ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 商3条1項3号 産地、販売地、品質、原材料など 登録しない X29 審判 査定不服 商4条1項16号品質の誤認 登録しない X29 |
---|---|
管理番号 | 1268377 |
審判番号 | 不服2012-7463 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2012-04-23 |
確定日 | 2012-12-13 |
事件の表示 | 商願2011- 18902拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1 本願商標 本願商標は、「和漢草ケフィア」の文字を標準文字で表してなり、第29類「ケフィアを主原料とする固形状・液状・カプセル状・錠剤状・顆粒状・粉末状の加工食品,乳製品,乳飲料,乳酸菌飲料,豆乳,豆腐,納豆,カレー・シチュー又はスープのもと,ふりかけ,食用たんぱく,食用魚粉,肉製品,加工水産物」を指定商品として、平成23年3月16日に登録出願されたものである。 2 原査定の拒絶の理由の要旨 原査定は、「本願商標は、『和漢草ケフィア』の文字を普通に用いられる方法で表示してなるが、その構成中『和漢草』の文字は、例えば、三七人参(田七人参)、高麗霊芝、エゾウコギ、紫イペ、キャッツクローなどの東洋医学において、健康への働きがあるとされる日本や中国の植物を指称する語として使用され、それぞれの植物より抽出したエキスを混合したものを『和漢草エキス』と称して、いわゆる健康食品等に用いられているものであり、また、『ケフィア』の文字は、指定商品に含まれる『コーカサスやブルガリア産の発酵乳』を表す語であるから、全体として、『和漢草エキスを配合したケフィア』の意味合いを容易に理解させる。そうすると、本願商標をその指定商品中、上記文字に照応する商品、例えば、『ケフィア(乳酸飲料の一種)』『ケフィアを主原料とする固形状・液状・カプセル状・錠剤状・顆粒状・粉末状の加工食品』等に使用するときは、『和漢草エキスを配合したケフィア』『同ケフィアを主原料とする固形状の加工食品』等の意味合いを理解させるにとどまり、単に商品の品質を表示したものと認める。したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号に該当し、前記商品以外の商品に使用するときは、商品の品質の誤認を生じさせるおそれがあるので、同法第4条第1項第16号に該当する。」旨判断し、本願を拒絶したものである。 3 当審の判断 (1)本願商標は、前記1のとおり「和漢草ケフィア」の文字を標準文字で表してなるものであり、その構成態様から「和漢草」及び「ケフィア」の文字を結合してなるものと容易に認識し得るものである。 そして、その前半部の「和漢草」の文字は、一般の辞書には掲載されていない語ではあるものの、構成中の「和漢」の文字(語)は「日本と中国」などの意味を有するものであって(広辞苑 第六版)、また、例えば別掲1のとおり、「和漢薬」、「和漢植物」、「和漢薬草」のように、「和漢」に他の語を伴って「日本と中国(東アジアを指す場合もある。)に産出する生薬、植物、薬草」等の意味合いで一般に使用されているものであることからすれば、「和漢」の文字(語)と「草」の文字を結合してなる「和漢草」の文字からは、「日本または中国に産出する植物」の意味合いを容易に理解させるものである。 そして、「和漢草」の文字が、食品の原材料を表す際などに前記意味合いで使用されていることは、別掲2に示すとおりである。 一方、本願商標後半部の「ケフィア」の文字は、「コーカサスやブルガリア産の発酵乳」を意味するもの(現代用語の基礎知識2011)として一般に広く知られているものである。 さらに、本願指定商品を含む食品を取り扱う業界においても、「(薬草などの)日本または中国に産出する植物」や「ケフィア」が食品の原材料として一般に使用されている実情がある。 そうとすれば、「和漢草」と「ケフィア」の文字を結合した「和漢草ケフィア」の文字からなる本願商標をその指定商品中「ケフィアを主原料とする固形状・液状・カプセル状・錠剤状・顆粒状・粉末状の加工食品,乳製品,乳飲料,乳酸菌飲料」について使用するときは、これに接する取引者、需要者をして、これを「『和漢草(日本または中国に産出する植物)』及び『ケフィア』を原材料とする商品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料を表示したものと認識するにすぎないものと判断するのが相当である。 (2)なお、請求人は、本願商標は、特定の意味を有しない一種の造語として認識される旨主張するとともに、過去の登録例を挙げて、本願商標も登録されるべきである旨主張している。 しかしながら、商標が自他商品識別標識としての機能を有するか否かの判断は、査定時又は審決時における取引の実情を勘案して、その指定商品の取引者、需要者の認識を基準に判断すべきものであるから、別掲1及び2の使用例などの前述の取引の実情からすれば、「和漢草ケフィア」の文字は、「『和漢草(日本または中国に産出する植物)』及び『ケフィア』を原材料とする商品」であることを表すものとして、取引者、需要者に認識されるものと判断するのが相当であり、自他商品識別標識としての機能を有しないものというべきであって、他の登録例の存在によってこの判断は何ら左右されるものではない。 (3)してみれば、「和漢草ケフィア」の文字を標準文字で表してなる本願商標は、これをその指定商品中「ケフィアを主原料とする固形状・液状・カプセル状・錠剤状・顆粒状・粉末状の加工食品,乳製品,乳飲料,乳酸菌飲料」について使用しても、これに接する取引者、需要者は、該文字からは単に「『和漢草(日本または中国に産出する植物)』及び『ケフィア』を原材料とする商品」であることを表示したもの、すなわち商品の品質、原材料を表示したものと認識するにとどまるものであり、また、前記商品以外の商品に使用するときは、該商品が「『和漢草(日本または中国に産出する植物)』及び『ケフィア』を原材料とする商品」であるかのように商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるものといわなければならない。 したがって、本願商標は、商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当する。 以上のとおりであるから、本願商標が商標法第3条第1項第3号及び同法第4条第1項第16号に該当するとして本願を拒絶した原査定は、妥当であって取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 (下線は、合議体で付記した。) 1 「和漢」の使用例 (1)「和漢薬」 (ア)広辞苑第六版 「和漢薬」の項に「西洋医方に対し和漢の医方(漢方)で用いられる薬物。また、日本および東アジア地域に産出する生薬。」と記載されている。 (2)「和漢植物」 (ア)2009年3月11日付け東京新聞(朝刊)には、「和漢植物配合のカレー」の見出しの下、「森下仁丹は、漢方相談薬局の薬日本堂(東京)と共同開発した和漢植物入りのカレールー『仁丹の食養生カレー』を16日に通信販売限定で発売。」と記載されている。 (イ)2009年11月20日付け日本食糧新聞には、「大正製薬、サプリ『和漢の活力』通販限定で発売」の見出しの下、「大正製薬は9日、6種の和漢植物にビタミン4種やアミノ酸6種を加えた栄養補助食品『和漢の活力』を通信販売限定で発売した。高麗人参・ショウガ・ケイヒ・ナツメ・サンショウ・カンゾウなどの和漢植物を使い、古来の素材配合率と製法(一括抽出法)で製造している。」と記載されている。 (ウ)2011年2月18日付け日本食糧新聞には、「大正製薬、体内美容サポート飲料『密-hisoca』3周年記念限定セット発売」の見出しの下、「『密-hisoca』は、西洋ハーブと東洋ハーブ(和漢植物)を独自の配合比率で融合させた、希釈タイプの美容サポート飲料で、『生姜』『柘榴』『蔓苔桃(つるこけもも)』『西洋梨・王乳』『西洋李(すもも)・ドクダミ』の全5アイテムが揃う。」と記載されている。 (エ)「京都二条 京乃雪」と称するウェブサイトにおいて、「原材料について -和漢植物と自然素材-」の見出しの下、「和漢植物とは、古くから日本や中国などで健康の維持を目的として、経験的に食されていた食用植物です。」と記載されている。(http://www.kyonoyuki.com/about/material.php) (3)「和漢薬草」 (ア)1994年1月1日付け北國・富山新聞には、「富山県福岡町、家族旅行村に薬草・薬樹の森、7年春のオープンへ、宿泊施設も計画」の見出しの下、「薬樹としてはカリン、スモモ、クリ、コブシ、センダン、マタタビ、アマチャヅルなど、和漢薬草ではオウレン、オオバコ、オトギリソウ、カキドウシ、シラン、ツリガネニンジン、ツワブキなど、さらにラベンダーやペパーミントなどハーブの植栽も考えており、土壌質などを調査してなるべく多くの適した種別の草木をそろえたいとしている。」と記載されている。 (イ)新訂原色牧野和漢薬草大圖鑑(株式会社北隆館発行)には、「『新訂原色牧野和漢薬草大圖鑑』刊行にあたって」の頁に、「この『新訂原色牧野和漢薬草大圖鑑』の収録種数は、和漢薬草およびハーブ・スパイス等の外国産薬用・資源植物を併せ1500種に及び、現在使用されている薬草と過去に使用された薬草をほとんど網羅した。」と記載されている。 2 「和漢草」の使用例 (1)1996年7月5日付け静岡新聞(朝刊)には、「シャンソン化粧品がダイエット健康茶『減肥八茶』を発売」の見出しの下、「『減肥八茶』は減肥効果があるとされているプーアール茶、ハトムギ、ハブ茶、ウコン、杜仲茶、ウーロン茶、霊芝、緑茶の八種類の和漢草をブレンドしてある。」と記載されている。 (2)「株式会社マルシン」のホームページにおいて、「御利益のど飴 八十八か所めぐり」の商品紹介に、「御利益のど飴は、かりんエキスをはじめ五種類の和漢草エキスを配合した、のどにやさしい飴です。」と記載されている。(http://marusin.ocnk.net/product/244) (3)「フーディオス・ドット・コム」と称するウェブサイトにおいて、「天然植物エキス 発酵飲料」の項の「蔵人の酵素」の見出しの下、「原料となる野菜やくだものは、地元奈良の契約農家で可能な限り安全な方法で栽培したものを使用しています。和漢草は吉野山に自生しているものを使っています。純植物性の発酵飲料。」と記載、及び「■原材料 200種以上の原料を使用」の見出しの下、「和漢草 : クコ・よもぎ・どくだみ・快明子・すぎな・ハブ茶 他」と記載されている。(http://foodios.com/food/kouso.htm) (4)「ウコンの専門家.com」と称するウェブサイトにおいて、「ノニプレミアム【発酵和漢エキス】500ml」の項に「140種類以上を含むと言われる栄養素で知られるハーブの女王ノニと、希少な和漢草のブレンド濃厚な味わいに秘密があります。」と記載、及び「自社農園&工場のご案内」の見出しの下、「自社農園は、各種ウコン(春ウコン、秋ウコン、紫ウコン)、グヮバ、ギムネマシルベスター、キダチアロエ、クミスクチン、雲南百薬といった沖縄の野草をはじめ、西洋のハーブ(ミント・バジル・ローズマリーなど)、など百数十種類の和漢草やハーブが栽培されています。」と記載されている。(http://www.okinawaharuukon.com/SHOP/2924.html) (5)「株式会社メリーナ」のホームページにおいて、「商品のご紹介」の項の「自然食品」の見出しの下、「玄妙茶 玄妙茶は23種の和漢草の葉・茎・花・実・根を活かし、陰陽の調和を大切にし、飲みやすく仕上げた健康茶です。」と記載されている。(http://www.melina.co.jp/product/index.html) (6)「こだわり館.com」と称するウェブサイトにおいて、「薬用 和漢草 透明洗顔石けん」の項に、「和漢草とは? 和漢草(和漢植物)とは、原産地が和漢(日本・中国)の植物類のことです。」と記載されている。(http://kodawarikan.com/?pid=23047888) |
審理終結日 | 2012-10-12 |
結審通知日 | 2012-10-16 |
審決日 | 2012-10-30 |
出願番号 | 商願2011-18902(T2011-18902) |
審決分類 |
T
1
8・
272-
Z
(X29)
T 1 8・ 13- Z (X29) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 薩摩 純一 |
特許庁審判長 |
野口 美代子 |
特許庁審判官 |
高野 和行 堀内 仁子 |
商標の称呼 | ワカンソーケフィア、ワカンソー |
代理人 | 寺田 雅弘 |