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審決分類 |
審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X25 |
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管理番号 | 1274000 |
審判番号 | 取消2012-300605 |
総通号数 | 162 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-06-28 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2012-07-30 |
確定日 | 2013-05-07 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第5170958号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 登録第5170958号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 登録第5170958号商標(以下「本件商標」という。)は、「RAGGAZZA」の文字を標準文字で表してなり、平成20年3月3日に登録出願、第25類「被服,履物」を指定商品として、同年10月3日に設定登録されたものである。 2 請求人の主張 請求人は、結論と同旨の審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁の理由を次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証(枝番を含む。)を提出した。 (1)請求の理由 ア 本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項により、取り消されるべきものである。 イ 取消原因 請求人の調査によれば、被請求人は、標章「RAGGAZZA」を使用することなく、これを「RAGAZZA」に変えて使用しているだけである。「RAGAZZA」の語は、そもそも基本的なイタリア語であり、ファッション業界で普通に用いられる語で、「少女、若い女性、娘さん」を意味する(「5カ国語新ファッション用語集」伊藤忠ファッションシステム著、株式会社チャネラー発行。これを甲第1号証とし、その表紙、凡例、単語索引、単語該当頁、奥付けをそれぞれ、甲第1号証の1、同号証の2、同号証の3、同号証の4、同号証の5とする。)。請求人は、この「RAGAZZA」を「女性用サンダル」に品質あるいは用途を示すものとして使用していたところ、被請求人より本件商標権を侵害するものとして、通知書(甲第2号証)を受け取った。 ファッション業界で当たり前のようにして使用される「RAGAZZA」の語を「G」をダブらせて商標登録し、自身はこの登録商標「RAGGAZZA」ではなく「RAGGAZZA」とは同一性の範囲内にもない「RAGAZZA」を使用した上で、他人の「RAGAZZA」の使用を禁止しようとする商標権者の態度は、本件商標の指定商品の業界における取引秩序をいたずらに混乱させるものである。 (2)弁駁の理由 被請求人は、文字の一部を図案化した欧文文字、具体的には、「RAGAZZA」と記載され、この文字のうち「G」の上部に「G」がダブって記載されている使用をもって、本件商標の使用事実があったと主張している。 しかしながら、使用商標は、その外観からみても、使用商標が使用されている状況からみても、さらには、被請求人の意図からみても、本件商標「RAGGAZZA」ではなく、「RAGAZZA」と認識されるものである。 そして、本件商標は、被請求人の造語で、本来具体的な観念を全く持たないのに対し、使用商標から認識される「RAGAZZA」は、「少女、あるいは娘」を意味する基本的なイタリア語で、ファッション業界においても商品の特性や用途を示すものとして現実に使用される語であり、「RAGAZZA」から、造語である「RAGGAZZA」を想起することはあり得ず、当然「少女、あるいは娘」を意味する基本的なイタリア語が想起され、これらは観念上全く異なる。 このように、使用商標の外観の著しい相違、具体的な使用状況、被請求人の意図、及び観念の相違からして、使用商標は、本件商標と社会通念上同一性の範囲にある商標とはいえない。 よって、使用商標の使用は、本件商標の使用を立証するものではない。 3 被請求人の答弁 被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とするとの審決を求めると答弁し、その理由を次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第4号証を提出した。 (1)請求人は、本件商標が、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項第1号により、取り消されるべきものであると主張している。 しかし、被請求人は、以下に述べる理由により、請求人の主張を到底認めることができないものである。 (2)被請求人は、本件商標を被請求人の所有する靴のブランドの1つとして、雑誌媒体等を通してアピールしてきた。 乙第1号証の雑誌「ViVi」2010年7月号(2010年5月23日発売)には、靴の広告が記載されており、そこには本件商標「RAGGAZZA」が靴のブランドを示すものとして表記されており、ここには、「R」の文字の下に、「RAGGAZZA」と「G」を重ねて表記したものが記載されており、本件商標であることが認識できる。 また、乙第2号証の雑誌「ViVi」2011年4月号(2011年2月22日発売)にも同様に、靴の広告の中に「R」の文字の下に、「RAGGAZZA」と「G」を重ねて表記したものが記載されており、乙第3号証の雑誌「ViVi」2011年7月号(2011年5月23日発売)には、靴の広告の中に「RAGGAZZA」と「G」を重ねて表記したものが大きく記載されており、本件商標であることは十分に認識できる。 さらに、被請求人は、乙第1号証の雑誌「ViVi」2010年7月号(2010年5月23日発売)の後、取引先等に、乙第4号証の「『ViVi』2010年7月号掲載商品リスト」を配布しており、表紙には、「R」の文字の下に、「RAGGAZZA」と「G」を重ねて表記したものが記載されており、本件商標「RAGGAZZA」が記載されていることが認識できる。また、乙第4号証のほかの頁には靴の一覧と共に「ラガッツア事業部」と記載されており、靴を取り扱う「ラガッツア事業部」のブランド名として本件商標を用いていることは明らかである。 このように、被請求人は、雑誌「ViVi」を中心に、本件商標を被請求人の所有する靴のブランドの1つとして継続してアピールを行っていることから、商標権者である被請求人は、少なくとも2010年5月以降、2年以上にわたり、本件商標を継続して使用している状態にあることは明らかである。 4 当審の判断 (1)被請求人提出の証拠によれば、以下の事実が認められる。 ア 平成23年7月1日発行の雑誌「ViVi」(乙第3号証)には、「靴」についての広告が掲載されている。そして、当該広告には、別掲に示すとおりの構成態様からなる標章(以下「使用商標」という。)が表示されている。 イ 雑誌「ViVi」の2010年7月号(乙第1号証)及び雑誌「ViVi」の2011年4月号(乙第2号証)にも、上記アと同様に、使用商標が表示した「靴」についての広告が掲載されたと認められる。 ウ 「ViVi 2010年7月号(5月23日発売)掲載商品リスト」(乙第4号証)には、被請求人に係る商品(靴)各種の詳細が実物写真とともに掲載されており、当該「掲載商品リスト」の表紙には、使用商標が表示されている。 なお、当該リストの作成時期、配布したとする配布先や時期等については明らかではない。 (2)本件商標は、「RAGGAZZA」の文字を横書きにしてなるものであり、その構成各文字は、書体や大きさを同じにし、それらを等間隔で表示するものである。 これに対し、上記(1)で示された使用商標は、別掲に示すとおりの構成態様からなるものである。また、当該使用商標は、同一の色彩及び同一の書体で表された「RA」と「AZZA」の文字の間に、赤色の「G」を右肩下がりに傾斜させ、その「G」の上部で、左に傾斜した灰色の「G」を鎖状に連鎖させたものを配した標章である。 そして、使用商標は、本件審判の請求の登録前3年以内の時期に発行された印刷物(雑誌)に掲載された被請求人の業務に係る商品「靴」についての広告に表示されたと認められるものである。 しかしながら、上記(1)で示された使用商標は、「RA」と「AZZA」の中間部に2つの「G」をもって表された部分を有するけれども、その2つの「G」の部分で、各「G」を左右に向きを変えて傾斜させた点、傾斜させたにとどまらずに2つの「G」を連鎖させた点、さらにはほかの構成各文字とは色彩を違えて表した点で、2つの「G」がほかの構成文字と同じ態様で羅列された本件商標とは、表示態様が全く異なるといわざるを得ないものである。 そうとすると、使用商標は、看者をして、構成文字の一部「GG」を図案化したものと認識されるものであって、「RAGGAZZA」の文字を端的に表した標章として看取されるものとはいい難く、むしろ、上記中間部に2つの「G」のモノグラム風の標章が表されたものとして受けとめられるというのが相当である。 してみれば、使用商標と本件商標とは、その構成及び態様を異にするといわざるを得ないものであるから、使用商標は、本件商標の有する独自の識別性と同一のものとは認め難いものであって、書体のみに変更を加えた本件商標と同一の文字からなる商標とはいえない。 したがって、上記使用商標をもって、本件商標と社会通念上同一の商標であると認めることはできないものである。 (3)以上のとおり、被請求人提出の証拠によっては、本件審判の請求の登録前3年以内に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、取消請求に係る指定商品について本件商標の使用をしたと認めることはできないものである。 その他、本件商標について使用の事実を示す証拠はなく、また、本件商標の不使用に係る正当理由についての主張及び立証はない。 したがって、本件商標は、商標法第50条の規定に基づき、その登録の取消しを免れないものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 使用商標 (色彩については、原本参照。) |
審理終結日 | 2013-03-08 |
結審通知日 | 2013-03-12 |
審決日 | 2013-03-25 |
出願番号 | 商願2008-15517(T2008-15517) |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Z
(X25)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 山田 正樹 |
特許庁審判長 |
寺光 幸子 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 酒井 福造 |
登録日 | 2008-10-03 |
登録番号 | 商標登録第5170958号(T5170958) |
商標の称呼 | ラガッツァ、ラガッザ、ラグガッツァ、ラグガッザ |
代理人 | 吉川 俊雄 |
代理人 | 影山 光太郎 |