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審決分類 審判 全部申立て  登録を維持 X011011
審判 全部申立て  登録を維持 X011011
審判 全部申立て  登録を維持 X011011
審判 全部申立て  登録を維持 X011011
管理番号 1268504 
異議申立番号 異議2012-900224 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標決定公報 
発行日 2013-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2012-08-03 
確定日 2012-12-20 
異議申立件数
事件の表示 登録第5491019号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 登録第5491019号商標の商標登録を維持する。
理由 第1 本件商標
登録第5491019号商標(以下「本件商標」という。)は、「アクアアース」の欧文字を標準文字で表してなり、平成23年10月28日に登録出願、第1類「殺菌作用を有する弱酸性の水,次亜塩素酸水,除菌作用を有する弱酸性の水,電解水,微酸性電解水,滅菌作用を有する弱酸性水」、第10類「医療用電解水生成器」及び第11類「家庭用汚水浄化装置,家庭用殺菌水生成装置,業務用殺菌水生成装置,家庭用電解水生成装置,業務用電解水生成装置,殺菌効果を有する電解水を噴霧する家庭用電気式噴霧装置,殺菌効果を有する電解水を噴霧する業務用電気式噴霧装置,殺菌効果を有する生成水を噴霧する家庭用手指消毒器,殺菌効果を有する生成水を噴霧する業務用手指消毒器」を指定商品として、同24年3月13日に登録査定、同年5月11日に設定登録されたものである。

第2 登録異議申立ての理由
1 引用商標
登録異議申立人(以下「申立人」という。)が引用する登録商標は、以下の(1)ないし(8)のとおりであり、現に有効に存続しているものである(以下まとめていうときは「引用各商標」という。)。
(1)登録第1452601号商標(以下「引用商標1」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、昭和51年5月17日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同56年1月30日に設定登録され、その後、平成12年12月27日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(2)登録第1674262号商標(以下「引用商標2」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和55年10月8日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、平成16年2月18日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(3)登録第1674263号商標(以下「引用商標3」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和55年10月8日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同59年3月22日に設定登録され、その後、平成16年2月18日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(4)登録第1763153号商標(以下「引用商標4」という。)は、別掲2に示すとおりの構成からなり、昭和55年10月14日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同60年4月23日に設定登録され、その後、平成17年6月29日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(5)登録第1763154号商標(以下「引用商標5」という。)は、別掲3に示すとおりの構成からなり、昭和55年10月14日に登録出願、第11類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同60年4月23日に設定登録され、その後、平成17年6月29日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
(6)登録第2353757号商標(以下「引用商標6」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、昭和51年7月2日に登録出願、第1類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、平成3年11月29日に設定登録され、その後、同13年12月19日に商標登録原簿に記載のとおりの商品に指定商品の書換登録がされたものである。
なお、引用商標6には、防護標章登録第1号ないし第30号(ただし、第23号は存続期間満了により抹消された。)が登録されている。
(7)登録第4454745号商標(以下「引用商標7」という。)は、別掲4に示すとおりの構成からなり、平成12年2月14日に登録出願、第3類及び第5類に属する商標登録原簿に記載の商品を指定商品として、同13年2月23日に設定登録されたものである。
(8)登録第5367825号商標(以下「引用商標8」という。)は、別掲1に示すとおりの構成からなり、平成19年6月27日に登録出願、第35類に属する商標登録原簿に記載の役務を指定役務として、同22年11月12日に設定登録されたものである。

2 理由の要点
申立人は、本件商標は商標法第4条第1項第11号及び同第15号に該当するから、同法第43条の2第1号により、その登録は取り消されるべきものであると申立て、その理由を以下のように述べ、証拠方法として甲第1号証ないし甲第10号証を提出した。
(1)商標法第4条第1項第11号について
ア 「アクア」の文字について
「アクア」文字部分は、「水、液、溶液、水溶液」を意味するラテン語の「aqua」を語源とする外来語であって、当該意味を持って多く複合語の形で用いられていることについては、証左をもって示すまでもないところである。
そうとすると、「アクア」の文字は、これを商品に使用した場合、その商品が水又は水状(水溶液状)の商品であることを想起させるにとどまり、単に商品の品質・形状等を表示するにすぎないと認識するものであるから、本来的に自他商品の識別標識としての機能を有しないか、その機能が極めて弱い語である。
イ 本件商標
本件商標は「アクアアース」の片仮名からなるところ、その構成全体をもって、特定の意味合いを想起させるものとは認められないこと、構成前半部の「アクア」の文字部分は、前記のとおり、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、その機能が極めて弱い語であること、及び構成後半部の「アース」の文字は、申立人(アース製薬株式会社)が同人の取り扱いに係る商品「殺虫剤、蚊取線香」等に使用して、本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されている商標を理解するものであることからすると、構成全体を常に一体不可分のものとしてのみ把握しなければならない特別の事情も見出せないものである。
してみれば、本件商標に接する取引者、需要者は、本件商標構成前半の「アクア」の文字部分を単に商品の品質・形状表示として認識し、自他商品の識別標識としての機能を有しないか、極めてが弱い語であると捉え、構成後半部の「アース」の文字に注目し、当該「アース」の文字を周知著名な商標(登録防護標章と類似の商標)として、かつ、自他商品の識別標識としての機能を有する部分であると理解・認識するものである。
そうとすると、本件商標は、構成中の「アース」の文字部分より「アース」の称呼が生ずる。
ウ 引用各商標
引用各商標は、「アース」の文字より「アース」の称呼が生ずることは明らかである。
エ 本件商標と引用各商標
してみれば、本件商標と引用各商標は、「アース」の称呼を共通にする類似の商標であって、かつ、両者の指定商品も相抵触するものである。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第11号に該当する。
(2)商標法第4条第1項第15号について
ア 「アース」の文字の著名性について
「アース」の文字からなる標章は、申立人が有する登録第2353757号の防護標章として登録されている(甲10)ことから、「アース」の文字からなる商標は、商品や役務が類似していなくとも、商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備えていること、すなわち、そのような程度に至るまでの著名性を有している商標であるといえる。
また、「アース」の文字よりなる商標が、申立人の取り扱いに係る商品「殺虫剤、蚊取線香」等に同人が使用して、本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されている商標(ブランドロゴ)であることは顕著な事実であって、かつ、その状態が現時点においても継続しているものである。
イ 出所の混同のおそれについて
本件商標をその指定商品に使用するときは、これに接する取引者、需要者は、その構成中後半部の「アース」の文字部分に強く印象づけられ、周知著名な商標「アース」を連想、想起し、その商品が申立人あるいは同人と経済的又は組織的に何等かの関係を有する者の業務に係る商品であるかの如く、その商品の出所について混同を生ずるおそれがある。
そうすると、本件商標は、他人の著名な商標を一部に有する商標であり、商標法第4条第1項第15号に該当する。

第4 当審の判断
1 商標法第4条第1項第11号について
(1)本件商標について
本件商標は、前記第1のとおり、「アクアアース」の片仮名を標準文字により、同書、同大、等間隔に外観上まとまりよく一体的に表されているものであり、これより生ずる「アクアアース」の称呼もよどみなく一連に称呼し得るものである。
加えて、構成中の「アクア」の文字は、申立人が主張するように複合語を形成するために用いられる外来語(辞書類には、例えば、「(他の語と複合して使う)水。水の。」(広辞苑第六版)「水。通常『水の』の意味で複合語をつくる。」(三省堂 コンサイスカタカナ語辞典第3版)との記載がある。)であることから、それに続く語と一体となって成語ないし造語をなすものと認識されるとみるのが自然であり、また、「アース」が、「地球、大地」等を意味する親しまれた語であることからすれば、本件商標「アクアアース」からは、「水の地球、水の大地」程の観念を生ずるものである。
したがって、本件商標は、「アクア」の文字が捨象され、「アース」の語が要部であるとすべき理由があるということはできない。
そして、他に構成中の「アース」の文字部分のみが独立して認識されるとみるべき特段の理由や事情は見いだせない。
そうとすれば、本件商標は、その構成全体をもって外観上一体のものとして認識され、前記のとおり、「水の地球、水の大地」の観念が生じ、当該構成文字全体に相応して「アクアアース」の称呼のみを生ずるというのが相当である。
この点について、申立人は、「アクア」の文字部分は、「水、液、溶液、水溶液」を意味するラテン語の「aqua」を語源とする外来語であって、当該意味を持って多く複合語の形で用いられ、これを商品に使用した場合、その商品が水又は水状(水溶液状)の商品であることを想起させるにとどまり、単に商品の品質・形状等を表示するにすぎないと認識するものであるから、本来的に自他商品の識別標識としての機能を有しないか、その機能が極めて弱い語である旨主張している。しかしながら、「アクア」の語に「水、液、溶液、水溶液」の意味があるとしても、一体的に表され、全体として「水の地球、水の大地」の観念を生ずる本件商標において、その構成中の「アクア」の語が指定商品の品質や効能、機能等を表示するものであるとの事情は見いだし得ない。
(2)引用各商標について
引用各商標は、別掲のとおりの構成よりなるところ、構成中の「アース」の語は、「地球、大地」を意味する英語「earth」の片仮名表記、ある
いは、それに由来し、「(大地・土の意)電気装置などを地面と接続すること。また、その接続線。」(広辞苑第六版)等を意味する外来語として、極めて広く知られている一般的語であるから、当該観念及び「アース」の称呼をもって取引に資されるものである。
(3)本件商標と引用商標との類否について
本件商標と引用各商標の外観についてみるに、本件商標と引用各商標の外観は、前記したとおりの構成よりなるものであるから、これらは互いに区別し得るものである。
次に、称呼についてみるに、本件商標からは、「アクアアース」の称呼のみが生じるものであるから、「アース」の称呼が生ずる引用各商標とは称呼においても類似するものではない。
また、本件商標からは、「水の大地」等の観念が生じ、引用商標からは「地球、大地」等の観念を生ずるものであるから、両者は観念においても類似するものではない。
してみれば、本件商標と引用各商標とは、外観、称呼及び観念のいずれの点からみても類似する商標であるということはできない。
したがって、指定商品の類否について論及するまでもなく、本件商標は、引用各商標をもって、商標法第4条第1項第11号に該当するものとはいえない。

2 商標法第4条第1項第15号について
申立人は、「アース」の文字からなる標章は、申立人の防護標章として登録されていることから、商品や役務が類似していなくとも、商品役務の出所の混同を来す程の強い識別力を備え、著名性を有している商標である旨及び申立人の取り扱いに係る商品「殺虫剤、蚊取線香」等に同人が使用して、本件商標の登録出願前から取引者、需要者間に広く認識されている商標(ブランドロゴ)であることは顕著な事実である旨主張している。
そして、申立人が主張するとおり、甲第10号証によれば、別掲1に示した態様よりなる標章は、防護標章として登録されていることが確認できる。
しかしながら、防護標章として登録され、あるいは申立人の業務に係る商品「殺虫剤、蚊取線香」を表示するものとして、本件商標の登録出願前より、需要者の間に広く認識されているとする標章は、「アース」の文字よりなるものであり、標準文字により「アクアアース」と一体的に表してなる本件商標とは、商標自体が異なるばかりでなく、「アース」の語は、前記1の(2)のとおり、極めて広く知られている一般的語であることからすれば、「アース」が申立人の業務に係る商標として需要者に広く知られていることを前提にしたとしても、本件商標がその指定商品に使用された場合、これに接する取引者、需要者が、「アース」の文字よりなる商標を連想又は想起するものとは認めがたく、その商品が申立人又は同人と経済的又は組織的に何らかの関係を有する者の業務に係る商品であるかのごとく、その商品の出所について混同を生じさせるおそれはないものといわなければならない。
なお、申立人は、「アース」の文字よりなる商標が、取引者、需要者間に広く認識されている商標であることは顕著な事実である旨主張しているが、その主張を立証する証拠は、引用各商標の書誌的事項を印刷した書面及び同公報(甲2ないし甲10)以外は、何ら提出していない。
したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当するものとはいえない。

3 むすび
以上のとおり、本件商標は、登録異議の申立てに係る指定商品について、商標法第4条第1項第11号及び同第15号に違反して登録されたものではないから、商標法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
別掲 別掲1(引用商標1、同6及び同8)


別掲2(引用商標2及び同4)(色彩は原本参照)


別掲3(引用商標3及び同5)(色彩は原本参照)


別掲4(引用商標7)



異議決定日 2012-12-10 
出願番号 商願2011-81412(T2011-81412) 
審決分類 T 1 651・ 271- Y (X011011)
T 1 651・ 263- Y (X011011)
T 1 651・ 262- Y (X011011)
T 1 651・ 261- Y (X011011)
最終処分 維持  
前審関与審査官 山田 正樹 
特許庁審判長 野口 美代子
特許庁審判官 前山 るり子
内山 進
登録日 2012-05-11 
登録番号 商標登録第5491019号(T5491019) 
権利者 株式会社ワイエスアンドアソシエイツ
商標の称呼 アクアアース、アース 
代理人 横田 幸子 
代理人 濱田 百合子 
代理人 市川 利光 

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