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この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900307 審決 商標
異議2012900220 審決 商標
異議2012900265 審決 商標
異議2012900206 審決 商標
異議2012900292 審決 商標

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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
審判 全部申立て  登録を維持 X09
管理番号 1271271 
異議申立番号 異議2012-900275 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-04-26 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-09-24 
確定日 2013-03-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5501982号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5501982号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5501982号商標(以下「本件商標」という。)は、「Cross Fire」の欧文字を横書きしてなり、平成22年3月16日に登録出願、第9類「業務用テレビゲーム機用のソフトウェア,双方向型オンラインコンピュータゲーム及びビデオゲーム用のダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプログラム,音楽・録音されたもの・録画されたものをダウンロードするためのコンピュータソフトウェア,音楽・ビデオ・娯楽業界に関する、オンラインのチャット形式による電子掲示板通信及びオンライン上の電子掲示板を提供するためのコンピュータソフトウェア,音楽又は娯楽に関連した音声・ビデオ・テキスト及びマルチメディアコンテンツを認証・ダウンロード・転送・受信・編集・抽出・エンコード・デコード・プログラミング・実行・保存・整理・分析するためのコンピュータソフトウェア,データベース管理用コンピュータソフトウェア,記録済みコンピュータプログラム,データベースの収集及び処理を行うためのコンピュータソフトウエア,コンピュータソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,録画済みの動画記録媒体,録画済みの光学式記録媒体,電子書籍,電子雑誌,電子定期刊行物,その他の電子出版物」を指定商品として、同24年5月10日に審決がなされ、同年6月22日に設定登録されたものである。

第2 引用商標
本件登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録5282655商標は、「ATI CROSSFIRE」の欧文字を標準文字で表してなり、平成19年11月15日に登録出願、第9類「半導体,回路基板,グラフィックボード,ドライバソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品,業務用テレビゲーム機,映写フィルム,スライドフィルム,スライドフィルム用マウント,インターネットを利用して受信し、及び保存することができる画像ファイル,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,電子出版物」を指定商品として、同21年11月20日に設定登録されたものである。

第3 登録異議申立の理由の要点
1 商標法第4条第1項第11号該当性について
本件商標は、「Cross Fire」の英文字からなるから、その構成文字に相応して「クロスファイヤー」の称呼が生じる。また、該英文字は「十字砲火」を意味する成語(「新英和中辞典第6版」(研究社))であるから、本件商標からは「十字砲火」の観念が生じる。
一方、引用商標は、「ATI CROSSFIRE」の英文字を標準文字で表してなるから、文字全体から「エーティーアイクロスファイヤー」の称呼を生ずる他、申立人の略称として広く知られているハウスマーク「ATI」とペットネーム「CROSSFIRE」の文字とを結合してなるから、各文字から「エーティーアイ」、「クロスファイヤー」の称呼をも生じるものといえる。また、その構成中の「CROSSFIRE」の文字からは、前記のとおり、「十字砲火」を意味する成語であるから、引用商標からは「十字砲火」の観念が生じるものである。
してみれば、引用商標のいわゆる要部である「CROSSFIRE」と、本件商標「Cross Fire」は、大文字と小文字の差異、「Cross」と「Fire」間のスペースの有無といった差異があるものの、実質的には同一であるから、引用商標と本件商標からは、いずれも「クロスファイヤー」の称呼及び「十字砲火」の観念が生じる。
さらに、本件商標の指定商品中「業務用テレビゲーム機用のソフトウェア,双方向型オンラインコンピュータゲーム及びビデオゲーム用のダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプログラム,音楽・録音されたもの・録画されたものをダウンロードするためのコンピュータソフトウェア,音楽・ビデオ・娯楽業界に関する、オンラインのチャット形式による電子掲示板通信及びオンライン上の電子掲示板を提供するためのコンピュータソフトウェア,音楽又は娯楽に関連した音声・ビデオ・テキスト及びマルチメディアコンテンツを認証・ダウンロード・転送・受信・編集・抽出・エンコード・デコード・プログラミング・実行・保存・整理・分析するためのコンピュータソフトウェア,データベース管理用コンピュータソフトウェア,記録済みコンピュータプログラム,データベースの収集及び処理を行うためのコンピュータソフトウエア,コンピュータソフトウェアその他の電子応用機械器具及びその部品」は、引用商標の指定商品中「半導体,回路基板,グラフィックボード,ドライバソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」と類似する。
以上のように、本件商標は、外観、称呼、観念のいずれの点から見ても引用商標のいわゆる要部「CROSSFIRE」と類似するものであるから、商標法第4条第1項第11号に該当するものである。
2 商標法第4条第1項第15号該当性について
(1)ATIブランドについて
申立人は、アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(Advanced Micro Devices,Inc.(以下「AMD社」という。))の完全所有子会社であって、コンピュータプロセッサ(CPU)、グラフィックスプロセッシングユニット(以下「GPU製品」という。)等の設計・販売でIntel、Nvidiaと並ぶ世界三大トップメーカーとしてその名を知られ、ATIブランドは、高品質のGPU製品の代名詞ともいわれるほど、世界的に著名なブランドネームとして認識されている(甲4、甲5)。
(2)CROSSFIREブランドについて
申立人は、「CROSSFIRE」と呼ばれるマルチGPU技術を開発し、本技術に対応するマザーボードやGPU製品を搭載したビデオカード(グラフィックカード)等の商品に「CROSSFIRE」の商標を付して販売してきた(甲4ないし甲25)。
前記のマルチGPU技術「CROSSFIRE」(甲26)及び本技術に対応するマザーボードやGPU製品を搭載したビデオカード(グラフィックカード)等商品の性能の高さには定評がある(甲34ないし甲41)。
また、申立人は、全世界を通じた広告宣伝活動によって、「CROSSFIRE」ブランド商品を、オンラインゲームファン等に向けて訴求し続けてきた(甲4、甲5、甲27ないし甲31)結果、「CROSSFIRE」への興味関心は高く(甲32、甲33)、申立人のGPU製品は日本市場におけるマーケットシェアが高い(甲42、甲43)。
以上のように、「CROSSFIRE」ブランドは、その認知度及びマーケットシェアからすれば、申立人の業務を表象するもの、あるいはその技術に対応したGPU製品を搭載したビデオカード(グラフィックカード)等を表す標識として、ゲーム業界及びゲームファンの間で広く知られているといえる。
(3)商品の出所の誤認混同のおそれ
前記のような状況下では、引用商標と実質的に同一の文字からなる本件商標が「双方向型オンラインコンピュータゲーム及びビデオゲーム用のダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプログラムをはじめとする電子応用機械器具及びその部品,録画済みの動画記録媒体,録画済みの光学式記録媒体,電子書籍,電子雑誌,電子定期刊行物,その他の電子出版物」等のオンラインゲームと関連性の高い商品に使用された場合、申立人の提供する商品と出所の混同を生じるおそれが極めて高い。
(4)小括
したがって、本件商標の登録時(平成24年6月22日)、はもちろんのこと、出願時(平成22年3月16日)において、「CROSSFIRE」は、申立人の商標として広く一般に知られていたことは明らかであるから、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録を受けたものである。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号該当性
本件商標は、「Cross Fire」の欧文字を横書きしてなるところ、「Cross」と「Fire」の間には1文字分の空白があるとしても、「十字砲火」の意味を有する成語「crossfire」と綴り字を同じくするものであるから、「クロスファイアー」の称呼と「十字砲火」の観念を生ずるものと認められる。
他方、引用商標は、「ATI CROSSFIRE」の欧文字を標準文字で表してなるところ、構成各文字を同じ書体で、構成全体が一体的に表されてなるものであって、構成全体から生ずる「エティーアイクロスファイアー」の称呼もさほど冗長でなく、無理なく一連に称呼し得るものである。
そうすると、引用商標は、看者に一体のものとして認識、把握されるものとみるのが自然であり、その構成文字に相応して、「エティーアイクロスファイアー」の称呼のみを生じ、かつ、特定の観念を生じないものとみるのが相当である。
なお、申立人は、「ATI」の文字部分がコンピュータ関連商品に使用され続けた結果、特に「電子応用機械器具及びその部品」を取り扱う業界において、申立人名称の略称を表すものとして、また「CROSSFIRE」の文字が申立人の製造、販売に係るグラフィックスプロセッシングユニット(GPU製品)等に使用される商標として、需要者の間に広く知られる商標と認められるようになった旨主張するが、後記2のとおり、「CROSSFIRE」が広く知られるものとは認められず、かかる構成において、「ATI」の文字部分を捨象し、「CROSSFIRE」の文字部分にのみに着目しなければならない特段の理由は見いだせない。
そこで、本件商標と引用商標を比較すると、本件商標から生ずる「クロスファイアー」の称呼と引用商標から生ずる「エティーアイクロスファイアー」の称呼とは、その音構成及び音数に明らかな差異があるから、称呼上、容易に区別し得るものである。
また、本件商標と引用商標とは、それぞれの構成に照らし、外観上判然と区別し得る差異を有するものであり、さらに、本件商標が「十字砲火」の観念を生ずるのに対して、引用商標から特定の観念を生じない以上、観念上両者を比較すべくもない。
してみれば、本件商標と引用商標とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものではない。
2 商標法第4条第1項第15号該当性
(1)申立人商標の周知、著名性
申立人の提出に係る甲各号証によれば、申立人は、コンピュータ用グラフィックプロセッサー(GPU製品)製造メーカーとして1969年にカナダで設立され、GPU製品に「RADEON」商標を付して使用していることが認められる(甲5、甲36)。
そして、2005年に開発されたグラフィックボードの技術名として「CROSSFIRE」の文字が使用されていることが認められる(甲36)。
さらに、2007年からは、申立人は、世界の2大コンピュータプロセッサ(CPU)メーカーであるAMD社の完全子会社となったものと認められる(甲5)。
それ以後、申立人のGPU製品には、別掲(1)に示す「ATI CROSSFIRE X」(甲6ないし甲11、以下「申立人ATI商標」という。)、「ATI CrossFire」(甲36)、別掲(2)に示す「AMD CrossFireX」(甲14ないし甲25、以下「申立人AMD商標」という。)及び「AMD CrossFireX」(甲31)(以下、これらをまとめて「申立人商標」という。)が使用されていることが認められる。
しかしながら、「CROSSFIRE」は、前記のとおり、申立人の製造販売に係るグラフィックボードに使用される技術名であること、グラフィックボードに使用される商標の多くは、「ATI」ないし「AMD」のロゴや欧文字を「CROSSFIRE」の欧文字に冠して使用されているが、「CROSSFIRE」のみの使用は見当たらないこと、GPU製品に占めるAMD社のシェアが2007年第2四半期?2012年第4四半期において34?47%(甲43)であるとしても、「CROSSFIRE」搭載のGPU製品のシェアであることが確認できないこと、同社のCROSSFIRE技術を特徴とするGPU製品の2009年の売上高が9億USドル(甲5)であるとしても、我が国における販売実績、広告状況が確認できないことなどから、提出に係る証拠からは、引用商標及び申立人商標が本件商標の登録出願時(平成22年3月16日)及び審決時(同24年5月10日)において、我が国の需要者の間に広く知られていたとはいえない。
(2)商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標とは、前記(1)のとおり、十分に区別し得る別異の商標というべきであり、申立人商標も一体のものと認識されるから、これと同様に非類似の商標であって、十分に区別し得る別異の商標というべきである。
また、上記(1)のとおり、引用商標及び申立人商標の周知・著名性は認められないから、たとえ、本件商標の指定商品中「双方向型オンラインコンピュータゲーム及びビデオゲーム用のダウンロード可能なコンピュータソフトウェアプログラム等を含む電子応用機械器具及びその部品」と申立人商標の使用に係る商品「グラフィックボード」及び引用商標の指定商品中「半導体,回路基板,グラフィックボード,ドライバソフトウェア,その他の電子応用機械器具及びその部品」とは、用途、製造・販売部門を同じくする、同一又は類似の商品であるとしても、本件商標は、これをその指定商品に使用したときに、これに接する取引者、需要者をして、引用商標及び申立人商標を連想又は想起させるとはいえないものであって、その商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
3 まとめ
以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、維持すべきである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(1)申立人ATI商標(色彩については原本参照)


(2)申立人AMD商標


異議決定日 2013-02-22 
出願番号 商願2010-20035(T2010-20035) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X09)
T 1 651・ 262- Y (X09)
T 1 651・ 263- Y (X09)
T 1 651・ 261- Y (X09)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山本 敦子原田 信彦 
特許庁審判長 鈴木 修
特許庁審判官 小川 きみえ
田中 亨子
登録日 2012-06-22 
登録番号 商標登録第5501982号(T5501982) 
権利者 スマイルゲート インコーポレイテッド
商標の称呼 クロスファイア、クロスファイヤー 
代理人 大森 規雄 
代理人 鈴木 康仁 
代理人 高橋 友和 
代理人 高橋 雅和 
代理人 瀧澤 文 
代理人 高橋 剛 
代理人 小林 浩 

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