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審判番号(事件番号) データベース 権利
取消2012300417 審決 商標

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審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない X35
管理番号 1271193 
審判番号 取消2011-301151 
総通号数 160 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-04-26 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-12-20 
確定日 2013-03-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第5190076号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第5190076号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成19年4月1日に登録出願、第35類「衣料品・飲食料品及び生活用品に係る各種商品を一括して取り扱う小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,二輪自動車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,自転車の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,台所用品・清掃用具及び洗濯用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,たばこ及び喫煙用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」を指定役務として、同20年12月19日に設定登録されたものである。
その後、本件商標は、商標登録の取消し審判により、その指定役務中「菓子及びパンの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,牛乳の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,清涼飲料及び果実飲料の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,茶・コーヒー及びココアの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について取り消すべき旨の審決がされ、同24年7月5日にその確定審決の登録がされたものである。
なお、本件審判請求の登録は、平成24年1月17日にされている。

第2 請求人の主張
請求人は、「本件商標の指定役務中、第35類『かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,家具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供,宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供』について登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求め、その理由及び答弁に対する弁駁を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
請求人は、本件商標の指定役務中、上記指定役務について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれもが、本件商標を使用した事実が存しないから商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。

2 第1弁駁書(平成24年4月26日付け)
(1)乙第1号証について
乙第1号証は、被請求人の通常使用権者と推認される株式会社ブルーノートジャパンInc.(「Inc.」の文字がない場合も含めて、以下「ブルーノートジャパン」という。)の営業に係る「ブルーノート東京」のスーヴェニア・コーナーにおいて、マグカップ、Tシャツ、フェイスタオル、キャップ、ライターを販売していることを示すウェブサイトの広告ページをプリントアウトしたものである。
しかしながら、乙第1号証は、本件審判の請求の予告登録日より後の2012年3月2日にプリントアウトされたものであり、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、当該広告ページがアップロードされていたことを示す証拠は、何ら提出されていない。
(2)乙第2号証について
乙第2号証は、2009年4月30日時点で、「ブルーノート東京」のスーヴェニア・コーナーにおいて、Tシャツその他の関連グッズの取り引きがなされた事実を示す領収書及び販売レシートとされるものである。
しかし、「領収書」については、被請求人本人を名宛人としているものであり、当該領収書が正規に発行されたものであるとしても、通常使用権者が商標権者に発行したものであり、その客観性を著しく欠くものである。
また、「販売レシート」とされるものについては、「★★ 控え ★★」「控え番号 G93」「39扱」等、顧客に渡されるレシートにおける記載として通常見られないものが多数見受けられるので、顧客に提供される販売レシートというよりは、店舗側に控えとして残されるジャーナルの写しではないかと思われる。
当該ジャーナルの写しには、品名とその売価が表示されてはいるが、これらのレシートに表示される品名や売価は、POSレジスターであれば、ホスト側の商品マスターなどで、スタンドアローン・タイプのレジスターであれば、レジスター側で容易に変更が可能なものであるから、通常使用権者の店舗で、被請求人が購入したことを示す領収書とレシートの写しをもって、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる便益の提供」について使用をしていたことを証明する証拠としては不十分である。
すなわち、仮にこれらの証拠が真正のものだとすれば、「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売の役務」を提供するために行った取引に関する書類が他にも多数保存されているはずであるが、実際に提出された証拠にはこのような書類は含まれていない。後述するように、乙第3号証及び同第4号証が、乙第2号証を補強する証拠とはなりえないものである以上、乙第2号証は、直接に本件審判請求に係る役務を行ったことを証明するものとして採用されるべき証拠ではないと言うべきものである。
(3)乙第3号証について
乙第3号証の写真にて示される「フェイスタオル」は、乙第1号証において「フェイスタオル」として示される商品と同一のものと思われるので、乙第3号証にて示される「フェイスタオル」が、2012年3月2日において、「ブルーノート東京」のスーヴェニア・コーナーにおいて販売されたことを推認するための補強証拠であることを否定するものではない。
しかしながら、乙第3号証においては、被請求人が主張するような、乙第2号証と関連づけられるような記載、例えば、具体的な商品の材質や規格などの品質や、商品名、価格ほか、業者の表示などについては確認できない。また、これら写真にある商品が、2009年4月30日時点で「ブルーノート東京」のスーヴェニア・コーナーにおいて販売された商品であることを裏付けるような、製品の企画や仕様に係る書面、業者間での納品や請求書などの各取引書類は提出されていない。したがって、乙第3号証は、乙第2号証を補足する証拠としては不十分である。
また、乙第3号証には、日付を特定するものは何ら表示されておらず、直接に本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、商標権者及び通常使用権者が、本件小売役務を行ったことを示す証拠とはなり得ない。
(4)結語
以上述べたとおり、被請求人は、その答弁書において、本件商標が本件審判請求の登録前3年以内に商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかにより使用されている点を立証できておらず、また使用していないことについての正当な理由の提示と証明も行っていないものであるから、本件商標は、不使用によりその商標登録を取り消されることを免れない。

3 第2弁駁書(平成24年8月14日付け)
(1)乙第2号証について
ア 乙第5号証について
被請求人は、乙第5号証として提出した3件の証票について、これらが「ジャーナル」ではなく、顧客に手渡される「販売レシート」である旨主張し、これらの証票が乙第2号証として提出された2件の証票のうち、被請求人が「販売レシート」であると主張する証票と同じレイアウトであるため、乙第2号証において示される証票が「販売レシート」である旨主張する。
被請求人は、上記主張の根拠として、「販売レシート」上に、控え番号等の業務関連情報が印字されること自体は、我が国の取引の実情として、特に珍しいことではなく、殊更不自然なことではないと述べる。確かに、顧客に手渡される「販売レシート」に販売促進に係る情報を表示することは、ごく一般的に行われていることである。しかし、少なくとも「★★ 控え ★★」など、顧客に何ら訴求する必要のない情報が、最も目立つ位置に最も大きく表示されることは不自然である。
被請求人は、当該証票が「販売レシート」である旨縷々述べるが、当該証票には「領収書」の文字が一切表示されておらず、我が国の取引の実情を考慮すれば、このような証票が、顧客との金銭授受を証明するための書面、すなわち、「販売レシート」として用いられていると考える方が不自然である。特に、被請求人のような日本を代表する企業が、そのような運営を行っていることは不自然である。また、顧客の側に立てば、「控え」とは何の控えなのか不明確であるし、そもそも顧客にお渡しする書面の名称であれば、「お控え」と記載されているのが、サービス業の書面としては自然なのではないだろうか。
なお、乙第5号証として提出された証票は、全ての打刻が2012年6月7日の17時44分である。すると、3件の金銭授受が、1件あたり20秒程度で行われていることになるが、一連の商品のレジ入力及び金銭授受が、このような短時間で完了していることや、全ての取引において釣銭が発生していないことを考慮すると、第5号証に係る証票もまた、一般の顧客との間で用いられた「販売レシート」であるとは考えにくいものである。
イ 第1弁駁書における主張
請求人が、第1弁駁書において主張した点は、乙第2号証として提出された「領収書」については、被請求人本人を名宛人としているものであり、仮に当該領収書が正規に発行されたものであるとしても、通常使用権者が商標権者に発行したものであり、その客観性を著しく欠くものであること、及び、「販売レシート」とされるものについては、ホスト側の商品マスターやレジスター側で容易に変更作業が可能なのであるから、恣意的に変更することも可能であり(例えば、レジスターのモードを営業稼働中の本番モードではなく、売上データが残らないようにトレーニングモードに変更するなど)、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、請求に係る役務について使用をしていたことを証明する客観的な証拠としては不十分であることである。
乙第2号証のレシートに記載される情報、例えば、「39扱」等がどのような意味であるのかは不明であるが、この部分は、乙第5号証として提出された証票では、「22扱」となっており、少なくとも乙第2号証の証票と乙第5号証の証票とでは、何らかの差異があるのは明らかである。例えば、「22扱」が営業稼働中の本番モードを示すものであり、「39扱」が営業稼働外のトレーニングモードを示すものである可能性もあり、そうであれば、当該証票の写しをもって、請求に係る役務について使用をしていたことを証明する証拠としては成立しない。
第1弁駁書において述べたとおり、これらの証拠が真正のものであるというのであれば、他にも「身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を除く。)の小売の役務」を提供するために行った取引に関する書類が多数保存されているはずであり、上記のとおり、乙第3号証及び乙第4号証と同様に、乙第5号証もまた、乙第2号証を補強する証拠とはなりえないのであるから、本件審判請求に係る役務を行ったことを証明するものとして、採用されるべきものではないものである。
(2)乙第3号証及び乙第4号証について
ア 乙第6号証について
請求人が、第1弁駁書において、乙第3号証及び乙第4号証には、日付を特定するものは表示されておらず、本件審判の請求の予告登録日前3年以内に、商標権者又は通常使用権者が、本件小売役務を行ったことを示す証拠とはなり得ないと主張した点について、被請求人は、乙第3号証及び乙第4号証の写真データのファイル・プロパティ情報なる、パソコン上の管理画面のコピーを提出し、当該画面に示される「2009-05-01」の情報をもって、同日に乙第3号証及び乙第4号証のデータが作成された事実がある旨主張する。
しかしながら、当該ファイル・プロパティ情報なるものが、乙第3号証及び乙第4号証の写真データであるかどうかは明確ではなく、乙第3号証及び乙第4号証の日付を特定するものとしては不十分である。
イ 第1弁駁書における主張
請求人が第1弁駁書において主張した点は、乙第3号証及び乙第4号証に日付を特定するものが表示されていない点だけではなく、これらの証拠には乙第2号証と関連づけられるような記載がない点である。この点につき、請求人は、これらの証拠として提出された写真に示される商品が、2009年4月30日時点で「ブルーノート東京」のスーヴェニア・コーナーにおいて販売された商品であるならば、製品の企画や仕様に係る書面、業者間での納品や請求書などの各取引書類が存在するものと考え、それら客観的な証拠の提出により証明されるはずであると主張した。しかしながら、今回の第2答弁書でも何ら客観的な証拠は提出されておらず、乙第3号証及び乙第4号証は、依然として、乙第2号証を補足する証拠としては不十分である。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、結論同旨の審決を求める、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第9号証を提出している。
1 第1答弁書(平成24年3月2日付け)
(1)商標権者である被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内で、本件商標と同一の商標を、指定役務である第35類「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」に含まれる下位概念の役務である「フェイスタオルの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、ピンバッチの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用している。
(2)証拠の説明
ア 小売店舗の名称として使用されている事実の証明
乙第1号証は、1988年から東京の南青山でジャズクラブレストランを営んでいる「ブルーノート東京」の地下1階にあるスーベニア・ショップに関するウェブサイトからのプリントアウトである。
左上に表れた本件商標と同一の態様の商標は、「ブルーノート東京」スーベニア・ショップの店舗名称であり、同ショップでは、ジャズクラブレストランに関連したお土産商品として、マグカップ、Tシャツ、フェイスタオル、キャップ(帽子)、ミニライター等の関連グッズが販売されている事実が明らかである。
乙第1号証は、日本国内で、本件商標と同一の態様の商標が、関連グッズを販売する小売店舗の名称(看板)として現在使用されていることの証左である。
イ 過去3年以内に小売店舗で取り引きが行われた事実の証明
乙第2号証は、2009年(平成21年)4月30日時点で、「ブルーノート東京」スーベニア・ショップにおいて、Tシャツその他の関連グッズの取り引きがなされた事実を示す領収書及び販売レシートの写真である。
2009年4月30日は本件審判請求の登録前3年以内の日付であり、販売レシートの上部には、小売店舗の名称として、本件商標と同一の態様の商標が表れている。また、同購入レシートには、購入された商品10点の種別及び価格がプリントされている。
なお、乙第3号証及び乙第4号証は、同販売レシートに記載された購入商品10点のうちの3アイテムの写真である。
同販売レシート上、乙第3号証のフェイスタオルは「Tフェイスタオル¥1,200」として、乙第4号証のピンバッチは「Tピンズ(音符)¥800」及び「Tピンズ(スター)¥800」として表示されている。
フェイスタオル及びピンバッチの小売サービスは、類似群コード35K02の「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の下位概念の役務である。
すなわち、乙第2号証ないし乙第4号証からは、日本国内で、過去3年以内に、本件商標と同一の態様の商標が付された小売店舗において、指定役務「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての使用がなされた事実が明らかである。
(3)総括
以上をもって、請求人の主張には理由がないことを明らかにし、本件審判請求は成り立たないとの審決を求める。

2 第2答弁書(平成24年6月13日付け)
(1)乙第2号証について
審判請求人は、平成24年4月26日付で提出の弁駁書において、乙第2号証として提出された「販売レシート」は、「★★ 控え ★★」「控え番号 G93」との記載が見受けられることから、顧客に手渡されるレシートではなく、店舗側に控えとして残されるジャーナルの写しではないかと思われる旨主張する。
しかしながら、我が国の取引実情として、店側の控えとは別に顧客に手渡される「販売レシート」上に、控え番号等の業務関連情報が印字されること自体は特に珍しいことでもなく、我が国で慣行上、通常一般的にみられる印字内容の範囲内であって、殊更不自然なことでもない。
このように、審判請求人の主張は妥当性を欠くものと考えざるを得ないところ、審判請求人の主張が根拠のないものであることを明らかとすべく、現在でも、ブルーノート東京のスーベニアショップで買い物をした際に、顧客に手渡されている「販売レシート」の写を乙第5号証として提出する。
乙第5号証に表れた「販売レシート」には、乙第2号証と同様、「★★ 控え ★★」「控え番号 G○○」の記載が印字されている。印字内容及びレイアウト構成に照らせば、先般提出済みの乙第2号証が店舗側に控えとして残されるジャーナルの写しではなく、顧客に手渡される「販売レシート」の写しであるとの事実が明らかである。
(2)乙第3号証について
既に提出済みの乙第3号証に関連して審判請求人よりなされた主張のうち、乙第3号証には日付を特定するものが表示されていないことから証拠足り得ないとの主張に関連し、乙第3号証の写真データのデータ作成日(更新日時)を示す証拠資料を乙第6号証として提出する。
乙第6号証は、乙第2号証の「販売レシート」に表れた商品のうち、乙第3号証として提出済みの「フェイスタオル」及び乙第4号証として提出済みの 「ピンバッチ」の写真データに関するファイル・プロパティ情報である。
乙第6号証の「更新日時」欄には、乙第2号証に記載の実際の取引日時2009年(平成21年)4月30日の翌日である2009年(平成21年)5月1日に、乙第3号証及び乙第4号証の写真データが作成されたとの事実が明らかである。
2009年(平成21年)5月1日は、やはり本件審判請求の登録前3年以内の日付であり、乙第2号証と相侯って、日本国内で、過去3年以内に、本件商標と同一の態様の商標が付された小売店舗において、指定役務「身の回り品(「ガーター、靴下止め、ズボンつり、バンド、ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」についての使用がなされた事実を示す証拠足り得るものと思料する。

3 審尋に対する回答書(平成24年6月13日付け)
(1)被請求人と「ブルーノート東京」との関係について
「ブルーノート東京」ジャズクラブは、株式会社ライカとBENSUSAN社との間で締結されたライセンス契約により、1988年(昭和63年)に開始された。
その後、「ブルーノート東京」の運営は、株式会社ライカからブルーノートジャパンに一般承継され、披請求人は、平成16年9月28日に同事業の営業権を譲り受けたことにより、「ブルーノート東京」ジャズクラブの運営に携わるに至った。また、同ジャズクラブの一画に小売店舗を設け、「ブルーノート東京」に関連するグッズを販売するとともに、既に提出済みの乙第1号証に表れたウェブサイト上でも、関連グッズの販売を行っていた。
商標権の権利関係としては、ジャズクラブの運営に関連する役務を指定する以下の登録商標(ア)及び(イ)につき、平成18年1月26日付で被請求人が商標権者としてこれらの商標権の移転登録を受け、商標権者となっている。
(ア)商標登録第3072603号 第42類「飲食物の提供」
(イ)商標登録第4015109号 第42類「宴会のための施設の提供」
実際の「ブルーノート東京」ジャズクラブ及び関連グッズ販売事業の運営は、商標権者である披請求人が、ブルーノートジャパンに使用許諾を行うことにより、同社が引き続き運営する形態としていた。
その後、運営形態に変化が生じ、披請求人は、ジャズクラブの運営に関連する役務を指定する商標権(ア)及び(イ)については譲渡担保権者の地位に移行し、被請求人が株式会社ブルーノートミュージック(以下「ブルーノートミュージック」という。)に専用使用権設定を行い、さらに、ブルーノートミュージックがブルーノートジャパンに使用許諾を行うとともに、関連グッズの商標権及び販売に関連する役務を指定する本件商標権についても、ブルーノートジャパンの運営する「ブル-ノート東京」のジャズクラブ内における商品商標の使用並びに小売商標の使用を許諾している。乙第8号証からは、上記(ア)及び(イ)の商標権について、披請求人がブルーノートミュージックに対し、平成22年11月5日付で、専用使用権設定の登録を行った事実が明らかである。そして、乙第9号証からは、現在でも、ブルーノートジャパンが、「ブルーノート東京」のジャズクラブ及び関連グッズの販売事業の実際の運営を行っている事実が明らかである。
(2)まとめ
以上より、本件審判請求の前3年以内の期間において、被請求人が、ライセンシーであるブルーノートミュージック及びブルーノートジャパンを通じて、実質的に「ブルーノート東京」ジャズクラブ及び関連グッズの販売事業に携わっていた事実が明らかとなった。

第4 当審の判断
1 被請求人の提出に係る証拠によれば、以下の事実が認められる。
乙第1号証は、「ブルーノート東京」のウェブサイトを2012年3月2日にプリントアウトしたものである。
これには、左上に本件商標が表示されており、また、「ブルーノート東京のロゴマークがポイントのオリジナル・グッズ。ご来店の想い出に、親しい方へのプレゼントに、ぜひどうぞ。」の記載と、マグカップ、Tシャツ、フェイスタオル、キャップ、ミニライターの写真が掲載されている。
乙第2号証は、2009年4月30日の日付のある領収証及びレシートの写真とされるものである。領収証には、「伊藤忠商事 様」、領収額を「¥25,620-」、「Blue Note Tokyo」等の記載がある。
また、レシートには、本件商標が表示されており、「Blue Note Tokyo」「★★ 控え ★★」「控え番号 G93」「Tフェイスタオル ¥1,200-」「合計 ¥25,620」等の記載がある。
乙第3号証は、タオルの写真であり、これには、青色系のタオル地に白抜きで本件商標が大きく表示されている。

2 上記証拠による認定
乙第1号証は、要証期間外にプリントアウトされた「ブルーノート東京」のウェブサイトであるが、そこに掲載された商品中の「フェイスタオル」と乙第3号証の写真の「タオル」は、両者の画像より同じものと認められ、被請求人の主張する販売の継続性に明らかな疑いは認められない。
そして、乙第2号証の領収書及びレシートによれば、2009年4月30日に「フェイスタオル」を「伊藤忠商事」に販売したことが認められるものである。
また、そのレシートには、本件商標が表示されており、本件商標の表示されたタオルが販売されたことが推認できるものである。
そうとすれば、「ブルーノート東京」において、「タオル」等の商品が販売されており、その販売においては、本件商標が表示されたレシートが使用されているものである。

3 本件商標を使用する者について
被請求人は、ライセンシーであるブルーノートミュージック及びブルーノートジャパンを通じて、実質的に「ブルーノート東京」において、関連グッズの販売事業に携わっていることから、本件商標を被請求人が使用していると主張するが、提出された証拠によれば、被請求人が使用している事実は、どこにも見当たらないものである。
しかしながら、被請求人は、2件の登録商標に係る乙第8号証及び乙第9号証を提出し、「『Blue Note Tokyo(ブルーノート東京)』の店舗は、ブルーノートジャパンの直営店であり、披請求人は、平成16年9月28日に営業権を譲り受けたことにより、同店舗の運営に携わるに至った。」、「商標権に関しては、同店舗の運営に関連する役務を指定する2件の登録商標(商標登録第3072603号及び商標登録第4015109号)につき、同18年1月26日付で被請求人が商標権者となっている。」及び「その後、運営形態に変化が生じ、披請求人は、その2件の商標権については、譲渡担保権者の地位に移行し、被請求人がブルーノートミュージックに専用使用権設定を行い、さらに、ブルーノートミュージックがブルーノートジャパンに使用許諾を行っている。」旨の主張をしているものである。
以上からすれば、被請求人は、ブルーノートミュージック及びブルーノートジャパンが本件商標のライセンシーであるとの主張に加え、被請求人とブルーノートジャパンとは、同店舗の運営にあたり密接な関係にあるということができるものであって、また、ブルーノートジャパンは、上記2のとおり、「ブルーノート東京」において、「タオル」等の商品に本件商標を付して販売している事実が認められるものであるから、被請求人との密接な関係からみてブルーノートジャパンが本件商標における黙示の通常使用権者であると推認できるものである。
なお、請求人は、この点について争っていない。

4 小括
以上によれば、本件審判の請求の登録前3年以内である、2009年4月30日にブルーノートジャパンの直営店である「ブルーノート東京」において、「タオルの小売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」の役務が提供され、そのタオルの販売に係るレシートに本件商標の使用がなされたというべきである。
そして、本件商標は、指定役務中の「身の回り品(「タオル」を含む。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について、商品の販売に係るレシートに使用されていたものであるから、その使用は、商標法第2条第3項第8号の商品の小売に係る役務に関する取引書類に標章を付して頒布する行為に該当するものと認められる。
なお、請求人は、「『領収書』については、被請求人本人を名宛人としているものであり、当該領収書が正規に発行されたものであるとしても、通常使用権者が商標権者に発行したものであり、その客観性を著しく欠くものである。」旨の主張をしている。
しかしながら、「領収書」の記載等に疑問を抱かせる点はなく、これが正規に発行されたものであれば、通常使用権者が商標権者に発行したものであったとしても、直ちに、その客観性を著しく欠くものであるとまでいうことはできない。
また、請求人は、「『販売レシート』とされるものについては、『★★ 控え ★★』『控え番号 G93』『39扱』等、顧客に渡されるレシートにおける記載として通常見られないものが多数見受けられるので、顧客に提供される販売レシートというよりは、店舗側に控えとして残されるジャーナルの写しではないかと思われる。」旨の主張をしている。
しかしながら、「レシート」に控え番号等の業務関連情報が印字されること自体は不自然でなく、また、被請求人は、「現在でも、ブルーノート東京のスーベニアショップで買い物をした際に、顧客に手渡されている『販売レシート』の写を乙第5号証として提出する。」旨を述べており、現在も、上記のような控え番号等の業務関連情報が印字されているものである。
よって、請求人の主張は、いずれも採用の限りでない。

5 むすび
以上のとおり、被請求人が提出した証拠を総合勘案すれば、本件商標は、通常使用権者であるブルーノートジャパンにより、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、本件取消請求に係る指定役務中「身の回り品(「ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト」を除く。)の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」について使用されていたことが認められる。
したがって、本件商標は、商標法第50条の規定により、その指定役務中、請求に係る役務についての登録を取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)




審理終結日 2012-09-05 
結審通知日 2012-09-11 
審決日 2012-10-22 
出願番号 商願2007-30107(T2007-30107) 
審決分類 T 1 32・ 1- Y (X35)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 久保田 正文 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 井出 英一郎
渡邉 健司
登録日 2008-12-19 
登録番号 商標登録第5190076号(T5190076) 
商標の称呼 ブルーノート 
代理人 深見 久郎 
代理人 杉山 直人 
代理人 向口 浩二 
代理人 森田 俊雄 
代理人 竹内 耕三 

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