• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X41
管理番号 1271238 
審判番号 不服2012-9896 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2012-05-10 
確定日 2013-03-08 
事件の表示 商願2011-23708拒絶査定不服審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は,「リーガル・カウンセラー」の文字を横書きしてなり,第41類「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与、資格・検定に関する知識の教授,セミナー・講演会の企画・運営又は開催,図書及び記録の供覧,書籍・電子出版物の制作および提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。),映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」を指定役務として,平成23年3月22日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由(要点)
原査定は,「本願商標は,『リーガル・カウンセラー』の文字を普通に用いられる方法で書してなるところ,全体として,『法律に関する助言者』の意味合いを容易に認識させる。そして,『リーガルカウンセラー』の語が,たとえば,『リーガルカウンセラーの資質』に係るインターネット情報のように使用されている事実が認められる。そうすると,本願商標は,これをその指定役務中の『法律に関する助言者(リーガル・カウンセラー)の資格認定試験の実施,法律に関する助言者(リーガル・カウンセラー)の資格・検定に関する知識の教授,法律の助言者(リーガル・カウンセラー)に関するセミナー・講演会の企画・運営又は開催,法律に関する助言者(リーガル・カウンセラー)を内容とする図書及び記録の供覧,法律に関する助言者(リーガル・カウンセラー)を内容とする書籍・電子出版物の制作,法律に関する助言者(リーガル・カウンセラー)を内容とする教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)』に使用しても,前記役務であることを認識させるにとどまるものであり,単に役務の質(内容)を表示するにすぎないものと認める。したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当し,前記役務以外の『資格の認定・資格の付与,資格・検定に関する知識の教授,セミナー・講演会の企画・運営又は開催,図書及び記録の供覧,書籍・電子出版物の制作および提供,教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)』に使用するときは,役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるので,同法4条1項16号に該当する。」旨認定,判断し,本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 本願商標が商標法3条1項3号に該当することについて
当審は,本願商標がその指定役務中,「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与」に使用されるときは,本願商標は,商標法3条1項3号に該当するものと判断する。その理由は,以下のとおりである。

本願商標は,前記第1のとおり,「リーガル・カウンセラー」の文字を普通に用いられる方法で横書きしてなるものである。
そして,このうち「リーガル」は「法律に関するさま」の意味を有し,「リーガルエイド(法律扶助)」「リーガルサービス(法律扶助)」「リーガルマインド(法律を実際に適用するにあたって必要とされる柔軟かつ的確な判断力)」「リーガルリテラシー(法律に対する知識と,それを活用する能力)」(「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」株式会社三省堂)というように,他の語(エイド,サービスなど)を伴って複合語を形成しやすいものである。
また,本願商標の構成中「カウンセラー」は,「助言者」の意味を有する語である(「コンサイスカタカナ語辞典 第4版」株式会社三省堂)。
そうすると,本願商標は,その構成全体から,「法律に関する助言者」といった意味合いを理解させるものといえる。
そして,最近では,以下のとおり,「法律に関する助言者」といった意味合いで「リーガルカウンセラー」の語が実際に使用されており,また,この語を資格や肩書き,職種の1つを指すものとして使用されている事実が見受けられる。
(1)「『家庭内の問題』相談室」と題するウェブサイトにおいて,「リーガルカウンセリング」「私たちの相談室では,リーガルカウンセリングを,その一手法として取り入れています。リーガルは『法律』の意味です。最近は,弁護士さんや司法書士さん,あるいは行政書士さんなどの法律面の相談に関わる方たちの中で,リーガルカウンセラーを名乗る方も増えてきました。」との記載(http://blogs.dion.ne.jp/legal/archives/5040768.html)。
(2)「知っとく!リーガルカウンセリング」と題するウェブサイトにおいて,「任意後見人とリーガルカウンセラー」「法廷後見人は,かつての禁治産者の制度を引き継いだもので,精神疾患や知的障害の方たちのために,法律家が家庭裁判所に申請して,後見人の手続きを決めるというものです。以前は,後見人といえばこちらしかありませんでした。しかし,現代のような超高齢化が進むと,親の面倒を見るはずだった子供の死去が先だったり,親戚縁者が誰もいなくなったりすることも珍しくないですね。また,晩婚や非婚などで,生涯の独身率はかつてないほど高くなっています。そんな方たちの先々の老後も,財産の管理などの面で不安になってきますね。そんな人たちを応援サポートするシステムがリーガルカウンセラーであり,任意後見人制度なのです。リーガルは法律という意味なのですが,法律のカウンセリングをする法律家が,リーガルカウンセラーと呼ばれています。リーガルカウンセリングは,さまざまなことについて,相談者の良きアドバイスも提案します。」との記載(http://legalcounsering.biz/page3.html)。
(3)「IS法律事務所(設立前)」に係るウェブサイトにおいて,「将来はリーガルカウンセラーになりたいと考えています。リーガルカウンセラーとは,法律問題を抱えている人に対し,法的問題をケアするだけでなく,精神面についてもケアしていく法律家です。」との記載(http://is-law.seesaa.net/article/168880425.html)。
(4)「INTERUSH」に係るウェブサイトにおいて,「リーガルカウンセラー養成講座/市民法務を中心とした一般相談にはカウンセリング技術が必須です!」との記載(http://interush.net/mmb_detail.php?id=26583)。
(5)「財産ドック沖縄株式会社」に係るウェブサイトにおいて,「弁護士/琉球大学法学部卒業。平成7年に大城純市法律事務所開業。個人も企業もコンプライアンス(法令順守)が要求される時代です。コンプライアンスを実践しながら,法を駆使して自らの権利,利益を追求していくには,知恵が必要です。財産ドック沖縄(株)のリーガルカウンセラーとして,この法的英知を皆さんとともに育んでいきたいと思います。なんなりとお気軽にご相談ください。」との記載(http://www.zaisandoc.com/introduce.html)。
(6)「税理士FPメルマガ通信」と題するウェブサイト(PDFファイル)において,「<著者プロフィール>/中村 勧 氏/中村総合司法書士事務所 代表/簡裁代理認定司法書士・東京青年司法書士協議会役員・越谷法律相談推進委員会副センター長。」「『社会貢献・豊かな人間性・感謝の心』をモットーとし,中小企業支援,IPO支援業務を中心に,ADRにおけるメディテーター,リーガルカウンセラーとしても活躍中。」との記載(https://ssl.nichizei.com/nbs/modules/group2/index.php/bn_fpml/fpml46.pdf)。
(7)「特定非営利活動法人ファミリーカウンセリングサービス」に係るウェブサイトにおいて,「法的家族問題:相続・遺言・協議離婚・借金」「私達が日常,生活していて身近におきる法的な問題,例えば,/公平な相続の仕方/後でもめない遺言の書き方/じっくり話合い,約束事を法律的に有効な文書にして離婚する方法/自分の収入にあった借金の解決方法」などをご一緒に考え,最善策を支援します。お一人で悩まず,お気軽にご相談下さい。/行政書士・リーガルカウンセラー 荒木仁美」との記載(http://www.npofcs.org/2010/02/post_30.php)。
(8)「離婚・養育費・面接交流・子育て 法律相談フォーム」と題するウェブサイトにおいて,「この相談事業は,独立行政法人福祉医療機構助成金を受けて活動しています。離婚・養育費・面接交流・子育てに関する法律相談を,下記フォームよりお寄せください。ご相談は基本的に一往復,無料でお受けいただけます。」「◆私たちが対応します。/坂田 雅彦/『解決は心から!』をモットーに,夫婦や子どもたち,家族それぞれの気持ちを受け容れながら,家庭内の様々な問題の法務相談とカウンセリングを展開しています。資格:行政書士 リーガルカウンセラー」との記載(http://www.singlemother.co.jp/FS-APL/FS-Form/form.cgi?Code=horitusodan_form)。
(9)「女性シングルのあんしん生活」と題するウェブサイト(PDFファイル)において,「生活トラブルから身を守るには/悪徳商法の具体例と対策/金融商品の仕組みとリスク/電子マネー,クレジットカードの便利な使い方」「日 時 平成23年2月23日(水)午後6:30 ?午後8:00 会場 クリエイトホール11階第6学習室」「ゲスト講師 行政書士・リーガルカウンセラー 神宮智恵さん/消費者生活トラブル,養育費相談などのシングルマザー支援が専門。」との記載(http://www015.upp.so-net.ne.jp/kitamura-office/_userdata/20110223.pdf)。

こうしたことから,本願商標は,「法律に関する助言者」といった資格や職種の1つを容易に理解させるものといえる。
そうすると,本願商標をその指定役務中,「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与」に使用した場合,これに接する需要者は,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格認定試験の実施」であること,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格の認定・資格の付与」であることを容易に理解し,そしてそれにとどまるとみるのが相当である。
してみれば,本願商標は,その指定役務中,上記役務に使用するときは,役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものというべきである。
したがって,本願商標は,商標法3条1項3号に該当する。

2 請求人の主張について
(1)請求人は,要するに,「LEGALGUIDE」の文字からなる登録商標があるから,本願商標も登録されるべきである旨,主張する。
しかしながら,登録出願に係る商標が登録されるか否かは,査定時又は審決時において,その登録出願に係る商標の構成・態様,指定役務との関係,指定役務の取引の実情等を考慮して,個別に判断されるものであるところ,本願商標は,その構成全体から「法律に関する助言者」といった意味合いが理解されるだけでなく,実際に,この語が,同意味合いにおける資格や肩書き,職種の1つを指すものとして使用されている事実があり,また,本願商標の指定役務中「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与」は,まさに「法律に関する助言者(リーガルカウンセラー)」に関する役務であるから,上記のとおりに判断したものであって,請求人が挙げる登録例とは,事案を異にするものである。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。
(2)請求人は,要するに,「法律に関する助言者」といえば,弁護士や司法書士,行政書士といった国家資格保持者を指すものであって,これら「弁護士」「司法書士」「行政書士」といった資格名と,本願商標「リーガル・カウンセラー」とは,異なる資格名であるから,本願商標は,容易に自他役務を識別する機能を有するものである旨,主張する。
しかしながら,本願商標が,自他役務を識別する機能を有するか否かは,要するに,本願商標に接する需要者が,本願商標を,役務の出所を表示する標識として認識するのか,あるいは,役務の質を表示するものとして認識するにとどまるのかが問題なのであって,「弁護士」「司法書士」「行政書士」といった資格名(又はそのサービス)と「リーガル・カウンセラー」(又はそのサービス)が区別できるかどうかが問題なのではない。
そして,本願商標をその指定役務中,「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与」に使用した場合,これに接する需要者は,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格認定試験の実施」であること,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格の認定・資格の付与」であることを容易に理解し,そしてそれにとどまるとみるのが相当である。
してみれば,本願商標は,その指定役務中,上記役務に使用するときは,その役務の質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなるものであり,自他役務を識別する標識として機能しないものである。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。
(3)請求人は,要するに,「リーガルカウンセラー」という語句に接した者にとって,広く一般的に「法律に関する助言者」という意味合いを認識するとしても,いったいどのような法律分野を役務とするのか,どういったアプローチを用いてカウンセリングを行うのかといった点で齟齬が生じ,統一的認識を共有することは不可能である旨,主張する。
この請求人の主張は,本願商標が商標法3条1項3号に該当することに対する主張ではなく,本願商標が同法4条1項16号に該当することに対する主張であるが,念のため,同主張が,商標法3条1項3号に該当することに対してなされたものと想定して以下述べるに,本願商標が,自他役務を識別する機能を有するか否かは,要するに,本願商標に接する需要者が,本願商標を,役務の出所を表示する標識として認識するのか,あるいは,役務の質を表示するものとして認識するにとどまるのかが問題なのである。
そして,本願商標の場合,これをその指定役務中「リーガル・カウンセラーの資格認定試験の実施及び資格の認定・資格の付与」に使用した場合,これに接する需要者は,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格認定試験の実施」であること,「法律の助言者(リーガルカウンセラー)の資格の認定・資格の付与」であることを容易に理解し,そしてそれにとどまるのであるから,このことをもって,本願商標は,自他役務を識別する標識として機能せず,役務の質を普通に用いられる方法で表示するにすぎないものといえるのであって,このことをいうために,本願商標に接する需要者が,どのような法律分野を役務とするのか,どういったアプローチを用いてカウンセリングを行うのかといった具体的なことを認識していることまでもが要求されるものではない。
したがって,上記請求人の主張は,採用することができない。

3 結語
以上のことからすれば,本願商標が商標法3条1項3号に該当するものとして本願を拒絶した原査定は,妥当であって,取り消すことはできない。
よって,結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-12-25 
結審通知日 2013-01-04 
審決日 2013-01-17 
出願番号 商願2011-23708(T2011-23708) 
審決分類 T 1 8・ 13- Z (X41)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 箕輪 秀人 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 小川 きみえ
守屋 友宏
商標の称呼 リーガルカウンセラー 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ