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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
審判 全部申立て  登録を維持 X33
管理番号 1274090 
異議申立番号 異議2012-685017 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-05 
確定日 2013-04-18 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1086836号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1086836号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1086836号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(A)のとおりの構成からなり、2011(平成23)年4月13日に国際商標登録出願され、第33類「Alcoholic beverages (except beers).」を指定商品として、平成24年2月10日に登録査定、同年6月15日に設定登録されたものである。
2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録第5002243号商標(以下「引用商標」という。)は、別掲(B)のとおりの構成からなり、平成18年3月7日に登録出願され、第33類「ぶどう酒,その他の果実酒」を指定商品として、同年11月10日に設定登録されたものである。
3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に該当するから、その登録は取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第8号証(枝番を含む。なお、括弧内の証拠番号は、以下「甲1?甲8」のように省略して表す。)を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 本件商標
本件商標は、欧文字「Gladiator」を横書きしてなり、頭文字をアルファベット大文字の「G」として、続く「ladiator」部分は、アルファベット小文字で表わし、全体として「Gladiator」と一単語を構成していることから、商標全体が要部といえる。
本件商標は、日本人の英語力から、その構成文字を「グラディエーター」と称呼するとの判断は難くないものであり、その観念は、「剣闘士、職業拳闘選手、論争者」等といえる(甲3)。
イ 引用商標
引用商標は、図案化された欧文字「CYCLES」と、その下段に図案化された欧文字「GLADIATOR」がより大きく配置され、それらの二段書き文字部分を商標上部に配し、「ペダルが翼となっている自転車のハンドル部を手で支えて浮遊する女性裸体」の図案を商標中央に配置してなり、欧文字部分より、全体称呼は「サイクルズグラディエーター」であり、その観念は「グラディエーター自転車」又は「剣闘士自転車」である。
また、要部「GLADIATOR」部分からは、「グラディエーター」の称呼が生じ、その観念は「剣闘士、職業拳闘選手、論争者等」であり、「CYCLES」は「自転車」又は「自転車製造会社」であることから、商標全体の観念は「剣闘士自転車」又は「剣闘士自転車製造会社」といえる。
(ア)引用商標の要部について
商標は、自他識別力の存する部分とそうでない部分が有り、自他識別力の有る部分は商標の要部ともいわれる。引用商標は、図案部分と欧文字部分の結合商標ということができ、比較対象商標(本件商標)と商標の類否を判断する場合において、要部が2つあるということができる。
引用商標の要部の一つである図案「ペダルが翼となっている自転車のハンドル部を手で支えて浮遊する女性裸体」部分からは特筆する称呼は生じず、その観念は、図案で表現されるとおり、「ペダルが翼となっている自転車のハンドル部を手で支えて浮遊する女性」である。
引用商標の今一つの要部は、二段に表記された欧文字「CYCLES\GLADIATOR」である。本件商標との類否をすべくはこの「CYCLES\GLADIATOR」部分であるところ、その要部は、上段「CYCLES(自転車)」部分ではなく、下段に大きく表示された「GLADIATOR(剣闘士)」部分にある。その根拠として、申立人の所有するワインブランドの表示として使用されている引用商標がワインのラベルに採用された経緯を以下に述べる。
申立人のウェブサイトによると、19世紀後半のヨーロッパにおいて、自転車の発明及び普及が、特に女性に対し改革的な役割を果たしたこと、並びに当時の自転車製造会社(英語読み:グラディエーター自転車、仏語読み:グラディアトール自転車)の作品ともいえる宣伝用ポスターの美しさを、自社ワインの改革的なイメージとそのワイン畑の美しさに重ねみて採用したことが読み取れる(甲4の1?3)。
このことから、「CYCLES\GLADIATOR」とは、その由来より「グラディエーター自転車(製造会社)」を表す名称であることが分かり、「CYCLES」(自転車)」は、自転車製造業を示すためのありふれた表示であることから、「CYCLES\GLADIATOR」の要部は、特に「GLADIATOR」の部分であるといえる。
(イ)引用商標の称呼について
欧文字「CYCLES\GLADIATOR」より、全体称呼は「サイクルズグラディエーター」であり、上記したように、「CYCLES\GLADIATOR」の更なる要部は、「GLADIATOR」部分である。「GLADIATOR」は、仏語では「グラディアトール」と発音し、英語では「グラディエーター」と発音するが、「CYCLES」が英単語であり、「サイクルズ」の称呼が生じることから、全体として英語読みされると考えるのが普通であり、そのため、引用商標の要部の称呼は「グラディエーター」である。
(ウ)引用商標の観念について
上記したように、「CYCLES\GLADIATOR」の更なる要部は、「GLADIATOR」部分であることから、「GLADIATOR」の観念は、「剣闘士、職業拳闘選手、論争者」等といえる(甲3)。
(エ)引用商標が一連不可分の商標ではないことについて
引用商標は、その構成において、「CYCLES」部分と「GLADIATOR」部分とは二段書きされているもので、必ずしも一連不可分に判断しなければならない構成ではない。また、概念的に「CYCLES」と「GLADIATOR」を一連にしなければならない理由もない。つまり、「CYCLES」も「GLADIATOR」も、日本人の英語力から容易に片仮名による表記が認識されるほど日本人に知られた語であるから、両語は、明確にそれぞれ区別して認識される語といえるものである。そのような場合に、引用商標「CYCLES\GLADIATOR」を見聞きした一般取引者・需要者は、その意味を「グラディエーター自転車」であると理解する。
そして、「CYCLES/自転車」部分は、自転車製造業を示すためのありふれた表示であり、商標としての識別力が有る部分は「グラディエーター」であることから、一般取引者・需要者は、この自転車はグラディエーターのものだな、と考えるのである。
ウ 本件商標と引用商標との対比
本件商標の要部は、商標全体より「Gladiator」である。引用商標の要部は、上記したとおり、「CYCLES」部分ではなく、大きく表示された「GLADIATOR」部分にある。
そうすると、本件商標の要部「Gladiator」は、引用商標の要部「GLADIATOR」とともに「グラディエーター」の称呼が生じるもので、両者の意味、観念は全く同じものであるから、本件商標と引用商標とは、その要部について、称呼、観念を同一にする類似の商標であるということができる。
したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似であって、引用商標と同一又は類似の商品に使用するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものであり、その登録は取り消されるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は、アメリカ合衆国カリフォルニア州モントレーで、30年にわたりワインを作り続けている経営者の一人であるニッキー・ハーンが、自身のファミリー名を託して1991年に設立したワイナリーである(甲5)。
申立人は、2006年に引用商標をラベルとするワインを発表して以来、商品「ぶどう酒」について、引用商標と明らかに認識し得る図形若しくは「CYCLES\GLADIATOR」と容易に称呼し得る文字からなる商標又はこれらの結合からなる商標を広く使用して今日に至っており、商品「ぶどう酒」の我が国における市場占有率も極めて大きい。
2006年に、引用商標をラベルとするワインが発表され、日本に輸入されるようになってから日が浅いが、現地における数々の受賞歴により、知名度を上げている(甲6)。
また、インターネットショッピングモール楽天市場において、「GLADIATOR グラディエーター ワイン」と入力して商品検索をすると、該ワインブランドの取扱い店舗は19店舗で、知る人ぞ知る新進気鋭のワインブランドである(甲7の1・2)。
しかしながら、該ワインブランドの正式発表後の翌年である2007年には、その評価の高さから、日本国内において発行部数20万部の月刊誌「一個人」の12月号特集「いま、最高においしいワインBEST300」にて、2,000円以下のアメリカ白ワイン部門のグランプリを受賞し(甲8)、引用商標をラベルとするワインブランドが、いかに急激に知名度を上げ、一般取引者・需要者の間で注目を浴びているかが分かる。
そうとすれば、このような状況において、本件指定商品の分野の需要者は、欧文字「Gladiator」からなる本件商標が本件指定商品である「アルコール飲料(ビールを除く。)」について使用された場合には、申立人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあることは明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)本件商標の商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、別掲(A)のとおり、「Gladiator」の欧文字からなるものであるところ、該文字は、「剣闘士、職業拳闘選手」の意味を有する英単語であるものの、一般になじみのある英単語ともいえないので、取引者、需要者に上記意味を理解、認識させるものとはいえず、特定の観念は生じないとみるのが相当である。また、本件商標は、その構成文字に相応して、「グラディエーター」の称呼が生ずるとみるのが自然である。
他方、引用商標は、別掲(B)のとおり、一律ではない黒地の長方形内の中央に、ペダルが翼となっている自転車のハンドル部を手で支えて長い髪をなびかせて浮遊する裸の女性の図を配し、その左側上部にやや図案化された「CYCLES」及び「GLADIATOR」の欧文字を2段に表してなるものであって、これらは、その全体をもって、まとまりよく一体的に表された印象を強く与えるものである。
また、引用商標中の「CYCLES」及び「GLADIATOR」の文字部分についてみるに、「G」がひときわ大きく表された「GLADIATOR」の文字の中央部に当たる「ADIAT」の上部に、「Y」を囲むように「C」が大きく表された「CYCLES」の文字をバランス良く近接して配してなるものであって、これら2つの文字部分もまとまりの良い一体的な印象を強く与えるものである。そして、「CYCLES」の文字は、「自転車」の意味を有する英単語「cycle」の複数形であって、「GLADIATOR」の文字は、上記のとおり、「剣闘士、職業拳闘選手」の意味を有する英単語であるものの、一般になじみのある英単語ともいえないものであるから、これらの「CYCLES」及び「GLADIATOR」の文字部分からは、特定の観念が生ずるとまではいえないものの、自転車が明確に表されている図形をも合わせみれば、「自転車グラディエーター」程の意味合いを認識させるものであって、「サイクルズグラディエーター」の称呼が生ずるとみるのが自然である。
申立人は、引用商標中の「GLADIATOR」の文字部分が引用商標の要部となり得るものであり、該文字部分から「剣闘士、職業拳闘選手、論争者」等の観念及び「グラディエーター」の称呼が生ずる旨主張するが、上記のとおり、引用商標は、その構成中の文字と図形がまとまりよく一体的に表されているものであって、仮に該文字部分が分離され、それをもって取引に資されることはあるとしても、殊更「GLADIATOR」の文字部分のみが分離独立して取引に資されることはないとみるのが相当である。
そうすると、引用商標から単に「剣闘士、職業拳闘選手、論争者」等の観念及び「グラディエーター」の称呼が生ずることはないといえるものであるから、引用商標中の「GLDIATOR」の文字部分から生ずる称呼及び観念が本件商標と同一であるとした上で、本件商標と引用商標とが類似の商標であるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。
その他、本件商標と引用商標とが類似の商標であると判断しければならない特段の事情は見いだせない。
したがって、本件商標は、引用商標と相紛れることのない非類似の商標であり、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
申立人の提出に係る証拠によれば、申立人は、アメリカ合衆国カリフォルニア州において1991年に設立したワイナリーを経営しており、2006年に引用商標をラベルとするワインを発売し、該ワインが我が国にも輸出され、2007年には、我が国の月刊誌「一個人」の12月号特集「いま、最高においしいワインBEST300」にて、2,000円以下のアメリカ白ワイン部門のグランプリを受賞した事実は認められるとしても、引用商標の使用期間はさほど長くなく、また、引用商標の使用に係るワインの具体的な販売量や広告宣伝の方法、回数、内容等も不明であることからすれば、我が国における引用商標の周知性をにわかに認めることはできない。
そうすると、本件商標の登録出願時及び登録査定時に、引用商標が申立人の業務に係る商品「ぶどう酒」の出所を表示するものとして需要者の間に広く認識されている商標とはいえないばかりでなく、上記(1)のとおり、本件商標と引用商標とは相紛れるおそれのない非類似の商標というべきものであるから、本件商標をその指定商品について使用しても、取引者・需要者をして、その使用に係る商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものではない。
(3)結論
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同項第15号のいずれにも違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 【別記】


異議決定日 2013-03-12 
審決分類 T 1 651・ 261- Y (X33)
T 1 651・ 271- Y (X33)
T 1 651・ 262- Y (X33)
T 1 651・ 263- Y (X33)
最終処分 維持  
前審関与審査官 津金 純子 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2011-04-13 
権利者 VINA SANTA MARINA, S.L.
商標の称呼 グラディエーター 
代理人 守谷 一雄 

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