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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
審判199831328 審決 商標
取消200530788 審決 商標
審判199830905 審決 商標
取消2008300167 審決 商標
審判199830904 審決 商標

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審決分類 審判 全部取消 商53条の2正当な権利者以外の代理人又は代表者による登録の取消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) X12
管理番号 1273919 
審判番号 取消2012-300610 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-08-01 
確定日 2013-04-15 
事件の表示 上記当事者間の登録第5460366号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第5460366号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5460366号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲(1)のとおりの構成よりなり、平成23年7月4日に登録出願、第12類「乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,自転車用チャイルドシート,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車・人力車・そり・手押し車・荷車・馬車・リヤカー並びそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品として、同年11月8日に登録査定、同年12月22日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第16号証(枝番号を含む。枝番号をまとめて引用するときはこれを省略する。)を提出した。
1 請求の理由
本件商標は、パリ条約の同盟国、世界貿易機関の加盟国若しくは商標法条約の締約国(以下「パリ条約の同盟国等」という。)において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって、当該権利に係る商品又はこれらに類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、本件商標の登録出願は、正当な理由がないのに、欧州共同体登録商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものである。
したがって、本件商標は、商標法第53条の2の規定により取り消されるべきものである。
(1)請求人
請求人は、1930年6月21日に設立されたパリ条約の加盟国であるオランダ国に所在する法人であり、1934年以来、自転車用チャイルドシート(以下「請求人商品」という。)を製造・販売してきた。その結果、特に過去10年の間、請求人は、世界中で4百万個以上の自転車用チャイルドシートを製造・販売し、この事業分野におけるリーディング企業としての地位を築いている(甲4、甲5)。
請求人商品は、その耐久性・安全性・デザイン及び品質について世界中で評価を得ており、2009年自転車イノベーション賞、同年レッドドットデザイン賞、2009年及び2010年に連続受賞のグッド工業デザイン賞、2009年オランダデザイン賞、2011年2月受賞の幼児製品イノベーション賞、及び同年受賞のユーロバイク賞といった各種の賞を獲得した(甲6)。
そして、請求人は、域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)において登録された欧州共同体登録第7205107号商標(以下「引用商標」という。)の正当な権利者である。
したがって、請求人は、世界貿易機関の加盟国において商標に関する権利を有する者に該当する。
(2)引用商標
引用商標は、別掲(2)のとおりの構成よりなり、2008年9月2日に登録出願、第12類「Vehicles; apparatus for locomotion by land, air or water; bicycles, their parts and accessories, such as bicycle bells and bicycle flags; child seats for use in vehicles and on bicycles, and their parts and accessories such as foot guards, windshields and harnesses; baby carriages.」及び第35類「Advertising; business management; business administration; office functions; import and export, wholesaling and retailing of child seats, their parts and accessories.」を指定商品及び役務として、2009年6月29日に設定登録されたものである。
(3)本件商標と引用商標の類否及び本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
ア 本件商標と引用商標の類否
引用商標は、別掲(2)のとおり、欧文字「Yepp」と、横長の楕円の上部から左方に向けて4本の突起を付加するとともに内部の中央部分から右部分にかけて2個の縦長楕円を白抜きにて配置することによって、架空のキャラクターを表現した図形(以下「架空キャラクター図形」という。)を商標の構成要素とする。
他方、本件商標は、別掲(1)のとおり、当該架空のキャラクターを表現した図形が黄土色に彩色されている以外は、引用商標と全く同じものである。
そして、請求人商品には、引用商標が使用されているが、実際の使用においては、欧文字「Yepp」は黒色、図形は黄土色で表示されている(甲5)。すなわち、本件商標は、請求人が実際に使用している商標をそのまま日本に出願したものである。
そうすると、本件商標は、自転車用チャイルドシートその他の指定商品について使用された場合、商品の需要者・取引者をして、引用商標との間で商品の出所について誤認混同を生ずるおそれがある類似の商標である。
イ 本件商標の指定商品と引用商標の指定商品の類否
引用商標は、前記(2)のとおり、第12類を指定商品とするものであり、該指定商品は「乗物;陸上・航空及び海上の乗物;自転車,それらの部品及び付属品,例えば、自転車のベル及び旗,乗物用及び自転車用のチャイルドシート,これらの部品及び付属品,例えば,足の保護具,風よけ具,ハーネス;ベビーカー」に相当する。
他方、本件商標の指定商品は、前記第1のとおり、第12類「乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,自転車用チャイルドシート,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車・人力車・そり・手押し車・荷車・馬車・リヤカー並びそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」である。
したがって、本件商標と引用商標は、その指定商品において、互いに同一又は類似の商品を含むことが明らかである。
ウ 小括
以上のとおりであるから、本件商標は、パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものである。
(5)被請求人
ア 被請求人は、同社ウェブサイトにおける「会社案内」のとおり、「自社企画アパレル・スポーツギア製品の製造・企画、販売及び輸出入(主製品・アパレル・自転車他)」、「海外・国内ブランドのライセンス販売」などを事業内容として、2007年2月5日に設立された法人であり、代表取締役社長「人物A」(以下「人物A」という。)、取締役「人物B」(以下「人物B」という。)がその役員を勤める(甲7の2)。また、同ウェブサイトにおける項目「Business」中の「小売事業」を見出しとするウェブページのとおり、自転車や自転車用チャイルドシートを日本において販売しており、この中には、請求人と被請求人の間の代理店契約に基づき請求人から供給された自転車用チャイルドシートも含まれている(甲7の3)。
そして、被請求人のウェブサイトにおいて、本件商標は、トップページ及び上記小売事業のウェブページに表示されているが、これをクリックすると請求人のウェブサイト(オランダ語)へとハイパーリンクされる(甲7の1、3、5)。このことから、被請求人が取り扱う本件商標の使用に係る商品が、請求人商品の日本への輸入品であることが需要者や取引者にも明らかである。
イ 被請求人は、上記ウェブサイトとは別に、その取扱商品のうち「自転車用チャイルドシート」のみを紹介するウェブサイト「EuroBaby」を立ち上げており、「Yepp」ブランドのさまざまなタイプの商品やこれらの製品のアクセサリーなどが紹介されている(甲8の1ないし6)。
また、請求人から供給されたこれらの商品に関する取扱説明書(フランス語・ドイツ語・オランダ語及び英語の4カ国語のもの、あるいは、英語のみのもの)が、カタログ欄の各種取扱説明書ダウンロードページに掲載されている(甲8の9ないし16)。
さらに、このウェブサイト「ショップリスト」には、「Yepp」ブランドの商品を取り扱う小売業者が紹介されており(甲8の7)、また、このウェブサイトを通じて「Yepp」ブランドの商品を含む通信販売をしている(甲8の8)。
以上のとおり、被請求人は、請求人が製造し引用商標を使用する各種商品の日本における販売代理店として活動している。
(6)請求人と被請求人の関係
ア 2010年9月1日(水)?4日(土)に開催のユーロバイクショーの請求人ブースに、人物A、人物Bらが訪れ(甲10)、請求人の商品を被請求人を通じて日本において販売するための商談が行われた。
2010年9月8日に、請求人は、被請求人に対して、請求人製品の卸価格その他の条件を書面により提示した(甲11)。
イ 2010年9月20日には、これまでの交渉で合意された販売代理店としての地位について詳細を詰めること、請求人製品の購入とその代金の支払い等の輸入行為を円滑にすること、日本における販売代理店として活動するために必要な資料(商品カタログ・商品取扱説明書等)を手配すること等のために、英語が堪能であり貿易実務に堪能な株式会社コザキトレイディング(以下「コザキトレイディング」という。)の社員である人物Cを被請求人の代理人として指名した(甲12の1)。
ウ 人物Cは、2010年9月21日に、被請求人が日本国内の小売業者に対して請求人商品を売り込む際に使用するサンプルを発注し、さらに、被請求人の商品カタログを作成するために必要な商品写真や画像の送付を請求人に対して求めた(甲12の2)。
これらの資料のうち、請求人商品の取扱説明書については、請求人の示唆に基づき、被請求人が請求人のウェブサイトからダウンロードすることとなった。これをウェブサイトに転載した(甲8の9ないし16)。
また、請求人商品の写真や画像については、請求人がCDにインプットのうえ、被請求人に送付し、これらのデータを利用して、自社の総合商品カタログ(甲15)を作成した。
エ その後、2010年12月1日に、被請求人の社員から人物Cに対してされた最初の注文に基づき、人物Cは、同日付にて、請求人に対して「Yepp」ブランドの各製品並びにこれらの商品のアクセサリー類を注文をした(甲14の1)。請求人発行の請求書に基づき、コザキトレイディングが代金を同年12月15日に電信送金し、請求人が注文品をコンテナーに詰め、同年12月27日に出航する運送船に乗せる手配を行った(甲12の4)。そして、最初の注文品が請求人に届いたことは、2011年2月17日付けの人物Cのメールにより、明らかである(甲12の5)。
オ 2011年3月に台湾において自転車等に関する展示会が開催され、請求人及び被請求人のそれぞれが、同展示会に参加した。人物Cは、同年2月21日に、請求人に対して被請求人との面談を事前に申し入れ、被請求人はこれに同意した(甲12の6)。この面談において、販売代理店関係について確認された。
その後、2011年3月29日には、被請求人の社員が請求人に対して、最初に注文した商品の日本における商売が好調であると伝えるとともに、被請求人の商品カタログを完成させるために、先に求めたものとは別の商品写真・画像を求めた(甲12の7)。
人物Cは、同年4月20日に、被請求人の第2回目の注文を請求人に伝えた(甲12の8)。同注文内容についてはその後訂正があり、請求人発行の請求書(甲14の2)のとおりに、第2回目の注文がなされた。
カ 人物Cは、さらに、2011年4月20日に、請求人のウェブサイトに、日本における販売代理店として、被請求人を掲載するように求めた(甲12の9)。請求人は、この求めに応じて、請求人のウェブサイト(甲5)の外国における請求人製品の販売代理店リストに被請求人を掲載するとともに、同掲載箇所をクリックすると被請求人ウェブサイトにハイパーリンクできるようにした(甲5の9)。
また、被請求人は、請求人から供給された写真や画像を利用した総合商品カタログ(甲15)を請求人に送付した。これに対して、請求人は、2011年6月6日付にて、該カタログに請求人の「Yepp」ブランドのみならず、他社の競合ブランド(「Qibbel」)が掲載されていることを指摘した。
この際に、請求人が被請求人に対して請求人商品の日本における独占販売を認める代わりに、他社競合品の販売をしてはいけないことを伝えるとともに、被請求人に対して請求人商品の日本における独占販売を認める内容の契約書案が添付された(以上、甲12の10)。
人物Cは、被請求人は出張中であり、上記コメントを伝えると約束した(甲12の11)。さらに、その翌日には、請求人の上記メール及び添付の契約書案を翻訳したと述べた(甲12の12)。
キ そして、人物Cは、2011年6月10日に、請求人に対して、2011年ユーロバイクショー(2011年8月31日(水)?9月3日(土)の4日間)における面談を打診した。
これに対して、請求人は、ユーロバイクショーにて人物Aと会う用意はあるが、その場では契約書に正式に署名したいので、これに先だって、事前に契約書の内容を詰める必要があるとして、被請求人は独占的販売契約を望むのか、あるいは、非独占的販売契約を望むのか明確にするように求めた。また、請求人としては、被請求人が独占販売契約を選択することを望んでいることを伝えた(甲12の13)。
ク 人物Cは、2011年6月20日に、上記事項に関する請求人の回答として、被請求人が独占的販売契約を望んでいること、及び、被請求人は今後他社競合品を注文しないことを請求人に伝えた。請求人は、この回答に承知し、両者間の合意事項を反映した契約書案を用意し、ユーロバイクショーにおいて署名すると述べた。人物Cはこれに同意した(以上、甲12の14)。
被請求人の社員から請求人に対して、ユーロバイクショーにおける面談の日時についての照会があり、2011年9月3日と定められた(甲12の15)。
ケ そして、上記の面談日(2011年9月3日)に、請求人のマネージング・ディレクター「ミッチェル クレッチティング」と人物Aは、商品供給契約書に署名した(甲16)。
ちなみに、同契約書は、被請求人を請求人商品の日本における独占販売代理店とすること及びその他の事項を定めたものであるが、この契約書に署名する以前から請求人と被請求人が販売代理店関係にあったことに照らして、契約書の前文において「被請求人は請求人商品を販売する契約に既に合意している」と記載し、かつ、第2条において、契約の始期を2011年1月1日とする2年契約(その後1年毎の自動延長)と規定している。
また、同契約では、第9条において、請求人が、請求人商品に関する独自の商標・発明・意匠の唯一の所有者であると規定している。被請求人は契約書に定める範囲内で商品のプロモーションとセールスのためにこれらを使用することができるにすぎない。
コ 小括
上記のとおり、被請求人は、2010年9月1日(水)?4日(土)に開催の2010年ユーロバイクショーに参加し、請求人が展示していた商品の日本における販売代理店となることについての商談を行った。請求人が請求人商品の日本における販売代理店として被請求人を選択したと述べた。この結果、請求人と被請求人との間に販売代理店関係に関する基本的な合意が形成された。
その後、この基本合意に基づき、被請求人は、請求人商品の日本における販売代理店として実質的な活動を行った。
また、被請求人による要請に基づき、請求人のウェブサイトの外国販売代理人リスト欄に、被請求人が掲載された事実からも、両者間に販売代理店関係が存すると認識していたことが明らかである。
そして、2010年9月以来2011年6月迄の請求人と被請求人とのつきあいにより、両者間の販売代理店関係は独占的なものであるとの暗黙の了解が両者にあったが、請求人が承知している他社商品(Polisport)とは別の他社競合品(Qibbel)を被請求人が取り扱っていることが判明したため、今後も販売代理店関係を維持するものの、独占的販売代理店とするか、あるいは、非独占的販売代理店とするかについて明確にする必要があったが、被請求人は独占的販売契約を望む旨の意思表示をし、請求人はこれに同意した。この結果、従来、両者間に存在した販売代理店関係が、今後は、独占的販売代理店関係であることが2011年6月には明確になった。
上記の事実は、いずれも、本件商標の登録出願時(2011年7月4日)以前の出来事である。
これらの事実に照らし、被請求人による本件商標の登録出願が、請求人の代理人若しくは代表者又は本件商標の登録出願前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたことは明らかである。
さらに、2011年9月3日に請求人と被請求人が署名した契約書では、被請求人は請求人商品を販売する契約に既に合意していると述べ、契約の始期を2011年1月1日とうたっている。
同契約に照らしても、被請求人による本件商標の登録出願が、請求人の代理人若しくは代表者又は本件商標の登録出願前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたことは明らかである。
(7)その他の事情
ア 請求人が本件商標の存在を知ったのは、欧州共同体登録商標を基礎登録とし日本を指定国に含む国際登録(国際登録番号:第1094838号)を2011年8月26日に行い、日本国特許庁から2012年4月19日付の暫定拒絶通報を受領したことに起因する。その間、被請求人から、本件商標の登録出願あるいは登録に関する通知はなかった。
そして、請求人は、被請求人による本件商標の登録出願及び登録について、これを承諾していない。
イ 被請求人が、本件商標の登録出願をすることについては、何ら正当な理由がない。2011年9月3日に請求人と被請求人が署名した契約書においても、被請求人は、請求人が商標の権利者であることを確認している。そもそも、商標法第53条の2の規定は、パリ条約同盟国等において商標権を有する者の日本における代理人又は代表者等による日本における不正な商標登録を排除するための規定であり、本件事案はこれに該当する。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第53条の2に規定する登録商標に該当するものであり、請求人は、同規定に基づき、本件商標の登録取り消しを求める。

第3 被請求人の主張
被請求人は、本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする。との審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べて、証拠方法として乙第1号証を提出した。
1 答弁の理由
本件商標は、請求人の主張にかかわらず商標法第53条の2に規定する登録商標に該当するものではない。
(1)被請求人は「顧客」であり、「代理人」ではない
そもそも被請求人は、請求人の代理人若しくは代表者ではなく、その立場は、せいぜい請求人に対する一顧客に過ぎず、本件商標の登録出願の日前1年から出願日まで、請求人の代理人若しくは代表者であったことはない。
ア 被請求人の地位
(ア)請求人は、被請求人と請求人の間の販売代理店関係は独占的なものであるとの暗黙の了解が両者にあったと論じているが、その認識はあくまでも請求人のみの認識に過ぎない。
被請求人が自己の立場を「顧客」に過ぎないと認識していた証拠として、2011年6月時点で請求人が承知している他社商品(Polisport)とは別の他社競合品(Qibbel)を被請求人が取り扱っていたことが挙げられる。
(イ)また、請求人は、「被請求人が自社のカタログに請求人から供給されたこれらの商品に関する取扱説明書(フランス語・ドイツ語・オランダ語及び英語の4カ国語のもの、あるいは、英語のみのもの)が、カタログ欄の各種取扱説明書ダウンロードページに掲載されている(甲8の9ないしの16)」ことを論じている。
しかしながら、請求人の商品を購入し実際に使用する最終需要者にとって、商品に関する取扱説明書は不可欠であり、被請求人が請求人の単なる「顧客」の場合にも、請求人の商品の取扱説明書をダウンロードページに掲載することは自然であり、かつ、必要なことである。
(ウ)さらに、2011年2月21日に、人物Cが請求人に対して申し入れた被請求人と請求人との面談の日程は、2011年3月17日である(甲12の6)。
しかしながら、2011年3月11日に発生し、各地に壊滅的な被害を及ぼした東日本大震災の影響により、被請求人は請求人との面談に同席することができなかった。
したがって、請求人の主張するように、この面談において被請求人が請求人との販売代理店関係について確認をすることは不可能である。
(エ)加えて、請求人は、2010年9月1日(水)?4日(土)に開催の2010年ユーロバイクショーにおいて、被請求人と請求人との間に販売代理店関係に関する基本的な合意が形成された旨を論じているが、これは請求人の一方的な思い込みである。
この時点では被請求人に対して請求人の商品を売るのも売らないのも全く請求人の自由であり、やはり被請求人の地位はせいぜい一顧客の地位に過ぎない。
請求人の意思次第で日本における請求人の商品販売の途を閉ざされてしまうかもしれない被請求人にとって、正式な書面も受け取っていない状況で「合意」をしたとは到底認められない。
イ 「代理店」と「顧客」の違い
請求書の中で請求人は「販売代理店」という用語を用いているが、「販売店」と「代理店」はそもそも異なるものである。
「販売店」は、販売店(Distributor)が、客先との売買契約の契約当事者となり、自らの責任(損益や危険負担)で商品を販売する場合を指し、本人(売り主)との間の販売店契約を基に、本人と商品の個別の売買契約を結び、購入した商品を契約当事者として第三者へ販売する。その際の価格は、販売店が自由に設定することができる。このように本人との商品取引は、いわゆる「売り切り・買い切り」、すなわち相対(あいたい)取引であり、それによって生じる損益は、全て販売店に帰属する。
一方「代理店」は、本人(Principal)である商社やメーカーの代理として本人の商品を広く紹介し、販売拡大活動を行う。代理店は客先との売買契約の当事者とはならず、その活動も、あくまで本人のための仲立ちである。
よって、活動から生じるすべての損益や危険は、売り主である本人に帰属し、例えば、客先が支払い不能に陥り、商品の販売代金が回収できないときの危険は、本人(売り主)である商社やメーカーの負担となる。代理店は、業務実績に応じて本人から手数料(Agent Commission)を受け取る。商品は本人から客先へ直送され、その代金は客先から本人へ直接支払われる(乙第1号証)。
請求人は「代理店」を「販売代理店」として説明していることからも明かなとおり、請求人はあかたも被請求人が代理店であるかのような誤誘導を意図的に行っている。
そもそも今回の審判事件についての被請求人は、請求人から商品を買い切るだけの存在であったわけであるから、被請求人の実態は相対(あいたい)取引における「顧客」にすぎない。
その顧客が商品を販売しているから「販売店」であり、「販売店」は「販売代理店」と同じであり、そして「販売代理店」は商標法第53条の2にいう「代理店」に該当する、という論理は現実的な議論ではなく、到底受け入れられるものではない。
ウ 「代理人」であった時期
請求人は、甲第16号証を挙げて、2011年9月3日に、被請求人と請求人の間で、被請求人を請求人商品の日本における独占販売代理店とすること及びその他の事項を定めた契約書に署名がなされたことを述べている。
したがって、被請求人が請求人の独占的な代理店となり得たのは、当該契約書に署名をした2011年9月3日以降である。
エ 小括
上述のように、被請求人が請求人の「代理人」たる立場を得たのは、2011年9月3日であり、本件商標の登録出願がなされた2011年7月4日時点では被請求人は請求人の単なる「顧客」に過ぎず、「代理人」にも「代理者」にも該当するものではなく、もちろん、本件商標の登録出願前1年以内に「代理人」にも「代表者」にも該当しない。
(2)被請求人による商標登録出願は正当な理由がある
ア 請求人の置かれている立場
(ア)被請求人と請求人が最初に接触した2010年9月から、実際に契約書に署名をした2011年9月3日まで、約1年が経過している。
被請求人は、この1年の間、自己が単なる「顧客」の地位しか持ち得ていないと認識していたため、請求人の商品を今後も日本国内で販売していけるかどうかについて常に不安を感じていた。
さらに、被請求人が請求人と初めて接触した「ユーロバイクショー」とは、多数のバイヤーが来場するものであり、請求人が被請求人以外の日本のバイヤーと接触する機会があったであろうことも被請求人の不安材料の一つであった。
また、被請求人は2011年3月11日に発生した東日本大震災の影響により、2011年3月の台湾における展示会に出席できなかった。
これらのことから、請求人が被請求人以外の競合他社と独占的な代理店契約を結ぶ恐れが請求人に少なからずあると被請求人には思われた。
(イ)加えて、請求人は、昨今、中国と日本等との間に見られるような商標権問題に対する関心が低く、日本において請求人は本件商標を商標登録していないだけでなく、商標登録出願すらしていない状況に被請求人は非常に危機感を感じていた。
特に商標法において先願主義を採用する我が国の法制度において商標権による保護がない状態が続けば、将来において日本国内において商売ができなくなることもあり得るという強い危機感を持っていた。
このまま放置すれば、単なる「顧客」にすぎない被請求人は、日本国内において請求人の商品を販売することが不可能になるばかりではなく、請求人とは全く関係ない第三者によって本件商標の商標登録がなされた場合、第三者の手によって請求人の商品とは似ても似つかぬ粗悪品が販売される恐れも十分ある。
そこで、被請求人は、緊急避難的な措置として商標登録出願を行い、被請求人及び請求人の利益の保全を行った。
(ウ)そもそも被請求人は本件商標の登録出願がなされた後に締結された請求人の代理人(代理店)である。
被請求人は、請求人の商品を扱ってきたわけであるから、日本国内における被請求人の売上の増加は、すなわち、請求人の売上の増加に直結し、また、逆に日本国内における被請求人の売上の減少は、すなわち請求人の売上の減少に直結する。
上記のとおり、被請求人と請求人との立場は、いわば一連託生の関係にあり、一方の利益が他方の利益を奪うといった互いに相反する関係にはなく、ビジネスの成功に向けて互いに力を合わせるべき関係にある。
第三者が先に商標登録出願を行うことにより発生したかも知れない請求人及び被請求人に対する商標権を巡るトラブルを、本件商標の登録出願により事前に防止できたことは、請求人及び被請求人の利益に合致するものである。
イ 小括
したがって、被請求人が本件商標について商標登録出願を行ったことに関して、正当な理由がある。
2 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第53条の2の規定に該当するものではない。

第4 当審の判断
商標法第53条の2の規定に基づき、商標登録の取消しを請求することができるためには、第1に「パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするもの」であること、第2に「その商標登録出願が正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないでその代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたもの」との要件を充たすことが必要であると解される。
そこで、本件について、上記の要件を充たすものであるか否かを検討する。
1 本件商標が、パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって、当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものであるか否かについて
(1)パリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者
請求人は、パリ条約の加盟国であるオランダに所在する法人と認められるところ、請求人は、域内市場における調和のための官庁(商標及び意匠)において引用商標に関する権利を所有していることが認められる(甲3)。
そして、引用商標は、別掲(2)の構成のとおり、「Yepp」の欧文字と黒色の架空キャラクター図形とからなり、2008年9月2日に登録出願、第12類「Vehicles; apparatus for locomotion by land, air or water; bicycles, their parts and accessories, such as bicycle bells and bicycle flags; child seats for use in vehicles and on bicycles, and their parts and accessories such as foot guards, windshields and harnesses; baby carriages.」の指定商品及び第35類に属する役務を指定役務として、2009年6月29日に登録されたものである。
(2)商標及び指定商品の類否について
本件商標と引用商標とを対比すると、本件商標は、別掲(1)の構成のとおり、「Yepp」の欧文字と黄土色の架空キャラクター図形からなるから、請求人の所有に係る引用商標とは、架空キャラクター図形が黄土色で着色されている以外は、その構成要素を悉く同じくする類似の商標である。
また、本件商標に係る指定商品は、前記第1のとおり、第12類「乗物用盗難警報器,車いす,陸上の乗物用の交流電動機又は直流電動機(その部品を除く。),自動車並びにその部品及び附属品,自転車用チャイルドシート,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車・人力車・そり・手押し車・荷車・馬車・リヤカー並びそれらの部品及び附属品,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」を指定商品とするものであるから、引用商標の指定商品とは、いずれも「乗物、その他移動用の装置、ないしその部品及び付属品」とするものであり、それぞれの指定商品は、その用途、販売店、需要者等を共通にする同一又は類似の商品である。
(3)小括
以上によれば、本件商標は、「登録商標がパリ条約の同盟国等において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標又はこれに類似する商標であって当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものである。」ということができる。
この点に関し、被請求人においても、争うことを明らかにしていない。
2 本件商標の登録出願が、正当な理由がないのに、その商標に関する権利を有する者の承諾を得ないで、その代理人若しくは代表者又は当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者によってされたものであるか否かについて
(1)甲各号証及び請求人の主張によれば以下の事実が認められる。
ア 請求人と被請求人との間で独占的販売代理店契約(甲16)が締結されるまでの経緯
請求人は、被請求人との経緯について以下のとおり主張した。
「請求人と被請求人は、2010年のユーロバイクショー(甲9の2、自転車展示会で開催期間:9月1日?4日、開催場所:ドイツ・フリードリッヒスハーフェン市の国際見本市会場)で商談がまとまったこと(甲11)。そして、両者は、販売代理店契約の締結に向けて、以下の電子メール(以下「通信」という。)による打合せが行われ、2011年のユーロバイクショーで独占的販売代理店契約を締結することになった(甲12の15、甲16)。」
そこで、請求人の当該主張について以下検討する。
(ア)2010年のユーロバイクショーが9月1日?4日にドイツ・フリードリッヒスハーフェン市の国際見本市会場で開催されたことが認められる。
(イ)請求人から被請求人宛の2010年(平成22年)9月8日付けの請求人のSven Willemsが著名された書簡写し(甲11)によれば、請求人から「販売代理店契約の締結に先だって請求人商品の卸価格の提案がなされている。」ことから、被請求人は、2010年(平成22年)9月8日に販売代理店契約書の締結に向けて交渉することになったことが推認される。
(ウ)2010年9月20日付け「通信」(3回目、甲12の1)及び同年9月21日付け「通信」(1回目、甲12の2)によれば、被請求人は、貿易仲介業者「コザキトレイディング」(甲13の1)を請求人との交渉窓口としたこと、また、被請求人から、最初の請求人商品の注文時に販売代理店契約書を締結することの提案がなされていることが認められる。
(エ)2011年6月6日付け「通信」(甲12の10)によれば、被請求人は、請求人の商品カタログを参考に、2011年4月現在の日本語の商品カタログ「COLORS INTERNATIONAL CATALOG」(甲15)を作成したことが認められる。
(オ)2の2010年9月21日付け「通信」(1回目)ないし同年10月1日付け「通信」(3回目、甲12)によれば、被請求人は、請求人商品のサンプルを発注し、2010年10月5日に購入したと推認される。
(カ)2010年12月7日付け「通信」(8回目、13回目、以上甲12の4)、「請求書」、(甲14の1)、「通信」(甲12の8)及び「請求書」(甲14の2)によれば、被請求人は、2010年12月8日及び2011年4月28日に請求人商品を注文したことが認められる。
そして、2010年12月8日付け「通信」(13回目、甲12の4)によれば、被請求人は、最初の注文の商品代金23,682.69ユーロを電信送信したことが認められる。
(キ)2011年4月20日付け「通信」(甲12の9)によれば、被請求人は、請求人のウェブサイト(甲5の9)に自社のウェブサイト(http:www.colors-itn.com/)をリンクさせたことが認められる。
(ク)2011年6月6日付け「通信」(甲12の10)によれば、請求人と被請求人との間で「独占販売契約」と題する「通信」において、請求人から同日付け「DISTRIBUTION AGREEMENT」(以下「契約書案」という。)が被請求人に送付されたことが認められる。
(ケ)2011年6月7日付け「通信」(甲12の12)によれば、被請求人は、契約書案(同「通信」の添付書類)を請求人から受け取り、翻訳し、契約内容を理解したことが推認される。
そして、2011年6月16日付け「通信」(3回目、甲12の13)によれば、被請求人が他社の商品を販売していることに対して、請求人から「独占的な販売代理店契約」とは、「請求人が被請求人に対して独占的に商品を供給し、他の日本の業者には販売しないこと」であり、これに対して「非独占的な販売代理店契約」とは、「被請求人がチャイルドシートの全てのブランドを販売すること。他方、請求人は、被請求人に非独占的に商品を供給し、同様に、日本の他の業者にも販売すること。」であることの提案がなされた。
これに対して、2011年6月20日付けないし同年6月28日付け「通信」(2回目ないし5回目、甲12の14)によれば、被請求人は、競合他社(Yet社)の「Qibbel」ブランドを今後取り扱わないことを条件に請求人と独占的販売代理店契約を希望すると回答し、請求人がユーロバイクショーにおいて本契約書を持参することを確認した。
(コ)小括
以上で認定した事実及び請求人の主張からすれば、請求人と被請求人との間で独占的販売代理店契約書の締結に至る経緯は、2010年のユーロバイクショーで商談を行い、商談がまとまり、被請求人は以後日本で請求人商品の販売(2011年3月?4月)に向けた準備(請求人商品のサンプルの購入、商品カタログの作成、請求人ウェブサイトへのリンク先アドレスの追加、請求人商品の購入、独占的販売代理店契約書(案)の作成、確認など)を行い。2011年のユーロバイクショーで、以下の2011年9月3日付け独占的販売代理店契約の締結に至ったことが認められる。
イ 請求人と被請求人との間で締結された2011年9月3日付け「DISTRIBUTION AGREEMENT」(甲16、以下「本契約書」という。)は以下のとおりである。
(ア)第1条
第1条には、「1. For the duration and within the scope of this agreement, the Producer grants the Distributor the exclusive rights for representation and sales of its Products within the territory.」と記載されている。
また、本契約書「抄訳」(甲16)の第1条によれば、「本契約書に定める範囲と期間に従い、製造者は、販売代理店に対して、テリトリー内において、製造者の製品を独占的に展示し販売する権利を与える。」と記載されている。
(イ)第2条
第2条には、「2. This agreement is for 2 years, commencing January 1st 2011 and termination on December 31st 2012. ・・・」と記載されている。
そして、本契約書「抄訳」(甲16)の第2条によれば、「この契約の期間は、始期を2011年1月1日とし終期を2012年12月31日とする2年間である。・・・」と記載されている。
なお、契約書案には、同条項と同じ記載がなされている。
(ウ)第9条
第9条には、「9. The Producer is the sole owner of the original trademarks, patents and designs relating to its Products and the Distributor may use such marks, patents and designs only in connection with the promotion and sale of Products during the term and in accordance with the provisions of this Agreement.」と記載されている。
また、本契約書「抄訳」(甲16)の第9条によれば、「第9条 製造者は、その製品に関する独自の商標・・・に関する唯一の権利者である。そして、販売代理店は、当該商標・・・を、本契約書の条項の規定に従い、.契約の有効期間、商品のプロモーション及びセールスのために使用することができる。」旨記載されている。
なお、契約書案には、同条項と同じ記載がなされている。
(エ)小括
以上のとおり、本契約書の第1条及び第9条には、「請求人は被請求人に請求人商品を独占的に展示し販売する権利を与える。請求人は請求人商品を被請求以外に販売したり、卸売したりしてはならない。請求人が本件商標権の唯一の権利者である。」旨明記されているから、本契約書は、被請求人に請求人商品を独占的に販売する権利を与えること、請求人が本件商標権を独占することなどを内容とする独占的販売代理店契約書と認められる。
(2)本件商標の登録出願の日前1年以内に代理人としての地位を有していた者であるかについて
前記(1)で認定した事実から次のように判断することができる。
ア 本契約書の締結日である2011年9月3日以前から、被請求人は、平成23年3月ないし4月に我が国で請求人商品を販売するために、請求人商品のサンプルの購入、商品カタログの作成(2011年4月)、請求人ウェブサイトへのリンク先の追加(2011年4月)、契約書案の確認などの準備作業を行ってきたものと認められる。
イ そして、本契約書の契約期間が2011年1月1日から2年間と記載されていること、その契約期間内である、同年4月28日に被請求人は請求人商品の注文・購入をしたこと、同年6月20日及び21日に当事者双方が契約書案を確認したことからすると、本契約書の契約日が2011年9月3日であるとしても、販売代理店として本件商標の登録出願の日前1年以内実質的に独占的販売代理店契約がなされていたとみて差し支えない。
ウ そうとすれば、被請求人は、本件商標の登録出願の日前1年以内(2011年1月1日)に日本国における請求人商品を独占的に販売する代理店とみることができるから、本条の「当該商標登録出願の日前1年以内に代理人若しくは代表者であった者」に該当する者と認められる。
(3)登録出願の正当性について
被請求人は「…販売代理店関係は独占的なものであるとの…認識はあくまでも請求人のみの認識に過ぎない。」ほか、「…被請求人が請求人の『代理人』たる立場を得たのは、本契約書の締結して2011年9月3日であり、本件商標の登録出願がなされた2011年7月4日時点では被請求人は請求人の単なる『顧客』に過ぎず、『代理人』にも『代理者』にも該当するものではない。…」、「被請求人は、『販売店』又は『代理店』として契約することによって、生じる損益の帰属、リスクが異なり、この点からみれば、被請求人は、顧客であったにすぎない。」旨述べている。
しかしながら、前記(2)のとおり、本件商標の登録出願の日(平成23年7月4日)前1年以内において、被請求人は、「代理人若しくは代表者であった者」に該当するものであるから、被請求人の主張はその前提において誤りがあるものといわなければならない。
その他、被請求人の主張及びその証拠(乙各号証)により、本件商標の登録出願及び権利取得が正当なものとする事情は見出せないし、請求人の承諾があったとする証拠の提出もない。
むしろ、被請求人は、同人が指定した貿易代理人店を介在して、本契約書を締結し、請求人が請求人商品を他社と取引されることを阻止し、かつ、自己に有利な取引を展開するために、本件商標の登録出願をし、取引上で優位な立場を確保しようとした意図を窺うことができる。
したがって、被請求人は、本件商標の登録出願の日前1年以内に、請求人の承諾を得ないで、本件商標の登録出願をしたのであり、正当な理由があるとすることはできない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標は、パリ条約の同盟国において商標に関する権利を有する者の当該権利に係る商標と類似する商標であって、当該権利に係る商品又はこれに類似する商品を指定商品とするものであり、かつ、正当な理由もないのに当該権利を有する者の承諾を得ないでその代理人によって出願されたものと認めざるを得ないから、本件商標の登録は、商標法第53条の2の規定により取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲
(1)本件商標(色彩については原本参照)


(2)引用商標


審理終結日 2012-12-27 
結審通知日 2013-01-04 
審決日 2013-03-06 
出願番号 商願2011-46595(T2011-46595) 
審決分類 T 1 31・ 6- Z (X12)
最終処分 成立 
前審関与審査官 原田 信彦 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2011-12-22 
登録番号 商標登録第5460366号(T5460366) 
商標の称呼 イエップ 
代理人 小林 久夫 
代理人 安島 清 
代理人 村上 健次 
代理人 平野 泰弘 
代理人 高梨 範夫 
代理人 杉本 明子 
代理人 大村 昇 
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