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審決分類 |
審判 全部取消 商標の同一性 無効としない 018 審判 全部取消 商50条不使用による取り消し 無効としない 018 |
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管理番号 | 1268326 |
審判番号 | 取消2011-301025 |
総通号数 | 158 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 商標審決公報 |
発行日 | 2013-02-22 |
種別 | 商標取消の審決 |
審判請求日 | 2011-11-07 |
確定日 | 2012-12-03 |
事件の表示 | 上記当事者間の登録第4044583号商標の登録取消審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 |
理由 |
第1 本件商標 本件登録第4044583号商標(以下「本件商標」という。)は、別掲のとおりの構成よりなり、平成8年2月7日に登録出願、第18類「原革,原皮,なめし皮,毛皮,革ひも,かばん類,袋物,携帯用化粧道具入れ,かばん金具,がま口口金,傘,ステッキ,つえ,つえ金具,つえの柄,乗馬用具,愛玩動物用被服類」を指定商品として、同9年8月15日に設定登録され、その後、同19年11月27日に商標権の存続期間の更新登録がされ、その商標権は、現に有効に存続しているものである。 なお、本件審判の請求の登録は、平成23年11月22日にされたものである。 第2 請求人の主張 請求人は、「本件商標の登録を取り消す。審判費用は被請求人の負担とする。」との審決を求めると申し立て、その理由を「本件商標は、その指定商品について、継続して3年以上日本国内において、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれによっても使用されていないから、その登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきである。」旨述べ、証拠方法として、甲第1号証及び甲第2号証を提出した。 第3 被請求人の答弁 被請求人は、結論同旨の審決を求めると答弁し、その理由を要旨次のように述べ、証拠方法として、乙第1号証ないし乙第36号証(枝番を含む。なお、枝番のある証拠において枝番のすべてを引用するときは、以下、枝番の記載を省略する。)を提出した。 1 使用の事実 (1)通常使用権者である株式会社シモカワによる使用 ア 本件商標の商標権者のうち、株式会社寿屋(以下「寿屋」という。)は、ハンドバッグの製造加工及び販売を業とする株式会社シモカワ(本社:大阪府東大阪市永和二丁目16番11号:乙第1号証(括弧内の証拠番号は、以下「乙1」のように記載する。)。以下「シモカワ」という。)に対し、本件商標の商標権(以下「本件商標権」という。)について通常使用権の許諾をしている(乙2?乙4)。 なお、本件商標権は、共有に係るものであるところ、上記本件商標権の通常使用権の許諾に関し、他の商標権者であるエンツォ・ロッシ(以下「ロッシ」という。)による明文の同意やロッシとシモカワとの間で締結した契約書はないが、以下のとおり、ロッシが黙示に許諾したといえる。 (ア)ロッシとシモカワの社員とが、2010年(平成12年)6月8日に放映のTVプログラム「SHOP CHANNEL」において、「Brera/ブレラ」ブランドの婦人用バッグがロッシによるデザイン監修の下、シモカワが企画・製造・販売を手がけてきたことを紹介した(乙5、乙6)。 (イ)過去に展示会で使用されたリーフレットの左上には、使用に係る商標(以下「使用商標1」という。)が表示され、その下に「Exhibition Rooms:JAPAN」として「SHIMOKAWA Co.,Ltd.」の名前が記載され、その下方に「Enzo Rossi」の名前が記載されている(乙7)。 イ 使用態様 (ア)バッグを包装する不織布製の包装用袋には、使用商標1が印刷されている(乙8、乙9)。 上記包装用袋は、梱包・包装資材を取り扱うムロ株式会社(乙10)から、平成23年2月1日、同年3月3日、同年11月18日にシモカワヘ納品された(乙11)。 (イ)バッグには、使用商標1が表示されたタグが付されている(乙12、乙13)。 (ウ)リーフレット、プレートには、使用商標1が表示されている(乙14?乙16)。 以上より、通常使用権者であるシモカワによる包装用袋についての使用商標1の使用は、「商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)、「商品の包装に標章を付したものを譲渡する行為」(同第2号)、「商品に関する広告等に標章を付して頒布等する行為」(同第8号)に該当する。 ウ 使用商標1と本件商標との同一性 本件商標は、白地に黒線で、中央に「Brera」の文字を若干弧を描いたように書してなり、「ヘビ」と「十字の盾」の図案とで「Brera」の文字を上下に挟み、全体を楕円で囲んだ態様である。 一方、使用商標1は、赤茶色の地に白抜きで、中央に「Brera」の文字を若干弧を描いたように書してなり、「ヘビ」と「十字の盾」の図案とで「Brera」の文字を上下に挟み、さらに、「Brera」の文字の下に「MILANO」の文字をこれより小さく書してなる。 そうすると、本件商標と使用商標1とは、「Brera」の文字の書体が同一であり、「ヘビ」及び「十字の盾」の図案も、使用商標1のこれら図案の縁取り線が太いことを除き同一である。異なる点は、小さく書した「MILANO」の文字の有無のみであるところ、「MILANO」は、北部イタリアにおいて最大の都市で商業、工業、金融の中心地であり、観光地としても世界的に名高く、我が国においてもその名前は広く知られているから、本件使用に係る商品との関係からみれば、商品の産地や原材料調達地等を表したにすぎず、自他商品識別機能は発揮しない。そうすると、「MILANO」の文字が含まれていることは、使用商標1が登録商標と社会通念上同一の範囲内であると認定することの妨げとはならない。 エ 使用時期 シモカワが、本件審判の請求の登録(平成23年11月22日)前3年以内に日本国内において、請求に係る指定商品(バッグ)を販売していたことは、以下のとおりである。 (ア)株式会社ファッションヤマグチあてに発行した2011年3月22日付け納品書と2011年4月20日付け請求書の各写し(乙17、乙18)。 (イ)株式会社カイタックあてに発行した2011年6月16日付け納品書と2011年6月30日付け請求書の各写し(乙19、乙20)。 (ウ)株式会社センゾーあてに発行した2011年4月13日付け納品書の写し(乙21)。 オ 売上実績 平成20年11月から同23年11月までの3年間における使用商標1を付したバッグの売上は、合計145,477,664円を達成している(乙22)。 (2)通常使用権者である有限会社ヴェローチェによる使用 ア 商標権者の一人であるロッシは、皮革製品等の輸出入、通信販売等を業とする有限会社ヴェローチェ(本社:奈良県生駒市小明町2101番地14:乙23。以下「ヴェローチェ」という。)に対し、口頭又は黙示によって本件商標権の通常使用権の許諾をしている(乙24?乙29)。 イ 使用態様 逆三角形盾形状図形内の中央に「BRERA」の文字を書し、「ヘビ」と「十字の盾」の図案とで上記文字を上下に挟んだ構成よりなる商標(以下「使用商標2」という。)を付したヴェローチェの取扱いに係る商品が、登録日を2011年10月31日として通販サイト「楽天」に掲載された(乙30?乙34)。 ウ 使用商標2と本件商標との同一性 本件商標と使用商標2とは、中央に「Brera」(本件商標)及び「BRERA」(使用商標2)の文字を書してなり、「ヘビ」と「十字の盾」の図案とで上記文字を上下に挟んだ構成よりなるものである。ただ、使用商標2の「ヘビ」の図案は緑色に彩色され、「十字の盾」の図案は赤地に金色の十字を配してなる。なお、使用商標2の各要素が逆三角形盾形状の皮製プレート台に配置されており、この皮製プレート台の輪郭を使用商標2の一部とみた場合、登録商標の楕円とは異なるが、これは背景図形の相違にすぎず、明確に識別力を発揮している2つの図形が共通し、かつ、文字部分は同一の称呼及び観念が生ずるものであるから、使用商標2は、本件商標と社会通念上同一の商標である。 エ 日付の確からしさを示す書面 上記イの通販サイト「楽天」に掲載の登録日が2011年10月31日であることは、当該ページの掲載業務を依頼した株式会社クライムアップの担当者からの商品登録完了の旨電子メールがヴェローチェあてにあったこと(乙35)、及び、ヴェローチェの代表取締役のパソコンに登録された通販サイト「楽天」の「お気に入りブックマーク」の記録を示す画面には、「Brera」ブランドのブリーフケースの商品ページが、「2011/10/31」に登録されていたこと(乙36)より明らかである。 通販サイト「楽天」において、ヴェローチェの前述商品ページでの使用商標2の使用は、「商品に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示等する行為」であり(商標法第2条第3項第2号)であり、「商品に関する広告等に標章を付して展示等する行為」(同第8号)に該当する。そして、当該使用は、本件審判の請求の登録前3年以内の使用であることが明らかである。 なお、通販サイト「楽天」において、ロッシの顔写真、経歴、活動状況が詳細に紹介されており(乙30の2)、さらには、同ページ内において使用商標2が付されたバッグが広告・販売されていることが認められ、かかる使用は、「商品に標章を付したものを譲渡若しくは引渡しのために展示等する行為」(商標法第2条第3項第2号)、「商品に関する広告等に標章を付して展示等する行為」(同第8号)に該当するところ、これは商標権者の使用に値する使用ともいえる。 2 むすび 以上のとおり、本件商標の登録は、商標法第50条第1項の規定により取り消されるべきものではない。 第4 当審の判断 1 乙第1号証ないし乙第22号証によれば、以下の事実を認めることができる。 (1)本件商標の商標権者の一人である寿屋は、シモカワ(大阪府東大阪市永和二丁目16番11号に所在)との間で、2007年(平成19年)11月21日に、使用期間を2007年(平成19年)11月21日から2017年(平成29年)11月20日までとする本件商標権の通常使用権をシモカワに許諾する旨の「商標の使用権設定契約」を締結した(乙1?乙4)。 なお、寿屋がシモカワに対し本件商標権の通常使用権を許諾することについて、本件商標の他の商標権者であるロッシは、同意する旨の明文はないものの、ロッシとシモカワの社員が共に、2010年(平成22年)6月8日に放映のTV番組「SHOP CHANNEL」において、「Brera/ブレラ」ブランドの婦人用バッグがロッシによるデザイン監修の下、シモカワが企画・製造・販売を手がけてきたことを紹介したことなどにより、ロッシが黙示的に同意したものと推認することができる(乙5?乙7)。 (2)シモカワは、ムロ株式会社より平成23年2月1日、同年3月3日、同年11月18日に、それぞれシモカワヘ納品された不織布製の包装用袋に使用商標1を表示して、その取扱いに係る婦人用バッグを包装した(乙8?乙11)。 (3)シモカワは、2011年(平成23年)3月22日に、愛知県一宮市に所在の株式会社ファッションヤマグチに、品番を「3757BR」とする「ブレラプレートII」なる商品及び品番を「3874BR」とする「ブレラプレートII」なる商品を納品した(乙17、乙18)。また、シモカワは、2011年(平成23年)6月16日に、岡山市北区に所在のカイタック株式会社に、品番を「3873BR」とする「ブレラプレートII」なる商品、品番を「3874BR」とする「ブレラプレートII」なる商品ほかを納品した(乙19、乙20)。さらに、シモカワは、2011年(平成23年)4月14日に、株式会社センゾーに、品番を「3873BR-M」とする「ブレラプレートII」なる商品、品番を「3874BR-M」とする「ブレラプレートII」なる商品ほかを納品した(乙21)。ただし、上記品番の商品は、いずれも提出された全証拠によっても見いだすことはできない。 (4)シモカワの平成20年11月から同23年11月までの3年間における使用商標1を付した婦人用バッグの売上は、合計145,477,664円であることが窺える(乙22)。 (5)なお、シモカワの取扱いに係る婦人用バッグについて使用するタグ、リーフレット及びプレート(乙12?乙16)は、その作成日が明らかではなく、他にこれらが本件審判の請求の登録(平成23年11月22日)前3年以内に使用されたものであると推認することができる裏付け証拠の提出はない。したがって、タグ、リーフレット及びプレートに、使用商標1が表示されていたとしても、これらは、本件審判の請求の登録前3年以内に、登録商標を使用したことを証明する証拠とはなり得ない。 2 上記1で認定した事実によれば、本件商標の通常使用権者と認めることができるシモカワは、本件審判の請求の登録(平成23年11月22日)前3年以内である、少なくとも平成23年2月1日、同年3月3日に、ムロ株式会社よりそれぞれシモカワヘ納品された不織布製の婦人用バッグの包装用袋に使用商標1を表示し、これを2011年(平成23年)3月22日ころから同年6月16日ころにかけて、日本国内に所在するバッグ販売業者に納品したと推認することができ、上記通常使用権者の行為は、「商品又は商品の包装に標章を付する行為」(商標法第2条第3項第1号)及び「商品の包装に標章を付したものを譲渡・・する行為」(同第2号)に該当するものと解される。 3 使用商標1と本件商標との同一性 婦人用バッグの包装用袋に表示された使用商標1は、別掲の本件商標とは、(ア)地色が施されているか否かの差異、(イ)両商標において共通する「Brera」の文字部分、蛇の図形及び十字形を有する盾型図形の各要素が、黒線で表されているか、あるいは白抜きで表されているかの差異、(ウ)外側に楕円輪郭を有するか否かの差異、(エ)「Brera」の文字部分と十字形を有する盾型図形との間に、「MILANO」の文字を有するか否かの差異があることが認められるところ、まず、(エ)の使用商標1における「MILANO」の文字部分は、イタリアの商工業都市名であり、経済・文化等の中心地として、我が国においても知られているものであるから、使用に係る商品の生産地又は販売地を表したと理解されるものであって、自他商品の識別機能を有しないものであり、また、(ウ)の外側に配された楕円輪郭も付記的な部分であるといえる。そして、(ア)及び(イ)の差異は、両商標における主要部といえる「Brera」の文字部分、蛇の図形及び十字形を有する盾型図形を実質的に変更するものとはいえない。 したがって、使用商標1は、本件商標とは、外観上同視できる商標であって、「ブレア」なる同一の称呼を生ずるものであるから、本件商標と社会通念上同一と認められる商標ということができる。 4 使用に係る商品 使用に係る商品「婦人用バッグ」は、本件請求に係る指定商品中に含まれるものである。 5 むすび 以上によれば、被請求人は、本件審判の請求の登録前3年以内に日本国内において、通常使用権者が請求に係る指定商品に含まれる「婦人用バッグ」について、本件商標と社会通念上同一と認められる商標を使用していたことを証明したものと認めることができる。 一方、請求人は、前記第3の被請求人の答弁に対し、何ら弁駁するところがない。 したがって、本件商標の登録は、商標法第50条の規定により、取り消すことはできない。 よって、結論のとおり審決する。 |
別掲 |
別掲 本件商標 |
審理終結日 | 2012-07-11 |
結審通知日 | 2012-07-13 |
審決日 | 2012-07-26 |
出願番号 | 商願平8-11787 |
審決分類 |
T
1
31・
1-
Y
(018)
T 1 31・ 11- Y (018) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 小出 浩子 |
特許庁審判長 |
寺光 幸子 |
特許庁審判官 |
田中 敬規 酒井 福造 |
登録日 | 1997-08-15 |
登録番号 | 商標登録第4044583号(T4044583) |
商標の称呼 | ブレラ |
代理人 | 平木 健氏 |
代理人 | 中井 信宏 |
代理人 | 狩野 彰 |
代理人 | 平木 健氏 |
代理人 | 中井 信宏 |