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審判番号(事件番号) データベース 権利
不服20122678 審決 商標

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審決分類 審判 査定不服 商4条1項8号 他人の肖像、氏名、著名な芸名など 登録しない X14161825
管理番号 1268404 
審判番号 不服2011-26805 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2011-12-12 
確定日 2012-12-18 
事件の表示 商願2010-68162拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。
理由 1 本願商標
本願商標は、「SANTIAGO GONZALEZ」の文字を横書きしてなり、第14類、第16類、第18類及び第25類に属する願書記載のとおりの商品を指定商品とし、2010年6月3日にアメリカ合衆国においてなされた商標登録出願に基づき、パリ条約第4条による優先権を主張して、平成22年8月30日に登録出願されたものである。そして、指定商品については、原審における、同23年7月22日付けの手続補正書により、第14類「キーホルダー,貴金属製キーチェーン,カフスボタン用収納箱,皮製の宝石箱,その他の宝石箱,身飾品,時計用収納箱及び化粧箱,時計バンド,その他の時計」、第16類「吸い取り紙,レタートレー,レターケース,レターオープナー,ペン及び鉛筆ケース,予定管理帳用カバー,予定管理帳,住所録,しおり,パスポート用カバー,ブックカバー,ノートブックカバー,小切手帳カバー,デスクトップ用の名刺ホルダー,文房具整理収納用ケース,ペン・鉛筆・インク用デスクスタンド及びホルダー,ファイル入れ,机上マット,その他の文房具類,日記帳,白地ページを含む雑誌,その他の印刷物,紙類」、第18類「愛玩動物用リード(引き綱),その他の愛玩動物用被服類,ハンドバッグ,財布,キーケース,皮製キーチェーン,小銭入れ,ブリーフケース,書類入れかばん,アタッシュケース,ボストンバッグ,ダッフルバッグ,名刺入れ,クレジットカード入れ,キャリーバッグ,バックパック,ビーチバッグ,男性用ハンドバッグ,スポーツバッグ,メッセンジャーバッグ,オーバーナイトバッグ,旅行かばん,その他のかばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,傘」、第25類「被服,ガーター,靴下止め,ズボンつり,バンド,ベルト,履物,仮装用衣服,運動用特殊衣服,運動用特殊靴」と補正されたものである。

2 原査定の拒絶の理由の要点
原査定は、「本願商標は、『SANTIAGO GONZALEZ』の文字を横書きしてなるところ、当該文字は、例えば、チリ共和国の鉱業大臣、メキシコ合衆国のプロテニス選手の氏名と同一であり、かつ、それらの者の承諾を得ていない。したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。」旨認定、判断し本願を拒絶したものである。

3 当審の判断
(1)商標法第4条第1項第8号
商標法第4条第1項第8号の趣旨は、人の氏名に対する人格的利益を保護することにあると解される。すなわち、人は、自らの承諾なしにその氏名を商標に使われることがない利益を保護されている(平成15年(行ヒ)第265号平成16年6月8日最高裁判所第三小法廷判決及び平成16年(行ヒ)第343号平成17年7月22日最高裁判所第二小法廷判決)。
(2)本願商標が他人の氏名を含むことについて
本願商標は、前記1のとおり、「SANTIAGO GONZALEZ」の文字を横書きしてなるところ、原審説示のとおり、本願商標と同一のつづりからなる氏名を有する者が、以下のとおり存在する。
ア チリ共和国の鉱業大臣
「独立行政法人石油天然ガス・金属鉱物資源機構」に係る「金属資源情報」中「ニュース・フラッシュ」の項目には「No.10-10 3月10日」(http://mric.jogmec.go.jp/public/news_flash/10-10.html#6)として、「『チリ:鉱業大臣はConsejo Mimeroと地震の影響について議論』との見出しのもと「3月4日付け地元紙等によると、チリSantiago Gonzalez鉱業大臣は、2月27日に発生した地震の鉱山操業への影響について、そして壊滅的な地域を救済する方法について議論する会合をConsejo Mimero (チリ鉱業審議会)と持ち、『鉱山は既に通常操業に戻っており、鉱山会社は雇用者の安全な労働環境を確保している』とGonzalez大臣は発表した。・・・」との記事があり、その発信元として「(2010.3.9 サンティアゴ ・・・)」との記載があるものである。
イ メキシコ合衆国のプロテニス選手
「スポーツナビ(sportsnavi.com)」に係る「テニス」、「ATP 選手」の「G」の見出しの選手名の一覧(http://sportsnavi.stats.com/tennis/players.asp?tour=ATP&letter=G)において、メキシコ国籍の「Santiago Gonzalez」選手が掲載され、その氏名のリンク先の同ウェブサイトには、「Santiago Gonzalez」の項目で、1983年2月24日にメキシコCordobaで生まれた旨の記載がある(http://sportsnavi.stats.com/tennis/players.asp?tour=ATP&id=321730)。
そうすると、本願商標は、前記他人の氏名と同一のつづりからなるものであって、商標法第4条第1項第8号にいう他人の氏名を含むものである。
(3)他人の承諾について
前記(2)に挙示した他人から、請求人が、本願商標について商標登録を受けることの承諾を得た書面等の提出はない。
そうすると、本願商標は、商標法第4条第1項第8号にいう他人の承諾を得ているものではない。
(4)商標法第4条第3項について
商標法第4条第1項第8号の適用については、商標法第4条第3項の規定が存する。しかして、前記(2)に挙示したアの記事の発信日時(2010.3.9 サンティアゴ)、イの選手のプロフィール(1983年2月24日メキシコCordoba生まれ)からすれば、本願の出願時において、前記(2)に挙示した他人が、存在していたことが明らかである。
そうすると、本願商標は、その出願時においても商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
(5)小括
前記(1)ないし(4)からすれば、本願商標は、他人の氏名を含むもののであって、かつ、その他人の承諾を得たものということはできない。また、本願商標は、その出願時においても商標法第4条第1項第8号に該当するものである。
したがって、本願商標は、商標法第4条第1項第8号に該当する。
(6)請求人の主張について
ア 請求人は、最高裁判所の判例を引用し、「人は,自らの承諾なしにその氏名,名称等を商標に使われることがない利益を保護されているのである。略称についても,一般に氏名,名称と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には,本人の氏名,名称と同様に保護に値すると考えられる。」とし、略称であるか否かを問わず、「本人を指し示すものとして受け入れられている場合には」同号による人格権の保護が及ぶものとされている。・・・本願商標について、以上の観点から、「SANTIAGO GONZALEZ」の文字が「チリ国の鉱業大臣サンチャゴ・ゴンザレス又はメキシコ国のプロテニス選手を指し示すものとして受け入れられている」かどうかが検討されるべきである旨主張する。
しかしながら、請求人の引用する最高裁判所の判例(前記、平成17年7月22日最高裁判所第二小法廷判決)は、他人の「略称」についても、一般に「氏名」と同様に本人を指し示すものとして受け入れられている場合には、本人の「氏名」と同様に保護に値すると考えられる旨を判示したものである。請求人は、「氏名」についてまで、「略称」と同様に他人を指し示すものとして受け入れられているか否かが検討されるべきであるとの立場にたって、その主張をしているが、これは、自らが引用する前記の判例の理解を誤ったものといわざるを得ない。しかして、前記の判例の判示したところによれば、商標法第4条第1項第8号にいう他人の「氏名」については、他人を指し示すものとして受け入れられているか否かを同号の適用の要件とする余地はないものというべきである。
したがって、請求人の主張は、理由がなく採用することができない。
4 結語
以上のとおり、本願商標が商標法第4条第1項第8号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって、取り消すことはできない。
よって、結論のとおり審決する。
別掲
審理終結日 2012-07-19 
結審通知日 2012-07-23 
審決日 2012-08-08 
出願番号 商願2010-68162(T2010-68162) 
審決分類 T 1 8・ 23- Z (X14161825)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 岩本 和雄鈴木 斎白鳥 幹周 
特許庁審判長 水茎 弥
特許庁審判官 内田 直樹
前山 るり子
商標の称呼 サンティアゴゴンザレス、サンティアゴ、ゴンザレス 
代理人 中田 和博 
代理人 柳生 征男 
代理人 青木 博通 

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