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審決分類 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) Z33
管理番号 1269635 
審判番号 取消2011-300768 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2011-08-11 
確定日 2013-02-01 
事件の表示 上記当事者間の登録第4581396号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第4581396号商標の商標登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第4581396号商標(以下「本件商標」という。)は、「ROCK&ROLL」の文字を標準文字で表してなり、平成13年10月2日登録出願、第33類「日本酒,洋酒,果実酒,中国酒,薬味酒」を指定商品として、同14年6月28日に設定登録されたものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求める、と申し立て、その理由、答弁に対する弁駁及び口頭審理における陳述を要旨次のとおり述べた。
1 請求の理由
本件商標は、その指定商品について、本件審判請求の日前3年間継続して商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものである。
2 答弁に対する弁駁
被請求人は答弁書において乙第1号証及び乙第2号証(なお、乙第1号証及び乙第2号証は甲号証として提出されているが、以下、それぞれ「乙第1号証」、「乙第2号証」とする。)を証拠に、被請求人の使用権者が、その指定商品中「ウイスキー」について本件商標を使用している旨を主張しているが、被請求人が主張している商標の使用行為について、いずれの使用行為も、被請求人の使用権者による本件商標の使用には該当しない。
(1)乙第1号証について
ア 乙第1号証のパンフレットは、アメリカ合衆国ケンタッキー州で生産されているバーボン・ウィスキーを列挙したものであると理解できるが、本件商標の使用をした日について立証がされていない。また、当該パンフレットが配布されている販売ミーティングの場所が明らかにされていないため、本件商標の使用が日本国内において行われていることについて立証されていない。
イ また、当該パンフレットの作成者、当該パンフレットに示された商品の生産者等について明らかにされていない上、被請求人の使用権者が誰であるのかも明らかにされていないため、本件商標の使用をしている者について立証されていない。
ウ 当該パンフレットの右端のボトルに表示された「ROCK&ROLL」は、黒色の矩形図形内に表された白抜き文字と、白色の矩形図形内に表された黒文字を左から順に交互に用いた態様となっており、本件商標が標準文字で表されていることを鑑みると、本件商標と社会通念上同一であるとはいい難いものである。
エ 当該パンフレットにおいて、被請求人が赤線アンダーラインで示した「Rock and Roll Fine Bourbon Whiskey」の記載中の「Rock and Roll」の文字は、本件商標では「&」の記号で表されている部分が英語の「and」で表されており、本件商標と社会通念上同一であるとは必ずしもいえないものである。また、当該記載は、当該パンフレット中の「Kentucky’s Bourbons」の文字等と比べて著しく小さく、商標的機能を発揮しているとはいい難いものである。
オ したがって、乙第1号証において、被請求人が主張している商標の使用行為は、被請求人の使用権者による本件商標の使用には該当しないものである。
(2)乙第2号証について
ア 乙第2号証の印刷物において、乙第1号証に示されているものと同一のボトルの写真が印刷されているが、本件商標の使用をした日について立証されておらず、印刷された写真は、当該ボトルが屋内の片隅と考えられる場所に置かれている状態で撮影されており、本件商標の使用が日本国内において行われていることについての立証がなされていない。
イ 当該印刷物からは、当該ボトルに詰められた商品の生産者等が明らかではなく、上述のとおり、被請求人の使用権者が誰であるのかも明らかにされていないため、本件商標の使用をしている者について立証されていない。
ウ 当該印刷物のボトルに表示された「ROCK&ROLL」は、前記(1)ウのとおり、本件商標と社会通念上同一であるとはいい難いものである。
エ したがって、乙第2号証において、被請求人が主張している商標の使用行為は、被請求人の使用権者による本件商標の使用には該当しない。
3 口頭審理における陳述
(1)乙第3号証ないし乙第5号証はいずれも「インターナショナル ビバレッジ」という被請求人とは異なる法人が、被請求人の代理人あてに送付した文書の写し並びにその翻訳文であり、単に同社が日本で販売活動をしている旨を主張しているにすぎないものである。
また、乙第6号証の「インターナショナル ビバレッジ」が被請求人の代理人あてに送付した文書は、被請求人は同社の親会社である旨を主張しているにすぎず、そのような両者の関係が客観的に示された証拠は見当たらない。
仮に被請求人の主張のとおり、被請求人が「インターナショナル ビバレッジ」の親会社だとしても、「インターナショナル ビバレッジ」が本件商標に係る商標権について使用許諾を受けた者であるか不明である。
(2)本件商標が標準文字で表されていることに鑑みると、黒色の矩形図形内に表された白抜き文字と白色の矩形図形内に表された黒文字を左から順に交互に用いた態様に変形して使用している態様は、本件商標と社会通念上同一であるとはいい難いものである。
(3)以上のとおり、被請求人の主張は、いずれも穏当を欠くものであり、乙第1号証並びに乙第3号証ないし乙第6号証において主張されている商標の使用行為は、被請求人若しくは被請求人の使用権者による本件商標の使用には該当しないのは明らかである。

第3 被請求人の主張
被請求人は、「本件審判の請求は、成り立たない。審判費用は、請求人の負担とする。」との審決を求めると答弁し、答弁書、口頭審理における陳述及び上申書において、その理由を要旨次のとおり述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第6号証を提出した。
1 本件商標は、被請求人の使用権者が継続的に日本の輸入業者に対する商品宣伝として、「ウィスキー」についてパンフレットを作成して、これを販売ミーティングで配布して使用している。
(1)本件商標を「ウィスキー」について使用していることを乙第1号証に示す。乙第1号証の右端のボトルに本件商標が記載され、乙第1号証の下から2段目(赤線アンダーライン部分)に「Rock and Roll」につき、「Fine Bourbon Whiskey」と記載されていることからも理解できる。
(2)乙第2号証に示すボトルは、乙第1号証の右端のボトルを示し、本件商標を指定商品中「ウィスキー」に使用していることが明かに理解できる。
本件商標を付した乙第2号証に示す「ウィスキー」については、日本のチェーンストアである「河内屋」で販売されている。
(3)したがって、本件商標は、請求に係る指定商品中「ウィスキー」について、日本国内において本件の審判請求日前3年以内に被請求人の使用権者が使用している。
2 口頭審理における陳述
(1)乙第1号証のパンフレットは、被請求人が、日本のホテル西洋銀座において、顧客相手の発表に販売材料の一つとして使用している。
このことは、乙第3号証ないし乙第5号証の被請求人からのFAXの内容から解る。
(2)乙第3号証の平成24年2月29日付けFAX内容によれば、乙第1号証のパンフレットは、顧客相手の発表に販売材料の一つとして使用している。
(3)乙第4号証の平成24年7月19日付けFAX内容によれば、日本には度々訪れ、「ホテル西洋銀座」(東京都中央区銀座1-11-2)で、販売活動の会合をしている。
(4)乙第5号証の平成24年7月23日付けFAX内容によれば、2008年10月28日、2009年10月15日、2010年3月17日、同年8月17日、2011年1月13日、同年8月23日に日本へ訪問して、被請求人のエージェントである「インターナショナル ビバレッジ」が営業活動をしている。
(5)乙第1号証において、「ROCK&ROLL」とウィスキーの瓶のラベルに表記されていて、「ROCK&ROLL」と視認できるので商標同一性が有ることは明瞭である。
(6)乙第6号証によれば、被請求人は、FAX書面に記載の「インターナショナル ビバレッジ」の親会社である。「インターナショナル ビバレッジ」は、被請求人「アライド ロマー,インク.」の本件商標を「ウィスキー」について宣伝広告している。
したがって、「インターナショナル ビバレッジ」の本件商標を使用した「ウィスキー」についての宣伝広告は、商標権者若しくは通常使用権者の使用となる。
(7)答弁書における河内屋で販売されているとの答弁は、現時点では立証できないため撤回する。また、乙第2号証に示すウィスキーの写真について、当該商品の生産者、販売者、販売場所等についての立証は現時点ではできないので撤回する。
(8)以上のとおり、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内で、商標権者は顧客相手に、商品「ウィスキー」について登録商標「ROCK&ROLL」を宣伝用に使用している。
3 平成24年8月31日付け上申書
被請求人は、新たな証拠の提出は行わない。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の証拠によれば次のとおりである。
(1)乙第1号証は、「SMALL PRODUCTION SMALL BARRELS BIG FLAVOR Kentucky's ARTISAN Bourbons」のタイトルが付されたパンフレット(以下「本件パンフレット」という。)であり、右端のボトルに、「ROCK&ROLL」の構成各文字が白色と黒色の矩形内に黒抜き文字又は白抜き文字で表示されている。また、本件パンフレットの下部に「Rock and Roll Fine Bourbon Whiskey」の文字が表示されている。なお、本件パンフレットの発行日、発行者及び商品の生産者等の記載はない。
(2)乙第3号証ないし乙第6号証は、インターナショナル ビバレッジから被請求人代理人あての4通のFAXであり、それぞれのFAXは、本件パンフレットを販売資料の一つとして使用していること(乙第3号証)、当該会社の代表者はホテル西洋銀座で販売活動の会合を行っていること(乙第4号証)、2008年10月28日、2009年10月15日、2010年3月17日、同年8月17日、2011年1月13日、同年8月23日に日本で営業活動を行ったこと(乙第5号証)、及び被請求人はインターナショナルビバレッジの親会社であること(乙第6号証)を、インターナショナルビバレッジが主張する内容である。
(3)被請求人は、インターナショナル ビバレッジが本件商標の通常使用権者であること、本件商標が付されたバーボンウィスキー(以下「使用商品」という。)について、本件審判の要証期間内に販売活動が行われたこと、その販売活動において使用商品に係る宣伝活動が行われたこと(本件パンフレットが使用されたこと)、及び使用商品と商標権者又はインターナショナル ビバレッジとの関係を示すものなど、本件商標の使用を証明する客観的な証拠は、何ら提出していない。
2 判断
上記1及び被請求人の主張を総合すれば、次のとおり認めることができる。
(1)使用商標及び使用商品について
被請求人が営業活動において使用したとする本件パンフレットの右端のボトルに、ややデザインが施された「ROCK&ROLL」(以下「使用商標」という。)の欧文字が表示されている(上記1(1))。
そうすると、使用商標は、「ROCK&ROLL」の文字からなるものであるから、「ROCK&ROLL」の文字からなる本件商標と社会通念上同一と認められる。
また、使用商品は、上記のとおり、バーボンウィスキーであるから、本件審判の請求に係る指定商品中「洋酒」の範ちゅうに属する商品である。
(2)本件商標の使用者、使用時期等について
しかしながら、本件パンフレットは、その発行日、発行者及び使用商品の生産者が確認できないものである。
さらに、乙第3号証ないし乙第6号証について、被請求人は、上記1(2)に記載の内容を主張するのみであり、インターナショナル ビバレッジが本件商標の通常使用権者であって、本件審判の要証期間内における販売活動において、本件商標が付された使用商品に係る宣伝活動を行ったこと及び使用商品が商標権者又は通常使用権者により取引されている事実を何ら立証していない。
(3)そうとすると、商標権者又は通常使用権者が、本件審判の請求の登録前3年以内に、日本国内において、使用商品についての本件商標の使用をしていたものと認めることはできない。
3 まとめ
以上のとおりであるから、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが請求に係る指定商品について、本件商標を使用していたことを証明したものと認めることはできない。また、被請求人は、その指定商品について本件商標を使用していないことについて正当な理由があることも明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その登録を取り消すべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
審理終結日 2012-09-12 
結審通知日 2012-09-14 
審決日 2012-09-26 
出願番号 商願2001-88699(T2001-88699) 
審決分類 T 1 31・ 1- Z (Z33)
最終処分 成立  
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 堀内 仁子
高野 和行
登録日 2002-06-28 
登録番号 商標登録第4581396号(T4581396) 
商標の称呼 ロックアンドロール、ロックロール 
代理人 佐藤 勝 
代理人 山田 和明 
代理人 石黒 智晴 

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