• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

この審決には、下記の判例・審決が関連していると思われます。
審判番号(事件番号) データベース 権利
異議2012900276 審決 商標
異議2012900182 審決 商標
異議2012900151 審決 商標
異議2012900277 審決 商標
異議2012900222 審決 商標

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
管理番号 1269697 
異議申立番号 異議2012-900178 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-06-22 
確定日 2013-02-15 
異議申立件数
事件の表示 登録第5480740号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5480740号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件登録第5480740号商標(以下「本件商標」という。)は、「OZ THE GREAT AND POWERFUL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年10月25日に登録出願され、第3類、第14類、第16類、第18類、第25類及び第28類に属する別掲に記載のとおりの商品を指定商品として、同24年3月6日に登録査定、同月23日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標の登録は取り消されるべきであるとして、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として、甲第1号証ないし甲第7号証を提出した。
(1)申立人映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」と申立人による「OZ」関連商標の登録・使用実績
ア 申立人映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」
映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」は、1900年にライマン・フランク・ボームが発表した児童文学小説「オズの魔法使い」(The Wonderful Wizard of Oz)を原作として、1939年に公開されたものである(甲第1号証)。
当該映画は、アカデミー賞を認定する団体である映画芸術科学協会(Academy of Motion Picture and Science)によって、1939年度アカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、作曲賞(ハーバード・ストサート)、歌曲賞(「虹の彼方に」)、アカデミー・ジョブナイル賞(ジュディ・ガーランド)を受賞し(甲第2号証)、その後現在に至るまで、世界中で愛されている映画史上に残る名画である。
イ 申立人による「OZ」関連商標の登録
申立人は、当該映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」に関する一連の登録商標(「THE WIZARD OF OZ」、「THE WIZARD OF OZ ロゴ」、「THE GREAT AND POWERFUL OZ」(出願中を含む。)及び映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」の主人公のドロシー(DOROTHY)をはじめとする登場人物の名前等を含む商標(甲第3号証)。以下「OZ関連商標」という。)についてのすべての権利、所有権及び利益の所有者である。
これらの商標は、大きく成功した世界規模の商標ライセンスプログラムの一環として、長年にわたり、申立人及びその関連会社により、世界中で独占的に使われてきたものである。
申立人は、OZ関連商標について厳粛に管理を行っており、米国はもちろん、日本を含む世界各国において、あらゆる区分について商標登録を有している(甲第3号証)。
ウ 申立人商標の著名性
上記のとおり、映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」は、世界中でこれまで公開された映画の中でも最も愛され、広く知られた映画である。
このことは、アメリカン・フィルム・インスティトュート(American Film Institute’s,アメリカ合衆国において映画芸術の遺産を保護し前進させることを目的として、映画を保存し、映画製作のための訓練と育成を行い、動く映像に関するさまざまな活動を促進する機関)の認定する歴代映画100選ランキングで、毎年10位以内に格付けされていることからも明らかである(甲第4号証及び甲第5号証)。
また、公式心理学サイトにおいて、フロリダ大学の社会心理学の客員教授が、「なぜ『The Wizard of Oz(オズの魔法使い)』はずっと多くの人に愛され続けるのか(なぜ最も観られ続ける映画であるのか)」というテーマで記事を掲載している(甲第6号証)。
エ 申立人によるOZ関連商標の使用実績
申立人は、映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」に関連する権利の適切な管理を行うべく、主要な商標については世界各国で、米国においては原作の小説や映画に出てくる登場人物の名前、物語の中に出てくる地名やものの名称などについて積極的に商標登録を行い、あらゆる関連商品やサービスについて自ら使用するとともに、他社へ使用許諾を行ってきた。
具体的には、OZ関連商標は、映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」の毎年のテレビ放映をはじめ、同映画に関するビデオ、DVD、キャラクターグッズその他の関連商品やサービスの提供、ターナークラシック映画チャンネルでの同映画の放映、申立人ウェブサイトや関連会社であるワーナーブラザーズのウェブサイト(www.wbshop.com)を含む様々なウェブサイトでの映画放映や関連商品販売等を通じて、1939年から実に何十年もの間、広く広告宣伝され、使用され続けてきた(甲第7号証)。
以上のとおり、申立人は、1939年の映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」の公開から現在に至るまで、実に70年以上もの間、OZ関連商標を誠実に使用し、厳粛な管理のもとに世界各国で使用し、自らはもちろん、ライセンシーを通じて大々的に幅広い関連事業を展開し続けてきた。申立人の活動により、「OZ」という商標が、初めて世界中に知られ、浸透したといえる。
したがって、日本を含む世界市場において、「『OZ』≒申立人映画若しくはそれに関連するもの」として広く認識されていることは、明白な事実である。
このような状況から、申立人以外の者は、単発の映画や歌、書籍において「OZ」を含むタイトルを使う余地はあるとしても、それらの関連ビジネスとして、消費者間で申立人所有のOZ関連商標と出所の混同を生じるような商標の使用、それらに関するライセンスプログラムを始める等の権利は一切ないものである。
オ 本件商標について
本件商標は、その構成中に「OZ」の文字を含み、上述のように、申立人の70年以上にわたる事業展開を通じ、「『OZ』≒申立人映画若しくはそれに関連するもの」と広く知られている状況においては、それに触れた消費者が、その出所について申立人又は申立人と何らかの関連があると誤認・混同し、市場において混乱が生じることは明らかである。
そもそも、本件商標は、申立人の映画「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」の有名な場面でのセリフそのものである。オズの魔法使いを探し求めて旅を続けてきた主人公の前にとうとう魔法使いが現れ、「I am Oz the Great and Powerful」と言う有名な場面なのである。映画がクライマックスを迎える非常に印象的かつ重要な場面であることから、申立人は、このセリフをキャッチフレーズとして、映画関連の商品の販売促進のための広告宣伝活動を大々的に行った。
(2)商標法第4条第1項第15号について
上記のとおり、OZ関連商標が申立人の所有に係るものとして広く認識されている状況においては、本件商標に接する需要者が、商品及び役務の出所について、申立人又は申立人と何らかの関連性を有するものであるとの誤認混同をまねく可能性が極めて高いものである。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当する。
(3)商標法第4条第1項第7号について
上記のとおり、日本を含む世界市場において、「『OZ』≒申立人映画若しくはそれに関連するもの」と広く認識されていることが明白であるにもかかわらず、申立人と同業である本件商標に係る出願人が申立人映画の有名な場面のセリフそのものである本件商標を登録、使用することは、社会道徳的な観点からも問題があるといわざるを得ない。
よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当する。
(4)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号に該当するものであるから、その登録は、取り消されるべきものである。

3 当審の判断
(1)「OZ関連商標」の周知著名性について
申立人が提出した証拠によれば、「オズの魔法使」(オズのまほうつかい,The Wizard of Oz)は、1900年にライマン・フランク・ボームが発表した児童文学小説「オズの魔法使い」(The Wonderful Wizard of Oz)を原作として、1939年に公開されたアメリカ合衆国のファンタジー・ミュージカル映画であり、1939年のアカデミー賞では作品賞を含む5部門にノミネートされ、作曲賞(ハーバート・ストサート)、歌曲賞(「虹の彼方に」)、特別賞(ジュディ・ガーランド)を受賞したこと(甲第1号証及び甲第2号証)、また、日本語吹き替えのビデオ・DVD版等が多数作成されていること(甲第1号証)、さらに、例えば、1998年及び2007年に行われたアメリカン・フィルム・インスティトュート(American Film Institute)の認定する歴代映画100選ランキングにおいて10位以内に格付けされていること(甲第4号証及び甲第5号証)等から、アメリカ合衆国はもとより、日本においても広く知られた映画であることが認められる。
ところで、申立人は、上記映画に関する「OZ関連商標」を引用して、該映画の公開から現在に至るまで、実に70年以上もの間、OZ関連商標を世界各国で使用し、幅広い関連事業を展開し続けてきており、日本を含む世界市場において、「『OZ』≒申立人映画若しくはそれに関連するもの」として広く認識されている旨主張している。
しかしながら、「The Wizard of Oz(オズの魔法使い)」に関する一連の登録商標である「OZ関連商標」についてみるに、申立人の提出した証拠からは、「The Wizard of Oz」以外の「Oz」又は「OZ」の文字を含む商標が外国において登録されている事実は認められるとしても、それらの商標や「Oz」又は「OZ」の文字自体が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認めるに足りる証拠はない。
(2)本件商標の商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標は、前記1のとおり、「OZ THE GREAT AND POWERFUL」の欧文字を標準文字で表してなるところ、「OZ」、「THE」、「GREAT」、「AND」及び「POWERFUL」の英単語からなるものであると看取できるものであって、該文字に相応して、「オズザグレートアンドパワフル」の称呼が生ずるものであり、その構成文字から直ちに特定の観念が生ずるとまではいえないものの、各単語の有する意味からすれば、「オズ 偉大で強力であるもの」ほどの意味合いを理解、認識させるということができる。
そして、申立人の提出に係る証拠のみをもってしては、「OZ関連商標」が、本件商標の登録出願前より、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているという事実を認めることができないことは、上記(1)のとおりであり、また、「OZ関連商標」について、その構成中の「OZ」の文字のみに着目し、これをもって取引に資されるとみるべき特段の事情も見当たらない。
してみれば、本件商標は、その全体をもって一体的に認識されるとみるのが相当であり、商標権者が本件商標をその指定商品について使用しても、これに接する需要者がこれより「OZ関連商標」を想起又は連想するものとはいえないから、本件商標は、その使用に係る商品が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある商標ということはできない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)本件商標の商標法第4条第1項第7号該当性について
申立人は、「日本を含む世界市場において、『OZ』≒申立人映画若しくはそれに関連するものであると広く認識されていることが明白であるにもかかわらず、申立人と同業である本件商標に係る出願人が申立人映画の有名な場面のセリフそのものである本件商標を登録、使用することは、社会道徳的な観点からも問題があるといわざるを得ない。」旨主張する。
しかしながら、「Oz」又は「OZ」の文字自体が、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の業務に係る商品又は役務を表示するものとして、日本国内又は外国の需要者の間に広く認識されているものと認められないことは、上記(1)のとおりであり、また、本件商標は、上記(2)のとおり、「OZ THE GREAT AND POWERFUL」の一連の欧文字からなる構成全体をもって一体的に認識されるものであるから、本件商標が「OZ関連商標」又は「申立人映画の有名な場面のセリフそのもの」を剽窃したものであるとは認め難い。
してみれば、本件商標をその指定商品について使用することが、社会公共の利益に反し、社会の一般的道徳観念に反するものであると断ずることはできないものである。
そして、本件商標は、その構成からみて、きょう激、卑わい、差別的若しくは他人に不快な印象を与えるような構成のものでないことは明らかであり、また、その使用が、法的に禁じられているとか、公正な取引秩序を乱すおそれがあったり、国際信義に反するものとなるとすべき明確な理由は見いだせない。
してみると、本件商標は、公の秩序又は善良の風俗を害するおそれのある商標に当たるとは認められないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。
(5)むすび
以上によれば、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号及び同項第7号のいずれにも違反してされたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲
(本件商標に係る指定商品)
第3類「靴クリーム,靴墨,つや出し剤,せっけん類,マウスウォッシュ,その他の歯磨き,化粧品,ローション,香料類,つけづめ,つけまつ毛」
第14類「貴金属,キーホルダー,皮革製キーホルダー,宝石箱,記念カップ,記念たて,記念コイン,身飾品,宝飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,時計」
第16類「紙製幼児用おしめ,パーティー用紙袋,その他の紙製包装用容器,サンドイッチ用の紙製又はプラスチック製の包装袋,紙製のぼり,紙製旗,紙製のパーティー用装飾品,衛生手ふき,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,乳児用おしりふき,紙製ケーキ用装飾品,紙製テーブルクロス,紙製室内装飾用置物,ポートレート,ギフト包装用紙,その他の紙類,転写紙,カーバンパーステッカー,地球儀,模型又は塑像製作用の粘土,転写式アップリケ,コイン収集用アルバム,芳名帳(ゲストブック),紙製包装用蝶型リボン,表彰状,レターオープナー,その他の文房具類,教材(器具に当たるものを除く。),フラッシュカード,その他の印刷物,書画,写真,写真立て」
第18類「かばん金具,がま口口金,蹄鉄,皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,ポーチ,財布,携帯用化粧道具入れ,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄」
第25類「被服,布製おむつ,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」
第28類「遊園地用機械器具(業務用テレビゲーム機を除く。),化粧品おもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃ,携帯用液晶画面ゲームおもちゃの部品及び附属品,モビールおもちゃ,紙製のパーティー用贈呈品(パーティー用品),紙製のパーティーハット,おもちゃ,人形,プラスチック製のパーティー用装飾品,幼児用おもちゃ,ジャンプして遊ぶおもちゃ,回転可動部分を有する乗って遊ぶおもちゃ,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,ボードゲーム,遊戯用器具,ビリヤード用具,幼児用ぶらんこ,その他の運動用具」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
異議決定日 2013-02-07 
出願番号 商願2011-76481(T2011-76481) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X031416182528)
T 1 651・ 22- Y (X031416182528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 岩本 和雄 
特許庁審判長 寺光 幸子
特許庁審判官 田中 敬規
酒井 福造
登録日 2012-03-23 
登録番号 商標登録第5480740号(T5480740) 
権利者 ディズニー エンタープライゼズ インク
商標の称呼 オズザグレートアンドパワフル、オオゼットザグレートアンドパワフル、オズ、オオゼット、ザグレートアンドパワフル、グレートアンドパワフル、パワフル 
代理人 松尾 和子 
代理人 熊倉 禎男 
代理人 中村 稔 
代理人 特許業務法人 松原・村木国際特許事務所 
代理人 藤倉 大作 
代理人 辻居 幸一 
代理人 井滝 裕敬 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ