• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
審判 全部申立て  登録を維持 X031416182528
管理番号 1268517 
異議申立番号 異議2012-900202 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-07-20 
確定日 2013-01-09 
異議申立件数
事件の表示 登録第5485893号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5485893号商標の商標登録を維持する。
理由 1 本件商標
登録第5485893号商標(以下「本件商標」という。)は、「Monster Girl」の欧文字と「モンスターガール」の片仮名を二段に書してなり、平成23年6月30日に登録出願、第3類「せっけん類,歯磨き,化粧品,香料類」、第14類「キーホルダー,宝石箱,身飾品,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品,貴金属製靴飾り,時計」、第16類「事務用又は家庭用ののり及び接着剤,紙製タオル,紙製テーブルナプキン,紙製手ふき,紙製ハンカチ,紙製テーブルクロス,文房具類,印刷物,書画,写真,写真立て」、第18類「皮革製包装用容器,愛玩動物用被服類,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物」、第28類「愛玩動物用おもちゃ,おもちゃ,人形,囲碁用具,歌がるた,将棋用具,さいころ,すごろく,ダイスカップ,ダイヤモンドゲーム,チェス用具,チェッカー用具,手品用具,ドミノ用具,トランプ,花札,マージャン用具,遊戯用器具,ビリヤード用具,運動用具」及び第42類「電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守,ウェブサイトの設計・作成又は保守,電子計算機用プログラムの提供,電子計算機用プログラムの貸与,インターネットサーバーの記憶領域の貸与,インターネットを通じたコンピュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,デザインの考案」を指定商品及び指定役務として、同24年2月3日に登録査定され、同年4月13日に設定登録されたものである。

2 登録異議の申立ての理由
(1)引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下のアないしクのとおりであり、いずれも現に有効に存続しているものである。
ア 国際登録第1048069号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1のとおりの構成よりなり、平成22年(2010年)6月28日に国際商標登録出願、第9類「Sports helmets.」、第16類「Stickers; decals.」、第18類「All purpose sports bags; all-purpose carrying bags; backpacks; duffle bags.」及び第25類「Clothing, namely, t-shirts, hooded shirts and hooded sweatshirts, sweat shirts, jackets, pants, bandanas, sweat bands and gloves; headgear, namely, hats and beanies.」を指定商品として、同23年7月29日に設定登録されたものである。
イ 登録第5057229号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2のとおりの構成よりなり、平成18年6月9日に登録出願、第32類「エネルギー補給用清涼飲料,スポーツ用清涼飲料,その他の清涼飲料,果実飲料,エネルギー補給用のアルコール分を含有しない飲料,スポーツ用のアルコール分を含有しない飲料,ビール風味の麦芽を主体とするアルコール分を含有しない飲料,その他のアルコール分を含有しない飲料」を指定商品として、同19年6月22日に設定登録されたものである。
ウ 登録第5010968号商標(以下「引用商標3」という。)は、「M MONSTER ENERGY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年3月28日に登録出願、第32類「エネルギー補給用又はスポーツ用の炭酸入り又は炭酸抜きの清涼飲料」を指定商品として、同年12月15日に設定登録されたものである。
エ 登録第5393681号商標(以下「引用商標4」という。)は、「MONSTER ENERGY」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年7月8日に登録出願、第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同23年2月25日に設定登録されたものである。
オ 登録第5379390号商標(以下「引用商標5」という。)は、「MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年7月8日に登録出願、第32類「アルコール分を含まない飲料,清涼飲料,果実飲料」を指定商品として、同年12月24日に設定登録されたものである。
カ 登録第5409583号商標(以下「引用商標6」という。)は、「MONSTER GIRL」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年1月17日に登録出願、第5類「液状の栄養補給剤,その他の栄養補給剤,その他の薬剤,食餌療法用食品及び飲料」及び第32類「清涼飲料,炭酸入りの清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・たんぱく質・アミノ酸・ハーブを加味した炭酸入り又は炭酸抜きの清涼飲料,エネルギー補給用又はスポーツ用の炭酸入り又は炭酸抜きの清涼飲料,長期常温保存可能な果汁含有量50%以下の果実飲料,その他の果実飲料,アルコール分を含有しない飲料(殺菌・無殺菌にかかわらず果汁又は大豆を含有する腐敗しやすい飲料を除く。),ビール」を指定商品として、同年4月28日に設定登録されたものである。
キ 登録第5043703号商標(以下「引用商標7」という。)は、「JAVA MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成18年6月8日に登録出願、第32類「清涼飲料,炭酸入りの清涼飲料,エネルギー補給用の炭酸入り及び炭酸抜きの清涼飲料,スポーツ用の炭酸入り及び炭酸抜きの清涼飲料,炭酸入り及び炭酸抜きの果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味した清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味した炭酸入りの清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したエネルギー補給用の炭酸入り及び炭酸抜きの清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味したスポーツ用の炭酸入り及び炭酸抜きの清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸及び/又はハーブを加味した炭酸入り及び炭酸抜きの果実飲料,香り又は風味づけした飲料水,フルーツジュース,その他の果実飲料,清涼飲料又はエネルギー補給用清涼飲料製造用の濃縮物・シロップ又は粉末,アルコール分を含有しない飲料,ビール,飲料製造用調製品」を指定商品として、同19年4月27日に設定登録されたものである。
ク 登録第5431412号商標(以下「引用商標8」という。)は、「JAVA MONSTER」の欧文字を標準文字で表してなり、平成22年10月27日に登録出願、第5類「栄養補給剤,その他の薬剤,食餌療法用食品及び飲料」、第29類「乳飲料,コーヒー入り乳飲料,その他の乳製品」、第30類「コーヒー飲料,ミルク入りコーヒー飲料,その他のコーヒー及びココア,茶,氷,食品香料(精油のものを除く。)」、第32類「ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したエネルギー補給用の清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したコーヒー風味のエネルギー補給用の清涼飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したエネルギー補給用の果実飲料,ビタミン・ミネラル・滋養物・アミノ酸・ハーブを加味したコーヒー風味のエネルギー補給用の果実飲料」及び第33類「エネルギー補給用のアルコール飲料(ビールを除く。),コーヒーを加味したアルコール飲料(ビールを除く。),その他のアルコール飲料(ビールを除く。)」を指定商品として、同23年8月12日に設定登録されたものである。
(2)異議申立ての理由の要点
ア 商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、前記1のとおりの構成よりなるものであり、当該構成文字は「怪獣、モンスター」を意味する外来語「Monster」「モンスター」と「少女、女子」を意味する外来語「Girl」「ガール」を結合したものとして看取されるものである。本件商標の構成文字全体から生じる称呼「モ・ン・ス・タ・ー・ガ・ー・ル」は全体が8音から構成されやや冗長なことに加え、「Monster Girl/モンスターガール」の構成文字全体が既成語として一般に親しまれているものでもない。
したがって、本件商標の構成文字は、全体が常に一体不可分の自他商品識別標識として機能するものとはいえず、簡単迅速を旨とする取引過程においては、構成文字中の「Monster/モンスター」及び「Girl/ガール」の文字部分がそれぞれ独立の自他商品識別標識として認識理解され、取引に資するとみるべきである。
よって、本件商標からは、「Monster/モンスター」の文字部分に基づいて、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念が生ずることが明らかである。
引用商標1は、別掲1のとおり、上段にモンスターの爪の形をデザインした「M」の文字のロゴマークを表示し、中段にレタリング文字で「MONSTER」の文字を表示し、下段にこれとは異なる種類のレタリング文字で「ENERGY」の文字を表示してなるものである。したがって、当該構成に照らせば、引用商標1からは、その構成中の「MONSTER」の文字部分に基づき、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念が生ずる。
したがって、本件商標と引用商標1は、「モンスター」の称呼及び「怪獣、モンスター」の観念を共通にする類似のものであることが明らかである。
また、本件商標は、「第16類 文房具類」、「第18類 かばん類、袋物」、「第25類 被服」、「第28類 運動用具」をその指定商品及び指定役務に含む。
これに対して、引用商標1は、「第9類 Sports helmets」、第16類「Stickers; decals」、「第18類 All purpose sports bags;all-purpose carrying bags; backpacks; duffle bags」及び「第25類 Clothing, namely, t-shirts, hooded shirts and hooded sweat shirts, sweat shirts, jackets, pants, bandanas, sweat bands and gloves; headgear, namely, hats and beanies」をその指定商品に含むものであるから、両商標が同一又は類似の商品に使用されるものであることが明らかである。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第11号に違反してなされものであるから取消すべきである。
イ 商標法第4条第1項第15号について
(ア)申立人は、旧商号を「ハンセン ビヴァレッジ カンパニー」といい、1930年代に創業した米国の飲料メーカーである。申立人は、本件商標の登録出願前から、エネルギー補給及びスポーツ用飲料のブランド名として「MONSTER ENERGY」の使用を開始し、「MONSTER ENERGY」ブランドの飲料は米国を含む諸外国で販売され、申立人の取り扱いに係る商品出所表示として世界的に広く知られている。2012年5月からは我が国でも「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」の2種のエネルギー飲料の販売も開始している。また、「MONSTER ENERGY」の名称は、申立人の商号の主要部分と一致する。
(イ)申立人は、「MONSTER ENERGY」ブランドのエネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として、上記の引用商標1及びこれと同一の構成からなる引用商標2のほか、「M MONSTER ENERGY」(引用商標3)、「MONSTER ENERGY」(引用商標4)、「MONSTER」(引用商標5)、「MONSTER GIRL」(引用商標6)、「JAVA MONSTER」(引用商標7、引用商標8)といった「MONSTER」の文字を構成中に包含する多数の商標を「MONSTER」シリーズの商品名として商標登録している。当該「MONSTER」シリーズの商品名の中には、本件商標と実質的に同一の構成文字からなる「MONSTER GIRL」(引用商標6)も含まれている。
また、実際に申立人は、その取り扱いに係るエネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として「MONSTER ENERGY」及び「MONSTER KHAOS」等を使用している。
また、申立人の「MONSTER ENERGY」のブランド名は、上記のエネルギー・スポーツ飲料に止まらず、スポーツウエア(被服)、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー、リュックサックなどの商品についても商標登録し、実際にこれらの商品が「MONSTER ENERGY」のブランド名で販売されている。
申立人は、長年にわたり、自社の商品の販売促進活動の一環として、「MONSTER ENERGY」の名称の下で、サーフライダー、スケートボーダー、オートバイドライバー、カーレーサーなど、様々な分野のスポーツで活躍する世界の一流選手やレーシングチームとスポンサー契約を交わし、その競技活動の支援活動を行っている。
これらの選手等が着用するスポーツウエアなどの被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、車体等には「MONSTER ENERGY」の文字、そのロゴマーク及び「M」のデザインのロゴマークが付され、その写真やビデオが申立人のホームページのほか、これらの選手自身やスポーツファンのホームページ、ブログ、あるいは一般のニュースなどを通じて紹介されて話題になっており、我が国の需要者の間でも「MONSTER ENERGY」のブランド名が広く認識されるに至っている。
(ウ)本件商標の指定商品及び指定役務は、申立人が「MONSTER ENERGY」のブランド名を使用している被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、ステッカー(文房具類)、リュックサック(かばん類、袋物)並びにエネルギー・スポーツ飲料(清涼飲料、果実飲料、茶、コーヒー及びココア)と同一又は類似の商品及びこれらと密接に関連する商品をその指定商品中に多く含むものである。
本件商標の構成中の「Monster/モンスター」の文字部分は、申立人の使用に係る「MONSTER ENERGY」の名称及び「MONSTER」の文字から構成される「MONSTER」シリーズの商品名と一致する。「モンスター」「MONSTER」の文字は、「モンスター」の称呼と「怪獣、モンスター」の観念を直感させる外来語として我が国の国民一般に広く親しまれているものであるから、需要者の記憶・印象に鮮明に残りやすい文字ということができる。
上記のとおり、申立人は、その構成中に「MONSTER」の文字を包含することを共通点とする異なる商品名をエネルギー・スポーツ飲料の個別商品名として使用し、これらは「MONSTER ENERGY」ブランドのシリーズ商品として認識理解されている。
しかも、本件商標は、申立人の「MONSTER」シリーズ商品名の中の「MONSTER GIRL」(引用商標6)と実質的に同一の文字から構成されている。
そうとすれば、本件商標が指定商品及び指定役務に使用された場合は、申立人の製造販売にかかる「MONSTER ENERGY」ブランドのシリーズ商品の一つと誤信され、あるいはまた、申立人と組織的又は経済的な関連を有する者の取り扱いに係る商品又は役務であると誤信され、その出所について混同を生ずるおそれが高いことが明らかである。
また、本件商標の指定商品及び指定役務についての使用は、「MONSTER ENERGY」のブランドの知名度、顧客吸引力にフリーライドし、その出所表示機能を希釈化するおそれがあると言わざるを得ない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第4条第1項第15号に違反してなされものであるから取消すべきである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第11号について
本件商標は、「Monster Girl」の欧文字と「モンスターガール」の片仮名よりなるところ、前記の各文字は、同じ書体、同じ大きさで、それぞれがまとまりよく一体的に表されており、視覚上、いずれかの文字が特に強い印象を与える部分ということができないものである。また、その構成中の「Monster」及び「モンスター」の文字部分は、「怪物、モンスター」の意味を有するものであり、「Girl」及び「ガール」の文字部分は、「女の子、少女」の意味を有するものであって、欧文字部分及び片仮名部分は、ともに「怪物少女」という程の意味合いを理解させるものである。
してみれば、本件商標は、その構成文字に相応して「モンスターガール」の称呼を生じ、「怪物少女」の観念を生ずるものである。
一方、引用商標1は、別掲1のとおり、上部に、3本の爪跡の形をデザインしたものと思しき図形があり、その下に、レタリングされた「MONSTER」(「O」の文字は、縦線が貫いている。以下、同じ。)の欧文字とやや小さくゴシック体で「ENERGY」の欧文字が二段に書されてなるものである。
しかして、引用商標1は、その構成上、図形部分から分離してみられる文字部分においても、図形部分と同様に、自他商品・役務の識別標識としての機能を有するものとみられるところ、その構成中の「MONSTER」の文字部分は、「怪物、モンスター」の意味を有するものであり、「ENERGY」の文字部分は、「活力、エネルギー」等の意味を有するものであって、全体としては、「怪物のエネルギー」という程の意味合いを理解させるものである。
さらに、該文字部分においては、その態様上、特徴的に表された該「Monster」の文字部分も、強い印象を与える部分として、独立して自他商品・役務の識別標識としての機能を有するものとみられるものである。
そうすると、引用商標1は、その文字部分の全体から「モンスターエナジー」の称呼及び「怪物のエネルギー」の観念が生ずるほかに、該「Monster」の文字部分に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物、モンスター」の観念をも生ずるものである。
そこで、本件商標と引用商標1との類否について検討するに、外観において、両者は、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。
称呼においては、本件商標から生ずる「モンスターガール」と引用商標1から生ずる「モンスターエナジー」及び「モンスター」とは、「モンスター」の称呼部分において共通であるとしても、これに続く「ガール」と「エナジー」の音構成の相違、あるいは、その「ガール」の音の有無において明確に相違するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。
観念においては、本件商標から生ずる「怪物少女」と引用商標1から生ずる「怪物のエネルギー」及び「怪物、モンスター」とは、明らかな観念上の差異を有するもであるから、相紛れるおそれはないというべきである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、引用商標1に類似する商標ということはできないものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に違反して登録されたものとは認められない。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 「MONSTER ENERGY」商標の周知性について
申立人は、1930年代に創業した米国の飲料メーカーであり、本件商標の登録出願前から、エネルギー補給及びスポーツ用飲料のブランド名として「MONSTER ENERGY」(以下「使用商標」という。)ブランドの使用を開始し、該ブランドの飲料は米国を含む諸外国で販売され、申立人の取り扱いに係る商品出所表示として世界的に広く知られている、と主張しているものである。
しかしながら、申立人の提出に係る甲各号証によれば、本件商標の登録出願前から、引用商標1及び2の商標を構成する同様の図形、「MONSTER」及び「ENERGY」の欧文字が「缶ジュース」(炭酸飲料)等に使用されているものであるとしても、また、長年にわたり、申立人の商品の販売促進活動の一環として、「MONSTER ENERGY」の名称の下で、サーフライダー、スケートボーダー、オートバイドライバー、カーレーサーなどのスポーツで活躍する世界の一流選手やレーシングチームとスポンサー契約を交わし、その競技活動の支援活動を行っていること、さらに、これらの選手等が着用するスポーツウエアなどの被服、運動用特殊衣服、運動用ヘルメット、車体等に、「MONSTER ENERGY」の文字が付され、その写真やビデオが申立人のホームページのほか、これらの選手自身やスポーツファンのホームページ、ブログ、あるいは一般のニュースなどを通じて紹介されていることなどの事実を窺い知ることはできるけれども、我が国における商品の販売数量、売上高などの取引実績を具体的に把握し得る証左はみいだせない。加えて、新聞、雑誌等による広告内容や広告費等についての実情を具体的及び量的に把握し得る証左もほとんど提出されていない。
そうとすれば、使用商標が申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の出願時及び査定時においても、我が国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであって、周知性を獲得した商標とは認め難いものである。
イ 出所の誤認混同について
本件商標は、上記(1)のとおり、その構成文字に相応して「モンスターガール」の称呼を生じ、「怪物少女」の観念を生ずるものである。
一方、使用商標は、「MONSTER ENERGY」の欧文字よりなるところ、その構成中の「MONSTER」の文字部分は、「怪物、モンスター」の意味を有するものであり、「ENERGY」の文字部分は、「活力、エネルギー」等の意味を有するものであって、全体としては、「怪物のエネルギー」という程の意味合いを理解させるものである。
そうすると、使用商標は、その構成文字に相応して「モンスター」の称呼及び「怪物のエネルギー」の観念を生ずるものである。
そこで、本件商標と使用商標との類否について検討するに、外観において、両者は、明らかな差異を有するものであるから、明確に区別できるものである。
称呼においては、本件商標から生ずる「モンスターガール」と使用商標から生ずる「モンスターエナジー」とは、「モンスター」の称呼部分において共通であるとしても、これに続く「ガール」と「エナジー」の音構成の差異を有し、称呼上明確に相違するものであるから、これらをそれぞれ一連に称呼するときには、相紛れることなく区別し得るものである。
観念においては、本件商標から生ずる「怪物少女」と使用商標から生ずる「怪物のエネルギー」とは、明らかな観念上の差異を有するもであるから、相紛れるおそれはないというべきである。
してみれば、本件商標は、外観、称呼及び観念のいずれからみても、使用商標に類似する商標ということができず、両商標は、十分に区別し得る別異の商標というべきものである。
そうとすれば、本件商標と使用商標とは、非類似の別異の商標であって、使用商標が申立人の業務に係る商品等を表す商標として、本件商標の出願時及び査定時においても、周知性を獲得した商標とは認めらないことからすれば、商標権者が本件商標をその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして使用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品が申立人あるいは同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかの如く、その商品及び役務の出所について混同を生じさせるおそれはないものというべきである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に違反して登録されたものとはいえない。
なお、申立人は、「引用商標1及びこれと同一の構成からなる引用商標2のほか、引用商標3ないし引用商標8といった「MONSTER」の文字を構成中に包含する多数の商標を「MONSTER」シリーズの商品名として商標登録しており、これらが使用された商品は、「MONSTER ENERGY」ブランドのシリーズ商品として認識理解されるので、本件商標をその指定商品及び指定役務に使用した場合は、そのシリーズ商品の一つと誤信され、あるいはまた、申立人と組織的又は経済的な関連を有する者の取り扱いに係る商品又は役務であると誤信され、その出所について混同を生ずるおそれが高いことが明らかである。」旨の主張をしている。
しかしながら、上記アのとおり、使用商標である「MONSTER ENERGY」が申立人の業務に係る商品等を表す商標として、我が国の需要者間に広く認識されるに至っているということはできないものであるから、「MONSTER」の文字を構成中に包含する本件商標が「MONSTER ENERGY」ブランドのシリーズ商品として、理解、認識されるものではないというべきである。
よって、申立人の上記主張は、妥当なものでない。
(3)まとめ
以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定に基づき、その登録は維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1)


別掲2(引用商標2)



異議決定日 2012-12-26 
出願番号 商願2011-45905(T2011-45905) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X031416182528)
T 1 651・ 263- Y (X031416182528)
T 1 651・ 261- Y (X031416182528)
T 1 651・ 262- Y (X031416182528)
最終処分 維持  
前審関与審査官 泉田 智宏 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 渡邉 健司
井出 英一郎
登録日 2012-04-13 
登録番号 商標登録第5485893号(T5485893) 
権利者 株式会社ドラコミュニケーションズ
商標の称呼 モンスターガール、モンスター 
代理人 中熊 眞由美 
代理人 佐久間 剛 
代理人 柳田 征史 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ