• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X0142
審判 全部申立て  登録を維持 X0142
管理番号 1268530 
異議申立番号 異議2012-685016 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-08-22 
確定日 2012-11-22 
異議申立件数
事件の表示 国際登録第1068416号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて,次のとおり決定する。 
結論 国際登録第1068416号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
本件国際登録第1068416号商標(以下「本件商標」という。)は,別掲(1)のとおりの構成からなり,2010年10月14日にオーストリア共和国においてした商標登録出願に基づいてパリ条約第4条による優先権を主張し,2010年11月25日に国際商標登録出願され,第1類「Chemicals used in industry;chemical preparations for scientific purposes (other than for medical or veterinary use);chemical preparations for use in photography;agricultural chemicals,except fungicides,weedkillers,herbicides,insecticides and parasiticides;horticulture chemicals,except fungicides,herbicides,insecticides and parasiticides;chemicals for forestry,except fungicides,herbicides,insecticides and parasiticides.unprocessed artificial resins,unprocessed plastics;manures;fire extinguishing compositions;tempering and soldering preparations;chemical substances for preserving foodstuffs;tanning substances;adhesives used in industry;ionic liquids,namely industrial chemicals.」及び第42類「Scientific and technological research and development;computer software design;industrial design;industrial analysis and research services;design and development of computer hardware and software.」を指定商品及び指定役務として,2012(平成24)年6月8日に設定登録されたものである。
2 登録異議申立人(以下「申立人」という。)の引用する登録商標は以下のとおりであり,いずれも現に有効に存続しているものである。
(1)登録第897047号商標(以下「引用商標1」という。)
商標の構成:別掲(2)のとおり
登録出願日:昭和43年10月30日
設定登録日:昭和46年 5月7日
書換登録日:平成14年 5月22日
指定商品 :第1類「化学品,植物成長調整剤類」,第5類「薬剤」
(2)登録第1014099号商標(以下「引用商標2」という。)
商標の構成:別掲(3)のとおり
登録出願日:昭和44年 3月28日
設定登録日:昭和48年 5月21日
指定商品 :第1類「化学品(他の類に属するものを除く),薬剤,医療補助品」
以下,これらを併せて「引用商標」という。
3 登録異議の申立ての理由(要点)
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標と引用商標を比較すると,両商標は,左右に六角形の図があること,その六角形の両側を重合して中央を空所としたことも同様であり,その差は,中央の空所の形状が水滴のような形状であるか縦長の六角形状であるかと,本件商標に色彩が施されていることである。しかしながら,中央の空所の形状の差は,左右の六角形の図に挟まれていることにより,需要者は六角形の図に注意を惹かれ空所の形状からは強い印象を受けず,その空所の形状によって両商標を区別することは極めて困難である。また,本件商標の色彩も引用商標を同様の色彩とすれば,区別することは殆ど不可能である。
以上の理由により,本件商標と引用商標とは,対比観察においても外観上類似するのは勿論,これを時と所を異にして比較すれば,需要者は両者を混同するおそれのあることは明らかである。また,本件商標の指定商品は,引用商標中の第1類に属する商品と類似することは明らかである。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第11号に違反してなされたものであり,取り消されるべきものである。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は,引用商標を昭和43年10月より社章とし,会社案内や商品の包装用びん等に使用している。そして,申立人は,その製造販売に係る各種商品と共に引用商標が示された広告を雑誌やテレビジョン等によって行っているから,引用商標は,申立人の永年の使用により,少なくとも本件商標の先願権発生日以前に,日本国内において「化学品,農薬」の分野において需要者に周知である。
したがって,本件商標の登録は,商標法第4条第1項第15号に違反してなされたものであり,その登録は取り消されるべきである。
4 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は,別掲(1)に示すとおり,8つの先端を丸くした角(以下「丸角」という。)を直線(上下に配置された線はそれぞれ内側に屈折している。)で結んだ輪郭の全体形状からなり,向かって左に,4つの丸角と2つの角を結ぶ直線と曲線に囲まれたオレンジ色の図形を,同じく右に,4つの丸角と2つの角を結ぶ直線と曲線に囲まれた青色の図形を,それぞれの曲線の部分を内側にし,その上下の部分が接着するように配し,これらの内側に水滴状の白抜き部分を有する構成からなるものである。
そして,本件商標は,オレンジ色と青色とからなる彩色と丸角や曲線による描写などから,全体として柔らかな印象を与えるものといえる。
一方,引用商標1は,別掲(2)に示すとおり,8つの角を直線(上下に配置された線はそれぞれ内側に屈折している。)で結んだ輪郭の全体形状からなり,その構成中の左右に,6つの角を直線及び内部に屈折した線で囲まれた黒色の相似形の図形を,それぞれの内側の上下の部分が接着するように配し,これらの内側に縦長六角形の白抜き部分を有する構成からなるものである。また,引用商標2は,別掲(3)に示すとおり,引用商標1と同じ形状の図形にあって,構成中の向かって左側の黒色部分を赤色にしてなるものである。
そして,引用商標は,黒色のみ又は黒色と赤色との彩色,角と直線のみによる描写などから,全体としてはっきりしたシャープな印象を与えるものといえる。
そこで,本件商標と引用商標を比較すると,両商標は,8個の角又は丸角を有し,その角(丸角)を直線及び内側に屈折した直線で結んだ輪郭の全体形状を有することと,図の中央に白抜き部分を有することに共通点を有するものである。
しかしながら,両商標は,1)彩色部分におけるオレンジ色と青色と,黒色又は黒色と赤色の色彩の相違,2)白抜き部分における水滴状と縦長六角形の形状の相違,3)角部分における丸角と角の形状の相違などの構成各部分に相違を有するのに加え,全体構成においても,柔らかな印象とはっきりしたシャープな印象との,異なった印象を与えるものといえるから,これらを時と処を異にして接した場合でも外観上相紛れるおそれはないものとみるのが自然である。
また,本件商標と引用商標は,共に特定の称呼及び観念を生ずるとはいえないから,両商標は,称呼及び観念において類似するものでもない。
したがって,本件商標は,引用商標とはその外観,称呼及び観念のいずれからみても十分に区別し得る非類似の商標であるから,商標法第4条第1項第11号に該当しない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
申立人は,引用商標が本件商標の出願時前から「化学品,農薬」の分野における需要者に周知である旨主張しているところ,申立人の提出に係る証拠によれば,申立人が引用商標1と同形状の標章及び引用商標1の黒色の部分を赤色にした標章(以下,これらも「引用商標」という。)を社章として採択し,これを申立人の会社案内やその取り扱いに係る商品の包装用びんに使用していること,また,引用商標を表示した広告を「植調」なる月刊誌に昭和47年11月から平成24年9月まで掲載していること,更に,引用商標を表示したテレビCMを静岡第一テレビにおいて平成14年4月から平成15年6月まで放映していたことなどが認められる。
しかしながら,これらにおいて引用商標は,いずれも申立人の名称である「クミアイ化学工業株式会社」と共に使用されており,また,広告を掲載したとする雑誌は「植調」なる月刊誌のみ,テレビCMも地方局のもののみである。更に,申立人は,引用商標を使用する商品の販売数量や販売額,「植調」なる雑誌の販売部数などの具体的な数値を提出していない。
そうすると,申立人の提出に係る証拠からは,引用商標が本件商標の登録出願時・査定時において,「化学品,農薬」の分野における需要者の間に広く認識され,かつ,著名になっていたものということはできない。
加えて,前記(1)で認定したとおり,本件商標と引用商標とは,相紛れるおそれのない非類似の商標である。
してみれば,本件商標をその指定商品に使用しても,これに接する需要者が,引用商標又は申立人を連想,想起するようなことはなく,該商品が申立人又は同人と経済的・組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく,その出所について混同を生ずるおそれはないものというべきである。
したがって,本件商標は,商標法第4条第1項第15号に該当しない。
(3)むすび
以上のとおり,本件商標は,商標法第4条第1項第11号及び同項第15号に違反して登録されたものではないから,同法第43条の3第4項の規定により,その登録を維持すべきものである。
よって,結論のとおり決定する。
別掲 【別記】



異議決定日 2012-11-16 
審決分類 T 1 651・ 26- Y (X0142)
T 1 651・ 271- Y (X0142)
最終処分 維持  
前審関与審査官 堀内 仁子 
特許庁審判長 小林 由美子
特許庁審判官 鈴木 修
田中 亨子
登録日 2010-11-25 
権利者 VTU Holding GmbH
代理人 渡邊 隆 
代理人 加藤 和彦 
代理人 稲木 次之 
代理人 田中 彰彦 
代理人 志賀 正武 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ