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審決分類 |
審判 全部申立て 登録を維持 X123536 審判 全部申立て 登録を維持 X123536 審判 全部申立て 登録を維持 X123536 |
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管理番号 | 1268502 |
異議申立番号 | 異議2012-900193 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標決定公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 2012-07-17 |
確定日 | 2013-01-07 |
異議申立件数 | 1 |
事件の表示 | 登録第5484671号商標の商標登録に対する登録異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 登録第5484671号商標の商標登録を維持する。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第5484671号商標(以下「本件商標」という。)は、「MINI NEXT」の文字を横書きしてなり、平成22年3月30日に登録出願、第12類、第35類及び第36類に属する商標登録原簿記載の商品及び役務を指定商品及び指定役務として、同24年2月8日に登録査定、同年4月6日に設定登録されたものである。 2 登録異議の申立ての理由(要旨) (1)引用商標の周知著名性について 「NEXT」及び「next」(以下、これらをまとめて「引用商標」という場合がある。)は、登録異議申立人(以下「申立人」という。)及びその関連会社のハウスマークである。 申立人及びそのグループ会社は、衣料等の製造販売を業とするイギリス法人であり、1982年に「Next」ブランドの婦人服等の販売を開始し、その後、紳士服、子供服及び家庭用品へとその取扱いを広げ、現在では、イギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有している。 更に、現在もイギリス国内のみならず、日本を含め世50か国を超える国においてオンラインショッピングが提供されている(甲3)。 なお、申立人の関連会社であるネクスト ピー エル シーを含むグループ全体の2012年1月期末の年間総収入は約4、460億円であり、税引前の利益は約747億円にも達している(甲2)。この利益から判断すると、申立人及びその関連会社を含むグループ会社はイギリス最大級の製造販売グループであることが容易に窺われる。 日本においては、ゼビオ株式会社が、「1997年、イギリス最大の製造小売業ブランドであるNEXT社と提携」(甲9)し、「next」の名称で15店舗を運営し(甲10)、NEXT製品を継続して販売している。 更に、「next Japan」のホームページにおいて「next」ブランドの婦人服等を販売するオンラインショップが運営(甲11)されている。 引用商標が本件商標の出願日前から積極的に使用された結果、周知著名に至った(甲12?甲30)。 加えて、「next Japan」のホームページは、2010年4月1日付の情報として、next最新コレクションが4月12日発売の「SWEET」という女性誌に掲載される旨の情報が記載されていた(甲22)ほか、「next」商品が女性向けファッション誌や子供向けの雑誌等に多数紹介されている旨の記載もある(甲24)。それらの雑誌のうちから女性誌の数誌を一例として挙げると、「Mart」、「with」、「サンキュ!」及び「VERY」がある。 これらはいずれも2010年8月号から2011年3月号の雑誌であるが、この僅かな発行期間中に「next」商品が紹介された雑誌数を合計すると延べ50誌にも達する。なお、上記「Mart」等の「next」商品が紹介された1号あたりの印刷証明付き発行部数(甲26?甲29)は、出版業界が不況といわれている折、相当な部数であることからみて、申立人及びその関連会社が使用する「NEXT」及び「next」商標が需要者間に広く知られていたといえる。 更に、2001年12月発行の「ファッション販売」というファッション業界向けの専門雑誌(甲30)には、「英国のSPA(製造小売業)チェーンであるネクストは、『1980年代のわずか8年間で約20億円だった年商が2000億円に急成長したと聞いて、英国に出掛けて同社を研究。・・・』と柳井社長が打ち明けるほど、その後のユニクロの経営に大きな影響を与えた大先輩企業だ。」との記事が掲載されている。 この記事からみても、申立人及びその関連会社が使用する「next」及び「NEXT」商標は、取引者及び需要者間に広く認識され周知著名性を獲得するに至っていたものと認めることができる。 なお、申立人は、日本において、「NEXT」又は「ネクスト」の語からなる登録商標4件を所有している(甲31?甲34)。 以上のとおり、引用商標は、本件商標の出願日前から現在に至るまで、少なくとも「被服」、「靴類」、「かばん類」及び「身飾品」等について本国であるイギリスはもとより、日本においても周知著名となっている事実があることは極めて明らかである。 (2)本件商標の商標法第4条第1項第15号の該当性について 本件商標は、申立人及びそのグループ会社が「被服」等について使用した結果、取引者や需要者間で広く知られるに至った引用商標と全く同一の欧文宇綴りの「NEXT」をそっくり含んでいる。 本件商標は「MINI NEXT」の文字からなり、「MINI」と「NEXT」との間には一文字程度の間隔があることから、外観上、「MINI」と「NEXT」との語に分離して看取されるものであり、また、これらの構成文字全体は特定の観念を生ずる既成語であるとは認められないことから、本件商標を常に一体不可分のものとしてのみ認識しなければならない格別の事情があるとは到底思われない。 とりわけ、本件商標中、「MINI」の語は「小さい、小型の」を意味する広く一般に親しまれている語であることから、これが本件商標の指定商品役務に使用されても「小型の自動車」や「小型中古自動車の評価」であることを取引者や需要者に理解、認識させるに過ぎず、指定商品役務の品質や質を表示したものとして理解されるに止まるので、「MINI」の語は自他商品役務識別機能を果たし得ない。これを裏付ける審決、決定例(異議2001-90563、不服2004-962、昭和63年審判第19188号)がある。 したがって、本件商標をその商品役務について使用する場合には、これに接する需要者や取引者は、本件商標中、「NEXT」を要部として認識し、その部分から周知著名になっている申立人の引用商標を連想、想起し、その指定商品役務が恰も異議申立人やそのグループ会社と経済的又は組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品役務であると誤認し、申立人らの業務にかかる商品役務であるかの如くに出所について混同を生ずるおそれがあることは極めて明らかである。 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号の規定に該当する。 (3)本件商標の商標法第4条第1項第19号の該当性について 本件商標は、世界的に有名なイギリスの被服等のブランド名と同じ綴り字の「NEXT」を明瞭に含んでいることから、申立人及びそのグループ会社のブランド「NEXT」及び「next」を容易に想起させる。 したがって、申立人としては、本件商標の権利者が、「NEXT」や「next」の名声を利用し、その信用にただ乗りする意図を持って、類似する本件商標を出願し、権利を取得したものと判断する。 上記(2)で述べたとおり、本件商標の要部は「NEXT」である。この要部「NEXT」と異議申立人の「NEXT」及び「next」商標とは同一又は類似の商標である。そして、「NEXT」及び「next」が周知著名であることを勘案すると、本件商標の権利者が「NEXT」及び「next」の存在を知らなかったものとは考え難く、本件商標を採択したときに「NEXT」及び「next」の周知著名性を承知の上、この有名ブランドが有する好ましいイメージにあやかる意図で本件商標を採択したものと推察する。 以上の点からみて、本件商標は、需要者等に恰も「NEXT」および「next」と何等かの関係があるかの如き印象を与えようとする意図のもとで採択されたことは明白である。 したがって、本件商標は不正の利益を得る目的をもって使用されるものであり、本件商標は商標法第4条第1項第19号の規定に該当する。 (4)本件商標の商標法第4条第1項第8号の該当性について 申立人の名称の要部は「Next」であり、申立人は「Next」(ネクスト)及び「next」と略称されている。更に、甲第9号証には、「NEXT社と提携・・」との記載、また、甲第30号証には、「英国のSPA(製造小売業)チェーンであるネクスト」との記載から判断しても、引用商標、「Next」及び「ネクスト」は、申立人らの商品及び役務の商標として使用されていると同時に、申立人の名称の略称としても使用されていることは明白であり、本件商標の出願前及び登録査定時において申立人の名称の略称が「被服」等の需要者及び取引者間において周知著名となっていたことは上述の通りである。 したがって、本件商標は、他人である申立人及びその関連会社であるネクストグループの名称の著名な略称である「NEXT」を明瞭に含んでおり、また異議申立人らの承諾も得ていないものであるから、商標法第4条第1項第8号の規定に該当する。 (5)むすび 以上のとおり、本件商標は商標法第4条第1項第15号、同第19号及び同第8号の規定に違反して登録されたものであるから、商標法第43条の3第2項の規定によりこの登録を取り消されるべきである。 3 当審の判断 (1)商標法第4条第1項第15号及び同第19号該当性について 申立人の提出に係る証拠及び主張によれば、同人は、英国において衣料品等を製造販売するチェーン店を営む事業者であり、現在ではイギリス及びアイルランドに500以上の店舗並びに日本を含む世界30か国において約200の店舗を有し(甲2)、日本を含め世界50か国を超える国においてオンラインショッピングを提供しているものであり(甲3)、我が国においては、ゼビオ株式会社と提携して被服等を販売するほか、インターネット等においても販売しているものであり(甲9?甲30)、これらによれば、申立人の業務に係る商品「被服」等について引用商標が使用されていることをうかがい知ることができる。 しかし、かかる証拠は、「ネクスト ピー エル シー」のホームページ、ゼビオ株式会社のホームページやショップリスト、申立人が我が国に向けたインターネット販売に関するウェブサイト、カタログ、チラシ等であるところ、該ウェブサイトの閲覧者数、カタログ等の配布部数や配布地域が明らかではなく、また、我が国を含む外国における商品の販売数量、売上高、広告宣伝の状況等、引用商標の周知著名性を具体的に裏付ける証拠は何ら提出されていないものである。 加えて、申立人は、「『next』商品が『SWEET』という女性誌に掲載される旨の情報や女性向けファッション誌や子供向けの雑誌等に多数紹介されている」旨主張し、これら雑誌の発行部数等を示す甲21?甲29を提出しているところ、「SWEET」の雑誌に関しては、発行部数が2010年1月時点で105万部であるとしても、単に、その時点における雑誌の発行部数を示すにすぎず、引用商標を使用した商品の販売状況は不明であり、その他「Mart」等の雑誌の発行部数に関しては、いずれも本件商標の登録出願後に関するものであって、証拠として採用することはできない。 そうとすると、かかる証拠のみによっては、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、引用商標が申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして我が国または外国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない。 また、「NEXT」の文字は、「次の、今度の」等の意味を有する英語として広く一般に認識、理解されている成語であって、ことさら申立人による創造標章とはいえないものであるから、その独創性は極めて低いというべきである。 そうとすれば、「MINI NEXT」の文字からなる本件商標は、商標権者がこれをその指定商品及び指定役務に使用しても、これに接する取引者、需要者をして引用商標を連想又は想起させるものとは認められず、その商品及び役務が申立人又は同人と経済的若しくは組織的に何らかの関係を有する者の業務に係るものであるかのように、その出所について混同を生ずるおそれはないというべきである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第15号に該当しない。 さらに、引用商標が、申立人の業務に係る商品「被服」を表示するものとして我が国または外国における需要者の間に広く認識されていた商標と認めることはできない以上、引用商標が需要者の間に広く認識されていた商標であることを前提に、本件商標は不正の利益を得る目的をもって使用されるとする申立人の主張は、その前提を欠くものである。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第19号にも該当しない。 (2)商標法第4条第1項第8号該当性について 申立人の提出に係る証拠によれば、ゼビオ株式会社のウェブサイトに、「イギリス最大の製造小売業ブランドであるNEXT社」(甲9)、雑誌「ファッション販売」に、「英国のSPA(製造小売業)チェーンであるネクスト」(甲30)等のように申立人の名称の略称として「NEXT」又は「ネクスト」の各文字が使用されていることが認められるとしても、かかるウェブサイトの閲覧者数は明らかでなく、雑誌の記事もわずか1件にすぎないものであるから、これらの証拠をもって、本件商標の登録出願時及び登録査定時において、申立人の名称の略称である「NEXT」又は「ネクスト」は、同人の業務に係る商品「被服」の分野はもとより我が国の世間一般においても著名なものと認めることができない。 そうすると、本件商標は、その構成中に「NEXT」の文字を有しているとしても、他人の著名な略称を含む商標ということができない。 したがって、本件商標は、商標法第4条第1項第8号に該当しない。 (3)まとめ 以上のとおり、本件商標は、商標法第4条第1項第8号、同第15号及び同第19号に違反して登録されたものではないから、同法第43条の3第4項の規定により、その登録を維持すべきものとする。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2012-12-21 |
出願番号 | 商願2010-24815(T2010-24815) |
審決分類 |
T
1
651・
222-
Y
(X123536)
T 1 651・ 23- Y (X123536) T 1 651・ 271- Y (X123536) |
最終処分 | 維持 |
前審関与審査官 | 宮川 元、平澤 芳行、池田 光治 |
特許庁審判長 |
小林 由美子 |
特許庁審判官 |
小川 きみえ 瀬戸 俊晶 |
登録日 | 2012-04-06 |
登録番号 | 商標登録第5484671号(T5484671) |
権利者 | バイエリシエ・モトーレンウエルケ・アクチエンゲゼルシヤフト |
商標の称呼 | ミニネクスト、ネクスト |
代理人 | 江崎 光史 |
代理人 | 特許業務法人 清水・醍醐特許商標事務所 |