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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X414344 審判 全部申立て 登録を維持 X414344 審判 全部申立て 登録を維持 X414344 審判 全部申立て 登録を維持 X414344 審判 全部申立て 登録を維持 X414344 |
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管理番号 | 1269688 |
異議申立番号 | 異議2012-900165 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-06-11 |
確定日 | 2013-02-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5481624号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5481624号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5481624号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成23年3月10日に登録出願、第41類「技芸・スポーツ又は知識の教授,セミナーの企画・運営又は開催,電子出版物の提供,図書及び記録の供覧,演芸の上演,演劇の演出又は上演,音楽の演奏,運動施設の提供,娯楽施設の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供」、第43類「宿泊施設の提供,宿泊施設の提供の契約の媒介又は取次ぎ,飲食物の提供,動物の宿泊施設の提供,保育所における乳幼児の保育,高齢者用入所施設の提供(介護を伴うものを除く。),展示施設の貸与」及び第44類「美容,理容,あん摩・マッサージ及び指圧,カイロプラクティック,きゅう,柔道整復,はり,美容院用又は理髪店用の機械器具の貸与」を指定役務として、同24年1月4日に登録査定、同年3月30日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由 登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第15号に該当するものであるから、同法第43条の2第1号によって取り消されるべきであると申し立て、その理由を要旨以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第8号証(枝番号を含む)を提出した。 (1)引用商標 申立人の引用する登録第5252355商標(以下「引用商標」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成20年4月25日に登録出願された商願2008-32859をもとの商標登録出願とする商標法第10条第1項に基づく新たな商標登録出願として、平成21年2月16日に登録出願、第41類「音響用又は映像用のスタジオの提供,運動施設の提供,娯楽施設(電波塔に設置してなる展望台を含む。)の提供,映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供,テレビジョン受信機の貸与,ラジオ受信機の貸与,写真の撮影,通訳,翻訳」を指定役務として、同年7月31日に設定登録され、現に有効に存続しているものである。 (2)具体的理由 ア 商標法第4条第1項第7号の該当性について 「東京スカイツリー」は、東京都墨田区に建設された電波塔として著名であり、本件商標は、電波塔として公益性の高い「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を巧妙に模倣して「東京スカイツリー」を認識させるものであって、「東京スカイツリー」の名声名誉にただ乗りするものであり、公益性の高い「東京スカイツリー」の事業主体(東武鉄道株式会社及び東武タワースカイツリー株式会社)と何ら関係のない一私人に指定商品について独占使用を認めることは、公正な競業秩序を害するものであって、公の秩序又は善良の風俗に反するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に違反して登録されたものである。 イ 商標法第4条第1項第11号の該当性について 本件商標は、「東京スカイツリー」の事業主体と無関係の第三者によって登録出願されたものであるが、その出願日以前に出願された登録第5252355号商標に係る「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状をシルエット化した図形商標と類似であり、その指定役務と同一の役務に使用するものである。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。 ウ 商標法第4条第1項第15号の該当性について 「東京スカイツリー」は、東京都墨田区に建設された電波塔として著名であり、業平橋・押上地区の大規模複合開発による東東京エリアの活性化を牽引するとともに、国際観光都市東京の実現に貢献することを基本理念の一つとしており、「東京スカイツリー」の内部及びその足元に大規模な商業施設「東京ソラマチ」が東京スカイツリーの開業に合わせて建設された。そして、「東京スカイツリー」を中核とした商業施設において広範な営業活動がなされているため、電波塔としての公益性の高い「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を巧妙に模倣した本件商標を使用して提供された役務が、本件商標権者と他人である「東京スカイツリーの事業主体」または「その事業主体と組織的又は経済的に何らかの関連のある者」の事業に係る役務であるかの如く需要者に認識されて出所の混同を生じるおそれがある。 よって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第11号該当性について ア 本件商標について 本件商標は、別掲1のとおりの構成からなるところ、この図形は、中央に大きく2つの展望台を有する縦長の二等辺三角形状のシルエットの塔を配し、かつ、その塔の左右から広がるようにハーフトーンで描かれた左右対称の三日月形の図形が表されてなるものである。 そして、2つの展望台を有する塔と左右対称の三日月形の部分とは、まとまりよく一体的に結合されており、全体として、左右対称の三日月形の図形を有する塔の図形として、見る者に強い印象を与えるものであって、一体不可分の図形商標として看取されるものである。また、これよりは、何らの意味合いを想起させるものではなく、称呼も生じないものである。 そうとすれば、本件商標からは、その図形より特定の称呼及び観念は生じないものというのが相当である。 イ 引用商標について 引用商標は、別掲2のとおりの構成よりなるところ、この図形は、2つの展望台を有する縦長の二等辺三角形状のシルエットの塔を表してなるところ、これは、我が国においてよく知られている世界一高い自立式電波塔の「東京スカイツリー」を想起させ、認識させるものというのが相当である。 してみれば、引用商標は、その電波塔のシルエット部分に相応して「トウキョウスカイツリー」の称呼及び「東京スカイツリー」の観念を生じるものである。 ウ 本件商標と引用商標との類否について 本件商標と引用商標とを対比すると、外観において、両者は、塔の底部が水平と三脚であって、それぞれの塔の2つの展望台の位置及びその形状などに差異が認められ、さらに、引用商標の塔のシルエット図形には、左右対称の三日月形の図形部分が一体的に結合されているものである。 そうとすれば、いずれも2つの展望台を有する縦長の二等辺三角形状からなる塔のシルエット図形であるとしても、明らかにその構成態様が相違し、外観上明確に区別できるものである。 そして、称呼及び観念については、本件商標からは、特定の称呼及び観念が生じないのに対し、引用商標からは、「トウキョウスカイツリー」の称呼及び「東京スカイツリー」の観念を生じるものであるから、両者は、称呼上及び観念上類似するところがなく、互いに区別することができるものである。 そうすると、本件商標は、引用商標とは、外観、称呼及び観念のいずれにおいても相紛れるおそれのない非類似の商標である。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当しない。 (2)商標法第4条第1項第15号該当性について 本件商標は、引用商標とは、上記のとおり、非類似の商標であって、類似性の程度は低く、別異の商標というべきものである。 そうとすれば、引用商標の「東京スカイツリー」をシルエットで表した図形が、本件商標の登録出願時及び登録査定時に周知性を有していたとしても、本件商標と引用商標とは、類似性の程度が低い別異の商標であるから、商標権者が本件商標をその指定役務に使用しても、本件商標は、取引者、需要者をして、引用商標を連想し想起させるものではなく、その使用役務が申立人又は申立人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る役務であるかのように役務の出所について混同を生じさせるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 (3)商標法第4条第1項第7号該当性について 本件商標は、中央に大きく2つの展望台を有するシルエットの塔を配し、かつ、その塔の左右から広がるようにハーフトーンで描かれた左右対称の三日月形の図形が表されてなるものであるから、商標の構成自体が公序良俗違反に該当するものではない。 申立人は、本件商標が、既に著名性を獲得した電波塔として公益性の高い「東京スカイツリー」の特徴的な外形形状を巧妙に模倣して「東京スカイツリー」を認識させ、「東京スカイツリー」の名声名誉にただ乗りするものであり、その事業主体と何ら関係のない一私人に指定役務について独占使用を認めることは、公正な競業秩序を害するものであって、公の秩序又は善良の風俗に反する商標に該当する旨主張する。 しかしながら、申立人の上記主張を首肯し得る証拠は提出されておらず、本件商標権者が「東京スカイツリー」に化体した名声、名誉等にただ乗りし、不正の利益を得るために使用する目的で本件商標を出願し、登録を受けたものであることを認めることはできないものであるから、本件商標が直ちに公正な競業秩序を害するものともいえない。その他不正な意図をもって出願されたものとして、出願の経緯において著しく社会的妥当性を欠くものがあるということを認めるに足る証拠も見当たらない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第7号に該当しない。 (4)結論 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第7号、同第11号及び同第15号に違反してされたものでないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
別掲 |
別掲1(本件商標) 後掲2(引用商標) |
異議決定日 | 2013-01-30 |
出願番号 | 商願2011-17362(T2011-17362) |
審決分類 |
T
1
651・
22-
Y
(X414344)
T 1 651・ 261- Y (X414344) T 1 651・ 262- Y (X414344) T 1 651・ 271- Y (X414344) T 1 651・ 263- Y (X414344) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 海老名 友子、山田 正樹 |
特許庁審判長 |
渡邉 健司 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 前山 るり子 |
登録日 | 2012-03-30 |
登録番号 | 商標登録第5481624号(T5481624) |
権利者 | 株式会社ケイ・シー・エス |
代理人 | 藁科 孝雄 |
代理人 | 村田 幸雄 |
代理人 | 藁科 孝雄 |