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審決分類 審判 一部申立て  登録を維持 X19
審判 一部申立て  登録を維持 X19
審判 一部申立て  登録を維持 X19
審判 一部申立て  登録を維持 X19
管理番号 1269684 
異議申立番号 異議2012-900138 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-03-29 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-05-24 
確定日 2013-02-04 
異議申立件数
事件の表示 登録第5473814号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5473814号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
本件登録第5473814号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲1のとおりの構成からなり、平成23年6月2日に登録出願され、第19類「建築用材料(金属製のものを除く。),人造石材,床材(金属製のものを除く。),建築用石材」及び第20類「家具,洗面化粧台,カウンター(テーブル),洗面化粧台用カウンター,台所用カウンター,浴室用カウンター,トイレ用カウンター」を指定商品として平成24年2月7日登録査定、同月24日に設定登録されたものである。

第2 登録異議の申立ての理由
登録異議申立人(以下「申立人」という。)は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当し、その登録は同法第43条の2第1号により取り消されるべきであるとして、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第45号証を提出した。
1 申立人の引用する商標
申立人が引用する商標は、次のとおりであり、その商標権は、いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第3332402号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:(別掲2のとおり)
登録出願日:平成6年9月14日
設定登録日:平成9年7月18日
指定商品 :第19類「ゴム製建築専用シート,ゴム製防水屋根葺き材」
(2)登録第5308981号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:FIRESTONE (標準文字)
登録出願日:平成21年7月17日
設定登録日:平成22年3月12日
指定商品及び指定役務:第1類「のり及び接着剤(事務用又は家庭用のものを除く。)」、第19類「建築用又は構築用のシーリング材・コーキング材,合成ゴム製の建築用又は構築用の電気絶縁材,非金属製建築専用材料,非金属製屋根材,ゴム製の屋根用防水シート,ゴム製の薄膜状の屋根用防水材」及び第37類「屋根工事,屋根の修理」
(3)登録第81250号商標(以下「引用商標3」という。)
商標の構成:FIRESTONE
登録出願日:大正4年4月19日
設定登録日:大正5年9月4日
書換登録日:平成20年1月30日
指定商品 :第12類「自動車用のタイヤ及びチューブ,二輪自動車及び自転車用のタイヤ及びチューブ,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片,ゴム製の緩衝器及びその附属品,ゴム製の空気ばね」
(4)登録第1335431号商標(以下「引用商標4」という。)
商標の構成:(別掲3のとおり)
登録出願日:昭和44年8月1日
設定登録日:昭和53年6月21日
書換登録日:平成21年1月21日
指定商品 :第12類「船舶並びにその部品及び附属品,航空機並びにその部品及び附属品,鉄道車両並びにその部品及び附属品,自動車並びにその部品及び附属品,二輪自動車・自転車並びにそれらの部品及び附属品,乳母車,人力車,そり,手押し車,荷車,馬車,リヤカー,タイヤ又はチューブの修繕用ゴムはり付け片」
以下、上記引用商標1ないし4を一括して、単に「引用商標」ということがある。
2 申立ての理由の要点
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標1及び2とは、本件商標の3番目に位置する小文字の「o」が引用商標1及び2にはないという差異があるものの、それ以外の文字を共通にするものであって、全体として類似する商標である。
また、本件商標の指定商品中の第19類「建築用材料(金属製のものを除く。)」は、引用商標1及び2の指定商品と類似するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 申立人及び使用に係る商標について
申立人は、社名に「ブリヂストン」を有することからも明らかなように株式会社ブリヂストンの米国子会社であり、株式会社ブリヂストンの保有する商標管理を主な業務としている。
そして、引用商標は、もともとは1900年に米国で創業された老舗のタイヤメーカーの社名「The Firestone Tire & Rubber Company」に由来するものであり、社名である「Firestone」をハウスマークとして広く使用してきた経緯があり、その技術力とブランドカのもと、米国第2位のタイヤメーカーとしての地位を築き上げてきた。全世界におけるタイヤ市場では、1986年当時、グッドイヤー、ミシュラン、ブリヂストン、コンチネンタルに続き第5位のシェアを有していた。同社は1988年に株式会社ブリヂストンに買収、完全子会社化されたが、買収後も、そのまま北米、中南米、欧州等の多数の生産拠点を中心として、「Firestone」ブランドのタイヤを製造販売し続けて、「Firestone」ブランドのタイヤは日本においても販売されている。
さらに、株式会社ブリヂストンは、「Firestone」ブランドのイメージ向上のため、米国のみならず、日本におけるレースヘの参戦やスポンサー契約、商品カタログ、ミレニアムキャンペーンを通した広告宣伝活動にあたり、莫大な費用をかけてきた(甲7ないし甲28)。
以上のように、「Firestone」は、伝統あるブランドとして日本国内外において積極的に宣伝広告された結果、相当の知名度、著名性をも獲得した状況にある。
イ 本件指定商品の属する分野における「Firestone」の著名性について
株式会社ブリヂストンを頂点とするブリヂストングループ(以下「申立人ら」という。)は、多角化部門の一つとしてタイヤと共通する原材料であるゴムを用いた事業である建築専用材料の製造販売にも携わっており、「屋根材」に力を入れてタイヤ同様世界的規模で製造販売している(甲30)。
主要商品として、「熱可塑性エラストマー系防水シート」及び「EPDM加硫ゴム系防水シート」等がアメリカの商品カタログに掲載され、当該カタログでは「Firestone」のロゴが使用されている(甲31ないし甲34)。申立人らは、屋根材事業ではアメリカ最大手といわれている(甲36)。
屋根材や断熱材及びウォールパネル等の建築部材の製品工場は米国に多数あり(甲37)、これらの製品は約50カ国に販売されている。これら「Firestone」の製品の宣伝広告に、2003年 500万米ドル、2004年 1,500万米ドル・・2010年 2,000万米ドルの広告費がかけられ、各国の商品カタログが作成された(甲38ないし甲44)。
さらに、申立人らは本件指定商品と同一・類似の商品について「Firestone」の商標権を各国で取得している(甲45)。
以上のように「Firestone」のブランドは建築専用材料の分野においても世界的に広く知られており、著名性を有している。
このような事情下において、本件指定商品中「建築用材料(金属製のものを除く。)」について、本件商標を使用した場合、これに接する取引者・需要者は当該商品が申立人らの業務に係る商品であるかのように、商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものである。

第3 当審の判断
1 引用商標の著名性について
申立人の提出に係る証拠及び主張よりすると、引用商標は、申立人らと関連する、1900年に米国で創業された老舗のタイヤメーカー「The Firestone Tire & Rubber Company」のハウスマークとして、1988年に株式会社ブリヂストンに買収された後も継続して外国を始め日本国内において「タイヤ」に広く使用された結果、本件商標の登録出願時はもとより、その査定時においても、我が国の自動車用のタイヤ関連分野の取引者、需要者の間に広く知られていたものと認められるものである(甲8ないし甲11、甲16ないし甲19、甲21、甲23及び甲25ないし甲28)。
しかしながら、自動車用タイヤと本件商標の指定商品である「建築用材料(金属製のものを除く。)」とは、用途、目的、取引系統、販売場所、需要者等を異にするものであって、関連性が薄いものといわざるを得ない。
また、申立人らは、子会社332、関連会社152を擁する巨大グループであって、タイヤのみならず、化工品(自動車関連用品、ウレタンフォーム関連用品、電子精密部品、建築資材関連用品等)、スポーツ用品等各種事業を多角的に行っており、関連子会社を通じて屋根材事業も展開している旨主張し、甲第30号証ないし甲第35号証を提出しているが、該証拠によれば、米国において屋根材事業等を行っていることが認められるものの、我が国において屋根材等の建築用材料について引用商標を使用している事実を示す証左は見られない。
そうすると、引用商標は、自動車用タイヤをはじめとする自動車関連商品の分野を超えて、本件商標の指定商品中の「建築用材料(金属製のものを除く。)」の分野の取引者、需要者の間にまで広く認識されているものということはできない。
2 商標法第4条第1項第11号該当性について
(1)本件商標
本件商標は、別掲1のとおり、「FioreStone」の文字からなり、「花」の意味を有し、「フィオレ」と発音されるイタリア語「Fiore」と「石」を意味する英語「Stone」とを結合してなるものであるが、我が国におけるイタリア語の普及度に鑑みれば、全体をもって既成の親しまれた観念を生じ得ない一種の造語として認識し把握され、「フィオレストーン」の一連の称呼のみを生ずるものというべきである。
(2)引用商標1及び2
引用商標1は、別掲2のとおりの構成であり、また引用商標2は「FIRESTONE」の欧文字からなるところ、いずれも「火」を意味する英語「Fire」又は「FIRE」の文字と「石」を意味する英語「stone」又は「STONE」の文字とを結合してなるものであり、いずれも親しまれた英単語であることから、全体をもって「火の石」のごとき意味合いを認識し把握され、「ファイアストーン」の一連の称呼を生ずるものというべきである。
(3)本件商標と引用商標1及び2の類否について
本件商標から生じる「フィオレストーン」の称呼と引用商標1及び2から生じる「ファイアストーン」の称呼とは、称呼の識別上重要な要素を占める語頭音が「フィ」と「ファ」と相違するばかりでなく、続く第2音目及び第3音目が「オレ」と「イア」と相違しており、しかも各相違音はいずれも母音を異にするものであるから、かかる差異が全体の称呼に与える影響は大きく、それぞれを一連に称呼するときは、全体の音感・音調が明らかに異なり、互いに相紛れることなく明瞭に区別することができるものである。
また、本件商標と引用商標1及び2とは、書体を異にするほか、綴りにおいては第3文字目に「o」の文字の有無の差異があることなどを総合すると、両者は外観上別異のものとして看取されるというべきである。
さらに、本件商標は、上記(1)のとおり、特定の観念を生じないものであるから、引用商標1及び2と観念について比較することはできない。
してみれば、本件商標と引用商標1及び2とは、称呼、外観及び観念のいずれの点からみても相紛れるおそれのない非類似の商標といわなければならない。
したがって、本件商標は、その指定商品中の第19類「建築用材料(金属製のものを除く。)」と引用商標1及び2の指定商品とが同一又は類似のものであるとしても、商標法第4条第1項第11号に該当するものではない。
3 商標法第4条第1項第15号該当性について
本件商標と引用商標1及び2とは、上記2(3)のとおり、相紛れるおそれのない非類似の商標であり、引用商標1及び2と引用商標3及び4とは、大文字と小文字の違い等があるものの、同じ綴りよりなるものであるから、本件商標は引用商標3及び4とも非類似の商標である。
結局、本件商標と引用商標とは類似するところのない別異の商標というべきである。
また、引用商標が申立人らの業務に係る商品「自動車用タイヤ」を表示する商標として広く認識されていたとしても、自動車関連商品の分野を超えた取引者、需要者の間にまで広く認識されているものということはできないことは上記1のとおりであり、かかる事情の下において、本件商標をその指定商品中の第19類「建築用材料(金属製のものを除く。)」について使用しても、これに接する取引者、需要者が引用商標ないしは申立人らを連想、想起するようなことはないというべきであり、該商品が申立人らの業務に係る商品であるかの如く、その出所について混同を生ずるおそれはないものと判断するのが相当である。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものではない。
4 むすび
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号のいずれにも違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(本件商標)




別掲2(引用商標1)



別掲3(引用商標4)





異議決定日 2013-01-25 
出願番号 商願2011-37832(T2011-37832) 
審決分類 T 1 652・ 261- Y (X19)
T 1 652・ 262- Y (X19)
T 1 652・ 271- Y (X19)
T 1 652・ 263- Y (X19)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田口 善久 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 堀内 仁子
梶原 良子
登録日 2012-02-24 
登録番号 商標登録第5473814号(T5473814) 
権利者 アイカ工業株式会社
商標の称呼 フィオレストーン、フィオレ 
代理人 脇田 真希 
代理人 本多 一郎 
代理人 本多 敬子 

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