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審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
審判 全部申立て  登録を維持 X25
管理番号 1271284 
異議申立番号 異議2012-900267 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-06 
確定日 2013-03-07 
異議申立件数
事件の表示 登録第5499883号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5499883号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5499883号商標(以下「本件商標」という。)は、「Lutto」の欧文字を上段に、「ルット」の片仮名を下段に、それぞれ横書きしてなり、平成23年6月14日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同24年4月27日に登録査定、同年6月8日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の1ないし3のとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
1 国際登録第455059号商標(以下「引用商標1」という。)は、「LOTTO」の欧文字を書してなり、1980年7月31日に国際登録、2003年(平成15年)12月5日に事後指定され、第28類「Toys; sporting and gymnastic articles not included in other classes.」を指定商品とし、同年6月17に設定登録され、同22年9月1日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
2 登録第2056900号商標(以下「引用商標2」という。)は、「LOTTO」の欧文字を横書きしてなり、昭和61年3月19日に登録出願され、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、同63年6月24日に設定登録され、平成10年3月31日及び同20年3月4日に商標権の存続期間の更新登録、同年11月5日に、第9類「事故防護用手袋,防じんマスク,防毒マスク,溶接マスク,防火被服」、第25類「洋服,コート,セーター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,マフラー,耳覆い,ずきん,すげがさ,ナイトキャップ,防暑用ヘルメット,帽子」として、指定商品の書換の登録がなされているものである。
3 登録第3294385号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲に示すとおりの構成からなり、平成6年6月20日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同9年4月25日に設定登録され、同18年11月21日に商標権の存続期間の更新登録がされたものである。
(以下、上記の引用商標1ないし3をまとめて「引用商標」という場合がある。)

第3 登録異議の申立ての理由
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきであると申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第53号証を提出した。
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標の構成中、上段に配された欧文字「Lutto」は、引用商標1及び2の「LOTTO」と2文字目における「u」と「O」の差異しかなく、全体として外観が類似する。
加えて、本件商標からはその構成に照らして「ルット」の称呼を生じ、引用商標1及び2からはその構成に照らして「ロット」の称呼を生じるところ、両称呼は第1音において子音を共通にする「ル」と「ロ」の差異しかなく聴感が互いに類似する。よって、本件商標は称呼においても引用商標1及び2に類似する。
また、本件商標と引用商標1及び2は、その指定商品も同一又は類似のものである。
(2)本件商標の構成中、上段に配された欧文字「Lutto」は、引用商標3の文字部分「lotto」と2文字目における「u」と「o」の差異しかなく、全体として外観が類似する。
加えて、本件商標からはその構成に照らして「ルット」の称呼を生じ、引用商標3からはその構成に照らして「ロット」の称呼を生じるところ、両称呼は第1音において子音を共通にする「ル」と「ロ」の差異しかなく聴感が互いに類似する。よって、本件商標は称呼においても引用商標3に類似する。
また、本件商標と引用商標3は、その指定商品も同一又は類似のものである。
2 商標法第4条第1項第15号について
引用商標は、甲第5号証ないし甲第53号証に示されるように、申立人(以下「ロット社」という。)の製造・販売に係る「被服」、「履物」、「運動用特殊衣服」及び「運動用特殊靴」等を表す著名な商標として我が国をはじめ、世界中で広く知られている。
甲第5号証ないし甲第14号証はロット社により作成された2007年?2011年のパンフレットであり、同パンフレットには同社の製造・販売に係る「被服」、「履物」、「運動用特殊衣服」及び「運動用特殊靴」を含む様々な商品が極めて多数掲載され、これらの各種商品には引用商標のいずれかがほぼもれなく使用されている。
ロット社の商品は、我が国では同社からライセンスを受けた兼松繊維株式会社(以下「兼松繊維」という。)によって主に輸入されている(甲第15号証ないし甲第38号証参照)。
甲第39号証及び甲第40号証は兼松繊維により作成されたロット社製品のカタログであり、引用商標のいずれかが付された「被服」、「履物」、「運動用特殊衣服」及び「運動用特殊靴」が多数掲載されている。
甲第39号証ないし甲第43号証にみられるように、ロット社は自身の著名なブランド「LOTTO」及び「lotto」をもって海外の有名サッカー選手や有名サッカーチームのサポートにも関わっている。
上記のような各種宣伝広告活動に係る費用は、甲第44号証に示されるように兼松繊維だけでも年間で約5000万円にもなり、同社では2010年に約31億円、2011年に約23億円もの売上げを計上している。また、2012年には約27億円の売上げを見込んでいる。
また、ロット社の商品は、近年、伊藤忠商事株式会社(以下「伊藤忠」という。)によっても輸入されている。
伊藤忠は、有名タレントをイメージキャラクターに起用し、宣伝広告パネルを販売促進用に用意するほか、ロット社製品を着用した海外の有名サッカーチームや有名テニス選手の写真広告を「Number」等のスポーツ雑誌に掲載している(甲第45号)。
このような伊藤忠による各種宣伝広告活動に係る費用は、甲第46号証ないし甲第48号証に示されるように、2010年度(2010年4月?2011年3月)で約4660万円、2011年度(2011年4月?2012年3月)で約1040万円、2012年度(2012年4月?12月(12月は予定))で約1160万円にもなる。
そして、甲第49号証に示されるように、伊藤忠では上記のような各種宣伝広告活動の結果、2010年に約14億円、2011年に約18億円もの売上げを計上し、2012年は1月?9月までで約10億円の売上げをあげている。
ロット社は2007年?2011年の5年間で8億5,218万8,057ユーロにもおよぶ売上げを世界中であげ、そのうち約9%に相当する7,443万330ユーロは前出の兼松繊維及び伊藤忠に対する売上げである(甲第50号証及び甲第51号証参照)。
そして、甲第52号証に示されるようにロット社は「LOTTO」及び「lotto」ブランドにより、2007年?2011年の5年間で517万6900ユーロものロイヤリティ収入を兼松繊維と伊藤忠から得ている。
甲第53号証に示されるように、ロット社の製品はインターネット通販の「楽天」においても広く取り扱われており、「LOTTO」及び「lotto」ブランドはスポーツ愛好家だけでなく一般消費者にも広く浸透している。
このように、引用商標が申立人の取り扱いに係る「被服」、「履物」、「運動用特殊衣服」及び「運動用特殊靴」等を表すものとして広く知られている状況の下で、引用商標に類似する本件商標がその指定商品に使用されれば、取引者・需要者が、申立人の製造・販売に係る商品と商品の出所について混同を生ずることは明らかである。
3 むすび
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、引用商標と類似する商標であり、また、その指定商品も同一又は類似のものである。したがって、本件商標登録は商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
本件商標が本件指定商品に使用された場合、その商品の需要者が申立人の業務に係る商品と出所について混同するおそれがある。したがって、本件商標登録は、商標法第4条第1項第15号の規定に違反してなされたものであるから、取り消されるべきである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、前記「第1」に示したとおり、「Lutto」の欧文字を上段に、「ルット」の片仮名を下段に、それぞれ横書きしてなるものであるから、本件商標からは、その文字及び下段の片仮名に相応して、「ルット」の称呼が生ずるものと判断される。
次に、本件商標の観念について検討するに、本件商標を構成する上段の「Lutto」の欧文字は、我が国において比較的使用頻度の高い英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語の辞書において、わずかにイタリア語で「喪、忌中、葬祭用の黒幕、喪服」などの意味を有する語との掲載例があるほかは掲載がなく、このイタリア語についても、我が国で広く親しまれているということはできないものである。
そうであれば、「Lutto」の欧文字からは、特定の観念は生じず、また、下段部の「ルット」の片仮名も、我が国において日常的に使用される親しまれた外来語との事情は認められない。
よって、本件商標からは特定の観念は生じることはないものと判断される。
(2)引用商標について
引用商標1及び2は、前記「第2 1及び2」に記したように、ともに「LOTTO」の欧文字を横書きしてなるものである。
また、引用商標3は、前記「第2 3」に記した構成のものであるところ、太めの鉤形図形を略斜め上下対象となるように向かい合わせに配置した図形の右側に、「lotto」の文字を太めの筆記体風の態様をもって表してなるものである。
よって、引用商標からは、それぞれの構成文字に相応して、「ロット」の称呼が生ずるというのが相当である。
次に観念についてみるに、これら引用商標の「LOTTO(lotto)」の欧文字は、我が国において比較的使用頻度の高い英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、イタリア語の辞書において、英語では「一列の5数字を消す数字ゲーム、宝くじ」の旨の、イタリア語では「宝くじ、富くじ」の、ドイツ語では「宝くじの一種」の意味を有する語として掲載されていることが認められるが、これらの外国語については、我が国で広く親しまれて日常的に使用されているという事情は見いだせないものである。そうであれば、「LOTTO(lotto)」の欧文字からは、特定の観念が生じるとはいえず、引用商標は、特定の観念をもって取引に資されることはないというべきである。
(3)類否判断
本件商標と引用商標の外観についてみるに、本件商標は、上段が欧文字、下段が片仮名という二段構成のものであり、外観上、上段部の「Lutto」の欧文字部分のみをもって観察・対比すべき特段の事情があるとは認められないから、本件商標と引用商標とは外観において明確に区別し得るものである。
また、本件商標から生じる「ルット」の称呼と、引用商標から生じる「ロット」の称呼とは、ともに三音節(促音を含む。)という短い称呼であるところ、語頭部において「ル」と「ロ」との差異があることから、両者は、称呼上互いに聞き誤るおそれはないものというべきである。
さらに、本件商標と引用商標とは、観念において比較できず、両者は観念上、互いに類似するということはできない。なお、仮に、引用商標から何らかの観念が生ずるとしても、特定の観念が生じない本件商標とは、観念において類似するとはいえないものである。
そうとすれば、本件商標と引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれからみても、類似する商標ということはできない。
(4)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。
2 商標法第4条第1項第15号について
(1)引用商標の著名性について
ア 請求人が、引用商標が著名であるとして提出した証拠方法によれば、以下の事実が認められる。
(ア)甲第5号証ないし甲第14号証は、申立人により作成された2007年ないし2011年の商品カタログの写しであるところ、そこには、主に引用商標3が使用された、スポーツシャツ、トレーニングパンツ、ソックス、帽子、サンバイザー、運動用手袋、スパイクシューズ、リストバンド、スポーツ用プロテクター、スポーツバッグ等が掲載されていることが認められる。
(イ)甲第15号証ないし甲第38号証は、申立人による、我が国の「KANEMATSU CORPORATION」、ないし「KANEMATSU TEXTILE CORPORATION」宛のインボイスの写しであるところ、それらによれば、申立人と「KANEMATSU CORPORATION」(甲第15号証ないし甲第20号証)、及び、申立人と「KANEMATSU TEXTILE CORPORATION」(甲第21号証ないし甲第38号証)との間で、2007年1月から、2011年11月の間において、「Accessories」、「CAP PASSIONE W」、「CATALOGO LEIS.SHOE IN F07」、「POSTCARD TONI 07 50 P」、「Apparel」(甲第15号証)、「Shoes」、「ZHERO EVOLUTION FG-3F」(甲第16号証)、「GLOVE CECH TD」(甲第17号証)、「OTER ITEMS」、「CARTELLA COLORI GENERALE」(甲第28号証)などの語に関する取引があったことが認められるものである。
(ウ)甲第39号証及び甲第40号証は、兼松繊維の取扱いに係る、2012年のロット社製品のカタログの写しであり、ここには、主として引用商標3が使用された、スパイクシューズ、スポーツシャツ、トレーニングパンツ、スポーツバッグ、運動用手袋、スポーツ用プロテクター等が掲載されていることが認められる。
(エ)甲第39号ないし甲第43号証によれば、申立人は、主として2012年において引用商標をもって我が国及び海外のサッカー選手やサッカーチームのサポートに関わっていることが確認できる。
(オ)甲第44号証には、兼松繊維は、「Lottoブランド」に関する、スポーツウェア、スポーツシューズ等について、2010年に31億円、2011年に23億円、2012年に27億円の売上げを有し、マーケティング費として年間約5000万円を費やしたとの主張に添う、兼松繊維の担当者による記載がされている。
(カ)伊藤忠は、2011年ないし2012年3月の間において、タレントを起用して、引用商標を使用したスポーツウェアの宣伝広告パネルを作成し、また、その写真広告を「Number」等のスポーツ雑誌に掲載したことが認められ(甲第45号証)、そのための広告宣伝費は、2010年度(2010年4月?2011年3月)で約4660万円、2011年度(2011年4月?2012年3月)で約1040万円、2012年度(2012年4月?12月(12月は予定))で約1160万円であることが認められる(甲第46号証ないし甲第48号証)。
(キ)甲第49号証には、伊藤忠、「lotto」商品に関して、2010年に約14億円、2011年に約18億円、2012年は1月から9月までで約10億円の売上げをあげているとの主張に添う記載がされている。
(ク)甲第51号証には、我が国において兼松繊維及び伊藤忠により、ロット社の商品について、2007年?2011年の5年間で約7443万ユーロの売上げがあった旨の主張に添う記載がされている。
(ケ)甲第53号証によれば、引用商標を使用した請求人の製品であるスポーツウェア、スポーツシューズが、インターネット通信販売の「楽天」において取り扱われていることが確認できる。
イ 著名性についての検討
以上の認定に基づき、申立人が提出した各甲号証の内容について、以下、検討する。
(ア)甲第5号証ないし甲第14号証のカタログ(写し)は、外国語で記載されたものであることから、これのみによっては、これらが我が国の取引者・需要者間に配布されたものと認めることはできないものである。そして、仮に、これらが我が国で配布されたものとしても、その地理的範囲、配布対象者(取引者、需要者層)、配布部数、配布期間も確認することができない。
(イ)甲第15号証ないし甲第38号証によれば、申立人と我が国の「KANEMATSU CORPORATION」、ないし「KANEMATSU TEXTILE CORPORATION」との間で、何らかの商品に関する商取引があったことは認められるが、ここからは、2007年1月から、2011年11月の間において、どのような商品が、どの程度の数量、どの程度の金額で取引されたのかを把握することができない。
(ウ)甲第39号証によれば、本件商標登録出願後である、2012年1月の時点において、主として引用商標3を使用した商品、スパイクシューズ、スポーツシャツ、トレーニングパンツ、スポーツバッグ、運動用手袋、スポーツ用プロテクターが取り扱われていたことが認められるものの、ここからは、引用商標3が、本件商標登録出願時である、2011年(平成23年)6月14日に使用されていたということはできない(参考:商標法第4条第3項)。
(エ)甲第42号には、サッカーのJリーグチームである「OMIYA ARDIJA」のユニフォームの胸上部に、引用商標3が付されていることが確認できるが、ここからは申立人が引用商標をもって国内外のサッカー選手やサッカーチームのサポートに関わっていたとの事実は確認することはできない。なお、これ以外の、甲第39号証ないし甲第41号証及び甲第43号証は、本件商標登録出願後の実情のものであるから、引用商標が本件商標登録出願時に著名であったことを立証する証拠たり得ない。
(オ)甲第44号証には、「Lottoブランド」に関する売上額が記載されているが、この「Lottoブランド」が、引用商標のみを指すとの証拠の提出はないから、この売上額全てが引用商標を使用したものであることを確認することはできない。そして、2011年の売上げ額については、そのうちの約半分は本件商標登録出願後のものと思われ、また、2012年分は本件商標登録出願後のものであるから、本件商標登録出願時に引用商標が周知著名となっていたとの証拠としては採用することはできない。
そして、仮に、この売上額全てが引用商標を使用したものであるとしても、この額は、後掲(コ)で述べるように相当程度の高額であるということはできないものである。
また、ここには、広告宣伝費が各年5,000万円と記載されているが、その内容(「上記のような各種宣伝広告活動」との主張)についての具体的証拠は添付されていないから、金額の信憑性を含めて、この甲号証の証明力は弱いものである。
(カ)甲第45号証について、そのうちの2葉目ないし7葉目の宣伝写真が、どのような範囲に、どの程度の数量配布されたのかを確認できる証拠は添付されていない。また、8葉目によれば、タレントを起用した広告宣伝が掲載された雑誌は、本件商標登録出願直前に4種類発行されたことが記載されているにすぎないものである。
(キ)甲第46号証ないし甲第48号証のうち、引用商標に関する広告宣伝費は、本件商標の登録出願前のものである、甲第46号証の4660万円及び甲第47号のうちの左端番号の1ないし4に係る250万円にとどまるものであり、しかも、これによる広告宣伝行為は、本件商標登録出願直前であったと推認されるものである。
(ク)甲第49号証によれば、伊藤忠は、「lotto」商品に関して、本件商標の登録出願前である、2010年に約14億円の売上げをあげていることが記載されている。しかしながら、2011年の売上げ額は約18億円と記載されているが、そのうちの約半分は本件商標登録出願後のものと思われ、また、2012年分は本件商標登録出願後のものであるから、これらの売上げ額については、引用商標が本件商標登録出願時に著名であったことを斟酌する証拠としては採用することはできない。
(ケ)甲第51号証の、2007年ないし2011年の5年間の売上額約7443万ユーロは、当時のユーロの円相場を平均115円とみると、85億5950万円となり、年平均では約17億円と推定できる。
(コ)しかして、上記(オ)、(ク)及び(ケ)の売上額に関連して、職権による調査によれば、スポーツ用品業界の売上げランキングについて、インターネット情報には、「1位 アシックス【2477.92億円(2012/03/31)】」、「2位 シマノ【2217.70億円(2011/12/31)】」、「3位 美津濃【1549.82億円(2012/03/31)】」、「4位 デサント【830.29億円(2012/03/31)】」・・・「9位 ヨネックス【375.12億円(2012/03/31)】」、「10位 マミヤ・オーピー【234.61億円(2012/03/31)】」との記載が認められ(https://kmonos.jp/industry/9150150130.html)、また、新聞記事によれば、「Q 国内スポーツ用品メーカーの売上高は、どれぐらいなの? A アシックスが首位で、昨年度は2477億円。次いでミズノが1549億円、デサントが830億円、ゴールドウインが486億円だった。 Q 世界では? A 米ナイキの売上高は約1兆9千億円、独アディダスは約1兆3千億円。両社とも日本国内での売上高は非公表だけど、近年は着実に伸びているんだって。」との掲載があることが認められる(朝日新聞2012年8月2日東京版夕刊6頁)。
これらの情報によれば、上記(オ)、(ク)及び(ケ)の引用商標に係る売上額の数字は、相当程度の高額であるということはできないものである。
ウ 著名性についての判断
以上の認定、検討によれば、引用商標が、我が国において使用された結果、これが、申立人の取扱いに係る商品を表示するものとして、本件商標の登録出願時において、取引者、需要者の間において著名となっていたと認めるに充分な証拠は提出されていないというべきであり、これら甲各号証をもってしては、引用商標が本件商標の登録録出願時において、我が国において周知著名となっていたと認めることはできないものである。
(2)出所の混同のおそれ
以上、前記「(1)ウ」で判断したとおり、引用商標は、本件商標の登録出願時において著名なものであったということはできず、また、前記「1(3)」のとおり、本件商標と引用商標とは非類似の商標であり、両商標は、別異のものというべきであるから、その類似性の程度は極めて低いというべきであって、本件商標を、その指定商品に使用しても、これに接する取引者、需要者が、該商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品又は役務であるかのようにその出所ついて混同を生じるおそれはないというべきである。
(3)小括
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してなされたものではないから、同法第43条の3第4項に基づき、その登録を維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(引用商標3)


異議決定日 2013-02-26 
出願番号 商願2011-40889(T2011-40889) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X25)
T 1 651・ 262- Y (X25)
T 1 651・ 263- Y (X25)
T 1 651・ 261- Y (X25)
最終処分 維持  
前審関与審査官 鈴木 斎宗像 早穂 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
小川 きみえ
登録日 2012-06-08 
登録番号 商標登録第5499883号(T5499883) 
権利者 西山産業株式会社
商標の称呼 ルット 
代理人 野河 信太郎 

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