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審決分類 |
審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない Y09 |
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管理番号 | 1268398 |
審判番号 | 取消2011-300491 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-05-27 |
確定日 | 2012-12-21 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4919062号商標の登録取消審判事件について,次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は,成り立たない。 審判費用は,請求人の負担とする。 |
理由 |
1 本件商標 本件登録第4919062号商標(以下「本件商標」という。)は,「CoVo」の欧文字を標準文字で表してなり,平成17年5月17日に登録出願,第9類「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記憶媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,理化学機械器具,測定機械器具,配電用又は制御用の機械器具,電池,電気磁気測定器,電線及びケーブル,写真機械器具,映画機械器具,光学機械器具,眼鏡,加工ガラス(建築用のものを除く。),救命用具,電気通信機械器具,録音済み磁気カード・磁気シート及び磁気テープ,録音済みのコンパクトディスク,EPレコード,LPレコード,その他のレコード,電子楽器用自動演奏プログラムを記憶させた電子回路及びCDーROM,電子出版物,オゾン発生器,電解槽,ロケット,スロットマシン,回転変流機,調相機,運動技能訓練用シミュレーター,乗物運転技能訓練用シミュレーター,電気アイロン,電気式ヘアカーラー,電気ブザー,鉄道用信号機,乗物の故障の警告用の三角標識,発光式又は機械式の道路標識,火災報知機,ガス漏れ警報器,事故防護用手袋,消火器,消火栓,消火ホース用ノズル,消防車,スプリンクラー消火装置,消防艇,盗難警報器,保安用ヘルメット,防火被服,防じんマスク,防毒マスク,磁心,自動車用シガーライター,抵抗線,電極,溶接マスク,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ,ガソリンステーション用装置,自動販売機,駐車場用硬貨作動式ゲート,金銭登録機,計算尺,硬貨の計数用又は選別用の機械,作業記録機,写真複写機,手動計算機,製図用又は図案用の機械器具,タイムスタンプ,タイムレコーダー,パンチカードシステム機械,票数計算機,ビリングマシン,郵便切手のはり付けチェック装置,ウエイトベルト,ウエットスーツ,浮袋,エアタンク,水泳用浮き板,潜水用機械器具,業務用テレビゲーム機,レギュレーター,アーク溶接機,犬笛,家庭用テレビゲームおもちゃ,携帯用液晶画面おもちゃ用のプログラムを記憶させた電子回路及びCDーROM,金属溶断機,検卵器,電気溶接装置,電動式扉自動開閉装置,メトロノーム,耳栓」を指定商品として,平成18年1月6日に設定登録され,その商標権は,現に有効に存続しているものである。 そして,本件審判の請求の登録は,平成23年6月15日である。 2 請求人の主張 請求人は,「本件商標の指定商品中の『電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記憶媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電子出版物,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ』についての登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て,その理由を「本件商標は,その指定商品中,上記指定商品について,継続して3年以上日本国内において,商標権者,専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実がなく,また,それについての正当事由も存在しないから,その登録は,商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。」旨述べた。 3 被請求人の主張 被請求人は,結論同旨の審決を求めると答弁し,その理由を次のように述べ,証拠方法として,乙第1号証ないし乙第5号証を提出した。 (1)使用の事実 ア 使用権者について 乙第1号証は,商標権者が株式会社エス・エス・アイ(以下「エス・エス・アイ」という。)に使用権を許諾していることを示すものである。 イ 使用商品及び使用商標について (ア)乙第2号証は,エス・エス・アイが現在製造し,販売している能力開発モバイルツール「COVO HI-END」のカタログであり,カラー液晶画面及び左上の部分には,「COVO」の商標(以下「使用商標」という。)の記載が,ヘッドホーンにも使用商標の記載がある。 (イ)乙第3号証は,乙第2号証の拡大コピーであり,乙第3号証からヘッドホーンにも使用商標の記載があることが明らかである。 (ウ)乙第4号証は,COVO解説Webサイト(http://www.ssiblog.com/covo/index.html)のコピーである。同様に,カラー液晶画面及び左上の部分に,使用商標の記載が認められる。 この装置は,SDメモリーカードの記録媒体を使用し,音声の再生速度を変更できる「速聴」「遅聴」,テキスト表示による「逆聴」が可能なほか,サイコフィードバック機能,ボイスレコーダー,音楽再生,画像表示などの機能も備えたモバイル型能力開発ツールであるので,「電子応用機械器具」に該当すること明らかである。 ウ 使用商標と本件商標との社会通念上の同一性について 本件商標は,欧文字「CoVo」を横書きにしてなるものであるのに対し,使用商標は,本件商標の「o」の2文字を大文字で表示した点において相違があるものの,使用商標と本件商標とは,観念及び称呼を共通にするものである。 したがって,本件商標と使用商標とが社会通念上同一であることは明らかである。 エ 取引について 乙第5号証は,顧客である向笠功一がエス・エス・アイに商品の購入申し込みをした購入契約書の写しである。 乙第5号証の「お申込日」,「ご契約日」の各欄に,「23年6月1日」と記載されている。これから,平成23年6月1日に購入契約が成立したことが明らかである。 乙第5号証の「申込商品」欄には,「脳力開発プログラムジョセフ・マーフィー・ゴールデンプログラム速聴JPI(COVOセット)コース」と記載されている。この「COVOセット」の記載から,この商品が,能力開発モバイルツールCOVO HI-ENDを含むことが明らかである。 オ 以上のことから,本件商標が本件審判の請求の登録日である平成23年6月13日前に,第9類の「電子応用機械器具」について使用されたことは明らかである。 (2)むすび したがって,本件商標は,商標権者から使用権を許諾されたエス・エス・アイにより,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,その請求に係る指定商品中の第9類「電子応用機械器具」について使用されたことは明白である。 4 当審の判断 (1)乙第1号証ないし乙第5号証によれば,以下の事実を認めることができる。 ア 乙第1号証は,商標権者の代表取締役とエス・エス・アイの代表取締役との間で締結した,本件商標を含む登録商標に関する平成19年7月31日付けの「商標使用許諾契約書」である。なお,使用期間については,当該契約書の「2.」において,「甲(審決注:商標権者)が平成19年8月1日以降,更新登録を行う各商標の存続期間満了日の翌日より10年間」と定められている。 イ 乙第2号証は,「あなたの脳力開発・願望実現を加速させる!」,「エス・エス・アイ」「オリジナルハードウエア」,「速聴エンジョイニング&アルファ波エンジョイニング」などと記載されたエス・エス・アイ作成に係るカタログと認められるところ,その左下には,「脳力開発モバイルツール」「COVO HI-END」との表示のもと,「0.5倍速?4倍速まで0.1倍刻みでの『速聴』『遅聴』,テキスト表示による『逆聴』が可能なほか,サイコフィードバック機能,ボイスレコーダー,音楽再生,画像表示などの機能も備えた持ち運び可能なSDiメモリーカード式のモバイル型脳力開発ツールです。」との説明文と,液晶画面のある装置(本件における使用に係る商品の本体)とヘッドホーンの写真が掲載されており,これら商品には,それぞれ使用商標が表示されている。 そして,「サイコフィードバック」については,同号証の「サイコフィードバック・システム」に「脳波をセンサーで感知し,光や音の信号に変換する装置。」との記載がある。 また,「各種ハードウエア製品仕様」の「COVO HI-END」には,「表示画面」について「240×320pixel(縦・横)TFTカラー液晶ディスプレー65,535色」,「記録媒体」について「SDメモリーカード」,「付属品」について「イヤフォン,充電ケーブル,ヘッドセット,取扱説明書,保証書」などと記載されている。 なお,当該カタログには,作成日ないし発行日の記載はない。 ウ 乙第3号証は,乙第2号証における「脳力開発モバイルツール/COVO HI-END」の拡大コピーである。 エ 乙第4号証は,エス・エス・アイのインターネットホームページにおける「COVO」に関する解説と認められるところ,1ページの上段には,使用商標が表示された液晶画面のある装置(本件における使用に係る商品の本体)の写真が大きく掲載され,その説明として,「『速聴』4.0倍速/『遅聴』0.5倍速」,「パスポートサイズで持ち運び自由自在」,「『速聴』『逆聴』機能で脳活性を加速」との記載,「プログラムすべての情報がわずか切手サイズに」として「プログラムのデータを『SDiメモリーカード』に収録。従来のCD数十枚分のプログラムデータが,切手サイズのカードに納まりました。」との記載及び「『脳力開発プログラム』を収録した『COVO』専用のSDメモリーカードを,当社では『SDiメモリーカード』(SD memory card for intelligent device)と名付けています。」などと記載されている。 また,同2ページには,「『COVO HI-END』とは」の表示のもと,「人が潜在脳力を発揮しやすい状態に保つには,自分のアルファ波がどのような状態にあるか意識し続けることが重要です。『COVO HI-END』は,アルファ波を視覚化する『脳波フィードバック機能』を搭載!アルファ波の状態を自分の目で確かめることで,脳力開発のセルフ・マネジメントを強力にサポートします。」,「私たちの脳からはα波(アルファ波),β波(ベータ波),θ波(シータ波)という脳波が出ています。アルファ波は,リラックスしたり,物事に集中して取り組んでいるときに優勢になる脳波で,アルファ波が一定のリズムで継続的に出ているときは,潜在脳力が最も発揮しやすく,ひらめきが浮かびやすい状態といわれています。そのアルファ波が,脳波の中で何%を占めるかを数値で表したのが『アルファ波優勢率』。その割合を高い状態に維持できれば,あなたの脳力は著しくアップすることでしょう。」などと記載されている。 オ 乙第5号証は,「お申込日」及び「ご契約日」を平成23年6月1日とする「エス・エス・アイ用」「プログラム申込書(購入契約書)」(写し)であり,その「お申込者」の「お名前」には「向笠功一」との記載と押印があり,「申込商品」欄の「品名」には「脳力開発プログラム ジョセフ・マーフィー・ゴールデンプログラム速聴/JP I(COVOセット)コース」と,「数量」欄には「1」と,「金額」欄には「898000円」と,「お客様がお申込をされる会社名」には「株式会社エス・エス・アイ 代表取締役 松村 徹」と,それぞれ記載されている。また,2葉目は,「お申込年月日」及び「ご契約年月日」を平成23年6月1日とする「クレジット お申し込みの内容(控)」(写し)であり,「ご契約者」の「お名前」には「向笠功一」と,「提供または付帯される役務の権利の内容」の「商品名(・・・)・種類・型式」には「脳力開発プログラムジョセフ・マーフィー・ゴールデンプログラム速聴/JP I(COVOセット)コース」と,「数量」には「1」と,「金額(税込)」には「898000円」との記載があり,右下の「商品・役務等のお問い合わせ先<販売店(役務提供事業者)>」の「販売会社名」には「株式会社エス・エス・アイ 代表取締役 松村 徹」と,それぞれ記載されている。 (2)前記(1)で認定した事実によれば,以下のとおり判断するのが相当である。 本件商標権者は,エス・エス・アイとの間で,本件商標の使用権の許諾を結んでいることから,エス・エス・アイは,本件商標の通常使用権者ということができる。 そして,使用に係る商品は,「『速聴』『遅聴』,テキスト表示による『逆聴』が可能なほか,サイコフィードバック機能,ボイスレコーダー,音楽再生,画像表示などの機能も備えた持ち運び可能なSDiメモリーカード式のモバイル型脳力開発ツール」であって,音声を高速,あるいは,低速で再生する機能,テキスト表示による逆聴する機能,ボイスレコーダーや音楽再生機能等を有する「携帯型のデジタル再生機器」であることからすれば「電気通信機械器具」に相当する商品と認められるが,同時に,脳波をセンサーで感知し,光や音の信号に変換するサイコフィードバック機能や画像表示機能をも有する「脳のトレーニングを行うためのコンピュータプログラムを搭載した電子機器」であって,機器本体,取扱説明書等とともにCOVO専用として販売され,使用される「SDiメモリーカード」は,脳力を活発化させるためのトレーニング用のコンピュータプログラムを記録した記録媒体「メモリーカード」であることから「電子応用機械器具」にも相当する商品ということができる。 してみると,使用に係る商品は,取消請求に係る指定商品中,「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記憶媒体,その他の電子応用機械器具及びその部品」に含まれる商品と認められるものである。 また,エス・エス・アイは,使用商標を表示した使用に係る商品を,本件審判の請求の登録(平成23年6月15日)前3年以内である平成23年6月1日に,顧客に販売したものとみて差し支えない。 (3)本件商標と使用商標との同一性 使用商標は,「COVO」の文字よりなるところ,「CoVo」の欧文字からなる本件商標とは,「o」の文字部分において小文字と大文字との違いを有するものの,その綴り文字を同じくするものであり,いずれも「コボ」の称呼を生ずるものであって,観念において異同はないものであるから,この程度の書体の変更は,本件商標と社会通念上同一の範囲のものと認められる。 (4)まとめ 以上によれば,本件商標の通常使用権者は,本件審判の請求の登録(平成23年6月15日)前3年以内に,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を,取消請求に係る指定商品に含まれる「脳のトレーニングを行うためのコンピュータプログラムを搭載した電子機器」に表示して市場に流通させたと認め得るものであり,通常使用権者の上記行為は,「商品又は商品の包装に標章を付したものを譲渡し,引き渡し,・・する行為」(商標法第2条第3項第2号)に該当するものと認めることができる。 したがって,被請求人は,本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において,通常使用権者が取消請求に係る指定商品について,本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したと認められる。 (5)なお,請求人は,被請求人が提出した平成24年3月14日付けの手続補正書に対し,「電気通信機械器具」であるか「電子応用機械器具」であるかは,具体的商品の性質により定まるものであり,被請求人の提出証拠によれば,商品は「電気通信機械器具」であるのは明らかである旨弁駁する。 しかしながら,本件商標の使用に係る商品「能力開発モバイルツール」の持つ機能を勘案して検討すれば,前記認定のとおり「電気通信機械器具」であると同時に「電子応用機械器具」にも相当する商品ということができるものであるから,本件審判の取消請求に係る指定商品について,本件商標の使用をしていない,とはいえないものである。 (6)むすび 以上のとおりであるから,本件商標の登録は,その指定商品中「電子計算機用プログラムを記憶させた電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の記憶媒体,電子計算機用プログラム,その他の電子応用機械器具及びその部品,電子出版物,映写フイルム,スライドフイルム,スライドフイルム用マウント,録画済みビデオディスク及びビデオテープ」について,商標法第50条の規定により,取り消すことができない。 よって,結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2012-07-26 |
結審通知日 | 2012-07-31 |
審決日 | 2012-08-15 |
出願番号 | 商願2005-42881(T2005-42881) |
審決分類 |
T
1
32・
1-
Y
(Y09)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 茂木 祐輔、金子 尚人 |
特許庁審判長 |
関根 文昭 |
特許庁審判官 |
田中 亨子 寺光 幸子 |
登録日 | 2006-01-06 |
登録番号 | 商標登録第4919062号(T4919062) |
商標の称呼 | コボ、コーボ |
代理人 | 三好 秀和 |
代理人 | 稲垣 仁義 |