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審決分類 審判 全部申立て  登録を取消(申立全部取消) X25
管理番号 1269706 
異議申立番号 異議2011-900368 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2011-10-07 
確定日 2013-02-01 
異議申立件数
事件の表示 登録第5425740号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5425740号商標の商標登録を取り消す。
理由 1 本件商標
本件登録第5425740号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1(1)のとおりの構成からなり、平成23年2月14日に登録出願され、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」を指定商品として、同年6月17日に登録査定され、同年7月15日に設定登録されたものである。

2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、次の(1)ないし(6)の登録商標を引用している。
(1)国際登録第1026242号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲1(2)のとおり
国際登録日:2009年11月3日
商品及び役務の区分:第1類、第3ないし第7類、第9ないし第12類、第14類、第16ないし第19類、第25類、第28ないし第30類、第32類、第35ないし第44類
(2)国際登録第1026243号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲1(3)のとおり
国際登録日:2009年11月3日
商品及び役務の区分:第1類、第3ないし第7類、第9ないし第12類、第14類、第16ないし第19類、第25類、第28ないし第30類、第32類、第35ないし第44類
(3)登録第3275674号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:オリンピック
登録出願日:平成4年10月7日
設定登録日:平成9年4月4日
指定役務 :第41類「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,スポーツに関する講演会の企画・運営又は開催」
(4)登録第4117280号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:OLYMPIC
登録出願日:平成5年10月1日
優先権主張:スイス連邦、1993年4月1日
設定登録日:平成10年2月20日
指定役務 :第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,スポーツの企画・運営又は開催,映画の制作」
(5)登録第3264562号商標(以下「引用商標5」という。)
商標の構成:別掲1(4)のとおり
登録出願日:平成4年9月28日
設定登録日:平成9年2月24日
指定役務 :第41類「オリンピック競技大会・オリンピック冬季競技大会・アジア競技大会・アジア冬季競技大会・ユニバーシアードその他これらに準ずる国際的総合競技大会の開催,技芸・スポーツ又は知識の教授,運動施設の提供,映写機及びその附属品の貸与,映写フィルムの貸与,レコード又は録音済み磁気テープの貸与,録画済み磁気テープの貸与,スポーツに関する講演会の企画・運営又は開催」
(6)国際登録第787298号商標(以下「引用商標6」という。)
商標の構成:THE OLYMPICS
国際登録日:2002年8月16日
優先権主張:Switzerland、2002年4月23日
設定登録日:平成15年7月25日
指定役務 :第35類「Advertising; business management; commercial administration; office tasks; promotion of goods and services of third parties, by means of contractual agreements, particularly sponsorship and licensing agreements in connection with international sports events; procurement services for others (purchasing goods and services for other businesses).」、第38類「Telecommunications; television programme broadcasting, televised broadcasts.」及び第41類「Education; training; entertainment; organization of sports competitions; sports camp services; arranging and conducting of seminars, conferences and exhibitions for sports and cultural purposes; entertainer services; organization of shows [impresario services]; presentation of live performance.」
以下、これらを一括して単に「引用商標」ということがある。

3 登録異議申立ての理由
申立人は、本件商標は、商標法第4条第1項第6号、同第10号、同第15号、同第7号、同第19号及び同法第8条第1項に該当するものであるから、同法第43条の2第1号により、取り消されるべきものである旨申立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし同第83号証を提出した。

<申立の理由の要点>
(1)商標法第4条第1項第6号について
本件商標は、国際オリンピック委員会により、4年に一度開催される近代オリンピック競技大会を指標するものとして長年に亘り使用されている著名な引用商標1ないし6と類似する商標である。
(2)商標法第8条第1項について
本件商標は、申立人が所有する、先願に係る引用商標1及び2と類似する商標であって、かつ、引用商標1及び2の指定商品と同一又は類似の商品について使用するものである。
(3)商標法第4条第1項第10号又は第15号について
引用商標1ないし6は、本件商標の登録出願時である平成23年2月14日の時点において、申立人が開催するオリンピック競技大会を指標する商標としてわが国において著名であり、また、申立人及び申立人の関連団体は、本件商標の指定商品の分野において、ライセンス事業を多角的に展開している。したがって、本件商標に接した者は、本件商標から直ちに申立人の著名な引用商標1ないし6を連想・想起し、本件商標権者により提供される商品が、申立人又はその関連団体により提供されるものであるかの如く、商品の出所につき誤認・混同することは必定である。
(4)商標法第4条第1項第7号又は19号について
本件商標は、オリンピック競技大会を指標する商標として国内外の需要者の間に広く認識された、申立人の著名な引用商標1ないし6を剽窃したものに他ならず、引用商標1ないし6の有する指標力・顧客吸引力及びイメージにただ乗りし、不正の利益を得る目的をもって使用するものであって、国際信義及び公序良俗に反するものである。

4 本件商標に対する取消理由
商標権者に対して、平成24年5月7日付けで通知した本件商標の取消理由の要旨は、別掲2のとおりである。

5当審の判断
本件商標について、商標権者に対し、上記4の取消理由を通知し、期間を指定して意見書を提出する機会を与えたが、商標権者からは何らの応答もない。
そして、上記4の取消理由は妥当なものと認められるので、本件商標は、商標法第4条第1項第6号に違反して登録されたものであるから、同法第43条の3第2項により、登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1
(1)本件商標



(2)引用商標1



(3)引用商標2(色彩は原本参照)



(4)引用商標5(色彩は原本参照)




別掲2
当審における取消理由(要旨)
1 申立人の提出に係る証拠によれば、商標法第4条第1項第6号について、以下の事実が認められる。
(1)申立人「コミテ アンテルナショナル オリンピック」(国際オリンピック委員会、以下「IOC」という。)は、近代オリンピックの創始者であるピエール・ド・クーベルタン男爵の提唱により1894年6月23日に設立された、オリンピック競技大会を運営・統括する国際的な非政府の非営利団体であり、オリンピックの理念であるオリンピズムを具現化し、次世代へと受け継いでいく様々な活動(オリンピック・ムーブメント)を統括する最高機関である(甲8)。
(2)オリンピック・ムーブメントは、IOC、国際競技連盟(「IF」と称される。)、国内(地域)オリンピック委員会(「NOC」と称される。)を中心として五大陸にまたがり行われ、その頂点に立つのが4年毎に開催されるオリンピック競技大会である。因みに、2004年の第28回アテネ大会では201の国・地域から、2008年の第29回北京大会では204の国・地域から、それぞれ1万人以上の選手が参加している(甲8、甲30及び甲31)。
(3)「OLYMPIC」、「オリンピック」の文字及び五輪の図形(五輪の図形は「オリンピックシンボル」と称される。)は、第1回オリンピック競技大会アテネ大会が開催された1896年以来、オリンピック競技大会を指標する標章として全世界的規模で使用されてきたものであり、オリンピック憲章に基づき、その使用が厳格に管理されているものである(甲第8号証)。上記オリンピック関連標章及び引用商標(以下、これらをまとめて「オリンピック関連標章」ということがある。)は、多数出版されているオリンピック競技大会に関連する各種書籍には随所に常に掲載されている(甲9ないし甲29)。
また、特許庁商標課編「商標審査基準」では、商標法第4条第1項第6号に関し、「・・・オリンピック、IOC、JOC・・・等を表示する著名な標章等は、本号の規定に該当するものとする。」としており、オリンピック関連標章を容易に想起させる商標について、登録出願の拒絶、登録の取消・無効等が行われている(甲32ないし甲50)。
(4)以上を総合すると、引用商標を含むオリンピック関連標章は、申立人の提供に係る公益に関する事業であって営利を目的としない事業であるオリンピック競技大会を表象するものとして、我が国はもとより世界的に著名になっているものと認められる。
2 本件商標と上記オリンピック関連標章との類否について検討するに、本件商標は、別掲1(1)のとおり、3つの輪を鎖状に交差させた如き図形と「OLYMPIKUS」の文字とを組合せた構成からなるところ、該図形と文字とが常に不可分一体にのみ観察されるべき格別の理由は見出し難いから、読み易い文字部分を捉え、これより生ずる称呼をもって取引に資される場合が少なくないものというべきである。そして、上記「OLYMPIKUS」の文字は、引用商標2の文字部分及び引用商標4とは語頭部分から6文字「OLYMPI」を共通にするものであり、「オリンピクス」の称呼を生ずるものといえる。他方、引用商標2、3及び4は、「オリンピック」の称呼を生ずること明らかである。また、引用商標6は、定冠詞を冠して「オリンピック競技大会」を意味する英語であり、「OLYMPICS」の文字部分が自他識別標識の要部として認識し把握され、これより単に「オリンピックス」の称呼をも生ずるものといえる。
しかして、上記「オリンピクス」の称呼と「オリンピック」の称呼とは、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音を含めた「オ」、「リ」、「ン」、「ピ」の音及び「ク」の音を共通にし、第4音が促音を伴っているか否か、語尾音「ス」を有するか否かの差異を有するのみである。
ところで、オリンピック競技大会ないしは引用商標が周知著名であることから、「オ」、「リ」、「ン」、「ピ」及び「ク」の音から直ちにオリンピック競技大会を連想、想起するものというのが自然である。
そうすると、上記「オリンピクス」の称呼と「オリンピック」の称呼との比較において、上記差異が全体に及ぼす影響はわずかなものであって、それぞれを一連に称呼するときは全体の音感が近似し彼此相紛らわしいものである。
また、上記「オリンピクス」の称呼と「オリンピックス」の称呼とは、比較的長い構成の中間における促音「ッ」の有無という微差を有するのみであり、他の配列構成音を悉く共通にするものであるから、より一層相紛らわしいものである。
してみれば、本件商標と引用商標2ないし4及び6とは称呼において類似する商標というべきである。
3 以上のとおり、本件商標は、公益に関する事業であって営利を目的としないものを表示する標章として著名なオリンピック関連標章である引用商標2ないし4及び6と類似するものであるから、商標法第4条第1項第6号に該当するものである。



異議決定日 2012-09-24 
出願番号 商願2011-9333(T2011-9333) 
審決分類 T 1 651・ 21- Z (X25)
最終処分 取消  
前審関与審査官 鈴木 斎 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2011-07-15 
登録番号 商標登録第5425740号(T5425740) 
権利者 カルサドス アザレイア エセ ア
商標の称呼 オリンピカス、オリンピクス 
代理人 浅村 皓 
代理人 土屋 良弘 
代理人 井滝 裕敬 
代理人 特許業務法人浅村特許事務所 
代理人 藤倉 大作 
代理人 岡野 光男 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 辻居 幸一 
代理人 中村 稔 
代理人 田中 伸一郎 
代理人 加藤 ちあき 
代理人 浅村 肇 

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