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審決分類 審判 査定不服 商3条2項 使用による自他商品の識別力 登録しない X09
審判 査定不服 商3条1項5号 簡単でありふれたもの 登録しない X09
管理番号 1269578 
審判番号 不服2011-22380 
総通号数 159 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-03-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-10-17 
確定日 2013-01-18 
事件の表示 商願2010-85254拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 第1 本願商標
本願商標は、「GR」の文字を標準文字で表してなり、第9類「デジタルカメラ並びにその部品及び付属品」を指定商品として、平成22年11月2日に登録出願されたものである。

第2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、商品の品番、等級等の記号、符号として類型的に使用されているローマ文字2字に相当する『GR』を標準文字で表してなるものですから、これをその指定商品に使用しても、極めて簡単で、かつ、ありふれた標章のみからなる商標にすぎないものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。また、出願人は、意見書において、同法第3条第2項の規定により登録されるべきものである旨の主張をしているが、提出された添付資料からでは、使用された結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識するに至ったものと認定することができないので、同法第3条第2項により登録することもできない。」旨認定、判断し、本願を拒絶したものである。

第3 当審の判断
1 商標法第3条第1項第5号について
本願商標は、「GR」の欧文字を標準文字で表してなるものであるが、欧文字2字からなる標章は、一般に商品の規格、型式又は品番等を表示するための記号・符号として、類型的に採択・使用されている実情にあり、このことは、別掲1に示すように本願の指定商品を取り扱う業界においても同様に使用されていることからも十分に裏付けられるところである。
そうすると、「GR」の欧文字の2字を標準文字で表してなる本願商標は、これをその指定商品について使用した場合、取引者、需要者は、極めて簡単、かつ、ありふれた商標と認識し把握するに止まり、商品の出所を識別するための標識とは認識し得ないものといわなければならない。
したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第5号に該当する。
2 商標法第3条第2項について
自他商品の識別機能を果たし得ない商標が、使用により識別力を有するに至ったものとして登録が認められるのは、その商標と同一の商標及びその商標を使用していた商品と同一の商品に関する場合のみである。そして、当該商標が使用により識別力を有するに至ったかどうかは、実際に使用している商標ならびに商品の使用開始時期、使用期間、使用地域、生産数量又は営業の規模及び広告宣伝の回数などを総合的に勘案して判断されるべきものである。
そこで、上記観点から、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備しているかについて検討する。
(1)事実認定
請求人(出願人)が提出する甲第1号証ないし甲第141号証によれば、以下の事実が認められる。
請求人(出願人)は、別掲2の構成からなる標章を付したコンパクト型デジタルカメラ「GR デジタル」を2005年10月21日に発売し、その後、その後継機種を順次発売し、現在に至っている(甲8、11及び14)。
そして、請求人の提出する新聞・雑誌記事掲載・テレビ放映一覧によれば、全国紙やテレビ番組において、該商品が取り上げられ、ファッション誌、情報誌等の一般雑誌やカメラ専門誌において、該商品の紹介記事が認められるところ(甲26?28、甲91?116)、該紹介記事においては、別掲2の構成からなる標章を付した実機の写真が掲載されている例が多数認められ、また、「リコー(の)GR(3)」(甲91、102、106、108、111、112、113、114、116)、「RICOH(の)GR」(甲92、96、98、100、105、107、110)、「リコーGRデジタル(3(ローマ数字))」(甲93及び94、95、97)、「GRデジタル」(甲99)、「GRシリーズ」(甲101)及び「GR」(甲104、109、115)の文字の各使用例が認められる。
なお、該商品の販売台数は、2005年10月から2011年9月の間において、シリーズ累計で174,830台であり(甲20)、その取引先は大手家電量販店を中心に全国に及んでいる(甲141)。
(2)判断
上記(1)の事実を総合して判断すると、請求人は、自己の商品「デジタルカメラ」本体には、別掲2に示すとおり、「GR」の文字と「DEGITAL」の文字とを上下二段に表してなる標章を使用している。
そして、雑誌記事等の商品紹介にあっては、請求人(出願人)の名称である「リコー(RICOH)」の文字や別掲2の構成からなる標章を付した実機の写真と併用した態様で使用されるものが大半を占めている。
さらに、欧文字2字は、上記1のとおり、商品の型番を示すための記号又は符号として一般的に使用されており、該文字の商標としての自他商品の識別力は本来的に弱いものであるから、「リコー(RICOH)」の文字や「DEGITAL(デジタル)」の文字と「GR」の文字とが併記された商標の使用にあっては、取引者、需要者をして「GR」の文字のみで請求人(出願人)の取り扱う商品を連想、想起させるほど格別に注意を強く惹くものであるとはいうことができない。
そうとすれば、上述の文字が併記された標章からは、「GR」の文字部分を要部抽出することができず、該標章と標準文字「GR」からなる本願商標とは同一の商標ということはできない。
加えて、該商品の生産台数は、上記のとおり、5年間の累計で17万余台であり、他方、職権調査によれば、「カメラ映像機器工業会」のウェブサイト(http://www.cipa.jp/)において、我が国おけるデジタルスチルカメラの生産出荷実績の記載があり、2006年から2011年にかけての国内向け生産出荷実績は、概ね年間1000万台前後で推移していることからすれば、たとえそれが1機種のみの販売台数であって、全国に販売網があるとしても、その市場占有率は極わずかであるといわざるを得ず、該商品に接する機会のある需要者は多数であるとはいい難いものである。
そうとすれば、本願商標は、その指定商品に使用をされた結果、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができるに至っているとはいえず、本願商標が商標法第3条第2項の要件を具備するものということはできない。
(3)まとめ
以上によれば、本願商標が商標法第3条第1項第5号に該当するものであって、同法第3条第2項の要件を具備するものではないとして、本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲1 欧文字2字が型番等として、使用されている事例
(1)「PASODEN パソ電」のウェブサイトにおいて、「[富士フイルム] FX-Z1000EXR GR」の見出しの下、「デジタルカメラ FinePix Z1000EXR ジェイドグリーン FX-Z1000EXR GR 型番:FX-Z1000EXR GR」の記載がある。
http://www.pasoden.com/goods/fx_z1000exr_gr.html?rk=010005m900003d
また、同サイトにおいて、「[ニコン] COOLPIXS3300GR」の見出しの下、「コンパクトデジタルカメラ COOLPIX S3300 ミントグリーン COOLPIXS3300GR 型番:COOLPIXS3300GR」の記載がある。
http://www.pasoden.com/goods/coolpixs3300gr.html
(2)「エディオンネットショップ」のウェブサイトにおいて、「カシオ デジタルカメラ EXILIM グリーン(型番:EX-ZS150GN)」の記載がある。
http://www.edion.com/CSfLastGoodsPage_001/100684
また、同サイトにおいて、「オリンパス デジタルカメラ レッド(型番:VH-210 RED)の記載がある。
http://www.edion.com/CSfLastGoodsPage_001/99515
(3)「amazon.co.jp」のウェブサイトにおいて、「OLYMPUS デジタルカメラ CAMEDIA (キャメディア)SP-565UZ」の記載がある。
http://www.amazon.co.jp/gp/product/B001ET6OD8?ie=UTF8&tag=joyshoppingjp-22&linkCode=as2&camp=247&creative=7399&creativeASIN=B001ET6OD8
(4)「株式会社JVCケンウッド」のウェブサイトにおいて、「液晶付デジタルビデオカメラ」の見出しの下、「GR-X5」の記載がある。
http://www3.jvckenwood.com/dvmain/gr-x5/index.html

別掲2
請求人の取扱いに係るデジタルカメラに付された本願商標の使用態様



審理終結日 2012-08-31 
結審通知日 2012-09-07 
審決日 2012-11-29 
出願番号 商願2010-85254(T2010-85254) 
審決分類 T 1 8・ 15- Z (X09)
T 1 8・ 17- Z (X09)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 蛭川 一治 
特許庁審判長 関根 文昭
特許庁審判官 吉野 晃弘
梶原 良子
商標の称呼 ジイアアル 

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