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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服201216236 審決 商標
不服20123533 審決 商標
不服20123532 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X43
管理番号 1273915 
審判番号 不服2012-5310 
総通号数 162 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-06-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-03-21 
確定日 2013-04-18 
事件の表示 商願2010-101640拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「エキカフェ」の文字を標準文字で表してなり、第43類「飲食物の提供,宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,業務用加熱調理機械器具の貸与,業務用食器乾燥機の貸与,業務用食器洗浄機の貸与,加熱器の貸与,調理台の貸与,流し台の貸与,タオルの貸与」を指定役務として、平成22年12月15日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定において、「本願商標は、『エキカフェ』の文字を標準文字で書してなるところ、当該文字は、『列車を止めて乗客の乗降や貨物の積み降ろしをする所』を意味する『駅』の語を片仮名書きしたものと認識される『エキ』の文字と、『喫茶店』を意味する『カフェ』の文字とを結合したにすぎず、かつ、近時、駅構内の喫茶店で飲食物を提供する役務が広く一般に行われている。そうとすると、『エキカフェ』の文字は、全体として『駅にある喫茶店』程の意味合いを認識させるにすぎず、これを本願指定役務中、例えば、『駅にある喫茶店での飲食物の提供』等の前記意味内容に照応する役務に使用しても、単に役務の提供の場所・質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記意味内容に照応する役務以外の役務に使用するときは、役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審における手続の経緯
当審において、平成24年11月9日付けの証拠調べ通知書により、請求人に対し、下記第4、1(1)及び(2)に係るインターネットのウェブページを提示した上で、本願商標は、その指定役務中「飲食物の提供」との関係において、商標法第3条第1項第3号に該当する旨開示し、請求人に意見を求めたところ、請求人は、平成25年1月9日付けで意見書を提出した。

第4 当審の判断
1 商標法第3条第1項第3号の該当性について
本願商標は、「エキカフェ」の文字を標準文字で表してなるところ、その構成中「カフェ」の文字部分は、その指定役務中「飲食物の提供」との関係において、「喫茶店」を意味する語としてよく知られている語と認められる。
ところで、近年、これまで利用されていなかった駅構内の空きスペースを利用した店舗(群)を「駅ナカ」あるいは「エキナカ」などと称し、新聞、雑誌などが中心の従来型の売店から、書店、ドラッグストア、コンビニエンス・ストア、インターネット・カフェ、すし屋等多岐にわたる展開がみられる(現代用語の基礎知識 2011年1月1日発行 「自由国民社」、kotobank http://kotobank.jp/word/%E9%A7%85%E3%83%8A%E3%82%AB、日経トレンディネット http://trendy.nikkeibp.co.jp/article/pickup/20090528/1026599/ 等)。
そして、このような事情を背景に、駅構内の喫茶店において飲食物を提供する役務が広く一般に行われているところ、以下の(1)のとおり、「エキ」の文字を漢字表記したものと認められる「駅」と「カフェ」とを結合した「駅カフェ」の文字が、「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として一般に使用されている事実が認められる。
また、本願商標と同一の文字からなる「エキカフェ」や、さまざまな文字種の「えきかふぇ」「EKI CAFE」「駅cafe」「えきカフェ」の語が、以下の(2)のとおり「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として使用されている事実も見受けられる。
(1)「駅カフェ」の語が「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として使用されている事例
ア 「1日限定『駅カフェ』、スイーツ・特製カレーなど販売 おれんじ鉄道・水俣駅/熊本県」
朝日新聞 2012.09.18 西部地方版/熊本 31頁
「鉄道に親しんでもらおうと、肥薩おれんじ鉄道の水俣駅(水俣市)で16日、1日限定の「駅カフェ」が開かれた。」
イ 「[きらり・人]高橋和美さん、高倉貴子さん=大分」
読売新聞 2012.07.02 西部朝刊 27頁
「・・・・・7月18日には、駅2階で1日限りの駅カフェを開くことにしており、来場者からもアイデアを募る。」
ウ 「駅カフェに小さな釜石=岩手」
読売新聞 2012.04.12 東京朝刊 30頁
「津波で線路が流され、運休している三陸鉄道釜石駅(釜石市鈴子町)のカフェに設置されている鉄道模型の大型ジオラマが人気だ。」
エ 「ビーチ気分『駅カフェ』いかが おれんじ鉄道・上田浦、利用促進へあす催し /熊本県」
朝日新聞 2011.08.20 西部地方版/熊本 27頁
「肥薩おれんじ鉄道の上田浦駅(芦北町)が21日の1日限り、ホームにビーチパラソルを置いて『カフェ』に変身する。すぐそばに広がる八代海の眺めと限定メニューを楽しんでもらう趣向で、同鉄道の利用を促すための初の試みだ。」
オ 「駅カフェ:ランチ試食会 19日に開店--白河 /福島」
毎日新聞 2009.09.03 地方版/福島 19頁
「JR白河駅舎の一部を改修して19日にオープンする『駅カフェ』のランチ試食会が2日、白河市本町のマイタウン白河であった」
カ 「ゆるキャラに会いにいこう 近江鉄道できょうイベント /福井県」
朝日新聞 2008.11.15 大阪地方版/福井 32頁
「・・・・また、豊郷駅前では地元特産品などを販売し、駅構内には『駅カフェ』もできる。」
キ 「Xマス音楽会:『駅カフェ』で4日--JR七日町駅 /福島」
毎日新聞 2005.12.01 地方版/福島 20頁
「JR七日町駅(会津若松市七日町)の『駅カフェ』オープン3周年を記念して、『駅カフェクリスマスコンサート』が4日行われる。駅カフェは七日町駅の駅舎の中に、喫茶店を併設した会津地方の産品を販売するアンテナショップとして02年7月に開店。大正期の洋館のたたずまいが人気を呼ぶ観光スポットとなっている。」
(2)「エキカフェ」や、「えきかふぇ」「EKI CAFE」「駅cafe」「えきカフェ」の語が、「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として使用されている事例
ア 「食べログ/高知」のウェブサイトにおいて、高知駅構内の喫茶店の店名に「エキカフェ」の文字が使用されている事実がある(http://tabelog.com/kochi/A3901/A390101/39003414/)。
イ 「株式会社楽市白河」のウェブサイトにおいて、「JR白河駅構内に『えきかふぇ』がオープンしました。」との記載があり、店名に「えきかふぇ」または「EKI CAFE」の文字が使用されている事実がある(http://www.rakuichi-shirakawa.co.jp/cafe/)。
ウ 「あいづふるさと市町村圏協議会事務局」のウェブサイトにおいて、「『駅カフェ』は会津若松市『JR七日町駅』舎内に開設している会津17市町村のアンテナショップです。」との記載により、店名に「駅Cafe」または「えきカフェ」の文字が使用されている事実がある(http://www.aizu-furusato.com/ekicafe/)。
エ 「[街ふれあい]10月7日=福島」
読売新聞 2009.10.07 東京朝刊 28頁
「◆白河駅に『えきかふぇ』/ ◆白河◆ JR白河駅の待合室に地域交流拠点『えきかふぇ』がオープンした。/『えきかふぇ』は、改装した待合室約110平方メートルにデッキ部分約70平方メートルを併設した。カウンター席18席、ボックス席16席、デッキ席が20席あり、軽食やドリンクを提供するほか、市の花の梅をモチーフにした梅パンなどの商品を販売。」
以上のとおり、駅構内の空きスペースを利用した店舗(群)を「駅ナカ」あるいは「エキナカ」などと称していること、そして、駅構内の喫茶店において飲食物を提供する役務が広く一般に行われている事情を背景に、「駅カフェ」の文字が、「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として一般に使用されている事実及び本願商標と同一の文字からなる「エキカフェ」や、さまざまな文字種の「えきかふぇ」「EKI CAFE」「駅cafe」「えきカフェ」の語が、上記と同様の意味を有する語として使用されている事実も見受けられることが認められる。
してみれば、「エキカフェ」の文字からなる本願商標を、その指定役務中、「飲食物の提供」に使用したときは、これに接する取引者・需要者は、当該文字を「駅カフェ」の片仮名表示したものと理解し、「駅にあるカフェ(喫茶店)における飲食物の提供」程の意味合いを認識するにとどまるから、本願商標は、役務の提供の場所、質(内容)を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標というべきであって、自他役務の識別標識としての機能は、果たし得ないものである。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。

2 請求人の主な主張について
(1)請求人は、「エキカフェ」や「えきかふぇ」等の使用例は、インターネットにおいて検索されるが、請求人に係る店舗や白河駅に係る喫茶店についての掲載ページが殆どであって(第7号証)、当該「エキカフェ」や「えきかふぇ」等が、一般的に使用されているといえないから、本願商標は、全体として特定の意味を有さない一種の造語商標として認識される旨主張する。
確かに、キーワードを「えきかふぇ」とするGoogleの検索結果リストとして提出した第7号証には、片仮名からなる「エキカフェ」が出願人に係る店舗としてインターネット上において紹介されている事実は認めることができる。
しかしながら、請求人も認めているとおり、「駅カフェ」の文字が、「駅にあるカフェ(喫茶店)」程の意味を有する語として一般に使用されている事実があり、また、「駅カフェ」の文字の片仮名・平仮名表示である「エキカフェ」や「えきかふぇ」等が、上記と同様の意味を有する語として使用されている事実もあること、かつ、上記検索結果リスト上に白河駅に係る喫茶店が、同様に、「エキカフェ」や「えきかふぇ」などの文字で掲載されていることからすれば、「エキカフェ」の文字からなる本願商標は、その指定役務中、「飲食物の提供」との関係においては、「駅カフェ」と同様の意味を有する語として認識させるものである。
したがって、本願商標が、特定の意味を有さない一種の造語商標であるとの請求人の主張は、採用の限りでない。
(2)請求人は、登録例を引用し、これらの登録例と同様に、本願商標が自他役務の識別標識としての機能を果たし得るものであって、登録されるべきものである旨主張する。
しかしながら、商標の識別性の判断は、出願された商標につき、それぞれの構成態様や取引の実情等をも勘案し、指定商品、指定役務ごとに個別具体的に判断されるべきものであり、また、請求人の引用する登録例をもって本件の判断が拘束されるものでもないから、請求人の主張は採用することができない。

3 まとめ
以上のとおり、本願商標が商標法第3条第1項第3号に該当するとした原査定は、妥当なものであって、取り消すべき限りでない。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2013-02-15 
結審通知日 2013-02-20 
審決日 2013-03-05 
出願番号 商願2010-101640(T2010-101640) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X43)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 綿貫 音哉和田 恵美 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
谷村 浩幸
商標の称呼 エキカフェ、エキ 
代理人 特許業務法人三枝国際特許事務所 

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