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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X0103
管理番号 1275247 
審判番号 不服2012-7956 
総通号数 163 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-07-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-04-28 
確定日 2013-05-30 
事件の表示 商願2011- 56712拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「3Dヒアルロン酸」の文字を標準文字で表してなり、第1類「ヒアルロン酸」及び第3類「ヒアルロン酸を含有してなるせっけん類,ヒアルロン酸を含有してなる化粧品」を指定商品として平成23年8月9日に登録出願されものである。

2 当審において通知した拒絶理由
当審において、平成24年7月3日付けで通知した拒絶理由は、以下のとおりである。
本願商標は、「3Dヒアルロン酸」の文字を標準文字で表してなるところ、本願指定商品との関係においては、「立体的であること」等を意味する「3D」の語と、保水力に優れ、化粧品、せっけん等の成分として使われている「ヒアルロン酸」の語とを結合したものと容易に認識させるものである。
そして、「3Dヒアルロン酸」の文字は、本願指定商品を取り扱う「美容業界」や「せっけん類」及び「化粧品」の業界において、例えば下記のとおり、「高い保湿力と持続性、うるおい力を持っている3Dの網目構造をもったタイプのヒアルロン酸」を表す語として、普通、一般に使用されていることが確認できる。
してみれば、「3Dヒアルロン酸」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者は「高い保湿力と持続性、うるおい力を持っている3Dの網目構造をもったタイプのヒアルロン酸,高い保湿力と持続性、うるおい力を持っている3Dの網目構造をもったタイプのヒアルロン酸を含有してなるせっけん類及び化粧品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料(成分)を表示したものと認識するにとどまるものといわなければならず、取引に際し必要適切な表示として何人もその使用を欲するものであって、特定人による独占使用を認めるのは妥当なものとはいえない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。


「美容業界」、「せっけん類」及び「化粧品」を取り扱う業界における「3Dヒアルロン酸」の使用例。(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)

(1)「つかはらクリニック」のホームページにおいて、「ヒアルロン酸注射」の見出しの下、「3Dヒアルロン酸は従来のものよりも1.5倍もの持続力があり、鼻唇溝や眉間の深いしわを浅くする、唇を厚くする、鼻も簡単に高くしたりすることが可能です。」との記載がある。(http://www.tsukahara-clinic.com/i/petit/hiaruronic/index.html)
(2)「緑の森皮フ科クリニック」のホームページにおいて、「メスを使わない、若返り方法 ヒアルロン酸注入 法令線・マリオネットライン・額・目尻・目の下など」の見出しの下、「■ ジュビダームウルトラスリー」の説明として、「3Dヒアルロン酸マトリックス架橋結合により、自然な仕上がりと長期間の持続(約1年)を可能にしました。」との記載がある。(http://www.skin.or.jp/restylane/index.html)
(3)2012年04月20日付 FujiSankei Business i. 10頁に、「ヘアケア剤で初のヒアルロン酸配合 エムジェイラボ」の見出しの下、「森下仁丹グループの化粧品メーカー、エムジェイラボ(東京都港区)は、ヘアケア剤では初めて『3Dヒアルロン酸』を共通成分として配合した、新シリーズ『Perfect Answer(パーフェクトアンサー)』を5月15日に発売する。ヒアルロン酸は動物の関節や皮膚などに含まれ、保水性に優れるアミノ酸と糖の化合物。3Dは、より保水性を高めるため構造が立体的になっている。発売するのは、ノンシリコンシャンプーの『モイスト&グロスシャンプー』(1680円)、『モイスト&グロストリートメント』(同)、洗い流さないタイプのトリートメント『フレグランスグロストリートメント』(880円)の3品。」との記載がある。
(4)「株式会社ドクターシーラボ」のホームページにおいて、「エンリッチリフトアイ」の項の「Point.2 うるおい・ハリをアップ」の見出しの下、「3Dの網目構造をもった新しいタイプの3Dヒアルロン酸が、塗った瞬間から肌にうるおいを与え、ハリをもたらします。」との記載、及び「3Dヒアルロン酸 既存のヒアルロン酸に比べて高い保湿力と持続性、うるおい力を持っています。」との記載がある。(http://www.ci-labo.com/shopping/product/00019104/)
(5)「ShinyRose通販」と称するウェブサイトにおいて、「濃密毛穴対策美容液【シャイニーエッセンス】」の項に、「【マリンプラセンタ】【フラーレン】【ビタミンC誘導体】【レチノール】【ビタミンE】【3Dヒアルロン酸】【ローヤルゼリー】【カルノシン】などの美容成分を豪華に配合したバラの香りのする濃密毛穴対策美容液です。」との記載、及び同項の「こだわりポイント2 保湿成分・エイジングケア成分」の見出しの下、「【3Dヒアルロン酸】 ヒアルロン酸はお肌の重要構成成分で、お肌の水分や柔軟性の保持、細菌などの防御に役立つ成分です。3Dヒアルロン酸は通常の7倍もの大きさを持つ3D立体ヒアルロン酸で、お肌の保湿効果が長続きします。3Dヒアルロン酸がお肌を超保湿し、細かいシワを奥から引っ張り上げ、シワを目立たなくする効果があります。 【3Dヒアルロン酸】・・・ヒアルロン酸Naクロスポリマー」との記載がある。(http://shinyrose.moka-n.com/produce.html#peal)
(6)「株式会社エムジェイラボ」のホームページにおいて、「P.A perfect answer」の項に、「潤ってるのにハリツヤ実感 モイスト&グロスシャンプー 定価1,680円(税込) 内容量:500ml」の見出しの下、「新しい感覚のノンシリコンシャンプー、3Dヒアルロン酸と15種類の美髪成分がとろみとともに頭皮と髪をしっかりと洗い上げると同時に潤いとハリ、ツヤのある髪に。」との記載がある。(http://mjlab.co.jp/pa/product.html)
(7)「楽天ICHIBA」と称するウェブサイトにおいて、「GIL’S HOUSE」の項の「★TONYMOLY★トニーモリー★エキスパートヒアルロン酸BBクリーム SPF37 PA+++ Expert Hyaluronic acid BB Cream」の見出しの下、「商品名 エキスパート3Dヒアルロン酸BBクリーム SPF37 PA+++」との記載がある。(http://item.rakuten.co.jp/gils/tony-exbb-hyal/)
(8)「@cosme(アットコスメ)」と称するウェブサイトにおいて、「Lovejeveil(ラブジェヴェール) ボディミルク スウィートフラワーズの香り」の見出しの下、「商品説明」として「3Dヒアルロン酸配合で、なめらかつや肌を目指す潤いボディミルクです。」との記載がある。(http://www.cosme.net/product/product_id/10042988/top)
同ウェブサイトにおいて、「Lovejeveil(ラブジェヴェール) 美白ボディソープ ホワイトブーケの香り」の見出しの下、「商品説明」として「3Dヒアルロン酸配合の立体構造が支える弾力のあるモコモコ泡で、もっちりなめらかな肌に洗い上げます。」との記載がある。(http://www.cosme.net/product/product_id/10042986/top)

3 拒絶理由に対する請求人の意見(要旨)
(1)本願商標は、その構成文字全体をもって一体不可分の造語を表すものとして認識、把握されるとみるのが相当であって、本願指定商品の品質や原材料(成分)を直接的かつ具体的に表すものとは直ちにいえず、商品の品質や原材料(成分)を「間接的」に表示するにとどまるものである。
(2)請求人は、ヒアルロン酸の一種である化学品「ヒアルロン酸クロスポリマーNa」を主成分とする化粧品等原料「ヒアルケージシステム(Hyalu-Cage System)」に本願商標を使用して日本国内で販売している。そして、本願商標に係る商品及びその効能を普及させるべく、その化粧品等原料「Hyalu-Cage System」を成分とする化粧品等の製造会社のすべてにその商品紹介カタログを配布している。請求人から当該化粧品等原料を購入した化粧品等取扱会社は、その商品紹介カタログに記載された本願商標にマーケティング上の優位性を感じ、商品の紹介文に「3Dヒアルロン酸が配合された高保湿性の化粧品」等の趣旨の謳い文句を記載している。また、上記の「ヒアルロン酸クロスポリマーNa」含有化粧品等原料は、日本における取扱会社が請求人を含めて現時点でも2社しかない。その結果、本願商標は、その指定商品について請求人の自他商品の識別標識として十分に機能していることは明らかである。
(3)拒絶理由で示された(3)ないし(6)の使用例は、請求人の販売する化粧品等原料を使用し製造された商品について、本願商標を使用しているものであるから、この事実をもってして本願商標が自他商品等識別力を有しないということはできない。
(4)拒絶理由で示された(1)、(2)及び(8)の使用例は、請求人の意思とは関係なく無断で使用されているもので、本願商標に化体した信用を毀損するものである。
(5)拒絶理由で示された(7)の使用例に本願商標が記載されているのは単なる誤植であって、その誤植はすでに修正されている。
(6)さらに、本願商標と同様の構造を有する商標「3D○○○」(「○○○」は指定商品の名称又は略称)が自他商品等識別力を有するものとして、多数登録されている。
(7)すなわち、本願商標は、その指定商品について自他商品の識別力を有することは明らかであり、登録されるべきものである。

4 当審の判断
(1)本願商標は、前記1のとおり「3Dヒアルロン酸」の文字からなるところ、構成中の「3D」は「立体的であること」(広辞苑 第六版)等を意味する語として一般に親しまれている語であり、また、「ヒアルロン酸」の語も保水力に優れ、化粧品、せっけん等の成分として使われているものとして良く知られているものであることからして、本願商標は両語を結合したものと容易に認識させるものである。
そして、平成24年7月3日付けで通知した拒絶理由で示したように、「3Dヒアルロン酸」の文字(語)は、「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸」を表すものとして実際に使用されているものである。
また、別掲に示すように「立体(3D)構造」を有する化学物質や化粧品の成分を表すものとして、例えば「3Dリン酸カルシウム」「立体(3D)コラーゲン」のように、「3D」の文字とその化学物質名や成分名を結合した語が使用されている実情がある。
そうすると、「3Dヒアルロン酸」の文字からなる本願商標は、これをその指定商品について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該文字を「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸」又は「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸を含有してなるせっけん類・化粧品」であることを表したもの、すなわち商品の品質を表示したものと認識するにすぎず、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべきであるから、商標法第3条第1項第3号に該当するものである。

(2)請求人の意見について
請求人は、前記3のとおり、本願商標は自他商品識別標識としての機能を果たすものであり商標法第3条第1項第3号に該当しない旨主張しているが、「3Dヒアルロン酸」の文字(語)は、前述のとおり、一般に広く知られている「3D」と「ヒアルロン酸」の文字(語)を結合したものと容易に認識させるものであり、さらに、拒絶理由で示した使用例及び別掲で示した使用例からすれば、該文字は、本願指定商品に係る取引者、需要者に「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸」又は「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸を含有してなるせっけん類・化粧品」であること、すなわち商品の品質を表示するものとして認識されるものというのが相当である。
また、請求人は、「3Dヒアルロン酸」は、ヒアルロン酸の一種で「3D(三次元)の網目構造をもったヒアルロン酸」である「ヒアルロン酸クロスポリマーNa」を誰にでも分かりやすく簡単に説明するため、請求人が独自に創作した造語であって、前記2の拒絶理由で示された(3)ないし(6)の使用例については、請求人の商品を化粧品原料として使用し製造されている商品であるから、この使用例をもってしては、本願商標が自他商品等識別力を有しないということはできない旨述べる等、拒絶理由で示された使用例によっては、本願商標が自他商品識別力を有しないということはできない旨述べている。
ところで、「商標法第3条第1項第3号の趣旨は、同号に列挙されている商標は、商品や役務の内容に関わるものであるために、現実に使用され、あるいは、将来一般的に使用されるものであることから、出所識別機能を有しないことが多く、また、これを特定人に独占させることは適切でないために登録することができないものとされていると解される」(東京高裁 平成11(行ケ)410号、平成12年6月13日判決参照)。さらに、「商標法第3条第1項第3号は、取引者、需要者に指定商品の品質等を示すものとして認識され得る表示態様につき、それ故に登録を受けることができないとしたものであって、該表示態様が、商品の品質を表すものとして必ず使用されるものであるとか、現実に使用されている等の事実は、同号の適用において必ずしも要求されないものと解すべきである」(東京高裁 平成12年(行ケ)第76号、平成12年9月4日判決参照)と判示されていることからすると、本願商標を構成する「3Dヒアルロン酸」の語の使用が、仮に、請求人と関連のある会社等によるものであったとしても、将来、取引者、需要者の間において商品の品質(原材料)として認識される可能性があり、また、これを特定人に独占させることは適切ではないと判断されるときには、該語は同号に該当すると解されるのである。
なお、本願商標については、拒絶理由通知において示した(1)、(2)及び(8)の使用例のとおり、「立体(3D)構造を有するヒアルロン酸」について「3Dヒアルロン酸」の文字(語)を請求人の商品の取引関係者以外の者が使用していることも確認できるものである。
また、「3Dヒアルロン酸」の語は、「3D(三次元)の網目構造をもったヒアルロン酸」の商品の特徴を表したといえるものであって、自己の業務に係る商品と他人の業務に係る商品とを区別するための標識としての機能を有しないものであることは、前記(1)のとおりである。
そして、例えば、拒絶理由で示した(3)の使用例における、「3Dヒアルロン酸」についての「ヒアルロン酸は動物の関節や皮膚などに含まれ、保水性に優れるアミノ酸と糖の化合物。3Dは、より保水性を高めるため構造が立体的になっている。」との解説からしても、「3Dヒアルロン酸」の表示は、請求人にかかる商品名(商標)を認識させるというよりは、その品質(形状、原材料)を端的に表示したものであると認識されるとみるのが相当であって、仮に同様の表示を他人が使用していない(または他人の使用がわずかである)としても、上記の趣旨からして特定人に独占させることは適切ではないものである。
そうとすれば、本願商標は取引上何人もその使用を欲するものであって、独占適応性を欠くものと判断するのが相当である。
さらに、請求人は、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張しているが、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであって、拒絶理由で示した使用例及び別掲で示した使用例をはじめとする取引の実情からすれば、前述のとおり判断するのが相当である。
以上のとおりであるから、請求人の主張はいずれも採用することができない。

(3)まとめ
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものであるから、これを登録することはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲 「3D」の文字と化学物質名や成分名を結合した語の使用例(なお、下線は、審判の合議体で加えた。)
(1)日本BD(日本ベクトン・ディッキンソン株式会社)のホームページの「BD 3Dリン酸カルシウムスキャフォールド」の商品パンフレットでは、「3D構造」を特徴とした「リン酸カルシウム」について、「3Dリン酸カルシウム」と称している。(http://www.bdj.co.jp/pdf/pamphlet/3Dcalciumphosphate-65-022-00_1.pdf#search=%27%EF%BC%93%EF%BC%A4%E3%83%AA%E3%83%B3%E9%85%B8%E3%82%AB%E3%83%AB%E3%82%B7%E3%82%A6%E3%83%A0%27)
(2)2009年1月8日付け化学工業日報には、「シュウウエムラ、リップグロスを発売、新規ポリマー2種配合」の見出しの下、「立体構造『3Dマトリックスフィルム』とは、水添(スチレン/ブタジエン)コポリマーと水添(スチレン/メチルスチレン/インデン)コポリマーを組み合わせ、油剤のなかにとじ込めたもの。ポリマーの形を加工し、表面を滑らかにみせるという。」と記載されている。
(3)株式会社アトリーのホームページにおいて、「このたび弊社とスタンフォード大学との共同研究において配向性を持たせたゲル状の立体(3D)コラーゲンの開発に成功致しましたのでここにお知らせ申し上げます。」と記載されている。(http://www.a-tree.co.jp/bio/)
(4)独立行政法人 放射線医学総合研究所のホームページにおいて、「立体構造を有する3Dがん細胞塊(スフェロイド)は、2D培養がん細胞よりも生体内腫瘍と近い性質を有し、がんの医学生物学研究や抗がん剤開発の上で有用なモデルとなるのではないかと考えられてきました。」と記載されている。(http://www.nirs.go.jp/information/press/2011/05_24.shtml)


審理終結日 2012-12-13 
結審通知日 2012-12-20 
審決日 2013-01-15 
出願番号 商願2011-56712(T2011-56712) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X0103)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 高野 和行
堀内 仁子
商標の称呼 サンデイヒアルロンサン、スリーデイヒアルロンサン、スリーディーヒアルロンサン 
代理人 高橋 洋平 

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