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審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X09 |
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管理番号 | 1269658 |
審判番号 | 不服2009-650068 |
総通号数 | 159 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-03-29 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2009-05-27 |
確定日 | 2012-11-14 |
事件の表示 | 国際登録第934665号商標に係る国際商標登録出願の拒絶査定に対する審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「T-RAY」の欧文字を横書きしてなり、第9類「Instrumentation for imaging and spectroscopy applications,namely radiation transmitters and receivers.」を指定商品として、2007年2月20日にアメリカ合衆国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し、同年(平成19年)8月20日に国際商標登録出願されたものである。 なお、原審において、平成20年8月21日付けで手続補正書が提出されたが、当該補正については、同22年3月12日付けをもって、日本国を指定する国際登録において指定された商品の要旨を変更するとの理由により補正却下の決定がなされ、当該決定は、既に確定している。 2 原査定における拒絶の理由の要点 原査定は、「本願商標は『T-RAY』の文字を横書きしてなるところ、『T-RAY』は”terahertz radiation(テラヘルツ放射線)”の略語であり、X線の代わりに不透明な対象物内部を検出するために用いられる電磁放射線を意味する。したがって、本願商標は全体として、テラヘルツ周波数で送信されるテラヘルツ放射線に関連する商品を意味し、これを本願指定商品に使用するときは、単に上記商品の品質を表すものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当する。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)商標法第3条第1項第3号の該当性について 本願商標は、前記1のとおり、「T-RAY」の文字よりなるところ、該文字とつづり字を同じくする「T-Ray」が、「terahertz radiation(テラヘルツ放射,テラヘルツ電磁波)」の同義語(異表記)であることが、「weblio辞書」のサイト中、「JST科学技術用語日英対訳辞書」及び「ライフサイエンス辞書」(http://ejje.weblio.jp/content/terahertz+radiation)の記載から、認められる。 そして、「T-RAY(T-Ray)」の文字、及び、該語を意味する「テラヘルツ電磁波」等の文字は、「X線に代わって不透明な物体の中を調べる手段に使うことができる電磁波」を表す語として、本願指定商品を取り扱う業界において一般に使用され、また、「テラヘルツ電磁波を用いた非破壊検査装置」等様々な用途の商品が開発、販売されていることが、別掲のインターネット情報及び新聞記事情報から裏付けられるところである。 そうすると、本願商標は、本願指定商品との関係において、その取引者、需要者が「テラヘルツ電磁波の発信機及び受信機」を表示したもの、すなわち商品の品質を表すものであると理解するにとどまるというべきであり、自他商品の識別標識としての機能を果たし得ないものと判断するのが相当である。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当するものと認められる。 (2)請求人の主張(要旨)について 請求人は、本願商標は、アメリカ合衆国及びカナダ国において登録され、国際的に使用されており、また、我が国においても、インターオプトに出展される等の使用がされているから、我が国の需要者にとって、請求人製品の出所を表す商標として、十分に自他商品識別標識として機能する旨主張する。 しかしながら、登録出願された商標が商標法第3条第1項第3号に該当するか否かは、その商標が使用される商品等の取引の実情を考慮し、需要者がどのように認識するかにより個別具体的に判断すべきであり、諸外国で登録され、使用されている等の事例によりこれが左右されるものではない。 また、我が国においては、前記(1)で認定したとおり、インターネット情報及び新聞記事情報から、本願指定商品を取り扱う業界において、「テラヘルツ波」、「テラヘルツ電磁波」等を表す表示として、「T-Ray」の語が一般に使用されている事実が見受けられることからすれば、本願商標は、上記したとおり、品質表示として理解されるものであって、かつ、本願商標をその指定商品について、請求人に独占的に使用させることが適当ではないと認定し得るものである。 したがって、請求人の主張は採用することができない。 その他の請求人の主張をもってしても、原査定の拒絶の理由を覆すに足りない。 (3)まとめ 以上によれば、本願商標を商標法第3条第1項第3号に該当するものとした原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲(以下、文字の下線は当合議体が線引きしたものである。) (1)「宇宙航空研究開発機構」のサイトには、「テラヘルツ光による天体観測技術」のタイトルの下、「最近,『テラヘルツ光』あるいは『T-ray』という言葉を耳にすることがあります。X線に代わって不透明な物体の中を調べる手段に使うことができる電磁波のことで,赤外線と電波の境界領域を指します。」の記載がある。 (http://www.isas.jaxa.jp/j/special/2005/technology/20.shtml) (2)「弘前大学地域共同研究センター」のサイトには、「電波と光の境界領域:テラヘルツ電磁波の活用-超伝導応用計測-」のタイトルの下、「テラヘルツ波とは,周波数にして0.1THz?数10THzの電磁波を指し,マイクロ波・ミリ波と遠赤外光の中間に広がる広大なスペクトルを占めています。・・・テラヘルツ波は電波の透過性と光の直進性という両方の特長を兼ね備えており,さらにDNAや蛋白質などの生体物質や多糖類,特定の化学物質がこの領域に吸収スペクトルを持つことから透過イメージングを含めた生体検査や診断,農作物検査,危険物探査などへの応用が可能です。」の記載がある。 (http://cjr.sunrise-kikaku.biz/wp-content/uploads/2012/02/p101.pdf) (3)「おはよう大徳!」のサイトには、「未来を変えるテラヘルツ技術」のタイトルの下、「テログループが懐中にしのばせた拳銃と手榴弾が空港でのテラヘルツ光(T-ray)による所持品チェックで全て摘発された。内視鏡を使わずにガンの診断が可能に。ガンに成長する前段階のガン細胞も探し出す。これらを次世代光源T-ray(テラヘルツ光:遠赤外線)が可能にする。」の記載がある。 (http://japan.hellodd.com/News/News_View.asp?t=dd_jp_news&mark=864) (4)「山形大学研究者情報/中島 健介」のサイトには、「テラヘルツ波デバイスとイメージング応用」のタイトルの下、「テラヘルツ帯/T-ray,T-band」の記載、及び、「周波数がおおよそ0.1から10THz(1THz=1,000GHz=1×1012Hz)の電磁波は,テラヘルツ波と呼ばれ,・・・マイクロ波と遠赤外光との中間に位置するために電波の透過性と光の直進性を兼ね備えていることに加え,その周波数帯域には生体組織や有機分子などを識別する指紋スペクトルが多数存在することから医療やセキュリティなど幅広い分野での透過イメージングやセンシング応用に注目が集まっています。」の記載がある。 (http://www2.yz.yamagata-u.ac.jp/research/seeds/pdf22_j/7_7nakajima.pdf) (5)「岡山大学」のサイトには、「テラヘルツ波プレートリーダーシステムの開発と生体相互作用分析への応用」のタイトルの下、「テラヘルツ波(T-Ray)は、光と電波の境界にある電磁波領域です。これまで、発生・検出が困難であったため、『未踏の光』と呼ばれてきました。近年のレーザー技術・半導体技術の進展により、テラヘルツ波工学も急速に発展してきました。これまでに、安全安心のための様々な非接触評価システムや、無機・有機材料の解明・検査を行うシステムなど、テラヘルツ波の特徴を生かした幅広いシステムが考案されています。」の記載がある。 (http://www.okayama-u.ac.jp/jp/pdf/hojokin/nedo/KiwaToshihiko.pdf) (6)「株式会社テラウェーブ」のサイトには、「テラヘルツ波の特長」のタイトルの下、「『THz光』・『THz波』・THz電磁波』・『T-ray]」の記載がある。 (http://tera-wave.com/terahertztoha%20tokuchou.htm) (7)「独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構」のサイトには、「画像診断技術の最新動向(世界)」のタイトルの下、「テラヘルツ波」の注釈として、「周波数1THz前後の電磁波。T線(T-ray)、THz電磁波、テラヘルツ光などとも呼ばれる。」の記載がある。 (http://www.nedo.go.jp/content/100105266.pdf) (8)「有限会社スペクトルデザイン」のサイトには、「テラヘルツイメージセンサー」のタイトルの下、「産業用テラヘルツイメージングシステム」の商品説明として、「用途/・工業材料・製品の検査・美術・文化財の非破壊検査」、「特徴/・小型・ロバスト性を兼ね備えたテラヘルツイメージングシステム」の記載がある。 (http://www.spectradsn.com/category/1485216.html) (9)「読売新聞」(平成24年3月21日付け、大阪朝刊31頁) 「高松塚古墳壁画 発見40年 飛鳥美人 輝きもう一度=特集」の見出しの下、「修復には石材や漆喰、顔料の入念なチェックも必要となる。非破壊検査しかできないため壁画の観察には石材がすっぽり収まる大型スキャナーを導入した。漆喰の状態はテラヘルツ波という電磁波で調べ、顔料は赤外線や蛍光エックス線で分析。」の記載がある。 (10)「朝日新聞」(平成24年1月29日付け、東京朝刊9頁) 「銃所持、赤外線で確認 NY市警計画」の見出しの下、「ニューヨーク市警は、赤外線を使って路上の人が拳銃を持っているかどうかを確認する装置の開発計画を発表した。・・・計画されているのは遠赤外線の一種、テラヘルツ波を使う装置。布などは透過するが、金属によって遮られるため、拳銃を所持しているか分かる。」の記載がある。 (11)「日刊工業新聞」(平成24年1月17日付け、6頁) 「新生アドバンテスト、売上高2500億円狙う」の見出しの下、「すでに電子ビーム技術を用いた電子顕微鏡、テラヘルツ波による非破壊分析装置を事業化している。」の記載がある。 (12)「化学工業日報」(平成23年9月13日付け、5頁) 「富士通研、テラヘルツ波物質検査を25倍に高速化する新光学素子」の見出しの下、「テラヘルツ波は紙やプラスチック、布などの非金属をよく透過し、『指紋スペクトル』と呼ばれる物質特有のテラヘルツ波の透過周波数を測定できるため、外見が同じ錠剤でも何の薬かを特定可能。」の記載がある。 (13)「日刊工業新聞」(平成23年9月5日付け、9頁) 「JFEテクノリサーチ、テラヘルツ波を利用した非破壊検査装置を発売」の見出しの下、「JFEテクノリサーチ(東京都中央区・・・)は、電磁波の一種であるテラヘルツ波を使った小型の非破壊検査装置を発売した。」の記載がある。 |
審理終結日 | 2012-06-14 |
結審通知日 | 2012-06-22 |
審決日 | 2012-07-03 |
国際登録番号 | 0934665 |
審決分類 |
T
1
8・
13-
Z
(X09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小田 昌子 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
井出 英一郎 豊瀬 京太郎 |
商標の称呼 | テイレイ、レイ、レー、アアルエイワイ |
代理人 | 宮川 貞二 |
代理人 | 柴田 茂夫 |