• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 一部取消 商50条不使用による取り消し 無効とする(請求全部成立)取り消す(申し立て全部成立) 042
管理番号 1268350 
審判番号 取消2012-300010 
総通号数 158 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 商標審決公報 
発行日 2013-02-22 
種別 商標取消の審決 
審判請求日 2012-01-06 
確定日 2012-12-10 
事件の表示 上記当事者間の登録第3233232号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 登録第3233232号商標の指定役務中、第42類「飲食物の提供」については、その登録は取り消す。 審判費用は、被請求人の負担とする。
理由 第1 本件商標
本件登録第3233232号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成からなり、平成4年9月30日に登録出願され、第42類「宿泊施設の提供,飲食物の提供,写真の撮影,庭園又は花壇の手入れ,庭園樹の植樹,肥料の散布,デザインの考案,医薬品・化粧品又は食品の試験・検査又は研究,農業・畜産又は水産に関する試験・検査又は研究,調剤,衣服の貸与,展示施設の貸与」を指定役務として、同8年12月25日に設定登録され、その後、同19年1月16日に商標権の存続期間の更新登録がなされ、現に有効に存続しているものである。

第2 請求人の主張
請求人は、結論同旨の審決を求め、その理由を要旨次のように述べている。
1 請求の理由
本件商標は、その指定役務中「飲食物の提供」について、継続して3年以上日本国内において商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれも使用した事実が存しないから、その登録は商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。
2 答弁に対する弁駁
(1)乙第3号証ないし乙第6号証は、いずれも「飲食物の提供」についての使用を明らかにするものではない。
(2)乙第7号証は、レストランで使用されている備品などに登録商標の一部が表されていることを明らかにするにすぎず、これをもって登録商標(社会通念上同一の商標を含む。)を使用しているということはできない。
(3)まとめ
以上のとおり、乙第1号証ないし乙第7号証はいずれも「飲食物の提供」の役務について、本件商標もしくはこれと社会通念上同一と認められる商標を使用していることを何ら明らかにするものではないから、本件商標の登録は取消を免れない。

第3 被請求人の答弁
被請求人は、本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、と答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第7号証を提出した。
1 本件商標はキジムナーを表わす図形商標に「KIJIMUNA」の文字の入った構成である。「キジムナー」とは、沖縄で言い伝えられてきた民話の中に出てくる木の妖精のことである。
2 被請求人「上地長栄」は、多幸山株式会社(以下「多幸山」という。)の取締役であり(乙1)、本件商標は、同社が経営している観光テーマパークである「琉球村」で使用するために登録したものである。
3 多幸山は、本件商標を登録から本日まで約15年以上も「琉球村」で使用継続中である(乙2)。
「琉球村」では、このキジムナーをマスコットキャラクターとして施設のあらゆる所で使用しており、本件商標もその一つであるので、その使用の状況を証明することにより、使用をしていることを立証する。

第4 当審の判断
1 被請求人提出の乙各号証によれば、次のとおりである。
(1)乙第1号証は、多幸山の現在事項全部証明書であるところ、「目的」欄には、「1 観光事業及び宿泊施設の管理運営」の記載があり、「役員に関する事項」欄には、「取締役 上地長栄」と記載がある。
(2)乙第2号証は、多幸山による、平成24年2月14日付けの「証明書」と題する書面であり、本件商標について、商標権者と多幸山の合意の上、15年以上前から、多幸山が経営する「琉球村」で使用していることを証明する内容である。
(3)乙第3号証は、「30th ANNIVERSARY」の記載がある「琉球村」のパンフレットであるところ、1人又は複数のキジムナーの図形が、それぞれパンフレット中に散りばめられて表示されていることが認められる。そして、パンフレットには、ポーポー(沖縄料理)を提供する「ポーポー屋」及びヤシジュースを提供する「ヤシハウス」について紹介されているが、その紹介部分には、本件商標に関連する図形や文字の記載はない。
(4)乙第4号証は、「H23.4月現在」の表示がある「琉球村 施設案内」のパンフレットであるところ、案内図中の「撮影ポイント」及び「琉球村」のハウスマークと認められるマーク中に、1人又は2人のキジムナーの図形が表示されていることが認められる。なお、案内図中には、レストランが表示されているが、該部分には「うちなー食堂」等の名称が記載されているものの、本件商標に関連する図形や文字の記載はない。
(5)乙第5号証の上の写真によれば、「琉球村」の入場券販売窓口に、料金などとともに、大きな牛と戯れる多数のキジムナーの図形が表示されている。
乙第5号証の下の写真によれば、「めんそーれ WELCOME」のボードを持つ、キジムナーの立像が設置されている。
乙第6号証の上の写真によれば、2人のキジムナーの顔の部分がくり抜かれた記念撮影用の補助具が、「キジムナーの家」の看板のあるツリーハウスの前に置かれている。
乙第6号証の下の写真によれば、「琉球村」の入口に、「琉球村 1982・OPEN おかげさまで30周年」等の文字とともに、1人のキジムナーの図形が表示された横断幕があり、また、入口横に、乙第5号証の下の写真にある、キジムナーの立像が配置されている。なお、写真中には、「飲食物の提供」の業務に係る役務を表す表示はない。
(6)乙第7号証は、「レストランの入口マット」及び「レストラン内で使用されているナプキン、箸袋」の写真であるところ、入口マットには1人のキジムナーの図形が表示され、ナプキン及び箸袋には、それぞれに、1人のキジムナーの図形が2つ表示されていることが認められる。
2 前記1によれば、次のとおり認められる。
(1)商標権者は、多幸山の取締役の一人である(乙1)ことからすれば、後述のとおり、本件商標の使用の事実は認められないものの、多幸山が本件商標を使用することについて、許諾しているものと推認できるから、多幸山は、本件商標に係る通常使用権者と認めることができる。
(2)商標の使用について
多幸山は、1982年に「琉球村」と称するテーマパークを開園し、現在に至るまで継続して運営し、同テーマパークのマスコットキャラクターとして「キジムナー(沖縄に伝わる木の妖精)」を採用している。キジムナーには、本件商標の構成中に見られるように、多数のキャラクターがあり、多幸山は、同テーマパークにおいて、キジムナーを立体的に使用したり(乙5、乙6)、同テーマパークを表すものとして「Ryukyu Mura」の文字と共に使用したり(乙4)、30周年であることを示す横断幕(乙6)やパンフレット(乙3、乙4)にキジムナーの1つないし複数をいろいろなポーズにアレンジして使用しているものであり、通常テーマパーク内のレストランに使用していると認められる入口マット(乙7)には、1人のキムジナーの図形が使用されており、またナプキン及び箸袋(乙7)には、「琉球村」等の文字の左右に異なる1人のキジムナーの図形が使用(ナプキンと箸袋のキジムナーのポーズは異なる)されているものである(以下、上記「琉球村」(レストランを含む。)に関して使用されているキジムナーの図形をまとめて「使用商標」という。)。なお、提出された証拠には、「KijiMuNA」「キジムナー」「きじむなぁ」の文字の使用は認められない。
ア 使用商標について
本件商標は、別掲のとおり、3人ないし5人のキジムナーを4段に表示し、その間の2か所に「KijiMuNA」の文字、1か所に「きじむなぁ」の文字を表示してなるものである。
一方、使用商標は、上記のとおり、キジムナーの1人ないし複数をいろいろなポーズにアレンジして使用しているものであるが、本件商標の図形部分について比較しても、キジムナーの数、各キジムナーのポーズ、複数の場合のキジムナーの位置において明らかな差異を有し、同一性が認められないし、しかも「KijiMuNA」及び「きじむなぁ」の文字は使用されていない。
してみれば、使用商標は、本件商標と社会通念上同一の商標ということはできない。
イ 使用する役務について
多幸山は、本件審判請求の登録前3年の間も上記テーマパークの運営を行っていることが認められるものの、そのテーマパークに係る使用商標は、「娯楽施設の提供」に属する役務についての使用といえるものであり、本件審判請求に係る役務に使用するものということはできないが、テーマパーク内において営業するレストランの業務に使用する上記使用商標(乙7)については、上記請求に係る役務「飲食物の提供」に使用するものということができる。
(3)以上のとおりであるから、通常使用権者と認めることができる多幸山は、本件審判請求の登録前3年の間も本件審判請求に係る役務「飲食物の提供」を行っていることは認め得るものの、当該役務において使用している使用商標は、本件商標(社会通念上同一の商標を含む。)とは認めることができない。
3 結論
以上のとおり、被請求人は、本件審判請求の登録前3年以内に、日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが、その取消請求に係る指定役務について、本件商標の使用をしていることを証明したとは認められず、また、本件商標を使用していないことについて、正当な理由があることを明らかにしていない。
したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、その指定役務中「結論掲記の役務」について、取り消すべきである。
よって、結論のとおり審決する。
別掲 別掲(本件商標)





審理終結日 2012-10-01 
結審通知日 2012-10-03 
審決日 2012-10-30 
出願番号 商願平4-275598 
審決分類 T 1 32・ 1- Z (042)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鈴木 修 
特許庁審判長 内山 進
特許庁審判官 板谷 玲子
前山 るり子
登録日 1996-12-25 
登録番号 商標登録第3233232号(T3233232) 
商標の称呼 キジムナ、キジムナア 
代理人 福島 康文 

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ