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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X10
審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X10
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X10
管理番号 1275288 
審判番号 不服2011-23728 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-11-02 
確定日 2013-06-13 
事件の表示 商願2010- 87303拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「マッサージクッション」の文字を標準文字で表してなり、第10類「家庭用電気マッサージ器」を指定商品として平成22年11月9日に登録出願され、その後、指定商品については、原審における平成23年5月25日付けの手続補正書により、第10類「クッション形状の家庭用電気マッサージ器」に補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、指定商品との関係において『クッション形状のマッサージ器』の意味合いを容易に認識させる『マッサージクッション』の片仮名を標準文字で表してなるから、本願商標を上記意味合いの家庭用電気マッサージ器に使用しても、商品の形状・品質を表示するにすぎない。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。また、出願人は、同法第3条第2項の規定により商標登録を受けることができる旨、資料を提出して種々述べているが、その使用態様は『ルルド』や出願人の商号の略称と認められる『アテックス』などの文字を付して使用又は宣伝されているのが大半であり、他社も本願の指定商品と同様な商品を『マッサージクッション』と称して販売している実情も併せ考慮すると、本願商標が出願人の業務に係る商標として周知・著名になっているとは認められないから、本願商標は同法第3条第2項の要件を具備しない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、前記1のとおり、「マッサージクッション」の文字を標準文字で表してなり、その指定商品は「クッション形状の家庭用電気マッサージ器」であるところ、このクッション形状の家庭用電気マッサージ器を「マッサージクッション」と称して、取引上、普通に使用されている事実が、以下の(ア)ないし(ウ)の例のとおり認められる。

〔注:以下、下線は当合議体が付したもの。〕
(ア)「株式会社クロシオ」のホームページ
「マッサージクッション プチシフォン」の見出しのもと、「高さの異なる4ヶのもみ玉が回転し、手もみ感覚のマッサージで、首・背中・腰・太もも・ふくらはぎ・足裏などのコリをもみほぐします。外カバーは取り外しができ、ご家庭で洗濯ができるので清潔にお使いいただけます。使わないときは電源コードを内部に収納できるので、インテリアとしてもかわいいクッション型マッサージ器です。」との記載。
(http://www.kuroshio.co.jp/prod/90069.html)
(イ)「ツカモトエイム株式会社」のホームページ
「取扱商品」中、「マカロンマッサージクッション MC301」の見出しのもと、「かわいいスイーツマカロンが、マッサージクッションになりました。4つのもみ玉がぐるぐる回って、本格的なもみ心地を体感出来ます。スイッチひとつの簡単操作で、誰でも手軽に使うことが出来ます。また、コンパクトなので持ち運びも簡単!!クッションのように椅子やソファーに使用したり、広げて首や肩の集中マッサージにも!疲れた足にもしっかりマッサージ!!」との記載。
(http://www.tsukamoto-aim.co.jp/products_all/mc_301.html)
(ウ)「株式会社ツインズ」のホームページ
「モーミン マッサージクッション」の見出しのもと、「手軽に持ち運べて、クッションとしても使えるマッサージクッション。4つのもみ玉が回転。筋肉のコリをほぐします。もみの強さを調節でき、腰・背中、太もも・ふくらはぎ、首・肩など様々な部位にご使用いただけます。」との記載。
(http://twins-corp.com/product1/detail.php?num=10)

さらに、以下の(エ)ないし(キ)の例のとおり、椅子型のマッサージ器を「マッサージチェア」、ソファ型のマッサージ器を「マッサージソファ」、枕型のマッサージ器を「マッサージピロー」、マットレス型のマッサージ器を「マッサージマットレス」など、「マッサージ」の文字とその商品の形状を表す文字とを組み合わせて、「マッサージ○○(形状)」と称されている事実が認められる。

(エ)1997年11月29日付け日経流通新聞5頁
「いす式マッサージ機」の見出しのもと、「オムロンのファジー(あいまい)技術を応用した『HM-500 VILLA』(メーカー希望小売価格十八万五千円)は「プロ感覚」が売り物。体にちょうどいい刺激を与えるマッサージで血行を良くする。(中略)単なるマッサージチェアではなく、インテリアとしても使えるようにイタリアンデザインに仕上げた。」との記載。
(オ)マッサージ器製造業者のホームページ
・パナソニック株式会社のマッサージ器の商品紹介における「マッサージソファ」「マッサージチェア」の記載。
(http://panasonic.jp/massage/)
・株式会社フジ医療器のホームページの商品情報における「マッサージチェア」の記載。
(http://www.fujiiryoki.co.jp/product/massagechair/index.html)
(カ)2003年1月29日付け朝日新聞東京夕刊7頁
「今夜もお風呂でリラックス マリオン」の見出しのもと、「『マッサージピロー』は、スイッチを入れると振動するポリウレタンフォーム製の枕。」との記載。
(キ)2002年1月29日付け日本経済新聞朝刊31頁
「空気で体ほぐすマットレス」の見出しのもと、「シモンズ(03・3212・6270)のベッドに載せてそのまま眠れるマッサージ機『エアーマッサージマットレス』」との記載。

以上の実情からすれば、「マッサージクッション」の文字からなる本願商標は、その指定商品「クッション形状の家庭用電気マッサージ器」を容易に認識させるものであるから、その指定商品に使用しても、その商品の形状、品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

(2)使用による識別性について
請求人は、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備すると主張し、証拠方法として、資料1ないし資料7(枝番を含む。ただし、以下、枝番のすべてを引用する場合は、その枝番の記載を省略する。)を提出している。
ところで、出願に係る商標が、商標法第3条第2項に該当し、登録が認められるかどうかは、使用に係る商標及び商品、商標の使用開始時期及び使用期間、当該商品の販売数量等並びに広告宣伝の方法及び回数等を総合考慮して、出願に係る商標が使用をされた結果需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるものと認められるかどうかによって決すべきものであり、その場合に、出願に係る商標及びその指定商品は、原則として使用に係る商標及び商品と同一であることを要するものというべきである。そこで、以上の観点を踏まえて、本願商標が商標法第3条第2項に該当するか否かについて検討する。
ア 本願商標と実際に使用している商標との同一性
請求人は、「マッサージクッション」の文字を「クッション形状の家庭用マッサージ器」(以下「本件商品」という。)の包装箱に付して使用している旨主張するが、包装箱の表面に本願商標とほぼ同一視できる程度の態様で「マッサージクッション」の文字が表示されていることは確認できる。
しかしながら、その表示方法をみると、いずれも、大きく顕著に表された「Massage CUSHION(Cushion)」のローマ字と共に、その文字よりもかなり小さく、付記的ともいい得る表示で「ルルド マッサージクッション」と表示してなるものであるから、その使用態様からは、これに接する需要者が「マッサージクッション」の文字のみを商品の出所表示として認識するとはいい難い。
その他、請求人は、インターネット、テレビ、雑誌、カタログ等において、「マッサージクッション」を表示し、広告宣伝を行っている旨主張するが、それらはいずれも「ルルド」「アテックス」等の文字と共に表示されているものである。また、「マッサージクッション」のみからなる使用と主張する資料5の4、資料5の6、資料5の9及び資料5の33は、他人による請求人商品の紹介記事において、その説明文の中に記載されているものであって、これらを商標の使用ということはできない。
イ 本願の指定商品と実際に使用している商品との同一性
請求人が提出した資料によれば、本願の指定商品は、請求人の使用する商品と同一の商品であると認められる。
ウ 使用開始時期及び使用期間
請求人は、平成21年8月29日から本願商標を付した本件商品を販売し、また、インターネットで広告宣伝していると主張するのみで、その使用開始時期を立証する証拠の提出はない。
また、資料4からは、請求人は、少なくとも2010年(平成22年)5月から本願商標をその指定商品に使用しており、現在も継続して使用していると認め得るものの、その使用期間は、本件審決時までの約3年ほどであり、決して長いとはいえない。
エ 商品の販売数量等
請求人は、本件商品の販売数量は、平成21年8月29日からの約2年間で約290万台以上であり、売上は約116億6千万円であるとし、資料2を提出している。しかしながら、「得意先名」や「純売上額」などが記載された一覧表は、本件商品のみの純売上数量・額といえるのか不明であり、仮にそうであるとしても、その体裁からして内部資料というべきものであり、一覧表の内容を客観的に裏付ける証拠の提出はなく、また、本件商品の市場に占める割合(シェア)を立証する証拠の提出もない。
オ 広告宣伝の方法及び実績等
本件商品がテレビで広告宣伝された事実は窺える(資料4)ものの、時期が確認できるものは2010年(平成22年)5月から2011年(同23年)2月までの、わずか2年程度であり、その回数も16回であって多いとはいえない。
また、本件商品に関する宣伝広告費は、同21年5月から同23年9月までの間で約166百万円である(資料6)ところ、当該一覧表は、その体裁からして内部資料というべきものであり、一覧表の内容を客観的に裏付ける証拠の提出はない。
カ 他者による「マッサージクッション」の文字の使用の有無
前記3(1)において示したとおり、「マッサージクッション」の文字が、「クッション形状の家庭用電気マッサージ器」であることを表示するものとして、取引上、請求人以外の者により使用されている事実が認められる。
オ 小括
以上のとおり、本願商標と実際に使用している商標並びに本願の指定商品と実際に使用している商品とはそれぞれ同一と認められ、また、請求人は、少なくとも2010年(平成22年)5月から現在に至るまで本願商標を本件商品に使用していると認められる。
しかしながら、その使用においては、「ルルド マッサージクッション」等のように、「マッサージクッション」の文字以外に、「ルルド」や「アテックス」等の文字が併せて使用されているものであり、これら包装箱や広告に接した者が、「マッサージクッション」の文字のみをもって使用に係る商品の出所表示として認識するとはいえない。
また、本願商標の使用期間の約3年は、決して長いものということはできず、本件商品のテレビによる宣伝広告の回数も16回と、多いものということはできず、そして、販売数量、販売金額、広告宣伝費についての客観的裏付け等もないから、使用の状況を示すものとしては不十分であるといわざるを得ない。
さらに、他者によって、「マッサージクッション」の文字が、取引上使用されている事実が認められる。
してみれば、請求人の提出した証拠を総合して勘案しても、本願商標が、その指定商品について使用された結果、需要者が請求人の業務に係る商品であることを認識することができるに至ったものとは認められない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第2項の要件を具備するものということもできない。

(3)まとめ
したがって、本願商標は商標法第3条第1項第3号該当し、かつ、同法第3条第2項の要件を具備しないものであるから、登録することができない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-08-10 
結審通知日 2012-08-17 
審決日 2012-09-06 
出願番号 商願2010-87303(T2010-87303) 
審決分類 T 1 8・ 272- Z (X10)
T 1 8・ 13- Z (X10)
T 1 8・ 17- Z (X10)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 原田 信彦矢澤 一幸 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
冨澤 武志
商標の称呼 マッサージクッション、クッション 
代理人 住友 慎太郎 

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