• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900350 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X0935
審判 全部申立て  登録を維持 X0935
審判 全部申立て  登録を維持 X0935
審判 全部申立て  登録を維持 X0935
審判 全部申立て  登録を維持 X0935
管理番号 1274076 
異議申立番号 異議2012-900306 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-06-28 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-10-19 
確定日 2013-05-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5509373号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5509373号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5509373号商標(以下「本件商標」という。)は、「モンスターメーカー」の片仮名を標準文字で表してなり、平成23年12月9日に登録出願され、第9類「電気通信機械器具,電子計算機用プログラム,電子応用機械器具及びその部品」をはじめとする第9類に属する商標登録原簿に記載の商品及び第35類「電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」をはじめとする第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定商品及び指定役務として、平成24年7月9日登録査定、同月20日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第25号証を提出した。
1 申立人の引用する商標
申立人が引用する商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第2715891号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:(別掲のとおり)
登録出願日:昭和59年7月30日
設定登録日:平成8年8月30日
指定商品 :第9類「スピーカー用接続コード,配電用又は制御用の機械器具,回転変流機,調相機,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,電気通信機械器具,電子応用機械器具及びその部品,磁心,抵抗線,電極」(平成20年3月5日書換登録)
(2)登録第2697721号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:モンスター
登録出願日:平成1年5月24日
設定登録日:平成6年10月31日
指定商品 :第9類「電線及びケーブル」(平成18年2月8日書換登録)
(3)登録第2095756号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:MONSTER
登録出願日:昭和54年12月12日
設定登録日:昭和63年11月30日
指定商品 :第9類「電線,ケーブル」(平成21年3月11日書換登録)
(4)登録第4679679号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:MONSTER(標準文字)
登録出願日:平成13年7月16日
優先権主張:アメリカ合衆国、2001年1月18日
設定登録日:平成15年6月6日
指定商品 :第9類「ケーブル,電気コネクター,配電用又は制御用の機械器具」
(5)登録第4585355号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:MONSTER MOBILE(標準文字)
登録出願日:平成13年11月1日
優先権主張:アメリカ合衆国、2001年5月14日
設定登録日:平成14年7月12日
指定商品 :第9類「電池を充電するための電気機器,電池用充電器,その他の配電用又は制御用の機械器具,充電式電池,その他の電池,電線及びケーブル」
(6)登録第4605487号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:MONSTER POWER(標準文字)
登録出願日:平成12年5月17日
設定登録日:平成14年9月20日
指定商品 :第9類「配電用又は制御用の機械器具,電線及びケーブル」
(7)登録第5107654号商標(以下「引用商標7」という。)
商標の構成:MONSTER BASS(標準文字)
登録出願日:平成16年11月26日
優先権主張:アメリカ合衆国、2004年5月28日
設定登録日:平成20年1月25日
指定商品 :第9類「電線及びケーブル」
以下、上記引用商標1ないし7を一括して、単に「引用商標」ということがある。
2 申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「モンスターメーカー」と横書きしてなるところ、その構成中「メーカー」の語は、「製造元、メーカー」等の意味を持つ英単語「maker」を片仮名で表示したものであり、自他商品・役務の識別力が極めて弱い語であるから、本件商標の要部は「モンスター」部分にあると考えられる。したがって、本件商標からは「モンスターメーカー」の称呼に加えて「モンスター」の称呼をも生じる。
引用商標は、「monSTER」「MONSTER」及び「モンスター」の語に照応して「モンスター」の称呼が生ずる。
そして、本件商標の指定商品中「電気通信機械器具、電子計算機用プログラム、電子応用機械器具及びその部品」及び指定役務中「電子計算機用プログラムの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、引用商標1の指定商品と抵触関係を生じ、本件商標の指定役務中「電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」については、引用商標1ないし7の指定商品と抵触関係を生じる。
したがって、本件商標は、引用商標と同一又は類似の指定商品・指定役務に係るものであって称呼上類似する商標であるので、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人(モンスター,インコーポレイテッド)は、ノエル・リー氏によって1979年に設立され、高性能のスピーカー用ケーブルを開発し、当該ケーブルを「モンスターケーブル」と名付け、オーディオ市場に革命をもたらした。「モンスターケーブル」という名前は「高品質」及び「高性能」と同義のものとして消費者に受け止められた。今では申立人は、コンピューター及びコンピューターゲーム用のみならず家庭用、車用及びプロ用の音声・映像コンポーネントを接続する高性能ケーブルの世界的な製造業者となり、世界中の80以上の国々において3000以上の製品を提供し、販売している(甲9ないし13)。
このように申立人の製品は、高品質・高性能なものとして世界的に広く認識されており、特に各種ケーブルは、オーディオ業界のみならず多くの業界で絶大な支持と信頼を得ており、数多くの映画の録音、録画用としてプロの現場でも愛用されている(甲14ないし25)。
そうとすると、本件商標の所有者が、「モンスター」の文字を含む本件商標を、本件商標の指定商品や指定役務に使用すると、本件商標の所有者が取り扱う製品やサービスが、恰も申立人の製造・販売に係る商品や申立人の行うサービスであるかの如く商品・役務の出所について誤認を生ずるおそれがある。そして、このような出所の混同が生じる場合には、申立人の高品質・高性能な製品のイメージや、申立人が引用商標の下に積年の品質管理等の努力により獲得した高品質・高性能なMonster製品のイメージ・信用が毀損されるものと考える。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものである。
(3)商標法第4条第1項第19号について
申立人の各種ケーブルは、特に、米国で成功を収め、申立人は全米一のケーブルメーカーとしての評価を得ていることから、本件商標の出願時及び査定時において、引用商標が少なくとも米国において周知・著名な商標となっていることは明らかである。そして、申立人の各種ケーブルは高品質・高性能なものとして世界的に広く認識されていることから、本件商標の所有者が引用商標の周知性・著名性を認識していないとは考えられない。
そうとすれば、商標権者が、引用商標と称呼上類似する本件商標を商標登録出願するということは、少なくとも米国で周知・著名な引用商標の出所表示機能を稀釈化させ、若しくはこれらの商標に化体した名声等を毀損させる目的をもって出願したもの、または、日本国内又は外国で周知な商標について取引上の信義則に反する不正の目的で出願したものと考えざるを得ない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当するものである。

第3 当審の判断
1 引用商標の著名性について
申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、申立人は1979年にアメリカ・サンフランシスコにて会社設立され、電線を用いてスピーカー用ケーブルを開発し、当該ケーブルを「モンスターケーブル」としたこと、申立人の製造するケーブルは、その技術と品質がオーディオ業界のみならず多くの業界で絶大な支持と信頼を得て、有名アーティストが愛用し、数多くの映画の録音、録画用としてプロの現場でも使用されていること、申立人はケーブル、コネクターに関する特許を140以上取得しホームオーディオ用、カーオーディオ用、コンピューター・インターネット用及びゲーム用など多種多様なケーブルを取り扱っていることが認められる(甲10、13ないし17)。
また、日本においては、「Joshin web Joshin Denki Online Shopping」「e-onkyo.com CYBER SHOP」「平瀬楽器インターネットショッ」(最後の文字は「プ」と推認されるが、証拠には表されていない。)で「モンスターケーブル」が販売されていたこと(甲12、13及び17)、オンキヨー株式会社による「MONSTER CABLE」の商標が表示された、2003年7月現在とする商品パンフレット、2004年1月及び2003年5月の「モンスターケーブルカタログ」(甲20、24及び25)が発行されたことが認められる。
以上によれば、申立人は、米国におけるスピーカー用ケーブルのメーカーであること、そのケーブルは音楽業界等から高い信頼を得、有名アーティストが使用し、映画の録音、録画用のプロの現場でも使用されていることが認められるとしても、日本においては、「MONSTER CABLE」(モンスターケーブル)と表示されたケーブルが販売されていることはうかがい知れるところであるが、申立人及び「モンスターケーブル」商品を紹介する上記甲号証は、2003年から2004年のもの、又は日付が不明であり、本件商標の出願時及び査定時から7ないし8年も前のものであって、出願時及び査定時の取引状況は不明である。また、2003年から2004年に発行された上記パンフレット又は製品カタログの配布状況(頒布先、頒布量等)、申立人の取り扱う商品(ケーブル)の販売量等も不明である。
そうとすると、引用商標は、申立人の業務に係る「ケーブル」に使用されていることがうかがえるとしても、日本における該商品の取引者・需要者の間においては、出願時はもとより査定時において、申立人の業務に係る商品を表示する商標として広く認識されているものということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、第1のとおり、「モンスターメーカー」の文字からなり、標準文字により同書同大でまとまりよく一体的に表され、それから生じる「モンスターメーカー」の称呼も格別冗長とはいえず、一気一連に称呼し得るものである。
そして、本件商標中の「メーカー」の文字部分が、「作る人、製造業者」等の意味を有するとしても、そのことのみをもって、当該文字部分が取引者・需要者に対し商品の出所識別標識として弱い印象を与えるものということはできないし、さらに「モンスター」の文字部分のみをもって取引に資すると言うべき事情も見いだせない。
そうすると、本件商標は、構成文字全体に相応して「モンスターメーカー」の称呼のみを生じ、「モンスター」の文字が「怪物」の意味を有することから、「怪物を作る人、怪物のようなメーカー」ほどの意味合いを認識させるものである。
(2)引用商標
引用商標1は、別掲のとおり、図案化した「monSTER」の欧文字と「CABLE」の欧文字を、上下二段にまとまりよく一体的に表されたものであるから、これより「モンスターケーブル」の称呼のみ生じ、特定の観念は生じないものである。
引用商標2ないし4は、「モンスター」の片仮名又は「MONSTER」の欧文字からなるものであるから、いずれも「モンスター」の称呼が生じ、「怪物」の観念を生じるものである。
引用商標5は、「MONSTER MOBILE」の欧文字を、標準文字により同書同大でまとまりよく一体的に表したものであるから、これより「モンスターモバイル」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
引用商標6は、「MONSTER POWER」の欧文字を、標準文字により同書同大でまとまりよく一体的に表したものであるから、これより「モンスターパワー」の称呼が生じ、「怪物のような力」のごとき意味合いを認識させるものといえる。
引用商標7は、「MONSTER BASS」の欧文字を、標準文字により同書同大でまとまりよく一体的に表したものであるから、これより「モンスターバス」又は「モンスターベイス」の称呼が生じ、特定の観念は生じないものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用商標の外観についてみるに、両者は、前記したとおりの構成よりなるものであるから、これらは互いに区別し得るものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標からは、「モンスターメーカー」の称呼のみが生じるものであるから、前記したとおりの称呼が生じる引用商標とは称呼においても類似するものではない。
また、観念についてみるに、本件商標から生じる「怪物を作る人、怪物のようなメーカー」等の観念と、引用商標2ないし4から生じる「怪物」の観念及び引用商標6から生じる「怪物のような力」の観念とにおいては、明らかに区別できるものであり、特定の観念が生じない引用商標1、引用商標5及び引用商標7とは比較することができないから、両者は観念においても類似するものではない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
引用商標は、前記1で述べたとおり、本件商標の指定商品及び指定役務の取引者・需要者の間に広く認識されていたものとは認められず、また、前記2のとおり、本件商標と引用商標とは、非類似の商標であって、別異の商標というべきものである。
してみれば、本件商標は、これをその指定商品又は指定役務に使用した場合、これに接する需要者が、引用商標を想起又は連想して、当該商品又は役務を、申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのごとく、商品又は役務の出所について混同を生ずるおそれがあるものではないと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
4 商標法第4条第1項第19号該当性について
本件商標と引用商標とが、類似の商標と認められないことは前記2のとおりであり、かつ、本件商標が、引用商標の出所表示機能を稀釈化させ、若しくはこれらの商標に化体した名声等を毀損させる目的をもって出願したもの、又は、日本国内又は外国で周知な商標について取引上の信義則に反する不正の目的をもって出願されたものとはいえないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号に該当しない。
5 まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号、同第15号及び同第19号のいずれにも違反して登録されたものではないから、その登録は同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲(引用商標1)


異議決定日 2013-05-01 
出願番号 商願2011-89048(T2011-89048) 
審決分類 T 1 651・ 262- Y (X0935)
T 1 651・ 222- Y (X0935)
T 1 651・ 261- Y (X0935)
T 1 651・ 263- Y (X0935)
T 1 651・ 271- Y (X0935)
最終処分 維持  
前審関与審査官 大森 健司 
特許庁審判長 村上 照美
特許庁審判官 梶原 良子
冨澤 武志
登録日 2012-07-20 
登録番号 商標登録第5509373号(T5509373) 
権利者 有限会社銀河企画
商標の称呼 モンスターメーカー 
代理人 古谷 聡 
代理人 杉本 明子 
代理人 溝部 孝彦 
代理人 平野 泰弘 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ