業務に従事している。」旨の主張をしている。 そうとすれば、生長の家は、商標権者となる前においては、日本教文社の筆頭株主であると同時に日本教文社の協力を得て布教伝道のための雑誌及び書籍の出版を行っている者であるから、日本教文社と密接な関係を有するものであって、本件商標の通常使用権者とみるのが相当である。 なお、請求人は、「日本教文社と宗教法人生長の家及びその他の百以上の『生長の家』の名称を有する日包括宗教法人並びに財団法人世界聖典普及協会との間で、本件商標について、専用使用権又は通常使用権を設定する契約は一切締結されておらず、その証拠もない。」旨を主張している。 しかしながら、たとえ、契約書が締結されていない場合であっても、上記のような両者の密接的な関係からすれば、生長の家が本件商標の通常使用権者とみることは差し支えないものである。 2 判断 以上のとおり、通常使用権者と認められる被請求人は、2012年3月1日及び同4月1日に、「次世代への決断」及び「おいしいノーミート 四季の恵み弁当」の2冊の書籍を発行し、本件商標をその2冊の書籍の裏表紙に表示したと認められるものである。 したがって、本件商標は、本件審判の要証期間において、通常使用権者によって、その指定商品中「印刷物」に含まれる「書籍」について、その裏表紙に標章を表示して使用されていたものであるから、その使用は、商標法第2条第3項第1号の商品に標章を付する行為に該当するものと認められるものである。 3 請求人の主張について (1)請求人は、「商標の基本的な機能は、商品又はサービスの同一性を表示し(識別機能)かつ、他の商品又はサービスとの出所の混同を防止する機能(出所表示の機能)である。然るに、本件商標を付した印刷物等のうち、日本教文社以外の出所のものが多数存在することは明白である。・・・さらに、日本教文社が前記した商標としての機能を保持するために特段の努力をした形跡もない。むしろ、本件商標と同一の『生長の家のマーク』は、昭和5年に谷口雅春によって創始され、現在、国内でも、百以上の宗教法人、数万の単位組織を有する人格なき社団、及び数十万人以上の信者が参画し推進している、生長の家の宗教運動についての識別機能を有しているものであり、このことは、生長の家の全信者の認識であるのみならず、社会一般に周知の事実である。したがって、本件商標が、少なくとも全国の数十万人以上の生長の家信者に対して、はるか以前から日本教文社に関する出所表示の機能を失っていたことは明白である。」旨の主張をしている。 しかしながら、商標登録の取消しの審判においては、商標法第50条に基づき、被請求人が本件商標の使用を証明したか否かによって、その判断がなされるものであって、請求人の上記主張は、本件審判の取消しの事由にはならないものである。 よって、請求人の上記主張は、適当でない。 (2)請求人は、「被請求人は、答弁書において、発行所が宗教法人『生長の家』で、発売元が『日本教文社』である書籍及びその関連情報を証拠として提示し、日本教文社が本件商標を使用していたと主張する。しかし、当該書籍において日本教文社が本件商標の使用を意図していたとは到底考えられないし、実質的に商標としての機能を失っていたのであるから、通常の意味での商標の使用には該当しないというべきである。さらに、日本教文社は、宗教法人生長の家とは無関係の所謂、一般書籍も多数出版しているが、それらに本件商標を使用した事実はなく、このことも、前記書籍に印刷された本件商標に係るマークは、当該書籍が日本教文社の出版物であることを示すために発売元の日本教文社が商標として用いたのではなく、発行所である宗教法人『生長の家』との関係で『生長の家のマーク』として印刷されたものであるとみるのが相当である。」旨の主張をしている。 確かに、被請求人の主な主張が、日本教文社が本件商標を使用している旨のものであるとしても、上記1(3)のとおり、被請求人提出の証拠によれば、被請求人は、本件商標の通常使用権者と認められるものである。 そして、請求人も認めているとおり、本件商標の使用については、被請求人が発行所として、前記2冊の書籍を発行し、本件商標がそれぞれの書籍の裏表紙に表示されて使用がなされているものである。 よって、請求人の上記主張は、採用することができない。 4 まとめ 以上のとおり、本件商標は、本件審判請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者であった被請求人によって、その指定商品中「印刷物」について使用されていたと認められるものである。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
【別記】 |
審理終結日 | 2013-02-06 |
結審通知日 | 2013-02-08 |
審決日 | 2013-02-21 |
出願番号 | 商願昭27-27098 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(216)
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最終処分 | 不成立 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 井出 英一郎 |
登録日 | 1953-10-17 |
登録番号 | 商標登録第433003号(T433003) |
代理人 | 熊倉 禎男 |
代理人 | 田中 伸一郎 |
代理人 | 田中 美登里 |
代理人 | 加藤 ちあき |
代理人 | 藤倉 大作 |
代理人 | 松尾 和子 |
代理人 | 辻居 幸一 |
代理人 | 井滝 裕敬 |
代理人 | 岡本 利郎 |
代理人 | 中村 稔 |